山内惠介 さらなる飛躍が期待される40代に向けて「人間としてもっと自分を充実させるのが僕の課題。まだまだ新しい扉を開いていきたい!」

2022.3.2

NHK紅白歌合戦への7回連続出場を果たし、ますます脂が乗る山内惠介の2022年の新曲は22作目となる『誰に愛されても』。シングルでは初のタッグとなるヒットメーカー・売野雅勇の作詞で、ドラマチックかつ華やかな歌謡曲の世界を歌う。2001年に“ぼくはエンカな高校生”としてデビューした山内も今年5月には39歳に。歌手としてさらなる飛躍が期待される40代を控えて、山内が“下ごしらえ”していることとは?

──まずは売野雅勇先生の歌詞を歌うお気持ちを聞かせてください。

売野先生にはこれまでもアルバム曲やカップリングで歌詞をいただいてきて、そのたびに新しい山内惠介を引き出していただいた感覚がありました。いつか売野ワールドのリード曲で勝負したいとずっと思い描いてきたので、夢がひとつ叶ったという感じですね。

──売野先生の歌詞の魅力とは?

売野先生が並べるとどんな言葉も艶っぽくなりますし、何よりドラマチックですよね。今回も“涙が燃えてるようね”や“星屑の魂”といったキラーフレーズがそこかしこに散りばめられています。みなさんもカラオケではぜひ、物語の主人公を演じるように、あるいはご自身が映写機となって物語を映し出すように歌っていただけたらうれしいですね。

──歌詞では愛し合いながらも運命に引き裂かれる2人が描かれています。

僕はこの歌詞を、誰もがやるせない思いを抱えている今の時代へのメッセージソングとして受け取りました。辛いときって何かのせいにしてしまいがちですよね。今だったらコロナとか。でもそれで投げやりになっていたら前には進めない。どんなに時代や運命に翻弄されても、大切なものさえ忘れなければきっと乗り越えられる。売野先生はそんな思いも込めたかったのではないかと思うんです。

──山内さんにとって「大切なもの」とは?

この歌でも歌われているように、やっぱり“まごころ”が大切だと思うんですよね。僕はここ何年かで日常的にお料理をするようになったんですが、自分ひとりのときは適当なんです。で、手を切っちゃったりして(笑)。でも誰かが食べてくれるときは、ひとつ一つのプロセスも丁寧になる。それってお腹を満たすよりも、その人を思う心がそうさせてくれるんだと思うんです。そう考えると歌も同じですよね。1曲1曲に“まごころ”を込めて歌うのも、聴いてくださる方がいてこそですから。

──得意料理はありますか?

お味噌汁はほぼ毎日のように作っています。前の晩に昆布や出汁パックをお水に入れておいて、そこにお味噌と残り物のお野菜を入れるだけですけど、朝、お味噌汁を食べると体が喜ぶんですよ。生活のリズムも整いました。やっぱり歌は体が資本。僕も今年の5月で39歳になりますが、この先も元気に歌い続けるための“下ごしらえ”をしている感じがします。まさか自分がせっせとお味噌汁を作るようになるとは、少し前には想像もしませんでしたが、『まだまだ歌人生は長いぞ』と、このタイミングに神様がくれた気づきなんじゃないか? とすら思いますね。

──お味噌は健康にいいと言いますしね。

そうなんです。今こそ発酵食品のお味噌で免疫力をアップさせるときなんです。だけど今の日本人はお味噌汁を食べなさすぎ……って、僕も少し前までそうでしたけど(笑)。千昌夫さんの味噌汁を歌った名曲もありますし、これはもう僕が『令和版・味噌汁の詩』を歌うしかないのかもしれません(笑)

──カバーといえば、昨年末の『NHK紅白歌合戦』ではフランク永井さんの『有楽町で逢いましょう』を歌唱。東京国際フォーラムが会場となった年にふさわしい選曲でした。

紅白の前には有楽町の歌碑にご挨拶に行きました。コンサートではその土地のご当地ソングを歌うようにしているんですけど、そうするとお客さまはもちろん、歌自身が喜んでくれているような気がするんです。『最高のロケーションで歌ってくれてありがとう』って、歌の隅々まで活力がみなぎるんです。そういうときに歌はやっぱり生き物だなと感じますし、そこに命を吹き込むお役目をいただけていることが、巡り巡って僕を喜ばせてくれる。ご当地ソングを歌うたびに、そんなステキな体験をさせてもらっています。

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