山内惠介「美空ひばりさんは、僕の永遠の道標です」

2019.7.15

初の47都道府県をめぐる全国ツアーを展開中の山内惠介さん。オリジナル曲だけでなく、ツアーで訪れた場所のご当地ソングやその土地に根付いた民謡なども披露して、ファンを喜ばせている。デビュー20周年を前に、歌手・山内惠介が目指す“うたびと像”を聞いた。

訪れる地が増すごとにレパートリーも増えています

━━4年連続NHK紅白歌合戦への出場を果たしている山内惠介さん。デビュー19年目の今年は、艶やかな歌声を活かした大人の色気たっぷりの新曲『唇スカーレット』で勝負。3月6日にリリースされたカップリング違いの赤盤、黄盤、白盤とDVD付唄盤に加え、7月3日には橙盤、紫盤もリリースされた。
『唇スカーレット』は歌謡曲寄りですが、橙盤のカップリング曲『ミア・ローザ~僕の薔薇~』は、これまで歌ったことのないカンツォーネタッチの楽曲で愛を情熱的に歌い上げています。紫盤に収録されている『男心』は、またぜんぜん違う自分になれる曲。洋装より和装のほうがハマるので、レコーディングでは和装しているイメージで歌いました。デビュー20周年を前に、いろいろな歌を歌わせていただけるようになってきたなと幸せを感じていますね

 

━━現在は、念願だった初の47都道府県をめぐる全国ツアー〈山内惠介 全国縦断コンサートツアー2019~Japan 季節に抱かれて歌めぐり~〉も展開中。自身のオリジナル曲に加え、美空ひばりさんや北島三郎さんらの昭和の名曲をカバー。さらに、各地でその土地のご当地ソングを披露し、ファンを沸かせている。
以前のコンサートで、黙って座ってらっしゃるお客様がいて、楽しんでくださっているのかどうか気になったので、その地方の民謡を一節口ずさんでみたんです。その途端、すぐに合いの手を入れてくださって、音楽には体が自然に動く魔法があるんだなって、まさに歌の力だなって思いました。それ以来、ご当地の歌だけでなく、その時期に合う季節の歌や話題の歌も歌唱させて頂いています。例えば仙台では『青葉城恋唄』を、蒲田では『蒲田行進曲』を、また、今回初めて訪れた佐賀でははなわさんの『佐賀県』、長崎ではさだまさしさんの『精霊流し』、宮崎や鹿児島ではその土地の民謡などです。訪れる地が増すごとに自分のレパートリーも増えているし、コンサートツアーの醍醐味だなと感じています

 

━━そんな山内さんが、カバー曲などを歌うとき、意識しているのは、「自分の歌にしてお客様に届けること」。
他の方の歌を歌うときは、山内惠介の歌になっているなと思っていただけるまで練習を積まなければいけないと思っています。もちろん、ただ練習しているだけでは、歌は命を宿しません。練習したものを実際にステージの上で歌い、失敗したり成功したりする中で、こういう歌い方のほうがお客様にとって伝わるんだなとか、ファンの皆様の気持ちをいっぱい感じながら、一緒に作りあげていくものだと思っています。お客様のことをしっかり意識するのとしないのとではまったく違う歌になりますから、聴いてくださる方一人ひとりが私のために歌ってくれている、俺のために歌ってくれていると思っていただけるような心遣いを隅々までできるような、そんな歌になるよう心がけています。お客様に『あなたの喉を通したらどんな歌も全部ステキに聞こえるわ』って言っていただけたら、最高の賛辞ですよね

 

美空ひばりさんに出会わせてくれた母親に感謝

━━山内惠介さんが歌手を目指したのは、美空ひばりさんへの憧れが発端。母親が大のファンだったことから、おなかのなかにいたころからひばりさんの歌を聞いて育ち、16歳でスカウトされたときは、あまりにも好きすぎて、ひばりさんの影響を受けた歌い方になってしまっていたため、師匠の水森英夫氏に「今は、ひばりの歌を聞くな!」と言われるほどだったという。
水森先生には『お前の歌からひばりを取らないと個性が出ない』と言われましたね。そこから山内惠介というのはこういう歌い手なんだっていう“自分の歌”を作っていくのは大変でした。ただ、デビューから19年、ようやくそれができるようになったかなと思える今、自分自身の個性を考えながら、改めてひばりさんの歌を聞くと、デビュー前にも増して、ひばりさんの凄さが理解できるようになって、自分の歌がより研ぎ澄まされていくんです。そういう人に出会わせてくれた母親には、すごくいい英才教育を施してもらったなと感謝しています

 

━━今後の夢として、日本武道館、さらには東京ドームでのコンサートを掲げる山内さん。自分の目指す歌手道の先に描いているのは、やはり美空ひばりさんの姿だ。
デビュー当時はひばりさんの名前を出すのもおこがましいし、厚かましいと思っていました。でも、ひばりさんという歌手がいなければ僕は歌手になりたいと思わなかったわけですから、今は、一生のテーマとして、美空ひばりさんのような歌手になりたいということを掲げたほうがいいと考えるようになりました。ひばりさんに近づくためには相当な努力をしなければいけませんし、凄さが理解できるようになればなるほど、どんどん遠い存在になっていくのですが、容易に近づけないからこそ、永遠の道標にできる。ひばりさんは、昭和という時代を背負われた人。自分に時代を背負うなんて考えもできませんが、流行歌を出すということは時代を歌うということなので、一歩ずつ自分の歌の完成度を高めて、ひばりさんのような歌手になることを目指していきたいと思っています

 

作品情報

info01

山内惠介「唇スカーレット(紫盤・橙盤)」

2019年7月3日(水)発売/3月6日に発売したオリコン週間シングル7位、発売週の売上げが自身過去最高と好調なスタートを切った「唇スカーレット」のジャケットとカップリングを新たにした2タイプ。(紫盤)CD:VICL-37481/¥1,204+税/カップリング曲:「男心」訳があり後悔を引きずりながら、北の街に女性を一人残してきた男の心情を唄った/(橙盤)CD:VICL-37482/¥1,204+税/カップリング曲:「ミア・ローザ~僕の薔薇~」イタリアの大衆歌曲「カンツォーネ」タッチの愛を情熱的に歌い上げる。

関連キーワード