門松みゆき独占インタビュー 「目の前のことをコツコツと積み上げて目標に向かっていきたいです」

2020.3.4

昨年2月に『みちのく望郷歌』で鮮烈なデビューを飾った門松みゆき。「2歳の頃には演歌に目覚めていた」と語る、まさに“演歌歌謡”の申し子が2020年2月、満を持してセカンドシングル『浜木綿しぐれ』をリリース。演歌界の新鋭にデビューまでの道のりから、切ない女ごころを歌い上げた新曲にかける想いまで、縦横に語っていただいた。

 

――演歌歌手になった方に話を聞くと、たいていお父さんとかおばあちゃんが、演歌好きで、小さい頃から聴いていたという話が多いんですが、門松さんの場合はいかがでしたか。

特別、家で演歌が流れていたということはなかったですね。ただ、2歳の頃にはもう演歌が好きだったらしくて、新宿コマ劇場でやっていた北島三郎さんの劇場公演に行きたくて親にせがんでいたみたいです。私、小さい頃は本当に落ち着きのない子で、すこしもじっとしていられなかったのに、北島さんの公演では、2時間のショー、2時間お芝居を最後まで食い入るように観ていたと聞きました。それからは毎年、観に行くようになったんですが、北島さんの劇場公演は、私の中では“エンカ―テインメント”、キラキラしていてディズニーランドのようなものでしたね(笑)

――その北島さんの公演のどんなところに魅力を感じたのでしょう。

(北島さんの公演で)覚えているのは3,4歳くらいからだと思うんですが、お芝居の部は時代物なのでよく理解できなくて、母親から、“サブちゃん”はこういう立場なんだよ、なんて解説してもらいながら観てるうちにだんだん分かるようになってきて、そうするとお芝居にのめり込むようになっていきました。歌も最初は歌詞の意味も分からず聴いていたのが次第に『(北島三郎の『山』を聴いて)なにこれ、山に人生を例えるってどれだけスケール大きいの』と思って、演歌の深さを知って涙が流れるくらい感動しました

 

――そこから歌手を目指そうと思うようになったんですか。

そうですね。だから私は、歌が好きだからとか、歌が上手いってほめられるからということで歌手になりたいと思ったわけではなくて、劇場公演を観て帰っていくおじいちゃん、おばあちゃんたちが『やあー、来年もまた来ようね』って言ってるのを聞いて、また1年頑張れる元気をここでもらって帰るんだ、たった一人の人間がこんなにたくさんの人を幸せにできる仕事ってすごいなって思って、歌を勉強したいと思ったんです。それが歌手を目指すきっかけです

――その後、高校生になって藤竜之介先生のお弟子さんになるわけですよね。

小学生の時から演歌歌手になるって決めていたんですが、高校生になって進路を考えた時に、例えば音楽関係の専門学校を調べても演歌を学べるところってないんですよ。で、作家の先生に付くっていうのがひとつの方法だと知って、その後オーディション番組に出たことがきっかけで藤竜之介先生の内弟子になることができました。16歳の時です。内弟子ですから先生の身の回りのこともやるんですが、先生は何より歌を120%教えてくださる方で、本当に幸せでした。先生からは歌は伝わらなければ意味がないんだからと、言葉を大切にすることを教えていただきました。それから、世に出てから恥ずかしくないように、皆さんに可愛がっていただけるように、素敵な女性になりなさいということも常に言われました。例えば食事をしていても箸の持ち方や、姿勢を正しなさいということまで細かく注意されました

 

――演歌の歌詞は書かれている言葉の裏側に深い意味が隠されていることが多いと思うのですが、それだけに表現するのに難しいと感じることはありませんか。

歌詞に書かれているのは短い言葉ですよね。だから藤先生のレッスンでも、最初に歌詞を見て、主人公は男か女か、季節はいつなのか、天気はどうなのかとか、そこまで細かく紐解いてから始まるんです。難しさもありますが、想像力をふくらませるという意味では面白くもありますね

