東京力車がデビュー5周年。新曲『涙ひとしずく』を作詞した純烈・酒井さんから「仲間(ファン)の力を借りて、一緒に歩む意識を持て!」と叱咤されました

2024.9.27

今年6月のデビュー5周年コンサートを満員御礼で飾った現役俥夫ユニット・東京力車が、純烈のリーダー・酒井一圭が作詞を務めた新曲『涙ひとしずく』をリリース。不安と野望を胸にがむしゃらに走る3人の等身大の姿が描かれた、東京力車としては初のザ・歌謡曲だ。すでに有線演歌歌謡曲リクエストランキング1位オリコン週間演歌・歌謡シングルランキング1位と好評を博しているこの楽曲に託された、酒井から東京力車へのメッセージとは。東京力車を育ててくれた恩人たちや浅草の街への感謝など、泥臭く駆け抜けた5年間の思いを語ってもらった。


──新曲『涙ひとしずく』は純烈のリーダー・酒井一圭さんによる初の提供曲。どのような経緯で決まったのでしょうか。

石橋拓也(以下、石橋 酒井さんは東京力車を再起させてくれた恩人です。そしておかげさまでメジャーデビュー5周年を迎えさせていただいた、この大切な節目の曲を「酒井さんに書いていただきたい。酒井さんでなきゃダメです」と、僕とマネージャーで直談判に伺い、快諾していただいたという経緯です。

──そもそも酒井さんとはどのような関わりが?

石橋 もともと東京力車は5人でメジャーデビューしました。それが1人抜け、2人抜け──。特に「ここからだ」と気合を入れていたタイミングにメンバー脱退があった時は「もう東京力車はダメなんじゃないか」と、完全に心が折れてしまって。そんな時に酒井さんが「嵐は過ぎ去った。お前らはもう晴れるだけや」とLINEをくださいました。

白上一成(以下、白上) あの頃、僕もどこかですれ違った時に、酒井さんから「やめるなよ」と声をかけていただきました。順調な時はいろいろな方がよくしてくれるものですが、どん底の時に救いの手を差し伸べてくれる方は滅多にいないですよね。ちなみに後日、「あの時、酒井さんの言葉を信じてここまでやってきました」とお礼を言ったら「いや、あれはユニットじゃなくて、人力車をやめるなという意味だった」とおっしゃられて。「あれ? 勘違いだったかな」と思ったりして。

──照れ隠しだったのでは?

白上 絶対そうですよね(笑)。酒井さんって、みなさんがイメージしている以上に情の厚い方です。

──なぜ酒井さんはそこまで東京力車を気にかけてくれるのでしょう?

田井裕一(以下、田井) 不思議でした。純烈さんの番組にゲスト呼んでいただいて「お前らおもろいな」「珍獣や」とイジっていただいたことはありましたが、実はそれほど共演経験は多くない。それにも関わらず、いろいろな人に「東京力車、応援したってな」と呼びかけてくださいました。でも「涙ひとしずく」の歌詞をいただいて、酒井さんのお気持ちがわかったような気がしました。

石橋 直談判に伺った時に、酒井さんに東京力車のこれまでを全て話しました。それこそ歌い出しの<笑えるくらいに 銭がねぇ>というフレーズじゃないですけど、始めたばかりの頃は疲れて家に帰ったら電気と水道が止まっていたほどお金がなかった。笑いながら聞いてくださった酒井さんが、ふと「昔の俺らに似てるな」とおっしゃったのが印象的でした。

田井 日頃から気にかけてくださっているとはいえ、「歌詞を書いてください」なんて、純烈さんの人気に乗っかろうとしていると思われても仕方がない。だけど、酒井さんはじめ純烈のみなさんも、ブレイクするまでたくさんの辛酸を舐めてこられた。そんなご自身の経験とリンクするところがあったのも、作詞を快諾してくださった理由の1つなのかなと思います。この曲を通して、改めて純烈が歩んできた道のりの一端を知ることができたのと同時に、東京力車の進むべき道の正解がわかった気がしました。

