【最終回】愛しのレコードジャケット<お蔵出しレコード!!>

2020.3.27

3月である。
春一番が掃除したての窓にほこりの渦を踊らせたり、たんすの陰で迷子になったハートのエースが出てくる季節だ。
「愛しのレコードジャケット」も、おかげさまで連載開始から1年を迎えた。
今回は連載1周年を記念し、「レコジャケのお蔵出し」と題して、まだ紹介していないアイテムをドーンとお披露目していこう。

■続・三波先生の音頭

「愛しのレコードジャケット」といえば、音頭である。
第1回目の三波春夫編では、東京五輪からクレヨンしんちゃんまでちょっと変わった音頭のレコジャケを紹介したところ、思わぬ反響をいただいた。
しかし、三波先生の音頭はまだまだあるのだ。


「世界平和音頭」 作詞:北村桃児 作曲:春川一夫
「びわこ博音頭」 作詞:萩原四朗 作曲:上村張夫
「交通安全音頭」 作詞:三波春夫 作曲:安藤実親
「乾杯音頭」 作詞:小林潤 作曲:長津義司
「手拍子音頭」 作詞:門井八郎 作曲:春川一夫
「丼音頭」 作詞:丼盛太郎 作曲:小町昭
「スポーツ音頭」 作詞:北村桃児 作曲:中野安博
「大東京音頭」 作詞:滝田常晴 作曲:藤田まさと
「日本ふるさと音頭」 作詞:いではく 作曲:遠藤実
「大演歌音頭」 作詞:いではく 作曲:遠藤実
「東京花笠音頭」 作詞:門井八郎 作曲:久慈ひろし

三波先生の音頭の魅力の一つは、世界平和から丼の美味しさまで歌うふり幅の大きさである。
かなりの枚数を集めてきたつもりだが、ネットオークションで検索すると「え?こんなテーマの音頭があるの?」と驚かされることもしばしばだ。
どんな音頭でもさらりと歌う三波先生は、まさしく「キング・オブ・音頭」と呼ぶにふさわしい歌手だと思う。

音頭のレコードは、他にもたくさんある。
ここでは、様々な音頭をジャンル別に紹介する。

■鉄道の音頭


「地下鉄音頭」 春日三球・照代 作詞:高平哲郎 作曲:萩原哲晶
「乗んなせえや音頭」 林家こん平 作詞:駒田正 作曲:遠藤実
「東北新幹線音頭」 大森とよみ 作詞:江戸川友太郎 作曲:江戸川仁
「お座敷列車音頭」 小口定男・轟木弓子 作詞:赤羽正一 作曲:大野弘也
「山手音頭」 国安勝巳 作詞・作曲:国安勝巳
鉄道は、大人からちびっ子まで人々を魅了する趣味の一つであるが、鉄道関係の音頭も存在する。
しかも地下鉄、新幹線、お座敷列車、山手線とバラエティに富んだラインアップである。
この中で私のイチオシは、「地下鉄音頭」だ。
地下鉄漫才の三球・照代が歌い、作詞に放送作家の高平哲郎、作曲に「スーダラ節」などクレージキャッツソングで有名な萩原哲晶と、そうそうたる顔ぶれが揃った豪華な音頭だ。

■グルメな音頭


「かに音頭」山本サツキ 作詞:貞包喜多海 作曲:深町一朗
「かつぶし音頭」小谷浩代 作詞:高杉珠里 作曲:はやしこば
「こしひかり音頭」林家こん平 作詞:吉川文郎 作曲:三木かをる
「ササニシキ音頭」及川清三 作詞:渡辺波光 作曲:村沢良介
「どんぶり音頭」林家こん平 作詞:丼盛太郎 作曲:小町昭
「バナナ音頭」バナナ娘 作詞:門井八郎 作曲:上原賢六
「みかん音頭」金沢明子 作詞:加藤省吾 作曲:望月ひろむ
「もちもち音頭」坊屋三郎 作詞・作曲:坊屋三郎
「わんこそば音頭」内村まこと 作詞:池ひろし 作曲:畠山信也

生活の中で楽しいひとときといえば食事、どうせ食べるなら美味しいものを食べたいのは人情である。
そうした人々の心情を反映してか、食欲をそそる音頭も多数ある。
並べると飲食店のメニューみたいだが、お肉や魚などたんぱく質系の音頭も欲しいところである。

■珍獣の音頭


「エリマキトカゲ音頭」 かしわ哲 作詞・作曲:かしわ哲
「コアラ音頭」 ソフトクリーム 作詞:池田瑠美 作曲:福島雄次郎
「パンダちゃん音頭」 ひまわりキティーズ 作詞:伊藤アキラ 作曲:早川博二

