福田こうへいがニューシングル『庄内しぐれ酒』をリリース 「同じ東北を故郷に持つ男の望郷演歌なので、自分の心情と重ね合わせて歌っています」

2024.1.1

福田こうへいが“2024年の勝負曲”と意気込む『庄内しぐれ酒』が新年1月1日にリリースされた。庄内(山形県北西部)を故郷に持つ男の望郷の思いを表現した王道演歌だ。「荒木とよひさ先生が書かれた詞を初めて目にした時は、12年前に歌手になることを決意して上京した気持ちがよみがえりました」と語る福田。徳久広司作曲のアップテンポな曲調とはうらはらに、遠く離れた街で成功するまで帰れないと思う男の心情を見事に歌い上げている。カップリング曲はミディアムバラードの『親友(とも)よ』とコンサートではお馴染みの『男の祭り唄』の2曲。このシングルにかける福田こうへいの思いと近況を聞いた。


自然体で歌の良さを引き出すことに集中

――新曲の『庄内しぐれ酒』ですが、最初に曲を聴かれた時の印象を教えてください。

前もって歌詞をいただいていて、レコーディング直前にデモテープで初めて聴いたのですが、ちょっと意外な印象を持ちました。歌詞の内容が、故郷を想っていながら夢をつかむまでは帰れないと意地を張る男の気持ちを表した、どちらかというと悲しい歌なのに、曲調がアップテンポで明るい感じだったので。

――悲しい歌を明るい感じの曲調で歌うのは、難しいと思われませんでしたか。

いえ、こういうのもありかな、と。自分も岩手から歌手として成功する決意を胸に上京したのですが、普段は前向きに明るくしていました。でも、ふと故郷を思い出して弱気になることもありました。そういうギャップをこの曲なら表現できるのではないかと思いました。

――歌詞には福田さんご自身と重なる部分があるのですね。

はい。デビュー前の希望と不安が入り混じった気持ちを思い出しました。早く田舎の家族を安心させたいという思いがある一方で、うまくいかないこともたくさんありました。でも、それを暗く歌うのではなく、徳久先生らしい明るい曲調で歌う方が、かえって今の人の心に届くのではないかと思っています。

――これからはコンサートでも、『庄内しぐれ酒』は聴かせどころで披露される一曲になると思いますが、そうしたご自身の気持ちを投影して歌われるのですか。

さきほどお話したように、自分と重なり合うところがベースにはあります。ただ、ことさらそれを表現しようとは思いません。歌というのは聴いてくださる方それぞれ、受け止め方が違うものです。自分の気持ちを強調するのではなく、むしろ自然体で、この歌の良さを引き出すことに集中します。

――歌に登場する望郷の地は庄内です。同じ東北なので、共感できる部分が多いのではないかと思います。

たしかに気候風土、生活習慣など似た部分はありますが、東北出身者から見ると各県、微妙な違いがあるのです。ただ、不思議なもので東北地方全体の一体感というのもあります。たとえば甲子園の高校野球では、自分の県の代表が負けたとしても東北の他県代表が勝ち残っていれば応援するとか。そういう心のつながりを感じながら歌えることは確かです。

――タイトルに“しぐれ酒”とあるように、都会に出た男が酒を飲みながら故郷を想う情景が描かれています。酒はやはり日本酒を連想しますが、福田さんはよく飲まれるのですか。

日本酒も好きではあるんですが、実はビール党で、ビールを延々と飲み続けるタイプ。ここだけは歌と違います(笑)。

――カップリングの2曲はどのような曲ですか。

『男の祭り唄』は、北島三郎御大の『まつり』のように、コンサートの最後を盛り上げ、にぎやかに終われる歌が欲しいということで、担当ディレクターにお願いして作っていただいた曲です。コンサート用の曲だったのですが、今回初めてCD化されました。

――ファン待望の一曲といっていいですね。

コンサートに来られたお客さまの余韻に残る曲だと思いますし、待っておられた方も多いでしょう。日常でも元気を出したい時に聴かれるといいのではないかと思います。

――『親友よ』についてはいかがですか。

担当ディレクターが「福田も演歌っぽくない1曲を持っていてもいいんじゃないか」ということで、大谷明裕先生に作っていただきました。歌謡曲調のしっとり聴ける曲です。今回のニューシングルは、タイプの異なる3つの歌唱を楽しんでいただけると思います。

芝居と歌、両方を楽しんでもらう特別公演にかける想い

――今年もたくさんのコンサートが予定されていますし、2月には新歌舞伎座(大阪)、3月には明治座(東京)での『福田こうへい 特別公演2024』が控えています。大活躍の年になりそうですね。

