山西アカリ デビュー曲は“みかん”がモチーフの望郷演歌「みかんの香りでいっぱいになる町で育った私の等身大の姿がデビュー曲になりました」

2022.6.29

本格派演歌ガールズグループ水雲-MIZMO-のメインボーカルとしてパンチのある歌声を聴かせてくれていたAKANEが、6月29日に山西アカリとして『拝啓 みかんの里』でソロデビューを果たす。デビューコンベンションでお披露目をすませた彼女に、デビュー曲にかける意気込みや故郷の和歌山・有田のこと、インドアからアウトドアまで幅広い趣味を持つプライベートなど、たっぷり話を聞いた。


声は前に出しながら、そこにどう気持ちを乗せられるかが課題

――水雲-MIZMO-の解散から9カ月。先日はソロデビューコンベンションも開催されましたが、もう一人で歌うことには慣れましたか。

今でもちょっと寂しいなと思いますね。ステージに上がる時は、私はいつも2番目だったのですが、今は「ああ、私一人だけなんだって」思ってしまって。デビューコンベンションで水雲-MIZMO-のデビュー曲『帯屋町ブルース』を歌わせていただいた時も、3人で歌うのとは感覚も表現の仕方も変わるなと実感しました。でも、和歌山で歌手を目指していた頃に戻ったと思えば大丈夫です。

――山西さんは、みかんの産地で有名な和歌山県有田のご出身です。デビュー曲『拝啓 みかんの里』の主人公は山西さん自身ととらえていいのでしょうか。

そう受け取っていただけたらうれしいです。この曲は今の私の等身大の歌だと思っていて、歌詞の中に“あれはもう十年前ですね”というフレーズが出てきますが、私が歌手を目指して和歌山から上京して今年で10年目ですし、自分の歩いてきた道と重なる部分が多くて歌っていて心にささります。

――歌っていると、故郷のみかん畑の光景が浮かんでくるのではないですか。

そうですね、1番の歌詞に段々畑が出てきますが、私の育った有田の山側には見渡す限りみかん畑が広がっていて、5月には一気に白い花が咲いて町中がみかんの香りに包まれるんです。この曲は1番がみかんの花が咲く頃、3番でみかんが実る頃を歌っていますが、そんな情景を思い浮かべながら歌っています。

――大切なデビュー曲です。作曲された師匠の水森英夫先生からは、歌うにあたって何かアドバイスがありましたか。

デビューにあたっては、先生が何曲か作ってくださっていたのですが、中でもこの曲は、「難しいぞ。アカリに歌えるかな」って。そして、「この曲を歌いこなせたらデビュー曲にできるかもしれんぞ」と言われて、絶対に歌いたい!と思ってチャレンジしました。ただ、これまでは元気があって歌謡曲テイストの曲が多かったので、今回のような王道の望郷演歌となると、表現力を問われているようで難しかったです。先生は“演じて歌うから演歌”だと常々おっしゃっていて、声を作るとか表情を作るとかではなくて、声は前に出すけれど、そこに気持ちをしっかり乗せて、聴いてくださる方とキャッチボールすることが大事だとアドバイスをいただきました。

――水雲-MIZMO-の時は、例えば『松竹梅』などのように、パンチを効かせた歌い方が似合う曲が多かったと思いますが、スローテンポで抒情的なこの曲では、より“気持ち”を表現することが大事だということですね。

これまで先生は、発声については注意しても、気持ちの部分はそこまでおっしゃらなかったのですが、一人になって、歌い方や表現の仕方がより自由になったのだから、気持ちを伝えることをもっと大切に歌うようにと言われました。今回は最初の設定よりキーを下げて歌っています。それは私が下の音をしっかり出せるようになってきたので、中低音の部分を聴いてもらえるようにと先生が考えてくださったのだと思うのですが、それだけではなくて、この曲が持っている懐かしさや寂しさのような感情を伝えるためにはこのくらいの音がいいという意味を込めてのことだと思います。

