チョン・テフ 日本デビュー10周年記念シングル『止まない雨』をリリース 「和食が好きで、うどんをこねたり蕎麦を打ったりします」

2023.1.4

韓国ソウル出身の歌手、チョン・テフが2023年1月4日に日本デビュー10周年記念シングル『止まない雨』をリリースする。制作は好評を博した前々作『冷たい雨』、前作『銀のロザリオ』に続き、作詞・円香乃、作曲・徳久広司というヒットメーカーコンビ。情熱的な歌唱で魅了してきたチョンだが、本作では切ない味わいも加わり、さらなる飛躍が期待される。「うたびと」インタビューは今回が初登場。これまでの足跡やプライベート、そして日本での活動にかける思いについて聞いた。


──これまでのシングルと比べて昭和歌謡テイストの濃い『止まない雨』、初めて聞いたときはいかがでしたか?

“3連のリズム”注:一拍につき3打叩くリズム)をいただくのは初めてだったので、これは難しそうだなと思いました。普段はレコーディングまで新鮮な気持ちを保ちたいので、デモ音源はあまり聞かないようにしているのですが、今回はかなり聞き込みましたね。聞けば聞くほど味わい深く新たな魅力を発見できて、この曲への取り組みは自分にとってもいい経験になりました。

──カップリングの『一秒の薔薇』は情熱的なエキゾチック歌謡。これまでチョンさんが歌ってきたテイストに近いと感じましたが、『止まない雨』をタイトル曲にしたのはなぜだったのでしょうか?

『止まない雨』をタイトル曲にするのはレコーディング当日に決まったんですが、先生たちからは『チョンくんもそろそろこういう歌に挑戦してみては』と言われました。日本デビュー10周年ということもあり、僕の世界観を広げる意図もあったと思います。先生たちの思いがうれしかったですね。

──カラオケで歌うときのアドバイスをいただけますか?

この曲に描かれているのは30分くらいの短いドラマ。主人公は叶わない愛への未練を見せまいとやせ我慢する、昭和の男ですよね。だからあまり力を入れすぎず、言葉1つ1つが立つように。そしてサビで大きく歌い上げるようにすると、雰囲気が出ると思います。

──2006年来日とのことですが、その前から韓国で活動されていたそうですね。

はい。16歳でデビューしていますので、音楽活動はもうすぐ30年になります。きっかけは日本に暮らす韓国の方からイベントで歌ってくれないかというお誘いがあり、その際に声をかけていただいて、最初はインディーズのような形で活動をしていました。その後、2012年にチャン・ウンスクさんからスカウトされ、メジャーデビューのチャンスをいただきました。

──日本で歌手活動することについて、迷いはなかったですか?

むしろ夢が叶ったという感じでしたね。韓国と比べて日本の音楽市場ははるかに大きく、韓国のアーティストにとって日本は憧れの舞台です。母もとても喜んでくれて、メジャーデビューの際に『頑張れ』という思いを込めて、芸名を贈ってくれました。

──本名はチョン・イルクォンさんとおっしゃるそうですね。芸名の由来は?

チョン・テフを漢字で書くと”丁泰后”となります。韓国の命名士の先生が、『大きくなれ』という意味を込めて付けてくれたそうです。

──日本語がとても流暢ですが、どのように習得されたのですか?

独学です。来日当時はまったくしゃべれませんでした。その頃はスマホもなかったので、辞書を常にそばに置いて、わからない言葉が出てきたらその場で調べながら、1つ1つ覚えていきました。少しでも早く日本語を話せるようになりたかったので、日本人の友だちを作ったり、ニュース番組をよく見たりしていました。

──特に大変だったのはどんなことでしたか?

日常会話はそれほど苦労しませんでしたが、歌詞を解釈するのはやはり難しかったです。特に演歌・歌謡曲というのは言葉を大切にするジャンルですし、辞書に載っているそのままの意味で歌っても伝わらないと思います。今もですが、歌詞をいただいたときに先生に『ここにはどんな思いが込められていますか』と確認するようにしました。

──昨年は『冷たい雨』『ガラスの蟻地獄』『愛の銀河』『別れのエアポート』の韓国語バージョンを配信リリースされましたが、やはり母国語のほうが歌いやすかったですか?

