竹島宏がヨーロッパ3部作の最終章『サンタマリアの鐘』をリリース 「この3曲で、歌手・竹島宏の世界を作ることができたと思っています」

2023.3.15

甘い歌声で多くのファンを魅了する“令和歌謡”の旗手、竹島宏が3月15日にシングル『サンタマリアの鐘』(c/w『裏窓』【Aタイプ】、『しあわせの片隅で』【Bタイプ】)を発表した。2021年にリリースされ、第63回日本レコード大賞の日本作曲家協会選奨を受賞した『プラハの橋』、パリを舞台に、その『プラハの橋』の序章となる物語を綴った『一枚の切符』に続くヨーロッパ3部作の最終章だ。「大人の歌謡曲を歌える歌手になるという目標に一歩近づけたと思う」と話す竹島に、新曲にかける意気込み、どこまでいっても“歌”に結びついてしまう趣味の話、花便りを送り続けるファンへの思いなどを聞いた。


――2021年の『プラハの橋』、2022年の『一枚の切符』に続いて、新曲『サンタマリアの鐘』は、ヨーロッパ3部作の最終章という位置づけです。“3曲目”を最初にお聴きになった時はどんな感想でしたか。

最初は幸(耕平)先生のギターの弾き語りで、メロディだけの状態で聴かせていただきました。その時に思ったのは、モノトーン的なメロディというか、静かな曲というイメージでした。『プラハの橋』は、冒頭に語りがあってサビから盛り上がって歌い上げるという、いわゆる王道の歌謡曲、次の『一枚の切符』はサビ始まりでインパクトのある歌い上げ系。そう考えると前の2曲に比べて控えめな曲調だなという印象だったのですが、その分、どんな歌詞が付くのか楽しみでした。

――3部作の最後ということで、歌の主人公ふたりがどういう結末を迎えるのか、ファンも楽しみだったと思います。

今回で締めくくりになるのだろうとは思っていましたが、どんな展開になるのかは作詞の山田(ひろし)先生が構想されて詞に落とし込まれることなので、出来上がってくるまでは分かりません。パリを舞台にした『一枚の切符』は、物語的には『プラハの橋』の前の話なんですね。そうすると3曲目はもしかしてパリに行く前の最初の出会いの物語かもしれないし、逆にプラハで別れてしまっているけれど、まだ何か続きがあるのかもしれない。どっちなのだろうって、勝手に盛り上がっていました(笑)。

――実際に山田先生の歌詞を見ていかがでしたか。

最初は登場人物のおかれている状況が描かれた歌詞でした。山田先生は『プラハの橋』と『一枚の切符』を聴いていただいているファンの方に向けてという思いを強く持ってくださっていたのだと思うのですが、僕は前の2曲や竹島宏の歌すら初めて聴いたという方でも、このドラマの世界に没入できるような作品にしていただきたいと、お願いをしました。そうしてできあがったのがこの『サンタマリアの鐘』でした。先生は何度か手直しをしてくださったのですが、結果的には最初に書いていただいた歌詞にあった「静かに生きていこう」というフレーズを活かして、ふたり一緒に生きていくんだという静かなハッピーエンドの曲に仕上がりました。

――3部作の最後の曲ができた今、竹島さん的にはどんなストーリーを頭に描いて『サンタマリアの鐘』を歌っていますか。

プラハで別れたふたりですが、男性の方は未練を引きずりながら、次の恋にいく気力もなくイタリアで淡々と暮らしている。そこへ一度は日本へ帰った女性が、いろいろあったけれど、やっぱり自分の気持ちに素直に生きようと決意して戻ってくる。でも情熱的に燃え上がった昔のふたりとは少し違っていて、これからはふたりとも、お互いのことを尊重して、お互いの人生を理解しながら生きていけたら幸せだよね、そしてサンタマリア大聖堂の聖母マリア様もきっと自分たちのことを許してくださるよねって思っている――僕の中ではそんな物語をイメージして歌っています。

――「マリア様も許してくださる」ということは、彼女が恋人を残してイタリアに来たとか、不倫関係だったとか、ふたりの間には何か問題があったということですよね。

男性の方はまさか彼女が帰ってくるとは思ってもいなかったけれど、再会してもう一度恋に目覚めてしまったのでしょうね。いずれにしてもふたりの間には必ず何かしらの障害はあったのだと思います。

