市川由紀乃がデビュー30周年を迎えてシングル『石狩ルーラン十六番地』を発売  「30周年を迎えた今も厳しい特訓を受けています!でもたまには甘いアメもほしいです(笑)」

2022.8.26

今年8月21日で歌手デビュー30周年を迎える市川由紀乃が、8月24日に新曲『石狩ルーラン十六番地』をリリース。本作のモチーフは、31歳という若さで生涯を閉じた北海道出身の画家、三岸好太郎とその妻の節子の絵画。作詩家の吉田旺が書き下ろした詩の世界を、凛としながらも艶やかな歌声で詩情豊かに表現している。また、来たる9月7日にはLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で「リサイタル2022 ソノサキノユキノ」の開催が決定。未来を見据えて歌い続ける彼女に、新曲への思いやリサイタルへの意気込みを語ってもらった。


──デビュー30周年を迎えての新曲『石狩ルーラン十六番地』は、吉田旺作詩、幸耕平作曲です。強力タッグによる楽曲は、4作目になりますね。

実は前作の『都わすれ』の詩と一緒に、今作の詩が送られてきたんです。『都わすれ』は、曲を先に作って、詩をあとでつける、いわゆる“曲先”の楽曲だったのですが、吉田先生の詩が幸先生のもとに届いた際に、「由紀乃ちゃんにいつか歌ってほしい」という言葉とともに、もうひとつ詩が添えられていて。でも、幸先生は『石狩ルーラン十六番地』という曲のタイトルしか教えてくださらなかったんです! 「どんな詩だろう?」という期待が高まって、「次に新曲を出せるなら『石狩ルーラン十六番地』がいい!」と願っていたので、実現してうれしい思いでいっぱいです。

──タイトルの「ルーラン」とはアイヌ語で「崖」という意味。丘と崖と入江が織りなす石狩の壮大な自然を背景に、愛する人を失った女性の情愛と悲しみ、人間の性(さが)が歌われています。

幸運にも今年、歌詩のモチーフとなった三岸夫妻の合同美術展が約30年ぶりに開催されて、お二方の作品を見に行ってきたんです。お二人の作品はもちろん、学芸員の方からうかがった、好太郎さんが今際の際に節子さんに残したという、「俺が死んだら、絶対恋をしろ」という言葉も印象に残っています。好太郎さんの「自分がいなくなっても、恋をして絵を描き続けてほしい」という願いや、「最後まで女として生きるんだよ」という愛が、彼の死後に描いた節子さんの作品の方向性や、色使いの変化に影響を与えたことが見てとれました。実際にお二人の愛の形を目にしたことは、歌ううえで大きな力になりました。

──レコーディングの前には幸先生のレッスンを受けたそうですね?

前の3作も同様だったのですが、幸先生の厳しいレッスンに合格しないと、レコーディングさせてもらえないんです(笑)。今作も特訓を覚悟して、ちょうど仕事がバタバタしているときだったのですが、その合間を縫って何回も先生にレッスンしていただきました。

──特訓ですか!(笑)

幸先生は「歌はリズムとスピードが大事」とおっしゃって、ご自分で実際に歌って指導してくださるのですが、厳しいんです! 自分では先生のお手本通りに歌っているつもりでも、なかなか歌いこなせないフレーズがあって……。何度も何度もレッスンしていただいて、ようやく歌えたと思っても「今のはまぐれかもしれないから、休憩をはさんでもう一度!」と特訓が続くんです。でも、幸先生はできるまでとことん付き合ってくださる方。ありがたい愛のムチのおかげで、無事に合格をいただき、レコーディングもうまくいきました。

──絵画がモチーフとなっている楽曲にちなんで、ジャケットも絵画の世界に由紀乃さんが入り込んだかのような趣がありますね。

今作の世界観などをキングレコードのスタッフの方と打ち合わせして、アトリエのような雰囲気が感じられるジャケットに仕上がりました。着物は、いつもお世話になっている呉服屋さんに何枚か候補を出していただいて、見た瞬間に全員一致でブルーの着物に決まりました。石狩の海や空を彷彿させるブルーが印象的な、お気に入りの着物です。

──この『石狩ルーラン十六番地』を引っ提げて、9月にはお待ちかねのリサイタルです。

今回は「ソノサキノユキノ」というタイトルをつけました。なんとなく、“この先”よりも“その先”としたほうが先が長いように感じられたので「“その先”も歌えるように」という思いを込めて、またソメイヨシノをはじめとして自分が好きな和を感じる言葉にならって「ソノサキノユキノ」と、カタカナのタイトルにしてみたらしっくりきました。

──セットリストも楽しみです!

8月21日でデビュー30周年に入りますが、デビュー曲から今までを振り返るような選曲ではなく、自分の“その先”の人生を考えた選曲になっています。もちろん演歌をベースに、今回は服部良一先生作曲の異国情緒を感じさせる歌や、男性の歌のカバー曲にもチャレンジする予定です。「あえてこの歌を選ぶの?」と思っていただけるような、意外な選曲になったのではないかと思います。

──9月のリサイタルは演出家を立てていないそうですね?

