純烈 観客1名の初の有料配信ライブ開催 爆笑&感動のステージとオンラインラウンドにファン歓喜
今年デビュー10周年を迎えた4人組歌謡コーラスグループ・純烈(酒井一圭、白川裕二郎、小田井涼平、後上翔太)が5日、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて初の有料生配信ライブ「純烈コンサート2020 YOU ARE MY SUNSHINE!!!! 追われる者より追う者が強いんじゃ!」を開催した。
「純烈コンサート2020 YOU ARE MY SUNSHINE!!!!」は本来、今年5月以降に全国各地のホール会場を回るツアー公演だったがコロナウイルス感染拡大を受けて2020年内の開催を全て中止、延期したもの。配信ライブ自体は6月にお台場大江戸温泉物語(東京)、7月に箕面温泉スパーガーデン(大阪)で開催しているが、チケット有料制かつ観客を動員してのコンサートは今年初の試み(有料配信コンサートは過去の活動を通して今回初)。ちなみにその観客もファンクラブ会員限定で抽選を行い、1,000名の応募の中からたった1名だけ参加できるという稀有な試みだ。
公演開始前に取材に応じたメンバーはそれぞれ意気込みを聞かれると、
「6月23日に10周年を記念して行った大江戸温泉でのライブは無観客で心細かったし寂しかったですよ。その時から今日の開催を目標に頑張ってきました。(観客)1人だったら密にならないだろうと。ほとんどの方は配信で、マダムの方はメカが苦手ということでなかなかチケットが売れなかったんですが、YouTubeでご案内の動画を作ったらたちまち(売り上げが)倍になったんです。丁寧に伝えればマダムもネット配信いけるということが分かりました」(酒井)
「ライブとしてはこれが今年、最初で最後。演歌・歌謡協では純烈しかやらないことをやりますので楽しんでほしいです」(白川)
「お一人とはいえ、お客様の前で歌うのは今年の2月以来。リハーサルにしても前にやっていたことも初めての様に感じました。その新鮮さを僕らも楽しみたいしお客様も楽しんで頂きたいですね」(後上)
「お客さんの方が緊張しますよね(笑)。そのたった一人のお客さんの目を通して生配信を観ている方々に届けられればと思います」(小田井)
と、それぞれコンサートを開催できる喜びに溢れている様子で気合十分。
収容人数約2,000人の客席に唯一の来場観客1名が席につき、緞帳が開ける。
『純烈のハッピーバースデー』『ひとりじゃないから』を続けて披露。白川の「そんなところにいないでもっとこっちにおいでよ」の掛け声で、1名の来場観客はステージと超至近距離の最全席へ執事(俳優・本間優太、龍真)のエスコートとともに移動する。
『ひとりじゃないから』では、早速たった一人の来場者へファンサービス。後上はエアタッチ、白川はマジックハンドで握手、小田井は高跳び棒ほどの長さのバトンを手渡し、と”直接触れることの無いソーシャルディスタンスを保った状態での触れ合い”を行った。
馬鹿げていると思われるようなことでも本気で取り組み、笑いに変える力をもつ純烈だからこそでき、純烈にしかできない演出だろう。
そして、酒井はというとゴムパッチンを口にくわえてお客さんと繋がるパフォーマンス。もちろん、手から離れたゴムは勢いよく酒井の顔へ、というお決まりの演出も。歌って、踊って、だけのコンサートではない純烈劇場の幕開けだ。
その後、オープニングムービーとしてメンバーがコロナ期間や今回のコンサートへの思いを語る映像が流れた後、敏腕マネージャー・今林役として毎度おなじみ今林久弥が登場。
「お前ら本当に紅白出たいと思っているのか?」
この言葉を皮切りに今回の”純烈劇場”の趣旨が明かされる。紅白に出場するためにはSNS上で話題になる、つまりバズることが必要ということで、コンサート中の様子を随時Twitterに実況投稿し、その投稿のいいね&リツイート合計が100万になることを目指すというもの。ここから、バズることを意識して歌唱ステージが再開する。
まずは、酒井と後上が『また逢う日のために』をデュエット。今回のコンサートではドローンでの撮影も行われており、歌唱が終わるとそのドローンが二人の前に現れる。実はこのドローンを操縦しているのがプロレスラーの秋山準(準烈・DDTプロレス)であり、二人は秋山の張り手を受けることに。
プロレスラーから張り手をくらい悶絶する二人の様子は確かにSNS映えしそうな画である。
