鳥羽一郎が新曲『昭和のおとこ』をリリース&楽曲の全曲配信をスタート! 「新曲も昔の歌も、ぜひじっくり楽しんでほしいですね!」

「昭和100年」となる今年、鳥羽一郎が信念だけは曲げずに地道に生き抜く昔気質の男の姿を歌った新曲『昭和のおとこ』を10月1日にリリース。また、『兄弟船』でデビュー以来43年間歌い続けてきた楽曲全1070曲の配信をスタートした。印象深い「昭和」のエピソードや、思い出深い曲にまつわるエピソードについてじっくり語ってもらった。
――今年2枚目のシングル『昭和のおとこ』が10月1日にリリースされますが、この曲にかける意気込みをお願いします。
新曲『昭和のおとこ』は、王道の演歌ナンバーです。今年は「昭和100年」ということで、「昭和」と付く曲を他の歌手の皆さんも歌っておられますが、その中でも安心して聴ける歌に仕上がっていると思いますので、是非楽しんで聞いてほしいですね。
――鳥羽さんが「昭和」と聞くと思い出すのは、どんなことでしょうか。
今年4月に亡くなった親父が大正14(1925)年生まれだったので、昭和元年からの100年をまるまる生きたことになるんですよ。100歳と3カ月の大往生だったんだけど、やっぱり新曲『昭和のおとこ』で歌われているような、まさに“昭和を生きた男”という感じでしたね。
親父は木村伝蔵という名前だったんだけど、伝蔵の「蔵」をいただいて長男には「竜蔵」と名前を付けたんですよ。偶然だとは思うんだけど、親父は大正と昭和の狭間に生まれて、竜蔵は昭和63(1988)年生まれで昭和と平成の狭間に生まれているんですよ。そのせいもあってか、竜蔵は親父によく似ているんだよね。親父が召集令状をいただいて出征する直前に撮った写真なんて、竜蔵そっくりですよ。
――昭和の出来事で印象に残っているのはどんなことですか?
やっぱり、昭和34(1959)年9月26日に上陸した伊勢湾台風だよね。死者・行方不明者を合わせて約5000人の被害が出た台風だったんだけど、俺の故郷(三重県鳥羽市石鏡町)の方では、亡くなった方は出なかったと思います。でも風はすごかったですよ。当時、俺は小学校1年生だったんだけど、家がグラグラ揺れるくらいの風でね。あとで見たら、屋根瓦がみんな飛んでいたのを覚えていますよ。それから、高潮にもずいぶんやられました。あの台風がきっかけで、全国に防波堤や防潮堤が整備されるようになったんじゃないかな。あの伊勢湾台風は、“昭和の思い出”として強烈な印象がありますね。
――鳥羽さんがイメージする「昭和のおとこ」像は?
今思うと、昭和というのはけっこう職人さんが多かったような気がするんですよ。手に職をつけた大工さんや左官屋さんがね。だから、いい意味で頑固な人が多いんじゃないかな。自分の仕事にこだわりがある人が多かったと思います。俺は板前の経験を何年かしたから、やっぱり親方というのは「昭和の男」っていう気がしましたね。
――鳥羽さんから見て、息子の木村竜蔵さんや徹二さんたち「平成のおとこ」にはどんな印象をお持ちですか?
垢抜けちゃって、おしゃれな人が多いよね。道を歩いている人を見ても、そういう部分が「昭和」とは違うのかなと思いますよ。平成育ちを見ていると、仕事やプライベートの過ごし方が変わってきているよね。やっぱり娯楽が多くなったということなのかなと思いますね。
今年はもう、終戦から80年でしょう。いつも思うんだけど、終戦直後に生まれた団塊の世代よりちょっと下の我々の世代は、一番いい時代を過ごせたような気がします。戦争が終わって平和になって、日本がどんどん良くなっていく時代に少年時代や青春時代を過ごせたわけだから。
――いい時代といえば、この9月にこれまで歌ってこられたすべての楽曲が配信になりましたね。
そうなんですよ。全曲配信ということで、B面だった歌やレコーディングでしか歌っていない歌も含めて、昔の歌が全部聴けるわけでしょ。B面だった歌も全部聴けるって、すごいことだよね。
――1070曲あるそうですから、中にはあんまり覚えてらっしゃらない曲もあるかもしれませんね(笑)。
いや、半分以上覚えてないよ、マジで(笑)。
たまに昔の歌を聴き直すんだけど、「下手だな」と思うんですよ。まあ、忙しかったということもあったんだろうけど。何十曲も延々と旅先で歌って、東京に戻ってそのままスタジオでレコーディングということもよくありましたからね。「もう声が出ない」って言ったのに、「今日録らないと間に合わないから!」と言われてレコーディングした曲もあるんですよ。余裕があれば、もう一度録り直したいと思う曲が何曲かありますね。
――そういう意味では今回の全曲配信で、鳥羽さんご自身も過去の曲を聴き直して次のコンサートで披露するということがあるかもしれませんね。
今後のイベントやファミリーコンサートなどで、これまであまり歌ってこなかったレアな曲を入れるのもありかもしれませんね。中には、情勢的にタイミングが悪くてあまり歌わなかった曲もあるんですよ。例えば『マルセイユの雨』という曲は本当にいい曲だし、徹二に歌わせてもいいかもしれないなんて思いますね。徹二は俺の『鯱』も歌っているわけだから。
――息子さんに勉強してもらうという意味でも、全曲配信は絶好の機会ですね。
そうですね。他にもいい歌はたくさんあるんです。『夜霧の運河』という曲も、好きな歌なんですよ。あまり歌っていないから、今歌えって言われても歌えないかもしれないけど(笑)。
――比較的最近鳥羽さんの歌を聴くようになったファンにとっては、昔の曲を聞きたい時に配信があるとありがたいという話はよく耳にしますね。
今はCDを売っている店もだいぶ減ったし、中には廃盤になっちゃった歌もあるかもしれない。だから、今回の全曲配信は「通」の人にはいいんじゃないかな。なかなか聴く機会がなかった曲が、スマホで聴けるんだからね。
配信曲の一覧を見ると、「この頃にこういう歌を歌っていたんだな」といったことを思い出します。俺は昭和57(1982)年に『兄弟船』でデビューしたわけだけど、もともとは違う曲でデビューする予定だったんですよ。船村徹先生が候補として用意してくれたのは、『南十字星』『流氷・オホーツク』『北斗船』の3曲だった。船村先生の推しは『南十字星』で、レコード会社は『流氷・オホーツク』。この段階では、『兄弟船』は影も形もなかったんだよ。
――それがどうして『兄弟船』でデビューすることになったのですか?
