丘みどりがニューシングル『椿姫咲いた』をリリース 「チャレンジの一曲。自分の思いを歌に乗せられました」

2023.2.22

丘みどりが約1年ぶりのニューシングル『椿姫咲いた』(キングレコード)を2月22日にリリースする。作曲を米米CLUBのフラッシュ金子こと金子隆博、作詩を歌人、エッセイストの林あまりが手がけた本作は(編曲:杉山ユカリ)、ヴェルディのオペラ『椿姫』から着想を得たドラマティック歌謡。愛し合う恋人と別れ、傷ついた心を抱えながらも「真実の愛」を貫く女性の気高さを、繊細かつ熱情のこもった歌唱で歌い上げる。バラエティー番組でカラオケマシーンの音程を完ぺきに歌いこなし、抜群の歌唱力を誇る彼女が、あえて音を外すこともためらわず、歌で内面の感情をさらけだすことを優先させた歌い手としての新境地を開いた一曲だ。朗読劇やミュージカルにも出演するなど異なるジャンルを横断し、新たな挑戦を続けることで磨き上げられた表現力が存分に発揮された『椿姫咲いた』への思いから、育児と歌手活動を両立させるプライベートライフまでを聞いた。


衝撃を受けた『椿姫咲いた』の第一印象

――新曲『椿姫咲いた』は、丘さんの歌唱もエッジの効いたサウンドもドラマティックです。完成しての現在の気持ちを聞かせてください。

新たなチャレンジの一曲です。新曲に取り組むにあたり、まだ誰もやっていない世界観の作品に挑んでみたいという気持ちがまずありました。『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)などバラエティー番組に出演させていただいたおかげで、最近は若いファンの方も増えてきましたので、演歌をよく知らない10代、20代の女の子が聴いても「演歌ってかっこいいな」と思ってもらえる楽曲ができたらという思いで制作に臨みました。

――曲を最初にいただいたときの印象は?

これまでさまざまな曲にチャレンジをしてきましたが、今回の『椿姫咲いた』が最初の印象では一番インパクトを受けた曲です。うゎ!すごい楽曲だなとびっくりしました。同時に私に歌いこなせるのだろうかという不安も少し抱いたのですが、何度もくり返し聴いているうちに、この曲が大好きになりました。今では何気ないときにでも私自身口ずさんでしまうくらいです。

――どこにびっくりしたのでしょう。

この物語を初めて聴いた人にも伝わるようにするのは、どうすればよいのだろうと思ったほどです。王道の演歌ではないだけに、どこまでこぶしを入れればよいのか、また、ビブラートの程度など、あまりに過剰だと、初めて聴いた方にはかえって響かないと思いました。ジャケットは色彩豊かにこの物語の世界観を表現しているのですが、ジャケットを見なくても、歌だけで世界観を伝えるためには、どういう風に表現するかをかなり考えました。

――特にここを聴いてほしいと思うポイントはありますか。

サビに入る前にメロディーがガラッと変わるのですが、そこがかっこいいので、ぜひ聴いていただきたいです。

――メロディー、リズムが変わったところで、「ぽろりん」といフレーズをくり返すところも印象的です。

強く歌うところではないので、気持ちを込めて女性らしく、相手の男性を思い浮かべながら歌うところがポイントです。そこは私も結構こだわって歌いました。

――サビで曲名でもある「咲いた」を歌い上げる高音も気持ちいいですね。

上と下がぎりぎりなので、声が出なくなりそうなくらい高いところなのですが、声が出ると歌っていてすごく気持ちのいいパートです。みなさんにも、ぜひこの気持ちのいいところを歌っていただきたいですね。カラオケで歌う際は、前半はしっとり自分に問いかけるように、後半リズムが出てきたところからは、感情を爆発して、音を外してもいいから思い切り情熱的に歌ってほしいと思います。

楽譜にとらわれないことで自分の中の殻が破れた

――丘さんのシングル曲に楽曲提供される作家陣は、毎回多彩な顔ぶれで楽しみなのですが、今回は金子隆博さんの作品ですね。制作過程でどのようなお話しをされましたか。

金子さんとは『うたコン』(NHK)でよくご一緒させていただいていましたので、お会いしたときに楽曲提供をお願いしたところ、「僕でよかったら」と快く引き受けてくださいました。なかなかタイミングが合わず、そこから2年越しのお願いで実現しました。レコーディングでは、音は外してもいいから、楽譜にとらわれることなく、もっと内面の感情を剥きだしにして歌ってほしいということを何度も仰っていただき、そのおかげで私の中でも一つ殻を破れたと思います。

――楽譜に忠実に歌うことができる達人が、あえて楽譜を無視するくらいの突き破り方をしたというのは、初めての経験ですか。

そうですね。「音を外してもいいし、毎回歌い方が変わっても、その日の気持ちで歌っても大丈夫だから。歌はこうあらねばならないという固定観念を1回捨てて歌ってみようよ」と金子さんが言ってくださいました。今回は、私はこういう風に思っているという自分の思いを歌に乗せられたかなと思います。