特別公演の開幕が迫ってきているので、ちょっと緊張しています。コンサートも毎回全力投球しているので疲れますが、特別公演は芝居とコンサートの2本立てですからね。終わった後は2倍以上疲れます。座長としての責任も感じますし。

――座長として心がけていることは。

チームワークを第一に考えています。芝居ではすべての出演者の方に気分よく演じてもらわなくてはなりませんし、スタッフもそう。裏側も楽しくなければ、お客さまが見る表側も楽しいものにならないですから、チームワークをよくする雰囲気づくりには気を配っています。そのひとつとして、こだわっているのがケータリングの食事や軽食、飲み物です。

――おいしいものを食べれば生き生きと仕事ができるということですね。

東北出身のせいか、温かい汁物が欠かせないんです。温かいものを摂ると活力が生まれるじゃないですか。体も心も温めて、誰もが気分よく仕事をしてもらうことが、お客さまに満足していただけることにつながると思っています。

――芝居は長谷川伸原作の「鯉名の銀平 雪の渡り鳥」。今回も時代劇です。

時代劇が好きなんです。小さい頃から「遠山の金さん」や「水戸黄門」、「三匹が斬る!」などをよく見ていて、芝居をするなら時代劇だという思いがあります。ただ、時代劇は立ちまわりがあるでしょう。セリフを覚えるだけでなく、殺陣の練習もしなければなりません。しかも練習期間は開幕前の約2週間と短いので結構大変です。

昨年は夢だったマグロの一本釣りを実現

――忙しい日々が続きますが、息抜きをする時間は取れていますか。

ゴルフが好きで、プレーしたい気持ちはあるのですが、去年はコンサートが200公演近くあったので、なかなかコースには出られませんでした。ただ、最高の思い出になることがありました。青森の大間でマグロの一本釣りができたんです。実はデビュー前からテレビを見て大間のマグロ漁師さんに憧れていたので貴重な体験でした。

――その機会を求めていたのですね。

はい。それで去年の7月、コンサートの合間に休みを取れることになったので、お世話になっている大間の漁師さんに連絡を取ってみたところ、「連れていってやる」と。飛んで行って、船に乗せてもらいました。そうしたら体験するだけでなく、77キロもある大物が釣れたんです。

――マグロの一本釣りというのは、素人でもできるものなのですか。

かなり難しいと思います。テグス(釣り糸)にエサの魚をつけて投げ、マグロが食ったらテグスを手繰り寄せます。最終的には電動の水揚げ機に頼りますが、食ってすぐはマグロとの駆け引きがありますから手で引く。相手は大きくて重くて力も強いですから、失敗すると指がちぎれ飛んでしまうこともある危険な漁なんです。その難しさをなんとかクリアして、77キロの大物が釣れた。うれしかったですね。テグスを引っ張る時のマグロとのやりとりは1回体験すると忘れられません。

――長年の夢が叶ったのですね。

釣れるかどうかは運の要素もありますしね。その時、感じたのは、自分が釣り上げたということでなく、あのマグロに選んでもらえたということです。マグロに対して感謝の気持ちが湧きました。歌手も一緒で、多くの歌手のなかからお客さまは自分を選んで歌を聴いてくださる。感謝を決して忘れることなく歌い続けようと、改めて思いました。

――最後に今年の目標と、ファンへのメッセージをお願いします。

今年の目標は勝負曲の『庄内しぐれ酒』のヒットと、特別公演とコンサートを成功させること、プライベートではもう一度マグロの一本釣りに挑戦して、今度は100キロ超えの大物を釣り上げたいですね。ステージではお客さまに喜んでいただくため、最高の歌を届けるよう努めますので、これまで通りのご声援をよろしくお願いします。

福田こうへい『庄内しぐれ酒』ミュージックビデオ

福田こうへい『庄内しぐれ酒』

福田こうへい『庄内しぐれ酒』KICM31121

2024年1月1日(月)発売

品番:KICM-31121
定価:¥ 1,650( 税抜¥ 1,500)

【収録曲】

1.庄内しぐれ酒 (作詞:荒木とよひさ/作曲:徳久広司/編曲:南郷達也)
2.親友よ(作詞:本橋夏蘭/作曲:大谷明裕/編曲:野村豊)
3.男の祭り唄(作詞:石原信一/作曲:弦哲也/編曲:南郷達也)

福田こうへい 特別公演2024 詳細

福田こうへい特別公演|公演情報|新歌舞伎座 (shinkabukiza.co.jp)

福田こうへい特別公演 – 明治座 公式サイト (meijiza.co.jp)

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