そもそも『兄弟船』は、ある新聞社が開いた歌詞コンテストから生まれた曲で、優秀な歌詞には船村先生が曲をつけるという企画だったんです。『兄弟船』の歌詞を作ったのは北海道の木村さんという人だったんだけど、最初に船村先生が作った『兄弟船』は、後の俺のデビュー曲とは歌詞がまったく違うんですよ。歌詞をすべて変えて練り上げて、今の『兄弟船』ができたんですよ。
だから『兄弟船』は、たまたまこの当時にできた歌だっただけなんです。だけど、俺は個人的には「この歌はいいよな」って思っていた。だから、『兄弟船』が如何にいい歌かってことを周りから船村先生やレコード会社のディレクターに言わせたんです。デビュー前の新人が「この歌がいい」なんてことは言えないからね。最終的には、「そんなに評判がいいなら」ということで『兄弟船』がデビュー曲に決まったんです。
俺が思うに、デビュー曲だというと、船村先生のような大作家でも、どこか力が入ってしまうんだよね。でも『兄弟船』には、それがなかったように思う。もちろん、一般公募の歌詞コンテストの作品だからって手を抜いたりするような船村先生ではないけど、やっぱり少し肩の力が抜けていたような気がするんだよね。
――『兄弟船』の場合は、それがいい形で結果につながったということなんですね。
自分の歌でいうと、『男の港』にも面白い話があって、この歌は最初は「音頭」だったんです。大分県の鶴見町からの依頼で生まれた歌なんだけど、最初の依頼が「町で主催する盆踊りのための音頭を作ってください」だったんだ。その後、打ち合わせをするうちに「町をイメージした歌」という形になって生まれた地域限定ソングだったんですよ。ところがその後、鶴見町を中心にカラオケで歌われる人気曲として評判を呼んで、ついに全国発売することになったんだ。だから、「この歌を売るぞ!」って力が入った曲ではなかったんです。俺の歌って、そういうのが多いような気がするんだよね。『兄弟船』も『男の港』も、最初は一押しの曲じゃなかったんだ(笑)。
『カサブランカ・グッバイ』なんか、5年ぐらい寝かしていた歌だったんだよ。俺はデビュー曲からずっと“海”のイメージで来ていたから、いきなり“カサブランカ”じゃあファンもビックリするんじゃないかと思ってね。でもそれじゃあ、せっかく歌詞を書いてくれた内館牧子先生にも悪いと思って、内館先生がNHK大河ドラマの脚本を担当するということで、その記念という形で発売したんです。だからノンプロモーションだったんだけど、これが人気を呼んだんだよね。
――タイトルを見ているだけでも、いろんなエピソードが出てきますね。
『兄弟船』でデビューして、もう43年。カップリングやアルバム曲も含めて1070曲。そんなに出したかなという思いもあるけど、『マルセイユの雨』を筆頭に、もう一度世に出したいと思う歌は結構ありますね。そういう歌をたくさん作ってもらってきたのは、本当にありがたいと思います。
古い歌も新しい曲も、世界中どこにいても聴きたい歌が聴けるというのは、面白い時代になったと思いますよ。俺は日本語が好きだけども、ここまでネットが普及すると、やっぱり横文字をちょっと勉強しないと遅れちゃうね。最近つくづくそう思うようになった。
――じゃあ、英会話に挑戦しますか?
本当、そうだよね(笑)。
――最後に『うたびと』の読者にメッセージをお願いします。
新曲『昭和のおとこ』も昔の歌も、いい歌がたくさんありますので、ぜひ楽しんでほしいですね。今後も頑張りますので、応援よろしくお願いします。
鳥羽一郎『昭和のおとこ』
10月1日発売
品番:CRCN-8788
価格:¥1500(税込)
【収録曲】
1.昭和のおとこ(作詩:かず翼/作曲:徳久広司/編曲:南郷達也)
2.おふくろ月夜(作詩:かず翼/作曲:徳久広司/編曲:南郷達也)
3.昭和のおとこ(オリジナル・カラオケ)
4.おふくろ月夜(メロ入りカラオケ)
鳥羽一郎 シングル146作品、アルバム35作品を一挙配信解禁!
鳥羽一郎 公式MV
再生リストはこちら:
https://www.youtube.com/playlist?list=PLEq9TPI3vFMkxGASTY0SpvpgJ8k5YMKGq
鳥羽一郎『昭和のおとこ』MV
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