――今回の『浜木綿しぐれ』は、未練を断ち切ろうとする女の切なさを表現しています。初めて曲を聴いた時はどんな印象でしたか。

歌詞の内容は大人の女性の気持ちを歌っていて、私自身と比べると等身大ではないけれど、でも逆にある意味等身大の歌だとも思いました。歌詞の中の主人公が経験してきたことは私にはまだちょっと早いなと思うのですが、経験のない部分は私の声で補えると思ったんです。私の声は太くて中低音が響くので、主人公の切ない気持ちは、この声で表現できるのではないかって。きっと作詞の石原先生もそう感じて、この詞を私に書いてくださったし、そこに藤先生がメロディをつけてくださったのではないかと思うんです

 

――門松さんより少し大人の世界であるこの曲の世界は、理解はできますか。

歌詞に書かれているのは男の人を断ち切れない切ない女ごころですが、うらはらに実は女性って芯は強いですよね。で、その裏側に持っている芯の強さを、パンチ力のある3連符のリズムで表現していて、そこで女性の本来の気持ちを表現しているんじゃないかって思います

 

――ご自分の歌なので当然かもしれませんが、分析力がすごいですね。

アハハ、そうなんです。私って不器用なので、一つひとつ考えていかないと自分の中で納得できないタイプなんです(笑)

――話は変わりますが、一口で演歌と言っても、いろんなタイプの曲がありますが、門松さんはどんな演歌がすきですか。

いやもう、演歌、歌謡曲は何でも好きです。ディック・ミネさんの『旅姿三人男』だって歌いますよ(笑)。修行中は自分の声に合った人の歌だけじゃなくて、裏声系、例えば森昌子さんや都はるみさんの歌も歌いましたし、演歌・歌謡曲というジャンルが好きなので何でも歌います!『浜木綿しぐれ』の(Aタイプ)ボーナストラックに入れた都はるみさんの『しあわせ岬』は今回、初めて歌ったんですけど、すごくいい歌だと思って。都さんは数多くのヒット曲をお持ちなので、その中で埋もれてしまうには惜しい曲。だからこそ門松みゆきの歌で新たに昭和の名曲に息を吹き込むことができたらと思って歌いました

 

――今年はデビュー2年目です。どんな目標を持っていますか。

今年は、出身地である小田原が盛り上がるように貢献できる活動ができたらなって思っています。小田原っていえば門松みゆきって言ってもらえるような存在になりたいです。なんでそう思ったかっていうと、私は16歳から内弟子になって、その間は携帯電話も持ってはいけなかったし、お盆とお正月以外は実家に帰れなかった、お友達ともめったに遊べなかったんです。だから私の中では故郷・小田原は近いけど、遠い存在でした。今でも(デビュー曲の)『みちのく望郷歌』を歌うとグッとくるところがある。だから故郷を大切にしたいという気持ちが強いんだと思います

 

――歌い手としては、どんな目標を掲げていますか。

今はただ、『浜木綿しぐれ』をヒットさせることだけですね。紅白出場ですか? もちろん紅白出場も賞を獲ることも私の心の中では大きな目標ではありますが、それは頑張ったご褒美として付いてくるものだと思っていますし、私が決められることでもない。それよりも目の前のことをコツコツと一生懸命やっていくことが大事だと思っています

『浜木綿しぐれ』

2月5日(水)発売
作詩:石原信一 作曲:藤竜之介 編曲:馬飼野俊一

配信:https://nippon-columbia.lnk.to/ebHf2


【AタイプCD】COCA-17732 ¥1,227+税
C/W『ふるさと横丁に灯がともる』
作詩:石原信一 作曲:藤竜之介 編曲:西村真吾
ボーナストラック『しあわせ岬』
作詩:たかたかし 作曲:岩久茂 編曲:高田弘


【BタイプCD】COCA-17733 ¥1,227+税
C/W『ふるさと横丁に灯がともる』
作詩:石原信一 作曲:藤竜之介 編曲:西村真吾
ボーナストラック『かもめの街』
作詩:ちあき哲也 作曲:杉本眞人 編曲:西村真吾

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