──「涙ひとしずく」は、アクロバティックなパフォーマンスで魅せてきた東京力車では珍しく、ストレートな歌謡曲ですね。

石橋 東京力車のリード曲では初のカラオケ映えする曲になりました。これは酒井さんからのアドバイスですが、東京力車のパフォーマンスはいいけれど、みなさんに曲を覚えてもらって、歌っていただくという意識が低かったんじゃないかと。「それこそ紅白を目指すなら、そういうことも大事やぞ」とおっしゃって、作曲は歌謡界の大御所・徳久広司先生にお願いしました。

田井 歌う時のポイントは、とにかくがむしゃらに、泥臭く、まっすぐに。特に<しゃら臭ぇ>や<火の車>といったラ行の歌詞は巻き舌気味で歌うと、より男っぽくハードな雰囲気が出せると思います。

白上 サビを歌う時は、ぜひ振りも入れてみてください。ライブやキャンペーンでは振りのレクチャーもしているのですが、早くもたくさんの方が覚えてくださっていてうれしいです。

──そしてカップリングの「浅草ララバイ」は、東京力車のオリジナル曲としては、初の浅草への思いを歌ったノスタルジックな曲です。

石橋 5年目にしてようやく、浅草に感謝を込めたこの曲を歌わせていただけるという感慨でいっぱいです。僕たちは3人とも生粋の浅草っ子じゃなくて、それぞれ地元から夢を追いかけてこの街に辿り着き、この街で出会い、そしてこの街に育ててもらいました。浅草は遊びに行くのは楽しいけれど、腰を据えてやっていくのは厳しい街でもあります。それこそ最初の頃は「浅草を利用しているのか」という批判的な意見もありました。でもそれはずっと浅草を大切にしてきた方たちからしたら、当然のことだったと思います。

田井 コロナは1つの転機だったと思います。あの頃は人力車のお客さんがゼロの日もザラで、浅草のお店も軒並み閉まって、みんな疲弊し切っていました。その時に何かできないかということで、人力車を走らせながら浅草を紹介する配信を行いました。それを浅草の方たちが街で見かけてくれて、そこから「この厳しい状況を一緒に乗り越えよう」という雰囲気になったように感じます。

白上 たしかにあの頃から、お店にポスターを貼りに伺っても、温かく迎えてくださることが増えましたね。「新曲、聞いたよ」「頑張れ」と声をかけてくださる方も増えました。最初の壁が高い分、いざ受け入れてくれたら、どこまでも温かいのが浅草という街です。

──イントロの「頑張れよ ありがとうな」というセリフは、どなたの声ですか?

石橋 浅草木馬亭で活動されている劇団「お笑い浅草21世紀」の大上こうじ座長にお願いしました。僕らをよくゲストで呼んでいただくのですが、そのたびに「東京力車を紅白に連れて行ってくれ」とお客さんに呼びかけてくださる、大切な浅草の恩人の1人です。

田井 曲の冒頭には、今年の浅草三社祭の賑わいの音を入れました。歌詞にたくさん浅草の風景を詰め込みましたので、この曲も全国各地で歌って、たくさんの人を浅草に呼び込みたいと思っています。

──もう1曲のカップリング『命の華』は、東京力車の真骨頂とも言える“粋”で“伊達”な勢いのあるナンバー。パフォーマンスも楽しみです。

石橋 この曲では初めてパフォーマンスに刀を取り入れました。日本の伝統文化を世界に届けていきたいというのも東京力車の目標の1つ。浅草にもコロナ前以上に外国人のお客さんが戻ってきましたし、この曲を通して日本の魅力を存分に伝えたいと思います。

田井 人力車に乗ってくださる外国の方もさらに増えましたね。僕らは音楽活動と並行して現役俥夫でもあるので、浅草の魅力を言葉でもお伝えできたらと、今年から少しずつ英語の勉強を始めました。人力車もまた日本の伝統文化で、誰かが繋いできてくれたからこそ、今の僕らの仕事があります。たしかに非効率極まりない乗り物です。だけど、人間の力で引くからこそ生まれるコミュニケーションは絶対にありますし、「どんな便利な乗り物よりも楽しませるぞ!」というプライドをもって、これからも俥夫の活動を続けたいですね。

──デビュー5周年を迎え、白上さん、田井さんは30歳になりました。年齢を重ねて実感することはありますか?

