シャンソン歌手・松本かずこがパリの聖地・オランピア劇場公演成功の快挙! 「パリと日本の懸け橋として、本来のシャンソンを日本に伝えてゆく歌手になりたい」

2022.3.1

2021年10月7日、一人の日本人女性歌手が快挙を果たした。

フランス・パリの音楽の殿堂でありシャンソンの聖地である「オランピア劇場」での、コンサート公演の成功である。歌手の名前は松本かずこ。自身の過酷な人生を照らし合わせた憧れのエディットピアフ。そのピアフが最後まで立ち続けた舞台がオランピア劇場である。松本が自殺未遂の後、取り留めた命を注ぐことを決めて門をたたいた日本のシャンソン界。そのパイオニアである故石井好子に続く日本人女性として2人目となるこのステージは、まさに追い求めてきた松本の夢の実現だった。

オランピア劇場といえば、カーネギーホールなどと並ぶ世界最高峰の老舗ミュージックホールである。シャンソンに限らず、マレーネ・デイトリヒビートルズマイケル・ジャクソンマドンナら有名スターが舞台に立ってきたことでも知られる。一方で他の劇場とは違って、資金や知名度、興行としてのチケット販売力があれば出演が許可されるわけではない。芸術の都パリのオランピアでは、アーティストの実力が認められないと決して出演が許されることはないという。今回の松本の快挙がいかに難度の高い挑戦であったかがおわかりいただけると思う。

夢の実現までの道のりは決して平坦ではなかった。幼くして母との死別と身寄りのない孤独な少女時代、生きるために選んだ結婚とやはり続く孤独。せっかくつかんだ歌手としての成功のチャンスを捨て、母として生きることを選んだが、それも叶わず自殺未遂。シャンソン歌手松本かずこが誕生するまではむしろ茨の道の連続であった。
奇跡的に一命を取り留めた後、再起を誓ってシャンソン歌手として芸能活動を再開。死に物狂いで走り続け、30周年の集大成として到達したオランピアの舞台。しかし、夢の切符を掴んでからも試練は続いた。

世界的なコロナウィルス蔓延による2度の公演延期を挟んだラストチャンスが、当初から1年半後の昨年10月7日であった。
コロナ禍での渡航と現地での準備作業は困難を極めた。異国の地での松本の孤独な奮闘の前に立ちはだかるのは、契約トラブル、資金難、集客制限……ついには体力的にダウンしてしまう。本当に開催出来るのか!? しかし、松本のオランピアへの情熱と、現地で支援する仲間や日本からの応援が原動力となったのか、ステージの直前に奇跡的な回復を遂げる。そして夢の舞台は大成功。聖地オランピアの松本かずこは予想を超えた、圧倒的なステージパフォーマンスだった。

オランピアの松本の歌唱は、30余年のこれまでのキャリアとは全く違う、“がむしゃら”ともいえる迫力のステージだった。

<インタビューから>
夢にまで見たステージに立った時、自分はどうなるのか心配していたんです。感極まって歌えなくなるのではないかとか……。実際はリハーサルとビジネス上の準備や調整に追われて、気が付いたら舞台の上にいて、幕が開いて歌わなければならないというような状態でした……。

2000人収容の会場がまるでライブハウスのようにオーディエンスとの一体感で揺れた。それは、まさに松本かずこの新境地を開いたステージだった。

<インタビューから>
なんとか最後まで無事に終えなければと無我夢中で、途中の記憶がほとんどなくて(笑)

最後のアンコールの曲でやっと我に返ったそうだ。

<インタビューから>
アンコールの最後の曲「水に流して」ではじめて、私、今、オランピアで歌ってるんだ、ここがピアフは100回以上歌った場所なんだと我に返ったんです。この歌だけはピアフに届いてほしい。ピアフが天井の三角窓から見に来てくれてないかなって。(※)
※オランピア劇場の天井の三角窓は、伝説のアーティストたちがいつでも見に来られるように開けていることから

また松本は、尊敬するピアフへの想いをこのように語った。

<インタビューから>
ピアフがもしその場に来てくれていたら、「まずまずね、ぼちぼちね」と言ってくれたら嬉しいですね。(私には)まだまだ頑張りなさいよと言っていただいた気がしました。

“和シャンソン”と呼ばれる松本かずこのシャンソンは、文字通り日本人の歌うシャンソンである。一方で、松本が追及するシャンソンは古典ともいえる原曲を追求するスタイルである。フランス人にとっては懐メロともいえる、このスタイルが遠く離れた極東アジアの日本人女性が歌うことで生まれる不思議さと相まって、本場パリの音楽ファンに受け入れられているようだ。

オランピアの大仕事を終えた松本かずこはどこへ向かうのか

<インタビューから>
シャンソン歌手としてどう自分があるべきかを考えたとき、自分が追及している本来のシャンソンを伝えてゆきたい。最初に原曲があって、そこから受け継がれている本来のシャンソンを伝えてゆきたい。自分がパリと日本の懸け橋としてできることがあるとすれば、本来のシャンソンを日本の方にも伝えてゆくことであり、そういう歌手になりたいと思っています。
これからの残りの人生をお返しの人生と考えていて、オランピアを終えた今から慰問やボランティアもまた再開したいと思っています。自分の人生は歌で助けてもらってきたので、残りの人生できるだけ多くのところに行かせてもらって、こんな歌でも皆さんが喜んでいただけるのでしたら、歌でお返しの人生をやっていけたらと思っています。

シャンソンは、数ある音楽のジャンルの中でも、最も歌い手の人生や生き様が反映される音楽と言われる。
オランピアの舞台を経験した彼女にしか歌えないシャンソンがあるはずだ。
松本かずこのこれからの活動に大いに期待したい。

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シャンソン歌手・松本かずこのドキュメンタリー映像が公開 本場パリのファンを魅了する彼女の波乱万丈な半生

「和シャンソン 巴里の空に響き渡れ ~オランピア劇場にたつ 松本かずこ~」

JCOMチャンネル(関西)で3月放送

<番組内容>

2021年10月7日パリオランピア公演の模様を特別番組でお届け。
聖地オランピアの松本かずこは予想を超えた、圧倒的なステージパフォーマンスだった。松本がオランピアのステージから見たものはなんだったのか?
音楽ファンだけでなく、全ての人に1人の日本人女性が夢を叶えた白熱のライブを観ていただきたい。

<放送スケジュール>

3月6(日)16:30〜、8(火)7:30〜、15(火)7:30、20(日)16:30〜、26(土)16:30〜、27(日)16:30~
※一部地域で放送日時が変更になる場合がございます

DVD「松本かずこ オランピア2021」

オランピア劇場で行われたコンサート映像の完全版となるDVDが3月に発売決定!好評発売中の最新アルバム「愛の讃歌」のミュージシャンが再集結し、シャンソンの殿堂オランピアで白熱のステージを繰り広げる。

CD「愛の讃歌」

松本かずこデビュー30周年アルバム。
フランスで活躍するミュージシャンと共にパリのスタジオにて収録。ジャケットの写真は憧れのエディット・ピアフも撮影した写真スタジオ「スタジオ・アルクール・パリ」で撮影。
絶賛発売中。この春、フランスを含む世界6ヵ国での発売も決定!

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