松阪ゆうきが2年ぶりのシングル『真実(ほんとう)の愛』をリリース 「目標としているオーケストラコンサートへの第一歩となる曲です」

2022.11.2

演歌・歌謡曲のみならず、民謡からオペラまで歌いこなすハイブリッドシンガー、松阪ゆうきが7枚目のシングル『真実(ほんとう)の愛』(作詞:石原信一、作曲:浜圭介、編曲:若草恵)を11月9日にリリースする。ドラマティックで壮大なサウンドに、声楽や民謡で培った伸びやかな歌声で“見えない愛こそ真実の愛”と歌いあげる、音楽ジャンルを縦横無尽に横断する唯一無二のボーカリストならではの歌世界が広がっていく。2年ぶりの新曲に寄せる思いをはじめ、カップリングの『おーい!しあわせくん』(作詞:結木瞳、作曲:佐瀬寿一、編曲:矢田部正)について、YouTube「松阪屋チャンネル」を開設した理由などを聞いた。


目には見えないものには無限の表現方法がある

――『真実の愛』は、失った大切な人への思いを馳せる歌詞、スケールの大きなサウンドなど、多くの人々の生命がいとも簡単に失われているこの時代に、傷ついた人々の心を包み込み、救済するような曲だと感じました。

聴いてくださる方によって受け止め方はさまざまだと思いますので、正解はありませんが、コロナ禍や災害、戦争など、先が見えず、本当にいつ誰かに会えなくなってもおかしくないような情勢のなかで、たとえ大切な方がいなくなったりしても、その人を思う愛、その人からもらった思い出を、生きている人がつないでいくことを歌った曲だと自分では感じています。

――歌い出しからサビまで、どんどん世界が広がっていく印象です。表現で工夫された点などありますか。

浜先生はいつもカセットテープにギター1本の弾き語り形式のデモ音源をくださいます。最初にデモ音源をいただいた際は、ギターだけなので、シンプルだったのですが、実際に自分が歌った仮歌からさまざまなアレンジや肉づけを加えていただき、壮大なイメージに徐々に仕上がっていきました。
仮歌で収録したときには、やや力が入り、がんばりすぎたところがありました。最初は語りかけるようなやさしい雰囲気で歌い出し、サビは自分らしく壮大に歌い上げ、広がりが出るようにしました。

――曲を歌い込んでいくなかでしっくりくる瞬間はあったのでしょうか。

作詞の石原先生からは、会えなくなった人たちの姿かたちは見えないけれども、ただ悲しむだけではなく、その悲しみを乗り越えて先に進み、その人たちから受け取ったものを次につないでいく――ということをうかがいました。目には見えないけれども、そこに愛は存在している。そして、その目に見えないものには、無限に表現方法があるのではないかと思いました。石原先生とお話しして、そのような感覚がすっと身体に入ってきたという感じです。

――この曲をどのように聴いてほしいでしょうか。

誰もが身近な人を失った経験はあると思いますが、今は会えなくなった人との楽しい思い出などはいつまでも残っていると思うんです。この曲を聴いていただくことで、がんばって自分は前を向いていこうと思っていただければうれしいですね。

――レーベル移籍後、発表されたシングル4作はすべて浜先生の作品ですが、いずれもタイプがまったく異なる曲です。松阪さんのボーカリストとしての幅の広さの証しだと思いますが。

どの作品も自分のいいところを先生に引き出していただいていると思います。『真実の愛』については、浜先生に「これだね!松阪君の方向は。いいのができたね」とおっしゃっていただきました。

会えなくなった人を思いながら歌う

――ご自身にとっても『真実の愛』が、今後の柱の一つになるような感触はあるのでしょうか。

声楽のような歌い方のパートもあれば、Aメロのように演歌・歌謡曲の柔らかな感じなど、自分がこれまでやってきたことを融合させたような曲だと思います。

――どの音楽ジャンルにもあてはまらない、まさにハイブリッドシンガーだと感じました。

だから今回、この曲をいただいたときに、ジャンルってなんなのだろうと改めて思いました。音楽ジャンルで分けられない曲をいただきました。

――カラオケで歌う際のアドバイスを教えてください。

最初の歌い出しはそんなにがんばらず、柔らかく歌ってください。サビにあたる部分からは、自由にご自分の声のままに歌ってください。最後の最後は高いところで伸ばすので、そこが少し難しいと感じられる方もいるかもしれません。僕は歌い手としていつもメロディーが先に入ってくるタイプなのですが、この曲は詞のほうが強い印象があります。石原先生からは、自分の親族でも友人でもいい、今は会えなくなった人たちのことを思いながら歌うだけでも声が前に出てくるとおっしゃっていただきました。この曲を歌ってくださる方たちも、そのように歌っていただければいいと思います。

ハンモックに揺られながらのイメージ

――カップリングの『おーい!しあわせくん』は、どこかノスタルジックで、なんともいえない温もりのある歌ですね。

佐瀬先生やディレクターからは、木漏れ日のなかでハンモックに揺られながらふわふわしているイメージとうかがいました。しあわせになりたいよねと鼻歌気分で歌える、混沌としているこの時代に、ふわっと明るくなるような曲です。

――歌に入る前に、「おーい!しあわせくん」という呼びかけのセリフから始まります。

歌は、ハンモックに揺られている感じですが、この呼びかけは、川向うから声をかけている感じです。山に呼びかけるような感じだと、ちょっと遠いという絶妙な距離感なんです。

