三山ひろし、2026年の第2弾シングルは初の歌唱法に挑戦した男歌『鳴門海流』 「進化した三山の魅力を感じていただけると思います」

2026.7.8

1月にリリースした『花とサムライ』ではドラムを叩きながらの歌唱を披露、さらに中村心一名義で作詩・作曲家としても本格デビューを果たすなど、2026年に入り、表現の幅をさらに広げ続けている三山ひろし。そんな三山が今年の第2弾シングルとして送り出したのが、原点回帰ともいえる王道の男歌『鳴門海流』(作詩:万城たかし/作曲:弦哲也/編曲:南郷達也)。新たな歌唱法に挑戦し、「進化した三山の魅力を感じていただけると思う」と語る新曲の聞きどころから、多彩な活動に取り組むうえでの原動力、これからの“三山ひろし像”までを聞いた。


詩の世界観が胸に刺さった

――新曲『鳴門海流』は激しく轟く海流に厳しい人生の荒波を重ね合わせた王道の男歌ですが、最初にお聴きになったときの印象は?

初めて万城たかし先生に詩を書いていただいたのですが、「生きているからにはその日1日を精一杯楽しんで頑張りましょう」「一度きりしかない自分の人生、悔いのないように生きていきましょう」というメッセージが込められた世界観が自分に近いと感じました。日々、主体性を持たずにただ流されるまま生きていくのはもったいないと思っている僕にとって胸に刺さる詩で、明日へ向かう力強さも感じました。

――本作では“ビタミンボイス”と称される温かく快活な歌声に加え、深みある男らしさと勢いも感じられました。

ドラムを叩きながら歌った前作の『花とサムライ』もそうですが、デビューから17年間、いろいろな楽曲に挑戦してきた今、もう一度、原点回帰といいますか、歌唱力をブラッシュアップさせて、半歩でも一歩でも進化した三山ひろしを見てもらおうという狙いが本作にはあります。例えば、ロングトーンの部分では、ただ粘って歌うのではなく、抑えつつもしっかりと音域を当てるという歌唱方法に初めて挑戦しました。だからといってボリュームが少ないと感じさせないようにするのは、なかなか難しい技なのですが、その余韻が深みや勢いにつながっているのかもしれません。この楽曲で、また新たな三山の魅力を感じていただけるのではないかと思っています。

―― 一方、タイプAのカップリングの『からたち母情』(作詩:水木れいじ/作曲:弦哲也/編曲:南郷達也)では、母親への想いを切々と歌われて、涙してしまう人も多いのではないでしょうか。

僕自身もレコーディングのときは思わず涙が溢れてきて、ちゃんと発声できなかったんです(苦笑)。とくに「ありがとう ありがとな」ってリフレインするところがウィスパーボイスになってしまって、ブースを出たあと、作曲を担当してくださった弦哲也先生に謝ったほどでした。でも、先生は「気持ちが乗っているからすごく良かった」と言ってくださって。CDにするためにはちゃんとした音にしなければなりませんので、録り直しましたが、コンサートで歌うときはやっぱりダメですね。僕は“キレイに歌おう派”ではなく、“心で歌う派”なので、抑えきれない思いがほとばしり、ついつい涙ぐんでしまいます。

――この歌は水木れいじ先生が三山さんとお母様の姿を思い描いて書かれたそうですね。

そうなんです。水木先生は僕のことをデビュー当時から気にかけてくださって、いつの日か僕に詩を書くことになったときのために、僕に関する資料をスクラップしてくださっていたそうです。その話を聞いたときは、そんなことをしてくださる先生が本当にいるのか?と半信半疑だったのですが、この作品で描かれる女手一つで子育てする母親の姿は、まさに自分の母そのものですから、これはもう知らなきゃ書けないと、本当に嬉しい思いでいっぱいになりました。

優しい猛禽類をイメージして作曲!?

