二見颯一が作曲に堀内孝雄を迎え、新曲『泣けばいい』をリリース! 「絵画で言えば、草原や大空を描いたような壮大な曲。各々の物語を重ねて聴いていただければ」
前作『罪の恋』で大人のラブソングを披露し、新たな一面を見せてくれた二見颯一が、9枚目のシングル『泣けばいい』(C/W『花唄』)をリリース。作詞・石原信一、作曲・堀内孝雄、編曲・丸山貴幸という強力な布陣で臨む新曲は、ラブソングの枠を超え、聴く者を想像の果てまで連れていくスケールの大きいバラード曲。デビュー5周年の区切りを経て、新しい一歩を踏み出した二見颯一に、新曲への思い、若手歌手たちとの交流から最近ハマっているという陶芸の話題まで、大いに語ってもらった。
――『泣けばいい』は前作同様、切ないラブソングですが、前作が演歌だったのに対し今回は歌謡曲です。最初に聴いた時はどんな感想を持ちましたか。
最初に思ったのは、主人公が逢えなくなった“きみ”は、聴く人によっていろんな捉え方ができるなということでした。歌詞を一読すると、主人公には恋人がいて、何らかの事情でその恋人と会えないというストーリーが思い浮かびますが、実はそれは恋人に限らない。昔の友人だとか、もしかしたら家族かもしれない。いろんなふうに解釈して聴いていただける歌だろうと思いました。
――以前、二見さんは歌詞の世界を自分なりのストーリーに組み立てるとおっしゃっていましたが、そうすると今回はどんなふうに曲と向き合っているのでしょうか。
これまでとは違って、歌の中にあまり自分の作り上げたイメージや考えを入れずに、シンプルに歌おうと思いました。聴いてくださる皆さんがそれぞれの捉え方をしていただけたら嬉しいです。 僕の好きな絵で言えば、人物画のような具体的なモチーフではなく、草原や大空を描いた風景画のような感じがしています。
――作曲の堀内孝雄さんからは、歌うにあたって何かアドバイスはあったのでしょうか。
堀内さんは二見颯一の新しい魅力を引き出しつつ、でも民謡で培ったやまびこボイスも消したくはないとおっしゃって、最初は抑えめに、後半からは二見颯一らしい伸びやかな声で歌ってほしいとアドバイスをいただきました。なので『泣けばいい』は、新しい二見颯一の歌い方や節回しとやまびこボイスの両方が聴ける一曲になっています。
――とてもシンプルな曲ですが、二見さんご自身としてはどこをポイントに歌っていますか。
堀内さんがおっしゃったように、全体の流れで言うと、1番はなるべく抑えて言葉を一つずつささやくように、2番に入ってからは感情を表に出して歌っています。2番の歌詞では主人公の悲しさや一緒に過ごしていた時の楽しさなど、いろいろな感情が渦巻いているのを感じますし、音的にも2番の中盤からコーラスも入り、オケも重厚にスケール感を増していきます。そういう意味で僕は、2番により比重を置いて歌っています。
――確かに2番の中盤からドラマチックな展開になっていきますが、この構成はクラシックご出身で、数々のアレンジを手掛けてこられた丸山貴幸さんのアイデアも活かされていそうですね。
今回のアレンジは、120パーセント丸山さんに委ねました。ピアノも弾いていただいていますが、デモの時、仮で録音した時、そしてレコーディングの時とそれぞれイントロが違っていて、丸山さんも完成に近づくにつれてこの曲に対するイメージが膨らんでいかれたようでした。丸山さんによると、冒頭のただ悲しいという感情が、次第に昇華されていって最後は空のかなたへ昇っていく―そんなイメージを表現できるように、コーラスも入れて音もだんだん増やしていって、立体的になるように作ったとおっしゃっていました。
――作詞の石原信一さんとも初めてのタッグだと思いますが、曲を作るにあたってディスカッションはされたのですか。