いちばん私の身近にいるマネージャーさんとヘアメイクさんと話し合って、演出プランを考えています。個人的に歌いたい歌もあるのですが、ひとりよがりになってもいけないと思って、お二方に「この歌を歌ったらいいんじゃない?」というアドバイスを受けながら決めました。今の自分があるのは、そのお二方のおかげ。私の長所も短所も知り尽くして、時に厳しく、時に優しく意見をくれるお二人には全幅の信頼を置いています。

──幸先生も、マネージャーさんもヘアメイクさんも……由紀乃さんの周りは厳しい方が多いのでしょうか?

決して、厳しくされたら伸びるというタイプではないと思います。よくできたら褒めてほしいですし(笑)。褒められたらのぼせるタイプではなく、「よーし、もっと頑張るぞ!」というタイプです。でも、年数ねていくと周りが言いづらくなって、反対意見が言いにくいこともあるかと。そうなると、自分自身の向上が望めなくなるという危惧があります。その点、私の周りにいるスタッフさんは、「その服は似合わない」とか、「この曲は合わない」とか、ズバッと言ってくれて、私も「そうか」と納得できるんですよね。本当に、いい現場に恵まれています。

──ご自分に厳しくいらっしゃる由紀乃さんが癒される瞬間はどんな時なのでしょう?

母と一緒にいる時間が癒しになっていると思います。親子なのですが、親友のような仲間のような関係で、私のことをすべて知っていて、どんなときも味方になってくれるんです。市川由紀乃のいちばんのファンで、私の出演するテレビ番組を一緒に見ていると、テレビの前で「由紀乃ちゃん!」って声援を送ってくれます(笑)。

──“その先”に思い描いている夢はありますか?

先日、由紀さおりさんと安田祥子さんのコンサートにうかがって、童謡って素敵だなと思いました。聴いただけで童心にかえれますよね。コロナ禍が収束したら、いつの日かコンサートで皆さんと一緒に童謡を歌うコーナーができたらいいなと考えています。子ども番組で、お子さんたちと一緒に童謡を歌ってみたいというひそかな野望もあります(笑)。また、伍代夏子さんに誘っていただいて、三味線のお稽古にも通い始めたので、習得までにちょっと時間はかかりそうですが、自分で三味線を弾きながら端唄・小唄をご披露できたらと思っています。

──“少し先”の9月には、チャンネル銀河で、「福田こうへい・市川由紀乃・徳永ゆうきの里山ライブ」が放送予定です。

普段から仲のいい3人で里山にお邪魔しました。福田さんはサービス精神の塊! 福田さんが煙に巻かれながら焼いてくださったアユは格別で、徳ちゃんと感激しながらいただきました。農家ではトマトを収穫して、もぎたてのトマトをいただいたのですが、実は私、トマトが苦手でして……。ところが、福田さんに「由紀乃さんはトマトが好きなんだよね!」って煽られて、それこそ何十年かぶりにトマトを口にすることになったんです。でも、食べてみたら、愛情たっぷりに育てられたトマトだからなのか、とてもおいしくて! 3人の素が出た珍道中と、心を込めた歌をどうぞお楽しみに。

──では最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

コロナ禍の厳しい世の中にあって、新曲をお届けできて、リサイタルの開催が決まって、ありがたいなという思いでいっぱいです。これからもチャレンジし続ける市川由紀乃を、どこかで目にして、歌を聴いていただけたらうれしいです。厳しいムチもありがたいのですが、時折、甘いアメも忘れずにお願いします!

 

市川由紀乃『石狩ルーラン十六番地』


発売日:2022年8月24日(水)
定価:¥1,400(税込み)
品番:KICM-31076

【収録曲】
01.「石狩ルーラン十六番地」
作詩:吉田 旺/作曲:幸 耕平/編曲:坂本昌之
02.「泣き虫ワルツ」
作詩:石原 信一/作曲:幸 耕平/編曲:坂本昌之

【コンサート】
市川由紀乃リサイタル2022 ソノサキノユキノ
2022年9月7日(水)
【会場】LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町1-1
【開場】17時15分 【開演】18時
【料金】S席¥7500 A席6000(全席指定/税込)

【有料生配信】
イープラスStreaming+にて
生配信:9月7日(水)18:00〜
生配信視聴券 3,000円(税込)
アーカイブ配信:公演終了後~9月13日(火)23:59まで
※9月13日(火)21:00までご購入いただけます。

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チャンネル銀河で「福田こうへい・市川由紀乃・徳永ゆうきの里山ライブ」を放送!

放送日時:2022年9月10日(土) 10:00〜、2022年9月18日(日) 9:30〜(再)
番組ページ:https://www.ch-ginga.jp/detail/satoyamalive/episode.html?id=21969

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