水田竜子が新曲『みちのくの花』をリリース 「強さのなかに優しさや柔らかさのある女性像を意識して歌いました」

情感溢れる歌声で聴く者を魅了する水田竜子が新曲『みちのくの花』(作詩:水木れいじ、作曲:浜圭介、編曲:若草恵)をリリース。キレのいいストレートな歌唱はカラオケファンからも人気が高く、本作もカラオケで愛される定番曲となりそうだ。高校生でデビューした彼女も、2023年にデビュー30周年を迎え、円熟味のある歌声はますます磨きがかかっている。新曲にかける思いをはじめ、作曲の浜圭介とデュエットしたカップリング曲『ずっと君を想ってた』の制作秘話、そして歌手生活30年の歩みから愛猫との私生活までを語ってもらった「うたびと」初インタビューをお届け。
新しい水田竜子の世界を表現
──旅情溢れる歌を数多く歌ってきた水田さん、新曲『みちのくの花』の舞台は宮城県ですね。
たくさんご当地ソングをいただいてきましたが、水木れいじ先生が作詩してくださった『北山崎』『角館哀歌』、そしてデビュー15年目の『紅花の宿』の“みちのく三部作”は私の“旅うた”の原点です。もちろんこれまで宮城県にも何度もお邪魔させていただきました。そんな思い入れのある土地の歌を、デビュー30周年を超えた今、再び水木先生に創っていただけたのがとても嬉しいですね。
──鼓や尺八といった和楽器が盛り込まれた和の世界。初めて聞いた感想はいかがでしたか?
実は私もオケ録りの現場に参加させていただきまして。一番いいスピーカーの前に陣取らせていただいたからでしょうか、鼓奏者の方の「ヨォッ」という掛け声が迫力満点でした。歌詩もとても情熱的な女性が描かれているので、強い思いだけで突っ走ってしまいそうになるのですが、今回、先生方やスタッフの皆さんと話していたのが“新しい水田竜子の世界”をこの歌で表現していこうということ。強さのなかに優しさや柔らかさのある女性像を意識しながら歌わせていただきました。
──水田さんの歌はカラオケ教室の課題曲になることも多いそうですね。『みちのくの花』はカラオケでどのように歌ったら映えそうですか?
たしかに声がまっすぐ前に出るのが私の歌い方の特徴なので、カラオケのお手本にはぴったりと言っていただくことは多いですね。ただ『みちのくの花』については、水木先生からも浜圭介先生からも『歌に奥行きを』というアドバイスをいただきました。
──歌の奥行きとは、どのように出すものなのですか?
まずは歌詩をしっかり読み込んで、自分の身の置きどころをイメージしました。例えば歌い出しの<逢いたさに 逢いたさに>という繰り返しはわかりやすいかもしれません。最初の<逢いたさに>は少し遠くにいる人を、2度目の<逢いたさに>は心のなかにいる人を思って歌っています。こうやって距離感のようなものを意識すると、歌にも自然と奥行きが生まれますので、ぜひ試してみてください。
浜先生とデュエットソングに挑戦!
──カップリングの『ずっと君を想ってた』は作曲の浜圭介さんとのデュエットソング。先ほど“新しい水田竜子”を追求されているとおっしゃっていましたが、オリジナルソングのデュエットも初ですね。
そうなんです。浜先生は桂銀淑さんとのデュエット曲『北空港』などでもご存知の通り、歌がとてもお上手で、しかも心がホッとするような歌を歌われるんですね。それは「楽譜などを意識することなく、フィーリングで歌っているから」だとおっしゃって、私にも「音程は気にしなくていいから、好きなように歌いなさい」とアドバイスしてくださったんです。
──歌手が楽譜や音程を気にしないというのも、逆に難しそうですが。
そんなことしていいの? と思いましたよね。でも先生がそうおっしゃるので、レコーディング当日は楽譜を一切開かずに歌いました。実際、音符を間違えたところも何カ所かあったのですが、「楽譜のほうを直すから大丈夫」とおっしゃっていただいて。
──歌全体に漂う温かい雰囲気は、そうしたリラックスしたレコーディングから生まれたものだったんですね。
すでに何度かお客さまの前でも披露させていただきましたが、毎回ちょっとずつ雰囲気が違うんです。でも、皆さんから「それがいい」と言っていただける不思議な歌でもあります。CD通りに歌うのが大切な歌もありますけど、『ずっと君を想ってた』はその時々でどんどん熟成されていく、そんな歌になるんじゃないかなと私も楽しみにしているんです。
マライア・キャリーからヒントを得たステージの演出
──改めて一昨年にデビュー30周年を迎えられて、今のお気持ちを聞かせていただけますか?