――それはどういう思いなのでしょう。

『椿姫咲いた』の主人公は、ある事情から愛する男性と別れなくてはなりません。でもそれをただ「ショックだな」「傷ついたな」「悲しいな」と嘆くだけではない、私はそれでも生きていくという、心の真ん中に芯を持った強い女性です。そんな気高く生きる女性の思いをしっかり表現できたと思います。

演技はどろどろ恋愛の韓国ドラマも参考⁉

――歌の主人公に対して、歌い手としてどれくらい感情移入するものなのですか。

人によって異なると思いますが、私は『佐渡の夕笛』(2017年・作詩:仁井谷俊也、作曲:弦哲也、編曲:南郷達也)で、花柳糸之先生に弟子入りをしたときに、あなたは俯瞰で歌うよりは、その登場人物になりきって歌いなさいと教えていただきました。私はどちらかといえば緊張しいで、それまではその雰囲気がステージに出てしまっていました。「主人公の仮面を被ってステージに立ちなさい、だったら丘みどりじゃないから恥ずかしくないでしょ」と仰っていただいたことで、緊張していた気持ちが軽くなり、そこから歌い方や表情が自分でも変化したと思います。だから私はどっぷりと主人公になるタイプですね。

――カップリングの『さだめ燃ゆ』(作詩:森坂とも、作曲:向井浩二、編曲:伊戸のりお)は、許されぬ恋に身を焦がすような女性の気持ちを歌った歌です。

情念系の歌が私自身大好きなんです。『さだめ燃ゆ』をいただいたときに、やっぱり好きだわって思いました。歌だから体験できる世界がありますよね。私はすごくドラマを見るんです。配信サービスでどろどろの恋愛が展開する韓国ドラマとか。最近面白かったのは『夫婦の世界』という作品で、登場人物全員によるだまし合いみたいな展開で(笑)。実はそういうドラマを見て、ひそかに登場人物の表情などいろいろなことを研究しています。たとえば、人は怒り過ぎたら泣かずに、怒りのあまり涙が流れないんだなとか。ドラマで学んだことを自分のコンサートの演技に活かすこともあります。

花魁の衣装は世界的スターと同じだった!

――CD-DVD盤には『椿姫咲いた』ミュージックビデオとメイキング映像も収録されています。撮影時のエピソードを教えてください。

花魁姿になっているので、素晴らしい衣装にぜひご注目ください。映像の色使いも美しいです。実はその花魁の衣装がものすごく重たかったんです。さらに髪飾りのついたカツラもものすごく重たくて。その重たい衣装のまま、25センチはある高下駄を履くシーンがあったのですが、ちょっと油断したらコケっと転んでしまうんじゃないかと思って、すごく集中して撮影に臨みました。

――インスタグラムで過去一のジャケット写真と仰っていましたが、お気に入りのポイントは?

パッと見て、「わっ!かわいい」と素直に思えるくらい、お花の色使いがおしゃれです。花魁の衣装ですが、レディー・ガガさんが来日された時に、コンサートで着用された衣装だそうです。その衣装に袖を通した二人目が、丘みどりです! 着ることでいいアーティストになれるような、縁起のいい感じがしました(笑)。

自分では気づかなかった出産後の歌の変化

――現在は子育てしながら、歌手活動を両立されています。

充実した毎日を過ごしています。子どもという守るべき大切なものができたから頑張れる気持ちになります。毎日の仕事に対しての向き合い方も、少しずつ変わってきたのかなと感じています。娘もテレビの中の私が分かるようになって、画面と実際の私を交互に指さして「ママ、ママ、ママ」と言ってくれるのがかわいいです。最近は、娘がYouTubeで見る『エビカニクス』など幼児用動画の歌と振りを覚えて、娘の前で全力で再現することにはまっています。アーティストご本人以上の本気でやることが信条です(笑)。「ママもがんばれるんやで!」というところを見せたいんです。

――歌の練習時間の確保も大変かと思いますが。

ようやく朝まで寝てくれるようになったので、今は娘が寝てからお風呂の鏡の前で振り付けの練習をしたり、お湯につかりながら歌詞を覚えたりしています。あとは移動中も貴重な時間、新幹線の車中で動画を見ながら振り付けを覚えたりもしています。

――母となられて1年半、歌い手として新たに気づかれたことなどはありますか。

私自身は子育てと仕事の両立の中で、出産前の自分から変わらないようにしようと考えていたのですが、ファンの方からは「出産してから歌が変わったね」と言われることもあります。私自身がそれで変化を気づかされている感じですね。自分でどこが変わったのだろうと考えたときに、緊張しいなんで、以前は歌う際の身体の重心がどちらかというと上がっていたのですが、出産後は地に足がついているような、下に重心を置いてどしっと構えて歌えるようになった感覚があります。

