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語り部日記


2016-07-17 「珊瑚礁」YouTube メイキングレポート

_ [YouTube] 「珊瑚礁」YouTube メイキングレポート


_ はじめに

 最近仕事や家庭の面でいろいろ忙しくしていまして、積極的な音楽活動ができませんが、なんとか時間を見つけて、自分なりに村下孝蔵を追及していきたいと考えています。YouTubeは僕の活動の原点であり、彼の歌を多くの人に知ってもらうにはとても強力なツールであります。

 今年(2016年)の春頃でしょうか。2階の部屋の掃除をしながら、「陽だまり」のLPレコードをかけていたのです。そこで流れてきた「珊瑚礁」が妙に心地よく伝わってきました。もちろん昔から知っていて全部歌えるような状況でしたが、あらためて今聞くと、感じ方が違っていることに気が付きました。10代の頃というのは結構、インパクトのあるキーワード、たとえば「珊瑚礁」を視覚的にイメージして、それを記憶しているケースがあるようです。要はこの曲のイメージは「珊瑚礁」そのものだったわけです。この曲でとても重要な言葉、「歌詞」をちゃんと吟味したことはなかったと思います。今あらためてこの曲を聴くと、やはり言葉が強烈に響いてきます。その言葉を飾るように流れてくる哀しいメロディーと、それをそっと心の奥まで届けてくれる孝蔵さんのやさしい歌声が、数ヶ月にわたって今の僕を支配していました。

 いつだったか「つぶやきBBS」で、珊瑚礁が頭の中でかかっていることを記しましたが、そのときはただそれを言いたかっただけでした。でもいつまでたっても止まらないので、久しぶりに屋外練習へ行った際、試しに適当なアレンジで歌ってみました。そのときもまだ、YouTubeに上げようとは思いませんでした。6月末に娘の期末試験が終わった頃でしょうか。ふと心に余裕ができたとき、まだこの曲は自分の中にあったので、今度こそ形にしようと思いました。少し長くなりましたが、以上が今回YouTubeにアップしようと思った経緯になります。

_ 音源制作

 この曲は、イントロのメロディーがとてもイイ感じですよね。そこもギターで演奏してカッコ良く演奏する手もありますが、サウンド的に、オリジナル音源と同じようにしたいと思いました。そこで、今回も重ね録りで行くことにしました。打ち込みの音源とmixするためには、ギターの音を正確なテンポで録音する必要があるのです。その際、レコーダから流れてくるメトロノームの音に合わせて、ギターのバッキングを録るわけです。ちなみにテンポは、オリジナル音源から推測し、125bpmとしました。ギターの音を録る際、一緒に歌うと自分の声が内耳に響き、メトロノームの音を正確に聞き取るのが難しく、その結果テンポがくずれてしまう恐れがあります。そういうことで、ギターによるバッキングとボーカルは別録りとしています。もちろん、別録りとすることで、ギターとボーカルの音量をmix時に調整できるという利点もあります。

 いざ、ギターの録音を開始すると、最初にベースランにつまずきました。4カポではありますが、最初Fの次が、GonFなのです。GコードでFを押さえるって難しいですよね。人差し指でFを押さえるのはよいとして、5弦のBを押さえるのが非常に難しいので、押さえないことにしました。なぜならば、バッキングのリズムパターン上、5弦のBは弾かないで済むからです。ということで、GonFは、ベース音F(6弦)と、1弦のGの2つのみを押さえてしのぐことにしました。そもそもGonFのFは必要なのか、ただのGコードでよいのではないか、という迷いもありましたが、そこは一つ、コード譜に忠実にGonFでいくことにしました。

 イントロ部のバッキングのリズムパターンは、CDを聴く限り、ジャジャンジャで行くのがよいなぁと思いました。Aメロからは、アルペジオで行くことにしました。サビに入ると、アルペジオでは物足りないのですが、ストロークにするのもちょっと違うと思ったので、ジャジャジャジャ~ンジャジャジャというリズムにし、ジャ~ンの箇所は1弦と2弦を同時に弾くことで、サビのインパクトが少し強くなるように工夫してみました。

 アルペジオのパターンは慣れるのに少し時間をかけましたが、コード進行自体は非常に簡単なので、録音を開始しても、思ったよりは早くまとまったように思います。

 ギターの録音ができたら、それを基準にして、夜な夜な打ち込みに励むことができます。そう思いながら、ボーカルは次の日にしようと最初思いましたが、そのときはまだ結構体力が残っていたので、なんと引き続きボーカルまで録ってしまいました。これで、弾き語りとして最低限の音が揃ったことになります。

