『山内惠介 全国縦断コンサートツアー2019スペシャル』 1万6千人を動員し、東京国際フォーラムにてファイナルを迎える
新曲『唇スカーレット』も大好評の山内惠介が、10月23日(水)、東京国際フォーラムホールA にて『山内惠介 全国縦断コンサートツアー2019スペシャル』を開催。
このスペシャルコンサートは本人念願の47都道府県コンサートツアー『山内惠介 全国縦断コンサートツアー2019〜Japan季節に抱かれて 歌めぐり〜』の曲目を一部変更し、通常7名のバックバンドを25名の編成にした特別バージョン。この日は1万6千人を動員した5都市6公演のファイナル。開演のベルが鳴った途端に、会場に詰めかけた5千人の拍手の嵐が巻き起こった。
「今年デビュー19年目、来年20周年を迎えます。全国の皆さんにお礼を言いたくて47都道府県を回っています。今日はスペシャルな山内惠介劇場の開幕です!」という本人のアナウンスが流れ、山内が登場。
胸に白百合のコサージュ、同じく白百合をあしらった緑のロングジャケット姿。まず、センターステージの上でデビュー曲『霧情』をしっとりと歌う。山内のシンボルマークが百合なのは、デビュー曲の歌詞「♪山に咲いてた 百合の花」からとったものだ。「どうも皆さまこんにちは、お元気ですか? スペシャルコンサートも3回目、今年もフォーラムに帰ってきました。ただいま〜!」と山内。「おかえり〜」と観客。彼と客席との間で、すでに見事なコール&レスポンスが出来上がっている。
次の曲は2008年にリリースした『恋する街角』。ロングジャケットを脱ぐと、イエローの身頃のロングベスト姿。裾にあしらわれたレースが、彼の動きに合わせて優雅に揺れる。続けて3度目の『紅白』で歌った『愛が信じられないなら』。歌の合間に客席から「♪惠ちゃん」とすかさず合いの手が入る。
「今、台風の影響で全国が大変なことになっていますが、歌で日本を元気づけたいと思っています。先日、千葉からいらした方から、『停電の時、惠ちゃんのペンライトが役に立つのよ』とおっしゃっていただき、ぼくも嬉しいです」。続けて「2004年、21歳の頃の曲です」と『君の酒』を歌う。ゆったりとしたリズムにトランペットが明るい音色を奏で、たくさんのペンライトが揺れる。山内はゆっくりと体を揺らしながら、艶のある歌声を披露する。
山内はいったん下手へはけ、新しい衣装で登場。
「今日は衣装も楽しんでいただくということで、早くも2着目です。この衣装も……(小声で)いいっしょ?」脱力のダジャレに客席がドッと沸く。紫と白のアシンメトリーの個性的なジャケットも、難なく着こなしているのはさすがだ。
「今年もいろいろなことがありました。一番大きい出来事は年号が令和に変わったことです。(中略)ぼくが物心ついて初めて口ずさんだ歌は美空ひばりさんの『みだれ髪』。昭和の名曲列伝、美空ひばりさんの曲をメドレーで、『みだれ髪』からお聞きください」
敬愛する美空ひばりの曲ということもあり、リスペクト感が伝わってくる丁寧な歌唱。バックの映像は満点の星空、曲の世界観に引き込まれる演出だ。続いて『りんご追分』では、「山内!」と男性客から掛け声がかかり、ニッコリと微笑みを返す。曲の合間のセリフも真に迫り、まるで一編の物語を見ているようだ。『車屋さん』では、ステージでの妖艶な身のこなしに、ファンはうっとり。最後は『津軽のふるさと』。ピアノをバックにドラマチックに歌う。
その後、衣装替えをし、大きな百合と、今年の勝負曲『唇スカーレット』にちなんだ唇の刺繍を背中に背負った黒いスーツ姿で登場。
「美空ひばりさんの名曲の数々、僭越ながら歌わせていただきました。後世に残る名曲は、歌い手の魅力を最大限に引き出すように、作り手の先生たちが心血を注いで作ったオーダーメイドの歌。(中略)今年、水森英夫先生と松井五郎先生が、ぼくのためにオーダーメイドで歌を作ってくださいました。『唇スカーレット』!」舞台が赤く染まり、センターステージの階段がカラフルに点滅。会場がペンライトで真っ赤に染まる。ピンクレディーの『サウスポー』のように体幹を回す振り付けが山内の腰の細さを強調し、女性ファンはもうメロメロだ。
「9月25日に『唇スカーレット』の〈蒼盤〉と〈桃盤〉が出ました。〈蒼盤〉には北海道の室蘭をテーマにした曲がカップリングされています。〈桃盤〉では、直木賞作家の桜木紫乃先生に、『やばいi』という曲を書いていただきました」
『海霧の町』に続き、歌詞が官能的な『やばいi』を歌う。唇に指を添えたラストポーズに、会場の女性は「キャーッ」とスカーレット色の悲鳴をあげた。