続いて白川が『愛は死なない』を生着替えをしながら鍛え上げた肉体とともに披露。
「白川裕次郎 渋谷公会堂のステージでセクシー生着替えに挑戦」確かにネットニュースに上がりそうなタイトルの完成だ。
続いては、小田井のステージ。
港孝也とパッション・グループによるGS『恋のチューリップ』を披露。「会~いたい~会~いたい~早く会いたい君に~♬」の歌詞がまさに今にピッタリの楽曲だ。
もちろん小田井もただ、歌うのではなく、肩にかけたサンプラーに予め様々な歓声音を録音しており、歌唱中にそれらを鳴らしながら披露。
こればっかりはバズるか否か以前に、サンプラーに歓声を入れてハイテンションで歌うという画期的(?)な発想にもはや脱帽だ。
その後、妻でタレントのLiLiCoに電話をかけ「音、外れてたよ」と注意されてしまう場面も。
このようにメンバー全員体を張ってTwitterでのバズを目指すも思うようにいいね&リツイートが伸びず(という設定であったがこの時点で相当数のいいね&リツイートが見受けられた)悩んでいるとここで、昨年6月12日にNHKホールで行われた「純烈のNHKホールだよ㊙大作戦」にも出演したスーパー・ササダンゴ・マシンが登場。昨年同様にプレゼンを始め純烈に助言する。
スーパー・ササダンゴ・マシンによると純烈は既にバズっている存在で、「いいね」をあげる存在。大事なのは「構い合う」ことで、その「構い合う」ことの一番いい形が純烈名物のラウンドであり、これをオンラインで実現しようというもの。
そこで、Twitterで「#純烈」をつけて投稿されたものに対して純烈メドレーを歌いながらメンバーそれぞれのアカウントでいいねをおしていくオンラインラウンドを実施。
直接触れ合って言葉を交わすことに勝りはしないものの、自身の投稿にいいねを押されるとオンライン上でも存在を認識され、一方通行だった言葉がまるで会話をしているような、声が届くような感覚を味わせてくれる。配信コンサートの課題でもあるファンとの距離感をグッと縮めてくれたのだ。もちろんTwitter上は歓喜の嵐だ。
気付けばステージももう終盤。
紅白初出場が叶った曲『プロポーズ』、デビュー曲『涙の銀座線』につづき、ファン達の声援の言葉を星にみたてた『見上げてごらん夜の星を』を披露し、一気に感動のステージへ。
最後は最新曲『愛をください~Don’t you cry~』を披露したのち同曲Bタイプのカップリング曲『人間だもの』を唯一の来場観客含むゲスト全員と熱唱し、初の有料生配信ライブは幕を閉じた。
コンサート途中で今林が涙ながらに今回のライブの本当の目的はコロナの影響でバラバラになってしまった純烈、そしてファンやスタッフなど関わらる人全ての心を一つにすることと語っていた。
演出の一部であっただろうにそれに対して酒井は本気で涙を流しながら言葉を詰まらせていた。
今や超人気タレントとして歌番組だけでなくバラエティにも引っ張りだこで、何かしらのメディアで純烈を見ない日が無いといっても過言ではないだけに我々からするとコロナの中でも懸命に活動し続けているように思えていたが、純烈にとってはやはり主戦場は昔と変わらずファンと触れ合えるステージやスーパー銭湯なのだ。年内における客入れのステージを行わないという決断は彼らの大きな心の支えを自ら一度断たねばならないという大変な決断であったと改めて思う。
今回のステージについてメンバー全員、売れていなかった時、誰も自分たちのことを知らずお客さんがいなかった中での活動や逆に世間は知らずともスーパー銭湯では窓が曇るほどの熱気に包まれる中ファンとともに楽しんできた思い出を口にしていた。
彼らの頭の中には常にファンがいることを、今回の”ファンといかに繋がるか”ということに振り切った演出のライブで改めて証明してくれた。
今回の会場(LINE CUBE SHIBUYA)のひとつ道の向こうには紅白歌合戦の舞台がある。4人のいつまでも変わらない姿勢をみると”ファンとともに”3年連続出場という偉業をどうしても期待してしまう。
セットリスト
1. 純烈のハッピーバースデー
2. ひとりじゃないから
3. また逢う日のために
4. 愛は死なない
5. 恋のチューリップ(港孝也とパッション・グループ)
6. 今夜はドラマチック
7. 恋は青いバラ
8. キサスキサス東京
9. 星降る夜のサンバ
10. 愛でしばりたい
11. プロポーズ
12. 涙の銀座線
13. 見上げてごらん夜の星を(坂本九)
14. 愛をください~Don’t you cry~
15. 人間だもの