――『プラハの橋』を歌う時に、歌詞カードを見なくても聴きとれるような歌唱を心掛けたとおっしゃっていました。今回はその頃と歌い方は変えているのですか。

基本的には変わっていません。CDやラジオから曲が流れてきた時に、注意して聴かなくても自然に歌詞が入ってくる歌い方が理想ですので、今もそういう歌唱を目指しています。それよりも『プラハの橋』の頃から一番意識しているのは、大人の鑑賞に堪える歌を歌うこと。なので歌いまわしも少し落ち着いた表現を心掛けています。また、『サンタマリアの鐘』は歌としてはそんなに難しい作品ではないと思うのですが、幸先生のご指示もあって、今回僕はあえて難しく歌っているところがあります。ジャズの言葉ですが“アヘッド・オブ・ザ・ビート”とか“ビハインド・ザ・ビート”と言って、その曲のテンポより少し前目に歌ったり、ちょっと後気味に引きずるように歌ったりすることがありますが、この曲ではその辺りを意識しています。この意識を持たずに歌うとサラっと流れてしまうかもしれないので。

――今おっしゃった歌い方がわかるのは、曲のどのあたりでしょう。

出だしからです。「君のいない」の“きみ”のところ。普通のテンポより少しだけ前目に歌っています。違う言い方をすると語るように歌う感じです。それをメロディのとおり、譜割のとおりに歌うですが、その妙が難しい。簡単に言っていますけど、僕も最初はぜんぜんできなくて。でも幸先生がきっと竹島もそろそろ、こんなふうに歌えるんじゃないかと、その前提で作って下さったのだと思います。

――先ほど大人の歌を歌うことを意識しているというお話がありましたが、こうして3部作が揃ってみて、新しい竹島宏の魅力を確立できた手ごたえがあるのではないですか。

この3曲で竹島宏の世界を作れたのではないかと思っています。これまでもいろいろな歌にチャレンジしてきましたが、今ひとつ竹島宏の代名詞といえばこれというものがありませんでした。演歌・歌謡曲の世界を見ると、例えば三山ひろしさんだったり山内惠介さんだったり、皆さんそれぞれ自分の世界を持っていらっしゃる。さらに民謡系の方もいるし、氷川きよしさんのような方も。じゃあ、竹島宏は?っていわれた時に、他の歌手の方々がまだ歌っていない世界を探さなきゃいけないと思っていて、そんな時にいいタイミングで『プラハの橋』をいただきました。ちょうど「大人の歌を歌える歌手になりたい」と思い始めた頃でもありました。世はコロナ禍でしたけれど、活動の自粛もあって時間だけはありましたから、そこからはいろんな勉強ができて、逆に「大人の歌を」という目標により早く近づくことができたかもしれません。

――話は変わりますが、ヨーロッパ3部作に必ず出てくるワードに“切符”があります。切符にまつわる竹島さんの思い出があれば教えてください。

新幹線の切符を無くして、余分な費用がかかったという話ならありますが……。えっ?もう少し色っぽい話ですか。それは僕に一番遠い話ですよ(笑)。えーと、そうそう高校の頃、僕は自転車通学だったのですが、好きな女の子が電車通学だったので、わざわざ切符を買って同じ電車で学校に行ったことがありました。ラッシュ時にやっと2両編成になるような田舎の電車で、1時間に1,2本ですからその子がどの電車に乗るかわかっちゃうんですね(笑)。

――かわいい思い出ですね。ところで竹島さんは旅行に行くならヨーロッパ派ですか、アメリカ派ですか。

遊びに行くならヨーロッパ、仕事モードでエンタメを勉強するならアメリカですね。以前ニューヨークに行った時も刺激をもらいましたから。実はヨーロッパはまだ行ったことがないんですが、ファンの方から凱旋門から撮ったマロニエ並木の写真を送っていただいたり、「フィレンツェは母親と行った唯一の旅行先で、歌の舞台になってうれしい」とか、「昔、主人といったプラハの街が思い出されます」などなど、お手紙をいただいたりするのでイメージは膨らみますね。

――カップリングの『裏窓』『しあわせの片隅で』のことも聞かせてください。特に『裏窓』はタイトルのイメージもあると思いますが、聴いていて短編映画を観ているようでした。