それが意外と、いざ韓国語で歌ってみたら噛んでしまいました(笑)。インディーズも含めると17〜18年、日本語で歌ってきましたからね。節回しも日本語のほうが馴染むというか、それが自分にとってはうれしくもありました。

──音楽以外で「日本に馴染んだな」と感じるのはどんなときですか?

食事は基本的に和食です。調理師免許を持っているので料理をよくしますが、うどんをこねたり、蕎麦を打ったりもします。もともと来日前から和食が好きで、本場の味が毎日食べられるのがうれしいです。今は韓国料理を食べるのも月に1回程度、それもお付き合いがほとんどですね。冷蔵庫に入っているのはキムチではなく、自分で漬けた日本風の漬物です。

──“おふくろの味”は恋しくないですか?

コロナ前まではキムチを漬ける時期に帰国していたんですよ。キムチ作りはけっこう力仕事なので、母を手伝っていました。ただ韓国で過ごすのは2泊3日くらいで十分というか、日本に戻ってお風呂に浸かると『あ~極楽、極楽』という感じになりますね(笑)。

──かなり日本に馴染んでいますね!

たぶん性格的に日本が肌に合うのだと思います。韓国人はノリがいいと言いますか、感情がストレートで物言いもはっきりしている。それがいいところでもありますが、ときには疲れてしまうこともあります。僕はどちらかというと穏やかな日本人の国民性が好きだし、しっくりくるところがありますね。

──日本のファンはいかがですか?

それも来日して感動した点でした。K-POPが世界的なブームになった今でこそ、韓国にも熱狂的な応援文化がありますが、僕がデビューした30年ほど前は、チョー・ヨンピルさんのようなよほどの大物でない限りは、あまりそうしたファンはいなかったんです。日本の演歌・歌謡曲ファンは新人の頃から温かく成長を見守ってくれるところがあって、それも日本で腰を据えて活動していきたいと思った理由の1つでした。

──近年は演歌・歌謡曲のジャンルで新世代の男性歌手の活躍が目覚ましいですが、交流はありますか?

はい。特にこおり健太くんとは来日当時から仲良くさせていただいています。健太くんとはワンちゃん友だちでもあって、ワンちゃんへのお土産を贈り合ったりしています。まだ実現していないんですが、千葉にすごくいいドッグランがあるので、いつか一緒に行こうと話しています。パク・ジュニョンさんとも同じ韓国出身ということで、よくジョイントさせていただきます。ライバルでありつつ、みんなで演歌・歌謡曲を盛り上げていこうというムードがうれしいですね。

──2023年1月4日の『止まない雨』リリースの後は公演が続きます。昨年から療養のためいくつか公演が中止になっていただけに、楽しみにしているファンも多いと思いますが、もう体調は万全ですか?

はい、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。実は帯状疱疹を悪化させてしまいまして、お医者さんからも2回続けて発症するのはレアだと言われました。それでも騙し騙しやろうと思っていたのですが、事務所の社長から『そんな状態ではお客さまを楽しませられない』とお休みをいただきまして、今はとても体調がいいです。10周年イヤーに向けて最高のスタートが切れそうです。

──コンサートではどんなところを楽しみにしてほしいですか?

うちの事務所の社長は音楽にとてもこだわりがあり、ステージの規模に関わらず生バンドを用意してくれます。お客さまにとっても、カラオケと生バンドでは聞き応えがまったく違うと思います。その期待に応えるためにも、僕自身、何度も生で歌を聞きたいと思ってもらえるような歌手を目指して歌を磨いてきました。『止まない雨』も何度聞いても味わい深い曲なので、ぜひ足を運んでいただけたらうれしいです。

今後のコンサート予定

チョン・テフ Birthday Party

日程:2023年1月13日(金)
会場:京橋ベロニカ

チョン・テフ Joyful World 2023 10th Anniversary Live (大阪公演)

日程:2023年2月17日(木)
会場:心斎橋PARCO SPACE14

チョン・テフ Joyful World 2023 10th Anniversary Live (東京公演)

日程:2023年3月1日(水)
会場:BLUE MOOD(東京 汐留)

詳しくはオフィシャルサイト、またはブログをご覧ください。

チョン・テフ『止まない雨』

2023年01月04日発売

品番:TKCA-91476
価格:¥1400 (税抜価格 ¥1273)

【収録曲】

1. 止まない雨
2. 一秒のバラ
3. 止まない雨(オリジナル・カラオケ)
4. 一秒のバラ(オリジナル・カラオケ)

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