「昨年は『さらせ冬の嵐』で一年頑張りました。レコード大賞のステージにも3年ぶりに立ちましたし、4度目の『紅白』で刀剣男子の皆さんとNHKホールに雪を降らせました(中略)それでは、『紅白』の衣装でお送りします」バックのビジョンは吹雪。目の覚めるような白いロングコートに着替えた山内が熱唱し、1部が終了。
2部はガラリと変わって和風ムードで幕開け。拍子木の甲高い音に乗せて「時は天保15年〜」の口上の後、凛々しい着流し姿で登場。錦絵風のビジョンをバックに、幕末の剣豪・平手造酒を歌った『大利根なみだ酒』を披露。男らしく歌い上げると客席から万雷の拍手。その後、今回のコンサートに尺八・篠笛で参加した長谷川将山氏を紹介した。
「今年出したアルバム『JAPAN』のブックレット、自分で言うのもなんですが、二枚目に撮れています(笑)。その中の2曲、続けて聞いてください」
尺八の乾いた高音が美しい『望郷子連れ鴉』と、『恋の手本』を歌う。長い手脚を生かしたステージアクションと、キリッとした眼差しが魅力的だ。
ここでドラムがリズミカルにビートを刻む。
「せーの! よいしょ! 『あたりきしゃりき』!」と叫んで下手へ。バンドは『JAPAN』に収録された『あたりきしゃりき』を軽やかに演奏。山内は赤とオレンジのラメをちりばめた、切り返しが特徴的な上着で登場し、「♪エッサホイサ ご一緒に」と陽気に客席をのせながら1番を歌う。
「2度目の『紅白』で歌わせていただきました『流転の波止場』!」
明るい曲調に合わせ、客席から「ソーレ!」「ヨイショ!」と絶妙なタイミングで合いの手が入る。衣装の切り返し部分に電飾の灯りが付き、ピカピカと輝く。歌いながらDA PUMP『U.S.A』のフリを踊ると観客は大喜び。客席に降り、次々に手を差し出すファンと握手を交わす。
「この衣装をご覧ください。まるでパチンコ屋さん。自分で言うのもなんだけど、何着ても……似合う!」弾けるように笑う観客。『夢見る恋人たち』を歌った後、アレンジャーの伊戸のりお氏を紹介。伊戸氏の「惠介、地味!」というコメントに客席は爆笑。そしてスペシャルバンドのメンバーを紹介し、下手へ。
「皆さんのおかげで、デビュー15年目に『紅白』に出させていただきました。改めて15周年記念曲『スポットライト』を歌います」アナウンスとともにイントロが流れる。そこに紫の燕尾服、蝶ネクタイのスタイルで現れ、よく伸びる甘い声で歌い上げる。
「初めてのレギュラー番組を持たせていただいたのは北海道のラジオ局。福岡出身の僕ですが、そのせいか北海道の曲が多いです。北海道にはお世話になっています」と『釧路空港』を歌う。
山内は観客に歌詞を教えて一緒に歌うように促し、会場は大合唱となった。『風蓮湖』を歌った後、流氷をイメージさせるシルバーのジャケットスタイルに。『流氷鳴き』『冬枯れのヴィオラ』を歌い上げ、最後の曲『ありがとう、が降り積もる』を歌い切った。
その後アンコールに応え、赤の蝶ネクタイとロングジャケット、カマーバンドに唇の刺繍といった姿で登場。昨年の『紅白』で刺激を受けたという米津玄師の『Lemon』をパワフルに歌い、演歌とはまた違った〈歌心〉を客席に届けた。
「まだ何も決まってないですが、2020年は武道館に立ちたいという気持ちはあります。それと、全くの偶然ですが、放送中の朝ドラが『スカーレット』。願わくは、ぼくも朝ドラに出たい!(笑)。『紅白』で白組として、皆さんの唇をスカーレット色に染め上げることができたらと思っています」と、年末と来年の決意を新たにし、再度、『唇スカーレット』で客席を盛り上げ、熱狂の3時間を締めくくった。
「今日は本当にありがとうございました」「気をつけてお帰りください」と緞帳が完全に降りきるまで床と緞帳の隙間から顔を覗かせ、観客を気遣うメッセージを叫び続けていた山内惠介。デビュー20周年という節目の来年は、どんな表情でファンを魅了してくれるのだろうか。
セットリスト
M1. 『霧情』
M2. 『恋する街角』
M3. 『愛が信じられないなら』
M4. 『君の酒』
M5. 『みだれ髪』(美空ひばり)
M6. 『りんご追分』(美空ひばり)
M7. 『車屋さん』(美空ひばり)
M8. 『津軽のふるさと』(美空ひばり)
M9. 『唇スカーレット』
M10. 『海霧の町』
M11. 『やばいi』
M12. 『さらせ冬の嵐』
M13. 『大利根なみだ酒』
M14. 『望郷子連れ鴉』
M15. 『恋の手本』
M16. 『あたりきしゃりき』
M17. 『流転の波止場』
M18. 『夢見る恋人たち』
M19. 『スポットライト』
M20. 『釧路空港』
M21. 『風蓮湖』
M22. 『流氷鳴き』
M23. 『冬枯れのヴィオラ』
M24. 『ありがとうが、降り積もる。』
M25. 『Lemon』(米津玄師)
M26. 『唇スカーレット』