確かにそうですね。作詞の松井(五郎)先生がフランス映画の『個人教授』のDVDジャケットを見せてくれて「このイメージだよ」って。もうそれだけで歌の世界が理解できました。レコーディングの時に先生はリード曲(『サンタマリアの鐘』)に合った内容にしておいたよっておっしゃったのですが、ヨーロッパシリーズで男女の物語ということを踏まえてこの2曲を作ってくださったんだと思って、さすがだなと思いました。

――『裏窓』にはセリフも入っていますね。あれは女性のセリフですか。

いや、男性です。セリフの中で「ねえ」って呼びかけるところの僕の言い回しが、女性が言う言葉っぽく聞こえるのかもしれませんね(笑)。でも確かに松井先生の歌詞ってジェンダーレスなところがあって、男性でも女性でも聴く人によっていろんな想像ができます。セリフは先生がこのくらいのテンポでねって語り聞かせてくださったままを頭に入れて語りました。

――竹島さんといえば話題なのがTwitterでの「花便り」です。昨年12月には1000投稿達成がニュースになりました。そもそも花言葉を投稿するきっかけは何だったのですか。

コロナ禍の緊急事態宣言の頃にお花屋さんの前を通ったら、そんな時でもお店は開いていて、お花屋さんが何かオアシスじゃないですけど、すごく清らかな空間に見えたんです。ただきれいというだけではなくて、お花は命があってこうやって咲いているんだなぁと思って感動してしまいました。で、ふと「ファンの方たち、コロナ禍でどうしているかな」と思った時に、Twitterで花の投稿をしてみるのはどうだろう、花には花言葉っていうものもあるし、ちょっとメッセージ性のある花言葉を添えて届けられたらということで始めました。

――毎回、新しい花や花言葉を調べるのは大変でしょう。

お花は買う時に一応、お店で名前を書いていただいたり、写真を撮ってこれは何という花でと確認したりはしていますが、たまに間違うこともあったりして(笑)。

――プロフィールのマイブーム欄には花もありましたが、他に薬膳酒作りや自然派食品、野菜・果物などあげています。健康志向なのですね。

そう、なるべく長生きしようと(笑)。まぁ、長生きしたいというよりおじいさんになっても歌っていたいということです。90歳くらいになった時にどんな声が出て、どんな風に歌えるのかに興味があって。それには食が大事だから、なるべく自然食品を摂るように気を付けています。そうすると体調も良くステージに臨めますし、肌や内臓の調子も良くなる。それは声にもいい影響があるはずです。こう考えていくと、口から入れるものはできるだけ負担のないものにしていくことが大事ですし、添加物から距離をおくとか可能な限り無農薬のお野菜を食べるとか、そういう意識は大切にしていきたいと思っています。

――他に、最近の一番のマイブームがあれば教えてください。

マイブーム…。結局、歌なんですよね。歌の事しか考えられないから趣味も広がらないんです。お花は好きだけど、それは趣味というよりファンの方との絆を大切にするために続けていることですし。……最近やっているのは街歩きかな。CDショップ巡りをしています。今、撤退しているCDショップが多いって聞いて、これからお世話になるかもしれない、すでになっているCDショップの現状が知りたくて、この間も渋谷や新宿を回ってきました。それに今は自分の中にいろんな音楽を吸収したい時期でもありますし。

――コロナ禍では西城秀樹さんの曲をよく聴いていたとお聞きしましたが、最近は?

今も聴いています。落ち込むと秀樹さんのDVDを観てから出かけたりしますね(笑)。あとこの間、葉加瀬太郎さんのコンサートに行って、あんなにエンタメ精神でステージをやられているのかと、いい意味でショックを受けて帰ってきました。もちろん演奏も演出も素晴らしかったのですが、驚いたのは、トークの間にカートの上に乗せたグッズを、たたき売りの口上みたいな語りで紹介していたこと。僕は自分のコンサートの途中で商品の話をすると、せっかくステージ構成を考えたのにストーリーが途切れてしまいそうで避けていたんです。でも葉加瀬さんのステージでは皆さんすごく喜んでいて、そういうことも含めてひとつのライブなんだと勉強になりました。僕も意識を変えて、商品を売るとかいう意味じゃなくて、もっと何か面白いことをやってみてもいいんじゃないかと思いました。