デビュー30周年リサイタルを行えたのは、本当によかったなと思っています。コロナもだいぶ収束しましたけど、やはりまだ不安という方もいらっしゃるし、歌手仲間でも周年ステージを諦めた方もいたんですね。ただ一方で「水田竜子の集大成を見たい」と言ってくださるお客さまもたくさんいらして、いろいろ悩みましたが、やっぱりやろう! と決断したんです。
──どんなこだわりをステージに詰め込めましたか?
演出と構成を自分で手掛けることにチャレンジしました。私はコンサートを見るのが大好きで、演歌はもちろん、ポップスや洋楽などいろいろと足を運んでいるんですが、その体験から「こんなふうにお客さまを楽しませたいな」というアイデアをたくさん温めてきたんです。マライア・キャリーのコンサートからヒントを得た登場をしてみたんですが、来場してくださった方々が「本当に楽しかった!」と言ってくださったので、やってよかったなと思いました。
──リサイタルで節目を付けて、今は次の周年に向かっているところでしょうか。
そうですね。歌手の先輩のなかには40周年、50周年と歌い続けている方もたくさんいらっしゃいます。そうした長く活躍されている方々は、いつも新しいんですよね。私もこれから35年、40年と歌っていけるように、吸収と挑戦をこれからも続けたいなと思っています。
亡き父の言葉が導いてくれた歌手としての転機
──高校生でデビューして30年。これまでたゆまず歌い続けるなかで、転機となった出来事はありましたか?
私の同期は西尾夕紀さんや門倉有希さん、市川由紀乃さんら長年にわたって活躍している方が多いんです。ただ、一方で歌手をやめてしまった同期も大勢います。事情はいろいろあったんでしょうが、この30年の間には歌手のリストラという時代もありました。そこでもなんとか生き残らせていただいたんですが、やはり歌手にとって一番辛いのはヒット曲がなかなか出ないことで──。私もデビュー15年目の30歳の頃にはいろいろ考えました。
──歌手をやめようと?
実はその頃に父が58歳で急逝しているんです。ちょうど『紅花の宿』を発売する少し前でした。「この歌が売れなかったらやめよう」と考えていた時に父が入院し、だんだんと話ができない状態になりました。それでも私もキャンペーンがあったので「帰るよ」と声をかけたら、父が「歌を頑張りなさい」とだけ言ったんです。
──それが最期の言葉に?
はい。私はけっこう反抗的な娘でして、父にもいろいろと心配をかけたと思うんです。それでも最後の言葉を忘れないようにと『紅花の宿』のキャンペーンはやれることはすべてやりました。そして発売日、その日のCDオーダーが今まで経験したことのない数だったんです。その後もデイリー1位が何週も続いて、ああ、父が言ったのはこのことだったのかなと思ったんですよね。
──そこから15年の歌人生は、その前の15年とはまったく景色も変わって見えたのではないでしょうか。
その後も浮き沈みはもちろんありましたし、それこそコロナの時は歌手仲間の間で「廃業」なんて言葉が出たりしましたけど、あの時の経験があったから「超えられない壁はない」というふうに思えるようになりました。
手塩にかけて育てた黒猫の女の子
──現在はお母さまと一緒に住んでいらっしゃるとか。
そうなんです。母も歌が大好きで、楽しみは土日のカラオケ喫茶。私の新曲をいち早く歌いたいと家でも大声で練習しているので、猫が「何事だ!?」とびっくりしています(笑)。
──猫がいらっしゃるんですね!
もともと友人が保護した黒猫の女の子なんですけど、もう11歳になりました。私が手塩にかけて育てたのでべったりなんです。体調が悪かったり、落ち込んだりしているとぴたっと寄り添ってくれます。
──そんなところも可愛いですね。
私がキャンペーンなどで家を空けると、スーンとしちゃうらしくて。私も置いていくのが寂しくて、旅先ではいつも母にテレビ電話をかけて映してもらっています(笑)。ワンちゃんや猫ちゃんを飼っている歌手仲間はみんなそうだって言いますね。
──『みちのくの花』が発売されたら、また旅に出ることも増えるかもしれないですね。では最後に、ファンのみなさんにメッセージをいただけますか。
いつも応援してくださってありがとうございます。30周年の階段を登った先の新しい水田竜子を、『みちのくの花』で皆さんに聴いていただけるよう、一生懸命歌っていきたいと思います。カップリングの『ずっと君を想ってた』も、デュエット曲はまた新しく感じていただけると思いますので、ぜひカラオケでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
水田竜子 『みちのくの花』
2025年2月19日(水)発売
夢盤
品番:KICM-31155
価格:¥1,500(税込)
【収録曲】
1.みちのくの花(作詞:水木れいじ 作曲:浜 圭介 編曲:若草 恵)
2.ずっと君を想ってた(作詞:水木れいじ 作曲:浜 圭介 編曲:若草 恵)
3.みちのくの花(オリジナル・カラオケ)
4.みちのくの花(一般用カラオケ半音下げ)
5.ずっと君を想ってた(オリジナル・カラオケ)
6.ずっと君を想ってた(一般用カラオケ半音下げ)