なぜかバズったチームみどりのダンス動画

――丘さんはSNSでの発信も精力的ですが、インスタの踊ってみた動画の再生回数がとんでもないことになっています。

私とヘアメイクのやすえさんとマネージャーの「チームみどり」の3人による、まったく上手に踊れていない動画が130万回以上再生されているという謎の現象が起きています。「なんでこの動画だったんかな。もっといいの、あるのにな」と、再生回数を見るたびに心の中で思っています。何パターンかあるのですが、毎回マネージャーがリズムに乗り遅れて、いい感じでださく踊ってくれています。何を踊るかは、インスタの中で流行っているダンスを、私が探し出していますが、練習すると面白くないので、2人には撮影する30分くらい前に参照する動画を見せるようにしています。私はめっちゃ練習してきていますが。ずるいんです(笑)。

――YouTubeの公式チャンネルでは、昨年、「チームみどり」で富士登山への初挑戦を公開されました。

私はすごく元気に登って下山してきました。この数年間はコンサートと子育ての両立で、どこか息切れしていた部分もあったので、リフレッシュできて、とても楽しかったです。残念ながら天候に恵まれず、ご来光が見られなかったので、もう一回チャレンジしたいなと思っているのですが、チームみどりのメンバーからは無視されています。

――富士登山を終えて、今後の新たな動画の公開が楽しみです。

私が過酷なことをやりたがるので、スタッフからは最近YouTubeの話が出なくなりました(笑)。そばの大食い対決とかを提案されたりするのですが、「そんなゆるいの、誰が面白いねん。そんなのあかん!」と言っています。次にやるんだったら、「船に乗ってマグロが釣れるまで帰れません」みたいな企画がいいですねぇ(笑)。富士登山の前に挑戦した「白山登山」の時に、過酷なことを一生懸命やっている姿を見て、勇気や元気をもらえましたと言っていただくファンの方も多かったので、私たちが苦手なことを乗り越える姿を見て、一時でもそう思ってもらえるなら、できるだけチャレンジをしたいなと思っています。

チャレンジを続ける先にある目標は海外公演

――4月16日には、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)での「2023丘みどりリサイタル」も予定されています。今年のコンサートは、どんなようなものになるのでしょう。

リサイタル「演魅Vol.4」となりますが、現在、内容を練っているところです。新曲の『椿姫咲いた』をどうお見せするか、毎回ご好評をいただいている「幽玄組曲」のコーナーを今回はどのようなセットリストで構成するかがポイントとなります。ぜひ楽しみに待っていただければと思います。

――出産後復帰第1作『雪陽炎』をリリースされた際の「うたびと」のインタビューでは、ここからが丘みどりの第2章の始まりだと仰っていました。新たなスタートから約1年、今後の抱負を聞かせてください。

演歌歌手という枠にとらわれることなく、一人のタレント、一人の女性としてさまざまなことにチャレンジしていきたいです。映画撮影など、今年も挑戦の1年にしていきたいです。今後の大きな目標としては、念願の海外公演を実現させること。『椿姫咲いた』のような衣装なども含め、世界に向けて演歌のかっこよさを表現したいと思っています。

――世界のどこに行きましょう。

ラスベガス公演です。目標は高く!

――最後にファンのみなさんへメッセージをお願いします。

『椿姫咲いた』は、丘みどりにとって勝負の一曲、そして大きなチャレンジの一曲です。一人でも多くの方に聴いていただき、たくさん歌っていただきたいです。ぜひ応援してください!

丘みどり『椿姫咲いた』

2023年2月22日(水)発売

通常盤

品番:KICM-31091
価格:¥1,400

【収録曲】

1.椿姫咲いた(作詞:林あまり/作曲:金子隆博/編曲:杉山ユカリ)
2.さだめ燃ゆ
3.椿姫咲いた(オリジナル・カラオケ)
4.椿姫咲いた(歌メロ入り・カラオケ)
5.椿姫咲いた(半音下げ・カラオケ)
6.さだめ燃ゆ(オリジナル・カラオケ)

CD+DVD盤

品番:KIZM-759~60
価格:¥1,700

【収録曲】

1.椿姫咲いた
2.さだめ燃ゆ
3.椿姫咲いた(オリジナル・カラオケ)
4.椿姫咲いた(歌メロ入り・カラオケ)
5.椿姫咲いた(半音下げ・カラオケ)
6.さだめ燃ゆ(オリジナル・カラオケ)

【DVD収録内容】

・新曲ミュージックビデオ
・メイキングほか特典映像(予定)
※【CD+DVD】(KIZM-759)のCDと【通常盤】(KICM-31091)に収録される内容は同じです。

2023 丘みどり リサイタル

日時:2023年4月16日(日)17:15 開場/18:00 開演
会場:LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)東京都渋谷区宇田川町1-1
料金:S席¥7,500(1階・2階)、A席¥5,000(3階)
※1・2階席をお選びすることは出来ませんので予めご了承ください。
※3歳未満入場不可、3歳以上チケット必要

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