――呼びかけが実際のステージでも名物になりそうですね。

呼びかけで始まる曲もなかなかありませんし、お客様と近い会場、野外で遠い場合など、呼びかけのシミュレーションもしました。呼びかけだけでなく、歌のサビにも「おーい!しあわせくん」のフレーズがあるのですが、レコーディングの際に佐瀬先生からは「おーい!しあわせくん」ではなく、「おーい!」と「しあわせくん」の二つの言葉で、同じテンションではないとうかがいました。なるほどと思いました。

――佐瀬先生は、日本歴代シングル売上枚数1位の『およげ!たいやきくん』の作曲で知られていますが、ブログに上げられていたおふたりのツーショット写真もしあわせそうです。

佐瀬先生に書いていただけたというのもご縁で。先生のほがらかな雰囲気やお人柄が曲にも写真にも表れていますよね。

耳でメロディーをインプットしてから歌う

――2年前の「うたびと」インタビューで、民謡、クラシックなど個々に分けて考えないとおっしゃっていましたが、声の出し方など表現はすべて違う難しさもあるのではと思います。

声の出し方が違いますから、混ざってしまいそうなときはあります。自分のオリジナルソングに関しては自分流に歌えばいいのですが、民謡もクラシックも歌い方が確立されているので、そこはあまり崩しすぎないように気を付けています。カバーソングは、アレンジにもよりますが、オリジナルのご本人のイメージを完全に壊さないように、曲やアレンジによっていろいろ考えて歌っています。

――ふだんどれくらい練習するものなのでしょう。

声を出すことはしますが、毎日練習に明け暮れるような感じではないです。覚えなくてはいけない曲を聴いていることが多いですね。譜面を見て覚えることもあるのですが、どちらかというと僕は、耳で聴いて覚えるほうが多いです。耳で聴いて、メロディーをインプットしてから、歌う練習をします。僕は元のメロディーを覚えていないと、キーの高低を調整できないんです。頭の中で組み立てられると、歌えますという感じです。

――松阪さんのように、クラシックを体系的に基礎から理論を学んでいる方でも、メロディーを先に取り込んでからというのは面白いですね。

民謡の場合は口伝なので、先生が歌ったものをそのまま踏襲します。民謡は基本譜面がないので、耳で覚えて、それを出すというのがあるんです。演歌・歌謡曲だとどちらでもできるので、耳で聴いて、譜面も見ながら確認できます。どの音楽もそれぞれの良さがありますが、覚えるのは民謡が一番難しいですね。

――今後、挑んでみたい音楽ジャンルはありますか。

詞の世界観を伝えるという点でいうと、シャンソンは面白そうだなと思います。でも、ある程度の人生経験を重ねてから歌うほうが、シャンソンは味がでるのかなとも思ったりします。

――今後のボーカリストとしての理想像は?

ジャンルを超えた音楽を自分一人で表現することは、やはりトライしていきたいと思います。今回の『真実の愛』は、これまでの曲よりオーケストラ感があるサウンドです。20人くらいの奏者の方に参加いただき、目標としているオーケストラコンサートへの第一歩と感じました。この曲がヒットしたらオーケストラと歌わせていただく機会を作れるかもしれないと思っています。ぜひ実現させたいですね。

動画サイトで自分の人となりを伝えたい

――先日、YouTube「松阪屋チャンネル」を開設されました。

コロナ禍でファンの方と直接お会いする機会が減って、自ら発信していきたいと思いました。それにYouTubeで知りましたという方も結構いらっしゃるんです。テレビの歌番組で歌っている僕の姿しかご存じない方からは、そんなに喋る人だったんですねという反応もいただきました。歌を発信することももちろん考えていますが、僕の人となりをもっと知っていただきたいので、YouTubeではプライベート感を出していきたいと考えています。第1回はドライブ動画でしたが、休日のショッピングやレコーディングでのオフショット動画など、いろいろ用意しているので、アップを楽しみに待っていただければと思います。

――最近はまっていることはありますか。

御朱印集めですね。コロナ禍になってから寺社仏閣に足を向ける機会が減っていたのですが、そろそろ復活したいと思っています。飛行機も好きなのですが、全日空と穴森稲荷神社がコラボした御朱印帳を持っているので、それを携えてどこか行こうかなと思っています。

――年末の12月22日には、恒例のクリスマスディナーショーも控えています。

年末のビッグイベントですね。
ゲストには東京藝術大学卒の女性尺八奏者・辻本好美さん、日本伝統芸能集団の喜楽座さんをお迎えし、企画を練り込んでいますので、楽しみにしていてください。

――最後に改めて新曲『真実の愛』についての思い、ファンの方へのメッセージを聞かせてください。

こういう時代のなかで、みなさん考えることもたくさんあると思います。たとえ近しい方と会えなくなってしまったとしても、その人からいただいたものをいい思い出として昇華し、生きる糧にするために、この曲が一助になってくれたらと思います。

松阪ゆうき クリスマスディナーショー2022

【日時】

2022年12月22日(木)
開場  15:30~
食事  16:00~
ショー 17:00~

【会場】

東武ホテル レバント東京
(東京都墨田区錦糸1-2-2)

【料金】

20,000円 (お食事、飲み物、サービス料込み)

【チケットお申込み・お問い合わせ】

主催/株式会社オフィスコットン
Tel 03-3760-1115(平日 12:00~18:00)

松阪ゆうき 『真実(ほんとう)の愛』

2022年11月09日発売

品番:TKCA-91460
価格:¥1400(税込)

【収録曲】

1.真実の愛
2.おーい!しあわせくん
3.真実の愛 (オリジナル・カラオケ)
4.おーい!しあわせくん (オリジナル・カラオケ)

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