_ 打ち込み開始

 週末を使って録音をしましたので、その後は平日の夜を使って打ち込みによるMIDI音源の制作にとりかかりました。時間がかかるのは分かっていたので、地道に腰を据えて行いました。例えば今日は前奏、明日は間奏、といった感じです。打ち込みを行うとき、僕は特別なお金のかかるツールは使っていません。ご存知の方もおられると思いますが、「さくら」というフリーソフトを使っています。写真に示す通り、非常にシンプルなインターフェースになっていて、「ド」とか「レ」とかの音と、その長さ(4分、8分等)を入力するだけです。楽器も自由に選べます。このツールで音を確認したいときは、再生ボタンを押すことで、演奏モニター(写真)で入力に従った音を鍵盤で演奏するように視覚的に確認しながら、音を聴くことができます。音符を入力した後は、この「サクラ」でそれをMIDIファイルにすることができます。MIDIファイルのままMIXするソフトもありますが、僕はシンプルにオーディオファイルに変換してからMixをすることにしています。フリーのツールでは、「JetAudio」というものを使えば、MIDIファイルをオーディオファイルに変換してくれます。僕の場合、音声マスタリングを行う際、有償ですが「SoundIt」というソフトを使っていますので、そのツールでMIDIファイルをオーディオファイルに変換しています。詳細は分かりませんが、MIDIファイルに変換するソフトは、多分ソフトシンセを内蔵していて、それを用いてオーディオファイルを作成しているんだと思います。その根拠は、ツールが違うと作成されるオーディオファイルの音が違うのです。同じ「トランペット」の音でも、ツールによって違うのです。ということで、参考までに、「さくら」で入力したAメロBメロのバッキングの音をオーディオファイルにした際の音声波形も示しておきます。僕の場合、後でMixダウンするときに音量を調整しやすくするため、この段階では、max -6dB にしておきます。ただし、トータルな音圧調整はMix後にやりますので、ここでは極力ダイナミックレンジを損なわないよう、コンプはかけずに、あくまでも音量だけを調整します。




ちなみに、ここで示したサンプルの音は、こんな感じです。
■AメロBメロバッキング

  ツールの説明のために、AメロBメロ部分を参考に示しましたが、実はその前に、イントロ部分を作成した際、想定外のハプニングが起きたのです。それについてお話しします。

_ 何かおかしい

  イントロ部分を打ち込んでギターのバッキングと合わせてみると、何かおかしいのです。イントロの打ち込みは2トラック分ありますが、それらは相互に合っているようです。要はギターの音が少しズレているように感じたのです。歌が始まってからは、もちろんギターと歌は違和感を感じません。ギターの音に合わせて歌を歌っているからです。そのときの音源があるので、聴いてみてください。

■どこかおかしい

打ち込んだ音は疑いませんでした。CD音源を聴きつつ、リビングにある電子ピアノで音を拾いながら作りました。単独では特に違和感もなく問題なしと考えました。そこで僕は2階の録音部屋へ行き、ギターをボロロンと弾いてみると、3弦が微妙にズレていました。そうか、チューニングか。何度も演奏していると、微妙にズレてくるのです。なんか少しギターの音が低く聞こえたのはそのせいだったのか、ということで、たいへんな気持ちのリセットが必要でしたが、次の週末、古かった弦を新しい弦で張り替え、ギターと歌をもう一度取り直したのです。今度は演奏を一回する度にチューニングをし、完璧な状態で録音しました。ちょっと神経質すぎるくらいだったと思います。あらためてギターの音を聴いてみると、確かに少しだけ音程が高く、明るくなったような気もしました。今度はギターのチューニングを全く疑う余地がありません。そしてあらためて打ち込んだ音源とmixしてみると、な、なんと..やっぱりおかしいのです。せっかくギターを録り直したのに、違和感がとれません。その後再調査をしてたどり着いた結論は、僕の打ち込んだ音源がおかしいということでした。
  思い込みというのは本当に恐ろしいですね。少しギターのチューニングが狂っていただけで、そうかそうかギターが悪かったんだ!そして、打ち込みの音源は間違っていないのだと。全てが思い違いでした。微妙なギターのチューニングの狂いはむしろそんなに問題ではなかったのです。もちろん、取り直した方がチューニングはバッチリなので、そちらを採用しましたが。
  では打ち込みの音源の何がおかしかったのか・・・それは、キー(スケール)が間違っていたのです。正しくは C#m で演奏するところが、Dmのスケールで打ち込んでいたのです。打ち込んだ全ての音が半音高かったのです。CD音源を聴いて、電子ピアノの場所まで歩くわずかな時間に、その半音のズレが分からなくなっていたのです。おそらく最初の音を録り違えたため、その後は相対的に音を決めていったのかもしれません。つまり、相対的には合っていますから、メロディーも単独では違和感なく聞こえていたのです。そもそも、鍵盤楽器に慣れていない僕は、音を拾うとき、どうしても白い鍵盤をたたきたくなるのです。しかし本来のC#m(嬰ハ短調)というキー(スケール)は、ト音記号やヘ音記号の横にある調号を見てみればわかるのですが、ド(C)とレ(D)とファ(F)とソ(G)の4つの音に#(シャープ)がかかっているではありませんか。つまり、ピアノで音を拾うならば、ほとんどが黒い鍵盤で拾わないといけなかったのです。そのことに気が付いたので、その後の耳コピには、ギターを使うことにしましたが、これは正解でした。CD音源を聴くとほぼ同時に手元で音を確認できるし、なによりもギターという楽器は、ピアノのように半音の違いで鍵盤の色が変わるような特別なしくみではなく、フレットの違いがあるのみですから、半音とか気にせずにフレットを移動しながら、音に集中して拾うことができるのです。少し時間がかかりましたが、理由が分かってやっと安心しました。打ち込み音源を全て半音下げることで、はじめてしっくりくる違和感のないサウンドになりました。参考までに、打ち込みし直したmix音を以下に示します。どうでしょうか?これでバッチリ合いましたよね。

■これでOK!!