まだメロディーが出来上がる前に最初の歌詞をいただいたのですが、そこから僕のイメージもお伝えして少しずつすり合わせていった感じです。最初の歌詞はディティールがすごく具体的で素敵な詞だったのですが、石原先生とやり取りをしていく中で、次第にもう少し抽象的な詞でもいいのでは、ということになりました。僕の意見や僕にこんな歌を歌わせたいというスタッフの気持ちを汲んでいただいて素晴らしい詞に仕上げていただいたと思っています。
――気持ちよく歌えるバラード曲でもあり、カラオケで歌うファンも多いと思います。何かアドバイスをいただけますか。
一番のポイントは、やはりタイトルにもなっている「♪泣けばいい」を繰り返すところです。メロディーとしては高低差があってすごく難しいので、しっかり一音、一音よく音を聴いて歌っていただけたらと思います。それから、石原先生と詞のやりとりをしている中で、僕が絶対に残してほしいとお願いしたのが、冒頭の「♪愛するきみに」の一節。この一節を見た時に、自分に手紙をもらったような気がしたんです。皆さんも大切な誰かから、自分に届いた手紙を心の中で読んでいるような気持ちで歌ってみてください。
――カップリングの『花唄』は一転、夢や希望をテーマにしたメジャー調の曲です。作曲を大谷明裕先生、作詞をもりちよこ先生が手掛けられた曲ですが、どんな曲か紹介してください。
大谷先生とは2作品目で、前回作っていただいた『秋時雨』は、長年連れ添った奥様を亡くされた男性の気持ちを歌った悲しいバラード曲でしたが、今回は真逆の明るい曲。こういう歌を二見が歌うとどんな感じになるかなと思って作ってくださったのだと思います。もり先生とはご一緒するのは初めてでしたが、「春に満開の大きな桜の木の下で歌っているような歌で、二見くんのイメージとぴったり」とおしゃっていただきました。本当に明るくて、希望に満ち溢れていて、何の不安もないみたいな曲です。まだ人前では歌っていませんが、きっと好きになってくれる人がたくさんいるのではないかと思いますので、楽しみにしています。
――6月には初のカバーアルバム『やまびこソングス』も発表されました。1952年の『赤いランプの終列車』から1995年の『情炎』まで、年代的にも幅広い12曲を収録していますが、曲はどのように決めたのですか。
もちろん僕の意見も入っていますが、ディレクターさん、事務所のスタッフ、それから水森(英夫)先生も候補曲を出してくださって、60曲程の中から話し合って12曲を選びました。水森先生はデビュー前から「二見には民謡もあるけれど、本当の魅力はムード歌謡だ」とおっしゃっていて、今回も『ラブユー東京』や『小樽のひとよ』など全部ムード歌謡ばかり20曲程、選んでくださいました。
――昭和歌謡ブームと言われて久しいですが、この12曲を歌ってみて、改めて昭和歌謡の魅力はどこにあると思いましたか。
完成したアルバムを聴いた時、12色の色鉛筆箱のふたを開けたような感じがしました。それぞれの曲が違った色で輝いていて、人によって好きな色があるように、皆さん一人ひとりに好きな曲があるんだろうなと思うと、昭和歌謡の幅の広さに多くの人が魅せられる理由が分かる気がしました。でもアルバムを作って一番思ったのは、この魅力的な歌を、僕ら若手の歌手が歌い継いでいかなくてはいけないということです。
――二見さんにとってもそれぞれ思い入れのある12曲だとは思いますが、どれか1曲、思い出のある曲を挙げていただき、エピソードなどありましたら教えてください。
水森先生に歌を習っていた頃、原曲の歌手の方の歌い方を真似して歌うレッスンがありました。よく「『小樽のひとよ』を三條(正人)さんのように歌ってみろ」と言われて、あのファルセットを入れた歌い方を真似していた時期があったので、未だに『小樽のひとよ』は三條さんの歌い方に寄ってしまいます。聴いてみて、今回も寄っているなと思いましたね(笑)。
――では、アルバムの中の『小樽のひとよ』は、三條さんバージョンなんですね。
