“音大声楽科卒業の民謡育ち”松阪ゆうきが、昭和歌謡テイストの『黄昏のシルエット』で新境地 「この曲に出会って“緊張”より“楽しい”が増えました」

2024.5.30

松阪ゆうきが、8枚目のシングル『黄昏のシルエット』(作詞:松井五郎、作曲:浜圭介、編曲:安部潤)をリリース。デビューから8年、“音大声楽科卒業の民謡育ち”で培った確かな歌唱力で民謡から演歌/歌謡、オペラ、ポップスまで幅広いレパートリーを歌いこなしてきたが、この新作で披露するのは昭和歌謡・シティポップを彷彿とさせるラブソング。これまでの作品にはなかったアップテンポなリズムで振りにも挑み、新たな境地を開いた。黒髪を茶髪に染め、ビジュアルイメージも一新した“スーパーハイブリッドシンガー”に、本作にかける思いや今後の目標などを聞いた。


普段出せない感情を歌で表現できるのは面白い

――新曲『黄昏のシルエット』は、昭和歌謡・シティポップの趣と、勢いのあるリズム感が特徴ですが、どのような思いから生まれたのでしょう?

近年、昭和歌謡を聴く若い世代が徐々に増え、海外では日本のシティポップが流行っていますが、そんなふうに洋の東西や世代を超えた幅広い方々に聴いていただける作品を作れたらと考えたのがきっかけです。僕自身、昭和歌謡やポップスに寄った曲を歌ってみたいという気持ちを温めていました。というのも、僕は祖父が民謡、祖母が演歌を聴いている環境で育ったのですが、一方で両親は歌謡曲好きで、僕も学生時代はJ-POPをよく聴いていましたから

――でき上がってきた楽曲を聴いての第一印象はいかがでしたか?

タイトルに「黄昏」とつくだけに、聴く前はゆったりした曲調なのかなと想像したのですが、これまでの曲にないテンポがあり、皆さんに新しい自分を見ていただける作品になると感じました。好きな女性への想いを「止められない」と歌う詞の世界にも、今までの自分にはない新しさがあります。恋人に向かって常に熱いテンションで「I LOVE YOU」と語りかけるような文化は、日本にはありませんよね。僕もこの「止められない」を前面に押し出して歌うことに、最初はちょっと恥ずかしさもありました(笑)。でも、すぐにその思いが変わったんです。歌の世界のなかで主人公になりきって表現すると考えれば、とてもすてきな熱い歌だし、普段自分がなかなか表に出せない感情を歌で表現できるのだから、むしろ面白いなって。

――メロディもテンポも詞の世界観も、新境地を切り開かれたんですね。

だから作品に合わせて、黒髪から茶髪へとイメチェンもしました(笑)。さらにもうひとつ、この曲には新しい自分を見ていただけるポイントがありまして。今回初めて振りもつけていただきました。歌いながら振りをする経験はなかったのですが、インプットしてしまえば、むしろこのようなテンポのある曲の場合は、振りをしながら歌うほうが楽だと感じました。なにより皆さんにうちわやライトを振ってもらいながら一緒に盛り上がれることが嬉しいですね。皆さんの前で歌う時、これまでは緊張感を感じることもあったのですが、『黄昏のシルエット』では、お客様との一体感が生まれることがとにかく楽しくて、ステージで“緊張”より“楽しい”が増えたなと実感しています。

――カップリングの『あの夏の蜃気楼』(作詞:友利歩未、作曲:樋口義高、編曲:猪股義周)も昭和歌謡のテイストを感じさせるロック調な楽曲。過ぎ去った恋を時の移ろいのなかに感じている男性が主人公ですね。

『あの夏の蜃気楼』も今まで自分が歌ってきた曲とは世界観が異なるストレートな表現が多くて(笑)。特に2番に、恋人が笑うだけで自分は無敵になれるというようなフレーズが出てくるのですが、「これ、普通に言っていたとしたら、メッチャ恥ずかしいわ!」と、最初は戸惑いました(笑)。それだけにどのようなテンションで歌うかは、すごく考えました。かつての彼女と過ごした夏のワンシーンを懐かしんだり、ちょっと切ない気持ちになったり、あの夏に戻れたらと思いながらも、今は前に進んでいる……そんな状況を重く歌うのは違うし、サラッと歌うのも違う。主人公は「無敵になれた」と本当に思ったのだから、最終的にはもう振り切れるくらい熱くていいのかなと考えて、今は思い切り歌わせていただいています。

悩んだ時は、オケのみの『アヴェ・マリア』と都庁展望台

――4月19日に日舞パフォーマーの花園直道さんの「芸能生活20周年記念公演 花園城だよ! 全員集合」にゲスト出演され、初めて明治座の舞台に立たれました。

明治座は観にいったことは何度もありましたけど、ステージに立つのは初めてでした。本当に貴重な機会をいただいて、素晴らしい経験ができたなと感謝しています。直道さんとは、日本舞踊をはじめ、民謡や三味線など日本の〈和〉の世界をテーマにしたエンターテインメントショーの「花園直道~百花繚乱☆華FUBUKI~」に出演させていただいているご縁で、3~4年ほど全国を一緒に回らせていただいていているのですが、20周年って本当にすごい! 僕は今年の10月でデビュー9年目に入るのでまだ半分以下ですが、明治座という歴史ある舞台での20周年記念公演ということで、直道さんの気合いを袖で見ていてひしひしと感じました。満員の客席をはじめ、多くの方がお祝いに駆けつけ、僕も20周年には大きな劇場で座長公演を行えるようになりたいと思いました。