考えてみれば愚かなことで悩んでいたと思いますが、自分的には今回物凄くよい勉強になりました。mixした音がおかしいと思うならば、打ち込み音源のキー(スケール)が合っているのか、つまり今回の場合、ドとレとファとソには、基本的に#がつきますから、そのような音階になっているか、というところを気を付けることと、そもそも打ち込みを開始する時点でそのことを意識すべきだし、今後は意識するようになると思います。なにはともあれ、これでやっと音源が完成しました。

_ ミックスダウンについて

  音源制作の補足です。いつも「RadioLine」というシンプルな4トラックのmix用フリーソフトを使っていますが、今回は前奏・間奏・後奏以外のところも打ち込みを行ったため、トラック数が4つを超えてしまったのです。そこで、たくさんトラックを設定できるmix用フリーソフトで、他によいものはないかと探して見つけたのが、「Audacity」というフリーソフトです。あまり余計な機能はありませんが、やりたいことはたいていできますし、トラックも無数に増やせるようです。操作も直観的で、すぐに使用することができました。フリーですし、これは本当におすすめです。


左:RadioLine、右:Audacity

_ 動画制作

  音源ができた後は、動画の制作です。今回は動画を撮影して回るということはせず、フリー素材等を収集・使用させていただきました。動画に関して僕は特別なテクニックを持っていませんので、単純に自分のイメージに近いものを作ることを心がけました。オープニングで示す歌詞は最近定番になってまいりましたが、これどうしてもやりたくなってしまうのですよ。歌もギターもすごいけど、やっぱり歌詞が素晴らしい。言葉だけを吟味するのもよいものです。ということで、今回はワタクシのナレーションはありません(えっ?期待してない!?)
  また、今回初めて「カスタムサムネイル」という機能を使ってみました。YouTubeで表示される小さい動画用の絵を表示する機能です。カスタムですから、動画から勝手に抽出されるのではなく、コレゾという画像ファイルを手動で作成し、それをサムネイルとして使用することのできる機能です。この機能があるのは知っていましたが、使用できる状態になっていませんでした。この機能が使用できるのは、登録ユーザが例えば1万人以上とか、再生回数が凄いとか、何か特別なユーザのみが使える機能と思っていましたが、意外にも、YouTubeで「アカウントの確認」という操作をするだけで、使用できるようになりました。今までアップした画像のサムネイルも、少しずつ時間をかけて改善していこうかなぁと考えています。

_ 「珊瑚礁」カバー動画完成

  前置きが随分長くなってしまい申し訳ございません。今回も時間がかかりましたが、なんとか完成し、YouTubeへアップすることが無事できました。以下にも完成した動画を示しますので、よろしければ是非一度、再生をしてみていただきたく、お願いします。


_ まとめ

 歌人 村下孝蔵の名曲「珊瑚礁」をカバーし、YouTubeで公開しました。じっくり時間をかけた分、この一曲にしっかり向き合うことができたと思っています。この曲は名曲とは言っても、どちらかといえばマイナーな曲ですので、一人でも多くの人に動画を見ていただければ本当にうれしいです。長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
_ ジュン (2016-07-25 20:14)

このレポート読んで、GOさんはやはりエンジニアなんだと再認識しました。このようにして作った音なんですね!今回はGOさんのナレーション聞けませんでしたが、僕はGOさんの語りは聞いていて気持ちいいと思います。すごく聞きやすいというか。 <br> <br>ところで7/16、僕は夏休みで南の島にいました。その日この動画見て、聴いてから海に潜って珊瑚礁見て、ちょっとテンション上がりました(^^)

_ GO (2016-07-25 23:15)

いろいろな楽器の音を入れようと思ったら、どうしても「打ち込み」のような手段をとるしかないですね~(^^;)音が機械的になるのも仕方ないですが、そこにこだわるとこれまたプレイヤーの域を超えてしまい、完全にエンジニアになってしまいます。管楽器の音を人間が演奏するように打ち込む方法もあるみたいですが、とてつもなくたいへんそうだったので、それはやめました。「村下音楽を伝える」という目的において、プレイヤーかエンジニアか、この際、自分がなにものかは重要でないと思っています。 <br> <br>ところでジュンさんは、ダイバーだったのですね!!本物の珊瑚礁を見ると、確かにテンション上がりそうです。南の島..気になります。ニューカレドニアなんていいですね。オッサンならわかる、ナントカにいちばん近い島..古い!? <br>