―― 一方、タイプBのカップリングの『チョウゲンボウ』(作詩:前田たかひろ/作曲:中村心一/編曲:石倉重信)は、三山さんにとって等身大の、家族を守って頑張る男の姿が歌われていますね。

まず初見で“チョウゲンボウ”ってなんだ? と思い、調べてみたら猛禽類で。僕の中では猛禽類っていうのは鷲とか鷹とか勇壮なイメージだったのですが、この作品には家族思いの優しいチョウゲンボウが描かれていました。その象徴が詩に出てくる「肩コリ」という言葉。前田先生に「なぜ“肩コリ”なんですか?」とお聞きしたら、「演歌の歌詞に“肩コリ”って出てこないでしょ」と。確かにこれまでさまざまな演歌を歌ってきましたけれど、「肩コリ」を詩にした作品には出会ったことがありません。先生は「だから入れてみた」と(笑)。そもそも前田先生は安室奈美恵さんの作品などを手掛けられている方なので、演歌とは異なるアプローチをされるんです。演歌でいうところの“苦労”や“辛抱”、“我慢”といった言葉を「肩コリ」と表現されたのだと思います。でも、「肩コリ」って生活に根差している言葉だけに、すごく生っぽくていい言葉だなって、しみじみ感じましたね。

――本作は中村心一の名で自ら作曲された作品ですね。

今年から本格的に作詞家、作曲家としての活動も始めているのですが、いつもは詩と曲の両方を自分で作るので、他の先生が書いた詩にメロディーを当てるのは初めての経験でした。前田先生の詩からはチョウゲンボウが空を勇壮に駆け巡るというよりは、男の情けなさ、可愛らしさ、素朴さが伝わってきます。また、動画で見た空中でホバリングして獲物を狙って下降するけれど、うまく獲れずに何度も果敢に挑戦するチョウゲンボウの姿も思い描きながら作曲しました。とても楽しい時間でしたね。

――中村心一というペンネームにはどのような思いが込められているのですか?

中村は師匠の中村典正先生からいただきました。心一は、弟子が言うことではないのですが、「忠臣は二君に仕えず」という言葉から付けました。本当の意味で師匠に尽くす忠臣はひとりの師匠にしか仕えず、師匠がいなくなったからといって他の人に仕えることはない。そういう意味で、僕も心はひとつしかありませんよという思いで“心一”にしました。

――作曲にあたっては、中村先生の作品の世界観や教えを念頭におかれているのでしょうか。

中村先生のメロディーの良さをどういうふうに受け継いでいくか、先生の世界観を踏襲する中で新しいものを作れたらということはいつも考えています。中村先生の特徴は語り切れないくらいあるのですが、あえてひとつあげるなら、そこでそういうメロディーにする? と思うような、ちょっと独特な雰囲気と譜割です。都会的というよりも牧歌的な、日本の叙情的な風景や民謡的な風景がない混ぜになったような、不思議な空気感をはらんだメロディーがすごく味を生んでいます。弟子としては、作品を作るうえで先生の存在は励みになる一方で、先生の名前をけがしてはいけないので、プレッシャーにもなっています。

創作活動のきっかけは落語歌謡

――そもそも作詞作曲を始められたきっかけは?

落語歌謡を自分で作ったことが始まりでした。2023年に初めて『厩火事』という落語歌謡を落語の師匠である立川志の春さん作詞、宮下健治先生作曲でリリースしたのですが、「第2弾を」と志の春師匠にお話ししたら、「自分でもお作りになれるんじゃないでしょうか」と言われてしまいまして。ひとりでは到底できないから、ディレクターさんに「次は『お菊の皿』をやりたいんだけど、『厩火事』と同じテイストでどなたかに曲を作っていただきたい」と話したら、そこでもまた「自分で作って」と言われてしまいまして。第1弾の『厩火事』はCDを作るという前提がありましたが、第2弾はCDにするかどうかは別としてコンサートで披露するということで、作詞作曲に挑戦することになったんです。

――今年6月のコンサートでは第3弾の『藪入り』を披露されて、落語歌謡という新ジャンルを確立されました。また、演歌の作詩作曲においても、今年1月リリースの『花とサムライ』のカップリングの『KENDAMA DO DANCE』を初作品に、5月には松前ひろ子さんに『片恋文/ひろ子抄』への楽曲提供、そして今回の『チョウゲンボウ』と、今年から本格的に創作活動をスタートされています。ご自身が作り手となったことで、歌に対する考え方に変化はありますか?