ただ、僕は『小樽のひとよ』のリリース時からだいぶ時間が経ってからの三條さんの歌を聴いていましたので、レコード会社に残っていた原盤のオケで歌ってみたら微妙に合わなかったんです。なので今回のレコーディングでは、僕の聴いていた節を原盤のオケに合うように矯正しました。ずっと歌ってきた歌が、いざレコーディングしてみると違っていたという落ちが付きました(笑)。
――7月5日には「やまびこコンサート2024 in東京」が行われ、話題になりました。ロックあり韓国民謡あり、カンツォーネあり、ダンスも披露するなど盛りだくさんの内容でしたね。
毎回、“揚げ物の詰め合わせ”みたいな(笑)内容でお届けしていますが、今回はこれまで越えられなかったハードルを、少し超えられたかなと思いました。初めてバンドも入れ、ダンスも今まで以上に難しい振りに挑戦できましたし、曲数もいつもより5,6曲多くて、体力的にも心配でしたが最後まで楽しく歌えたと思います。客席のラウンドもさせていただいて、ファンの皆さんとより近い距離で交流できたことも、これまでより余裕ができたかなと感じられて、今回は特に手ごたえを感じたコンサートになりました。
――ここまで幅広いジャンルの曲を歌う意図はどこにあるのでしょうか。
演出の方からは、これから、どんどん自分の曲が増えてきて、新しいジャンルの曲に挑戦できなくなってくる。だからこそ、どこまで自分がやれるか、二見颯一の幅を広げるのは、今しかないと言われています。毎回、コンサートのセットリストを見た時は無理じゃないかと思うのですが、今のところ乗り越えてきているので、今はなるべくできるところまで行きたいと考えています。
――その他、彩青さんとのライブハウスツアー、演歌男子や第7世代のコンサートなど、ライブが目白押しです。
彩青さんとのライブハウスツアーは、純粋に民謡をお届けするライブをやれればと考えて作りました。彩青さんの三味線、尺八と僕の三味線で王道の民謡をお届けしたり、バンドのメンバーと民謡をアレンジして演奏したりしています。第7世代のコンサートは、今回新浜レオンさんが卒業されて4人になったのですが、次回からはゲストという形で新しいメンバーにも参加していただいて新たな形態で出発します。
――最近も、第7世代の皆さんとはご飯に行ったりして、いろいろ話されているんですか。
最近は、プライベートも含めて会う機会は少なくなっています。時々、辰巳ゆうとさんと、「皆、ソロでコンサートやったり一座公演をやったりと、一人の仕事が増えたよね」と話すのですが、考えてみると個々の実力を高めるために第7世代の活動をやってきた一面もあるので、それは嬉しいことでもあるんです。皆、ここ3年くらい理想の形で活動できていると思っていますので、会えないのは寂しいですが、お互いSNSなどで頑張ってるなって確認しあっている感じです。
――一方で、若手の皆でバンドをやろうかという話が出ているとお聞きしましたが。
皆でバンドができたら楽しいねという話を、僕と三丘翔太さんとしていたら、徳永(ゆうき)さんが、「皆、一芸あるわけやからやったらいいやん」って。徳永さんは何やりますかって聞いたら、「俺は口だけや」って言ってましたけどね(笑)。それで3人で、ピアノは誰、ギターなら誰って名前を挙げていったら、それぞれ得意分野を持っていて、じゃあロックもジャズも何でもできるって盛り上がりました。これは本当に実現しそうな感じでして、演歌男子の間では話題に上がっているんです。実際7月の「演歌男子。10周年フェスティバル」ではやる一歩手前まで話は進んだのですが、なかなか集まって練習する時間がとれなくて断念しました。でもいつか実現したと思っています。
――実現したら二見さんは、何の楽器を担当するのですか。
僕はプロデュースとか演出かな。言い出しっぺの三丘さんも徳永さんも、「俺は出ない」って言っていて、プロデュースしたいだけの3人が集まった感じです(笑)。