SNSで動物の動画に多くの「いいね」が付くなど、可愛い動物は人気者である。
昭和時代には何度かの珍獣ブームが訪れたが、特にエリマキトカゲ、コアラ、パンダはその人気にあやかって音頭のレコードが発売されている。
「人気者に音頭あり」は私の持論だが、それを裏付けられる3枚のレコードを揃えることができたのは、コレクターとしてちょっとうれしい。

■アレルギーな音頭


「杉音頭」 久保京子 作詞:松本穣葉子 作曲:村尾義晴
「花粉症」 沢田亜矢子 作詞:ちあき哲也 作曲:小笠原寛

レコードによっては、別なレコードと組み合わせるとインパクトを持つものがある。
この「杉音頭」も単体では印象が薄いが、沢田亜矢子の「花粉症」と並べた途端にアレルギーな音頭になってしまうのだ。
しかし、個人的には「花粉症」というタイトルもどうかと思うが・・・。

■その他の音頭

まだまだ音頭の話は尽きないが、一気に出してみよう。

幻のオリンピックの音頭から、ハワイ、ブラジルの音頭、デンセンマン、ゴジラ、リカちゃんなどちびっ子に人気者の音頭、下水道、宝塚、マリア様…と整理するのも一苦労である。
中には昭和の著名な漫画家たちが一堂に会して歌った「まんぱく音頭」など貴重なものもあるが、機会があればじっくり紹介したい。

■最後に・・・

最後に、音頭ではないが、タイトルやジャケ写にインパクトのあるレコジャケをまとめて紹介する。

「およげ!たいやきくん」 子門真人 作詞:高田ひろお 作曲:佐瀬寿一
「私の恋人、たいやきくん」 山本リンダ 作詞:中山大三郎 作曲:穂口雄右
「ガンバレ!たこやきちゃん」 横山ノック 作詞:丹古晴巳 作曲:鏑木創
「月の世界でランデブー」 椿まみ 作詞:佐藤豹一郎 作曲:しまむらこう
「アンドロメダの異星人」 あおきあい 作詞:八木康宏 作曲:条美樹
「パパはメキシコ人?」 神谷勝也&ドン・神谷 作詞:ドン・神谷 作曲:小野寺康臣
「恋するトコロ天」 市原まゆみ 作詞・作曲:中山大輔
「トマト女房」 三好とまと 作詞:鳥井実 作曲:宮下健治
「おんなのかぶと虫」 大美順子 作詞:多摩しらべ・北ゆう子 作曲:藤井潔
「十番街の口裂け女」 サミット・プランテーション 作詞:ジャニス藤沼 作曲:バービー牧野
「さらば!ドラゴン」 ブルース・スリー 作詞:ブルース・ワン 作曲:ブルース・トゥー
「俺ら船乗り」 渚純一 作詞・作曲:不詳 補作詞:竹村勝 補作曲:和田香苗

昭和の大ヒット曲「およげ!たいやきくん」は有名だが、山本リンダと横山ノックがそれぞれパロディ盤を出していて、3枚並べると妙な可笑しさがある。
「月の世界でランデブー」と「アンドロメダの異星人」は共に宇宙がテーマのラブソングだが、壮大過ぎてよくわからないことに・・・。
かと思えば、自分のパパなのに「メキシコ人?」とクエスチョンが付いたり、歌手名がブルース・リーではなく「ブルース・スリー」だったり、「俺ら船乗り」と言いながら白ジャケットにヒールの高いシューズでとても船乗りには見えなかったりと、ツッコミを入れたくなるものばかり。
トコロ天、トマト、口裂け女、かぶと虫に至ってはもう何が何だか・・・・。
とはいえ、こうして集めたレコードを床に並べ、それを眺めてニヤニヤするのもコレクターの楽しみなのだ。

 

いかがであろうか。
様々なレコードジャケットを紹介してきたが、ここらでひとまず一区切りとしたい。
最初に「うたびと」様からお話しをいただいた時、ただのレコードコレクターである私にまともな文章が書けるのか非常に不安だったが、スタッフの方の手厚いサポートをいただき1年間続けることができた。
あらためて、スタッフの皆さまにお礼を申し上げます。
レコードコレクションはこれからも続けていくつもりだし、機会があればまた面白いレコジャケを紹介していきたい。

それではまた、いつかどこかで・・・

1年間お読みいただき、本当にありがとうございました。