――カップリングの『ネオンしぐれ』は一転、都会のネオンの下の恋の歌です。こちらは最初に聴いてどう思われましたか。

こういうムード歌謡的な曲もこれまでレッスンしていて、それもあって万人に愛される曲をということで(デビュー曲の)候補のひとつとして作っていただきました。ただ、これがなかなか主人公の気持ちになるのが難しいというか、より演じて歌わなくてはならず、『拝啓 みかんの里』よりもまた別の意味で難しかったです。でも歌詞の内容も比喩的でおしゃれだし、サビの部分も素敵でこんな曲をいただけてすごく嬉しいです。

『鬼滅の刃』は私が最初に見つけたと思っています(笑)

――ところでプロフィールの趣味欄を見ると、絵を描くこと、手芸、かき氷巡り、映画・漫画・アニメ鑑賞、ヨガ、ランニングとインドアからアウトドアまで多趣味です。好奇心旺盛な性格なのですか。

自分でも好奇心は旺盛だと思います。一度気になると、とりあえずやってみるタイプ。そこは小さい頃から変わらなくて、習い事にもいろいろ通わせてもらいました。基本は体を動かして発散することが好きなのですが、親が手芸や裁縫が上手で、その血を引いているのか割とこまごましたこともやりますね。

――コンベンションでも披露されていましたが、絵もお上手ですね。事務所の先輩でもある山内惠介さんのLINEスタンプは山西さんがお描きになったそうですが、よく特徴をとらえていると思いました。

うれしいです。山内さんはコンサートを何度も見させていただいているので、それがLINEスタンプを描く時に活きたのではないかと思います。これまでも似顔絵を描くことが多くて、友達の結婚式のウエルカムボードを描いたりしていて、それが今役立っているのかもしれません。

山西が描いた山内惠介LINEスタンプ

山西が描いた山内惠介LINEスタンプ

――アニメ、漫画好きも絵を描くのに影響しているのかもしれないですね。

兄がいるのですが、子供の頃はいつも二人で広告の裏を使ってお絵描き対決をしていました。好きなアニメですか?今は『ゴールデンカムイ』がお気に入りですが、割と何でも見る方だと思います。『鬼滅の刃』にもはまった口で(笑)、コミックの第1巻が出た時からとても面白いと思ってずっと買って読んでいたのですが、最初周りは誰も興味を持ってくれなくて、そしたら急にバーンって大ヒットしたので、「ほら、だから言ったじゃん!」って(笑)。私が最初に見つけたと思っているのですが、皆そう思っているんだよって言われてしまいました(笑)。

――そんなにアニメや漫画がお好きなら、将来はアニソンなど歌うのもありかもしれませんね。

もう夢ですね。日本の時代劇物のアニメとか、演歌テイストの曲が似合いそうなアニメができたらぜひ主題歌を歌いたい、実現できたら最高です。カラオケでもストレス発散にけっこうアニソンは歌うんですよ。『タッチ』『新世紀エヴァンゲリオン』から『美少女戦士セーラームーン』まで、踊りながら(笑)。『セーラームーン』は特に元気が出るのでお気に入りです。

――いろんな趣味をお持ちですが、今一番自分の中で“キテる”趣味といえば何でしょう。

そうですね……ヨガかもしれないです。コロナ禍ということもあって今は動画を見て朝起きた時にやったりするのですが、それこそこのコロナ禍で時間もできたので何か資格を取ろうと思って、実はヨガインストラクターの資格、取得しました!ご高齢の方に合わせたヨガもありますし、イベントの前に皆で体をほぐしてから歌を聴いていただくとか、そんなこともぜひやってみたいですね。

――他にも、マラソンにも挑戦されていますが、趣味を持つことで何か自分にとっていい影響はありますか。

絵に関しては完全にリフレッシュできることですね。何も考えずに集中することで、ネガティブになっている感情が一度、消去されますし、絵が完成すると「よし!!」っていう気持ちになれるので、私にとってはいい息抜きになっています。ランニングは苦行でもあるのですが(笑)、健康を考えて体力づくりの面が大きいです。このコロナ禍では、宅トレの竹脇まりなさんのエクササイズ動画にもお世話になって、一緒に踊っていました(笑)。