――少しプライベートなこともお聞きします。絵は前からお得意ですが、最近は陶芸にハマっているとお聞きしました。
これまで絵とか篆刻はやってきましたが、立体的な造形もやってみたくなりまして。そうしたら知り合いが陶芸家の方を紹介してくださって始めました。例えばお皿でも自分で作ると愛着がわいてくるもので、ハマってしまいましたね。湯飲みとお茶碗など4つほど作りましたが、将来的には土も自分で採りに行って、自分の窯を持てたらいいなと思っています。
――やはりアート系のことがお好きなんですね。
楽しいですね。よく、いつやっているんですかって聞かれるのですが、常に考えているような気がします。街を歩いていても思いついたアイデアをメモしたり、看板などで面白い書体を見つけると写真に撮って、それを印鑑に彫ってみたり。先日の「やまびこコンサート」では、ロビーに、アクリル絵具で描いた僕の絵を飾らせていただきました。
――だんだん本格的になってきましたね。
そうですね(笑)。家には常に制作中の絵がイーゼルにかけてあって、椅子を回したらこっちにはパソコンが、あっちにはいつでも彫れるように篆刻のセットや石が並べてあります。もし1か月休みがあったら、ですか? たぶんずっと家に籠って絵を描いていると思います。僕、描き始めたら水も飲まず、ご飯も食べずに描き続けるようなところがあって、体にも悪いので自分でもダメだと思うのですが、ついやってしまいます。
――じゃあ、将来はどこかに大きなアトリエを作って存分に創作活動ができたらいいですね。
以前、水森先生に「歌手で大きくなる以外の夢は何だ」と聞かれて「東京の郊外か、故郷の宮崎にアトリエを持ちたいです」と答えたら、「どうせ持つなら、銀座の真ん中で持て!!」って言われたことがあるんです(笑)。夢はでっかく、銀座にアトリエですね。
――最後にこれからの目標をお聞きしますが、まずデビュー6年目を迎えた今の思いを聞かせてください。
ありがたいことに『罪の恋』から応援してくださる方がたくさん増えてきておりますので、『泣けばいい』でまた新たな一面を見せられたらと思っています。
――これから先の目標や夢があれば教えてください。
「やまびこコンサート」は、今は宮崎と東京の2か所でやっていますが、もっともっと開催地を増やして、大きなコンサートにできればいいと思います。そのためにも『紅白』や賞レースも頑張らなくてはなりませんが、今はとにかくライブで僕の生の声を聴いていただく機会を増やすことを一番の目標にしています。
――では改めて、新曲『泣けばいい』をファンの皆さんにPRしてください。
作曲してくださった堀内さんからは「二見颯一にしか歌えない曲で、今後、二見颯一と言えば『泣けばいい』と言われるような曲を作った」と言っていただきました。壮大なメロディーと歌詞で、タイトルは少し悲しい感じがしますが、最後には雲間から虹が見えるような、希望を感じさせる歌になっています。聴く方によっては応援歌として聴いてくださる方もいるかもしれません。皆さんそれぞれの受け取り方で聴いて、歌って、楽しんでいただければと思います。
二見颯一『泣けばいい』ミュージックビデオ
二見颯一『泣けばいい』
2024年8月7日発売
品番:CRCN-8677
価格:¥1,500(税抜価格 ¥1,364)
【収録曲】
1. 泣けばいい (作詩:石原信一/作曲:堀内孝雄/編曲:丸山貴幸)
2. 花唄 (作詩:もりちよこ/作曲:大谷明裕/編曲:竹内弘一)
3. 泣けばいい [オリジナル・カラオケ]
4. 花唄 [オリジナル・カラオケ ]
5. 泣けばいい [一般用カラオケ(半音下げ)]
6. 花唄 [一般用カラオケ(半音下げ)]
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