三山ひろしが笑って泣いて歌って踊って飛び回る！自身初の明治座座長公演「明治座 三山ひろし特別公演」がスタート
昨年のNHK紅白歌合戦でのけん玉ギネス記録更新のチャレンジが記憶に新しく、8日には新曲『北のおんな町』をリリースする歌手・三山ひろしが明治座（東京）にて「明治座 三山ひろし特別公演」を7日にスタートさせた。
三山が明治座の舞台に立つのは2013年12月「五木ひろしコンサート」にて初登場して以降、他歌手公演の特別出演としては何度かあったが、座長公演は今回が初。
そんな明治座初座長公演は2部構成となっており、第1部では立川志の春による落語「阪田三吉物語」をもとに、棋士・阪田三吉の半生を描いた舞台。第2部は「三山ひろしオンステージ First Dream 2020」と銘打って、ゲストに宝塚で娘役トップをつとめた実咲凜音などを迎えた豪華歌謡ステージという盛りだくさんの内容だ。
第1部「阪田三吉物語」で三山が演じるのは今年生誕150年を迎える棋士・阪田三吉。将棋に人生を捧げたが死後10年たってから名人位と王将位を追贈されるという悲運な将棋人生を送った阪田三吉の半生を描く。
原案を手掛けた立川志の春の語りで舞台は始まり、要所にも語りが入りながら物語は進行する。明治初期に街角で繰り広げられていた緑台将棋で素人ながら関西で名を馳せた阪田三吉の20歳あたりの頃から日本中に名を知らしめた晩年までの将棋人生を描き、その中でも、清水佐紀演じる妻・コユウとの夫婦愛や田中稔彦演じる阪田の永遠のライバル・関根金次郎との友情や尊敬も入り混じる因縁が感動を呼ぶストーリーになっている。
クライマックスシーンでは、涙する観客も。公演後の囲み取材で三山は「阪田さんの生涯は自分と似ているところがある。1つの事を突き詰めるところや飽くなき挑戦をする姿勢、闘争心がそっくりで自分を出して演じることができた」と語るとおり見事に阪田三吉を演じきっており、三山ひろしでしか成しえない世界観を作り上げた。
関西弁でのセリフ回しが見事なのもさることながら、コミカルな動きや競演したほんこんも絶賛する独特の間やアドリブ捌きが観客の笑いを誘った。三山なりに表現した阪田三吉の人柄には惹かれるものがあり、そんな舞台はまさに笑いあり涙あり。
この日、ほんこんが演じた阪田の師匠的存在・小林東白斎はダブルキャストとして間寛平が演じる回もあり、ほんこん曰く「絶対に無茶なアドリブが入る」とのことで何度観ても楽しめそうだ。
第2部は、羽織姿に正座で登場した三山。口上ののち、そのまま歌唱ステージかと思いきや、なんと瞬く間に真っ赤なドレススーツに変わりそのままフライングで舞台中央に降り立ち、デビュー曲『人恋酒場』から『お岩木山』など歴代のシングル曲をメドレーで披露。
第1部の余韻が残っていた会場を一気に華やかな歌唱ステージの空間に変えてみせた。タイトルにもある「First Dreaam（=初夢）」のように「まさか！」を観てもらいたかったという演出は大成功だ。
続いての”夢”満載のステージは実咲凜音らが登場し、ミュージカルの様相を呈す。『雨に唄えば』や『サタデーナイトフィーバー』などの映画音楽をダンスとともに披露。タップ音に合わせて披露したみるからに難しいけん玉の技や至近距離での実咲とのチークダンスに会場は大いに盛り上がり、激しいダンスでのコミカルな動きは会場を笑いで包んだ。
続いて、三山のコンサートではお馴染みの歌謡浪曲『俵星玄蕃』を披露したのち、昭和歌謡ミュージカルのステージへ。
『青春時代』（森田公一とトップギャラン）に始まり、各曲の歌詞の世界を紡いでできた2人のカップルのストーリーを演技を交えながらテンポよく披露していく。
気付けばあっという間に歌唱ステージも終盤に。新曲『北のおんな町』を含む近年の自身のシングル曲を披露し、最後は羽をつけた状態でのフライングの演出で『あなたは灯台』を披露し、公演の幕を閉じた。
途中30分の休憩を2回挟みながら4時間10分にも渡ったステージだが、テンポがよく見ごたえもあり、あっという間に時間は過ぎ去った。
令和初のお正月に明治座初座長公演でフライングやミュージカルに初挑戦と”初”尽くしの公演について三山は「みなさんに楽しんでもらうには演歌の枠を超える必要があった。ただ、終演間際にも感じたが、一人では歩いてこれない道だった」と共演者やスタッフへの感謝の気持ちを忘れないのは三山らしい。
稽古中は三山が所属する事務所の地下にある松前ひろ子がプロデュースするレストラン「Liveレストラン青山」のカツサンドやカレーライスを差し入れしていたのだとか。その甲斐もあってか初共演の出演者たちともすっかり打ち解けている様子。
三山ひろしの魅力がたっぷりと詰まった「明治座 三山ひろし特別公演」は1月23日（木）まで。是非1度はその目でこのエンターテインメントを体感して欲しい。