――最後にデビュー22年目となる今年の目標とファンへのメッセージをお聞かせください。

最近、ファンの方たちから「もう、宏くんの歌を聴かずには耐えられない」みたいな声をかけていただくことが多くて、すごい熱量を感じています。ただ、僕の歌を聴きに行きたくても仕事のことや病気のこと、家の事情などで行けないことも多いので、できるだけたくさんの場所に来てほしいという声も聞きますので、今年はできたら47都道府県、可能な限り生声をお届けに出かけていきたい、皆さんとの再会の一年にしたいと思っています。『サンタマリアの鐘』を大ヒットさせて、ファンの皆さんと一緒に幸せの鐘を鳴らすことができるように頑張りますので、よろしくお願いします。

竹島宏『サンタマリアの鐘』

2023年3月15日(水)発売

価格:¥1,400

竹島宏『サンタマリアの鐘』(Aタイプ)

Aタイプ

品番:TECA-23013

【収録曲】

1.サンタマリアの鐘(作詞:山田ひろし/作曲:幸耕平/編曲:坂本昌之)
2.裏窓(作詞:松井五郎/作曲:幸耕平/編曲:坂本昌之)
3.サンタマリアの鐘(オリジナル・カラオケ)
4.裏窓(オリジナル・カラオケ)

竹島宏『サンタマリアの鐘』(Bタイプ)

Bタイプ

品番:TECA-23014

【収録曲】

1.サンタマリアの鐘
2.しあわせの片隅で(作詞:松井五郎/作曲:幸耕平/編曲:坂本昌之)
3.サンタマリアの鐘(オリジナル・カラオケ)
4 しあわせの片隅で(オリジナル・カラオケ)

※ご予約、ご購入特典に関しては、随時HPなどでお知らせいたします。

LIVE/EVENT

3月18日(土)「サンタマリアの鐘 発表会」
会場:Live Lounge UEHARA(渋谷区)
①13:00開演  ②14:30開演  ③16:00開演

3月19日(日)「竹島宏 サンキューライブ」
会場:Live Lounge UEHARA (渋谷区)
①12:00開場 12:30開演  ②14:30開場 15:00開演

3月20日(月)「竹島宏 サンタマリアの鐘発売記念ライブ」
会場:誰も知らない劇場 (仙台)
①12:30開場 13:00開演  ②15:30開場 16:00開演

3月24日(金)「竹島宏ライブ Friday Afternoon」
会場:心斎橋PARCO SPACE14 (大阪)
①13:30開場 14:00開演  ②16:30開場 17:00開演

4月 2日(日) 「竹島宏ひろネットライブ~春~」
会場:愛知県産業労働センターウインクあいち
①13:00開場 13:30開演  ②16:30開場 17:00開演

4月 8日(土) ・9日(日)「竹島宏新曲発売記念スペシャルライブ」
会場:Live Lounge UEHARA (渋谷区)
①12:30開場 13:00開演  ②16:00開場 16:30開演

4月15日(土) 「竹島宏ライブ2023 GoGo福岡!のっていこーライブ♡」
会場:レソラNTT夢天神ホール (博多)
①12:00開場 12:30開演  ②15:00開場 15:30開演

★4月23日(日) 【世界的ギタリスト吉田次郎氏とのコラボライブ】
「竹島宏 赤レンガ♡デート2023」
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館 (横浜)
①13:00開場 13:30開演  ②16:00開場 16:30開演

5月24日(水)「令和にっぽん!演歌の夢まつり2023」東京公演
会場:東京国際フォーラムホールA
①12:30開演  ②17:00開演

5月28日(日) 「竹島宏夢の世界へお連れします2023in京都」
会場:京都劇場(京都)
①13:00開場 13:45開演  ②16:30開場 17:15開演

7月 2日(日) 「竹島宏ひろネットライブ~夏~」
会場:今池ガスホール(名古屋)
①13:00開場 13:30開演  ②16:00開場 16:30開演

【竹島宏 Live House Live Again】

6月 4日(日)鹿児島  6月23日(金)広島

7月22日(土)青森   8月20日(日)岐阜

=配信ライブ Streaming+=

3月11日(土)「竹島宏ホワイトデー♡ライブ」
Streaming+ 14:00~

4月 7日(金) 「竹島宏LIVE 春の夢」
Streaming+ 14:00~

 

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