「これって歌の題材になるのでは」とか、「こういうメロディーって演歌に活かせるかも」などと考えることが増え、目を向ける範囲も広くなって、音楽に携わることが今まで以上に面白くなりましたね。自分自身の思いをアウトプットできるようになればなるほど、こんなに表現したいことがいっぱいあったんだということにも気づかされました。今年は作家デビュー年ということで、作品作りを24時間ずっと考えている感じなのですが、あえて自分はこういう路線でいくということは決めずに、演歌ということ以外はフラットな立場でいろいろな形の歌を作っています。とにかく作詩作曲においては常にアンテナを張り巡らせて、何か見つけたら面白がって、興味を持って追求していく気持ちをなくさないようにしています。

若手歌手が芝居を経験する場を立ち上げた

――座長公演では芝居も披露していますが、演技の経験が歌に活きていると感じられることはありますか?

間違いなくいい影響を与えていると思います。芝居では、周りの人の動きを見ることが多く、感情の動きを学べるんです。それが歌の表現の幅を広げることにつながっていると感じています。若手の演歌歌手のみんなにもぜひ芝居を体験してもらいたいと思い、昨年、『1PPO(いっぽ)』という公演を立ち上げました。「それぞれの一歩になれば」という思いから付けた公演タイトルですが、芝居を経験して一歩成長し、自分の歌に説得力が増せば、今まで以上にお客さんが増えて、「演歌ってすごいね」と言われることにもつながっていく。そんなふうに歌い手各々がスキルを上げていき、全員で演歌界を底上げできたらと思っているんです。公演自体めちゃくちゃ楽しかったし、出演者のみんなもそう言ってくれたので、今後も続けていきたいと思っています。

――けん玉にドローン、ドラムやピアノに加え、落語歌謡に座長公演に作詩作曲と、本当にいろいろなことに挑戦されていますが、その原動力となっているものは?

現状維持だとつまらないですからね。何か新しいことに取り組んで、一歩でなくても半歩でもいいから少しずつ上がっていきたいという思いです。お客さんに「去年より良かったね」とか「来年はどうなるんだろう?」という期待感とともにお帰りになっていただきたいですし。あと、親になって、自分が子どもに何を遺せるかと考えたときに、「お父さんってすごいな」と思ってもらうためには自分の名前を残さなきゃと思うようになったんです。そのためには人と同じことをしているだけではダメで、何か新しいものを生み出さなければいけないなとも思っています。それが新しいことを続ける原動力になっていますし、今後もその旅は続くと思います。

――『NHK紅白歌合戦』11年連続出場の演歌界のトップランナーでありながら、まだまだ新たな挑戦を続けていかれるんですね。

長く続けるって本当に苦しいものだなって思います。だからこそ、人気を保ち続けて、ずっと第一線で来られた先輩方には頭が下がる思いで、尊敬の念しかありません。年数が重なっても、自分自身が学ぶ心や姿勢を持っていないとすぐに置いていかれてしまうと思うので、今後も挑戦は続けていきます。

――ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

三山ひろしというコンテンツの最大の魅力は、ワクワクを常に感じてもらえる歌い手であることだと自負しています。「あいつだったら何かやってくれそうだ」とか、「あの人は今度何をやってくれるんだろう」というように、常にトキメキやワクワク、情熱を感じてもらい、面白がってもらえる存在でありたい。そのために今後もいろいろなことに挑戦していきますので、皆様は難しいことは考えないで、「三山ひろしって面白いね」というような軽い感覚で、楽しんで見ていただけたらと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします!

三山ひろし『鳴門海流』ミュージックビデオ

三山ひろし『鳴門海流』

発売中

タイプA

品番:CRCN-8851
価格:¥1,550(税込)

【収録曲】

1.鳴門海流(作詩:万城たかし/作曲:弦 哲也/編曲:南郷達也)
2.からたち母情(作詩:水木れいじ/作曲:弦 哲也/編曲:南郷達也)
3.鳴門海流(オリジナル・カラオケ)
4.からたち母情(オリジナル・カラオケ)

発売中

タイプB

品番:CRCN-8852
価格:¥1,550(税込)

【収録曲】

1.鳴門海流(作詩:万城たかし/作曲:弦 哲也/編曲:南郷達也)
2.チョウゲンボウ(作詩:前田たかひろ/作曲:中村心一/編曲:石倉重信)
3.鳴門海流(オリジナル・カラオケ)
4.チョウゲンボウ(オリジナル・カラオケ)

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