――2年前の「うたびと」インタビューでは、オーケストラコンサートも目標としていると語られていました。

音大の声楽科を出ているので、コンサートホールでオーケストラをバックにコンサートができるようになれればいいなと思います。いろいろな曲を歌ってきましたが、やはり声楽が自分の根本にはありますから。ただ、クラシックって技術はもちろんですが、いい声で評価されるところがあって、それは一方では癖がなく、サラッと流れてしまうことになりかねないとも思っているんです。クラシックを普段あまり聴かない人たちからすると、個々の違いがわからなくて、誰の歌を聴いても同じというような。だから音大で学んできたことにプラスして、なにかしらの自分なりのエッセンスを取り入れたいと考えています。たとえば、布施明さんのような世界観の歌を、オーケストラをバックに歌えていけたらいいですね。

――“スーパーハイブリッドシンガー”のキャッチフレーズどおり、クラシックに民謡に演歌に昭和歌謡にと、本当に幅広い音楽をレパートリーとされていますが、プライベートでリラックスしたい時は、どんなジャンルの音楽を聴くのでしょう?

浄化されたいなって思う時は、『カヴァレリア・ルスティカーナ』というオペラの間奏曲、ピエトロ・マスカーニの『アヴェ・マリア』の歌が入っていないバージョンを聴いています。悩みごとがある時も、たいてい歌が入っていないオーケストラだけのクラシックを聴くことが多いですね。いくつかのオーケストラによる演奏を聴き比べて、この部分はこのオケよりこっちのオケの方がいいなとか。そんなことをやっていると、悩みごとなどどうでもよくなってくるんです(笑)。

――マニアックなストレス解消法ですね。

悩みがあるときは高い所にも好んで行きます。昔からよく行くのが都庁の展望台です。高い所から下を見ると、人が米粒くらいに見えるじゃないですか。そういう景色を見ていると、自分が悩んでいることが馬鹿らしいなと思えてくるんです。別に病んではいなかったのですが、先日久しぶりに都庁の展望台に立ち寄ったら、やっぱり気分が楽になって「また頑張りましょう!」という気持ちになれました。

――体のメンテナンスでは、日頃、どのようなことに気を使われていますか?

湯船に浸かることが大事ですね。先日ちょっと忙しくて2週間くらいシャワーだけで済ませていたら、かなり疲れを感じてしまって。そこで家でお湯を張って入浴剤を入れて浸ったら、疲れが取れてすっかり楽になったんです。血行が良くなって汗をかくのがいいのかもしれませんね。サウナも嫌いではないのですが、そんなに長い時間入っていられないんです。5分くらいでもう無理! となってしまうので、いまだ“ととのう”という感覚がよくわかりません(笑)。家でお風呂に入る時は、半身浴で30分くらい時間をかけて、音楽を聴いたり、スマホでYouTubeや配信のドラマ・映画を見たりしています。

――今後のファンのお楽しみとして、(5月30日現在で)放送日は未定ということですが、フジテレビ系の「オールスター合唱バトル2024」に演歌チームの一員として出演されます。練習を重ね、本番の収録ももう終えられたそうですね。

初めて出演させていただきました。合唱は音大でもやっていたので、まったく抵抗はなかったのですが、挑戦した楽曲がAdoさんの『唱』。まるで早口で「何これ!?」の連続、もう大変でした! しかもメロディは女性のソプラノが歌って、僕らテナーはメロディとは関係ないパートを歌うので、それを覚えるのが大変で。カンペは出ないので、完全に暗譜しなければいけないし、本当に苦戦しました。演歌チームは過去3回の放送ですべて優勝していることもあって、プレッシャーも大きいですから。でも、そんなこんなも含めて、みんなで熱い思いを持ってひとつのものを作り上げようという作業はやっぱり素晴らしいと実感しました。他のチームの皆さんも「大人になってからこういう経験はなかなかなかできない」と話していて、本番で歌い終わった瞬間、感極まって泣いている方も大勢いらして、僕もちょっとウルウルしてしまいました。演歌チームがどうなったか、ぜひ放送をお楽しみに。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

『黄昏のシルエット』は、今までとまったく違う新生・松阪ゆうきを感じていただける作品です。音大出身、民謡出身ということで、僕に対して堅いイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはまったくないことを、この曲を広めることでより多くの方々に知っていただきたいと思っています。構えることなくフレンドリーにお声をかけてください。応援をよろしくお願いいたします!

松阪ゆうき『黄昏のシルエット』ミュージックビデオ

松阪ゆうき『黄昏のシルエット』

発売中

品番:KCA-91566

価格: ¥1,500 (税抜:¥1,364)

【収録曲】

1.黄昏のシルエット(作詞:松井五郎/作曲:浜圭介/編曲:安部 潤)
2.あの夏の蜃気楼(作詞:友利歩未/作曲:樋口義高/編曲:猪股義周)
3.黄昏のシルエット(オリジナル・カラオケ)
4.あの夏の蜃気楼(オリジナル・カラオケ)
5.黄昏のシルエット(半音下げカラオケ)
6.あの夏の蜃気楼(半音下げカラオケ)

 

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