――そんなコロナも少しずつ収束してきましたし、歌手仲間でご飯に行ったりカラオケに行ったりするような機会も戻ってきたのではないですか。

それがこの業界でいっしょにご飯を食べに行くような方はほとんどいないんです。水雲-MIZMO-時代は3人で完結していて他の歌手の方との交流はあまりありませんでした。でも、水森門下生同士はすごく仲が良くて、三丘翔太さんとか、私の後に入ってきた青山新さんなどとはよくお話します。

――水雲-MIZMO-のお二人とは今も会うことはありますか。

今でもよく連絡は取りあっています。実家からみかんなどがたくさん届いた時は、「食べない?」って二人に声をかけて、それを口実に会いに行ったりしています。

――ところでもうすでに山西アカリとして、文化放送の『ヴァイナル・ミュージック~for. EK〜大人の歌謡クラブ』の放送が始まりました。ラジオでおしゃべりするのは楽しいですか。

水雲-MIZMO-の時もラジオ番組は持たせていただいていましたが、今回は一人で、しかも生放送なので緊張しました。でも始まってしまえば楽しくて、特に今はリスナーからリアルタイムでツイートがあがってくるのが面白いし、深夜の時間帯に一緒に起きているということでの連帯感や絆が芽生える感じもよかったです。ただ、一人でしゃべるのはまだしも、ゲストがいらっしゃった時にもう少しキャッチボールが上手にできるように勉強したいと思っています。

――歌やラジオ以外で、今後何かやってみたいと思っていることはありますか。

昔からお遊戯会や学習発表会では前に出るのが好きで、主役やらせてくださいというタイプなので(笑)、お芝居には興味があります。バラエティにも興味津々で、ちょこちょこモノマネの練習はしているのですが、まだクオリティが低くて(笑)。演歌の先輩方のモノマネができるようになりたいです。それから好きな絵を生かしていつか絵本を出してみたいという夢もあります。

――では最後に、これからの目標を聞かせてください。ソロデビューを果たしたわけですが、今後はどんな歌手になっていきたいと思っていますか。

演歌の世界に尊敬する歌手の方はたくさんいらっしゃるのですが、事務所の先輩であり、水森門下の兄弟子でもある山内惠介さんの背中を追いかけて、一歩でも近づけるようになりたいというのが私の今の目標です。山内さんはコンサートの最初から最後まで声を伸ばし切れますし、スタミナが落ちないのがすごいと思います。
それから客席で見させていただくと、コンサートが進むにしたがって、お客様の熱量がどんどん上がってくるのが手に取るようにわかるんです。来ていただいたお客様に絶対、楽しい気持ちで帰っていただくんだという情熱や歌に対する真摯な姿勢は見習っていきたいと思っています。

――これからデビュー曲のキャンペーンも始まると思います。改めて『拝啓 みかんの里』をファンの皆さんにアピールしてください。

今の私の等身大の姿がデビュー曲になりました。ただ、みかんの里とはなっていますが具体的な地名は出てきませんので、お聴きくださった皆様が思うご自分の故郷を思い浮かべながら聴いていただけたらと思います。水雲-MIZMO-時代に培ったことを生かしながら、でも山西アカリとしてこの新しい歌をしっかりと歌っていきます。『拝啓 みかんの里』、よろしくお願いいたします。

山西アカリ 4月よりラジオ番組に出演中

『ヴァイナル・ミュージック〜for.EK〜大人の歌謡クラブ』

放送時間:毎週土曜日 午前3時〜4時45分 ※生放送
ネット局:中国放送、福井放送、ラジオ大阪
週替わりパーソナリティー:1週目:小林奈々絵、2週目:仁科美咲、3週目:羽山みずき、4週目:山西アカリ、5週目:スペシャルパーソナリティー

山西アカリ『拝啓 みかんの里』

2022年6月29日(水)発売

品番:TKCA-91435
価格:¥1,350

【収録曲】

1.拝啓 みかんの里(作詞:岸快生/作曲:水森英夫/編曲:伊戸のりお)
2.ネオンしぐれ(作詞:岸快生/作曲:水森英夫/編曲:伊戸のりお)
3.拝啓 みかんの里 (オリジナル・カラオケ)
4.ネオンしぐれ (オリジナル・カラオケ)

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