田井 自分だけでなく、僕らを応援してくれている方々も同じように年齢を重ねていると感じることが最近は増えました。それこそ初期からずっとライブに来てくださっていた方が、ある日を境に急に姿が見えなくなったことがあって、後でその方が人生を終えられたことを知りました。20代の頃はあまり意識しなかったけれど、人生には限りがあることや、その間でいかにご縁のあった方々に恩返しできるかということも考えるようになりましたね。

白上 身内の話ですが、僕のおばあちゃんは90歳手前で、最近あまり体の調子が良くないです。先日の(出身地である)滋賀県栗東市のライブはなんとか行きたいと楽しみにしてくれていたのですが、台風で中止になってしまって(2025年4月20日に振替公演が決定)。こんな仕事をしていると、孫としておばあちゃんの側にいてあげられないこともあります。そんな僕がおばあちゃんにしてあげられることって、やっぱり東京力車を頑張ることなのかなと、結局はそこに戻ってきますね。

石橋 僕はひと足先に30代になっていますが、2人の言うことはすごくわかります。若い頃は「俺が、俺が」みたいなところもありましたが、年齢を重ねると共に関わる人も増えていきますし、そうするとより大切な人たちに幸せであってほしいと思うようになります。あとは自分の非力さというか、多くの人の支えがあって自分が立っていられるということにも気付きました。

──石橋さんは今年4月に2度目の喉の手術と休養を経験されています。体を労る大切さも痛感されたのではないでしょうか。

石橋 その通りです。それこそ酒井さんからも「リーダーなんやから、しっかりせえ!」と叱咤されました。「がむしゃらにやるのはいいけど、倒れるまでやるのは違う。仲間(ファン)の力を借りて、一緒に歩んでいくという意識を持て」と。『涙ひとしずく』がアクロバティックなパフォーマンスではなく、しっかりと歌を届ける曲調になったのも、長く活動するという目標を見据えてのことです。

──では最後に、ファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

田井 『涙ひとしずく』は東京力車の生き様を酒井さんが歌詞に込めてくださった楽曲ですが、人間誰しも生きていれば辛い経験もあると思います。何かを乗り越えようと踏ん張っている方には、ぜひご自身の応援歌としてこの曲を歌っていただけたらうれしいです。

白上 何より1人でも多くの方に聞いていただくことで、酒井さんに恩返しをしたいですね。馬主である酒井さんからも「俺の馬の餌代を稼いでくれ」と言われていますし(笑)。

石橋 発売前からとても好評をいただいているのは、きっと純烈のファンの方も応援してくださっているのかなと感じます。『涙ひとしずく』で東京力車を知っていただいた方もいるかもしれません。この曲を携えて、僕たちは日本各地のみなさんに会いに行って精一杯歌います。そして、もし東京力車が気になったら、ぜひ浅草に遊びに来て、人力車に乗ってください。みなさんとお会いできることを心から楽しみにしています。

東京力車『涙ひとしずく』Music Video

東京力車『涙ひとしずく』

発売中
価格:¥1,500(税込)

東京力車「涙ひとしずく」TypeA

Type-A

品番:TECA-24043

【収録曲】

1.涙ひとしずく(作詞:酒井一圭/作曲:徳久広司/編曲:矢田部 正)
2.命の華(作詞・作曲:横地健太(SUPER LOVE)/編曲:曽木琢磨(SUPER LOVE))
3.涙ひとしずく(オリジナル・カラオケ)
4.命の華(オリジナル・カラオケ)

初回限定封入特典:
オリジナルトレーディングカード1枚 ※ランダム封入(Type-A 全5種類)

東京力車「涙ひとしずく」TypeB

Type-B

品番:TECA-24044

【収録曲】

1.涙ひとしずく(作詞:酒井一圭/作曲:徳久広司/編曲:矢田部 正)
2.浅草ララバイ(作詞:宮下康二/作曲:桧原さとし/編曲:周防康臣)
3.涙ひとしずく (オリジナル・カラオケ)
4.浅草ララバイ (オリジナル・カラオケ)

初回限定封入特典:
オリジナルトレーディングカード1枚 ※ランダム封入(Type-B 全5種類)

東京力車 ライブ・イベント情報

10月20日(日)
THE歌謡男子
出演:東京⼒⾞/ZANPA/平松賢⼈(BOYS AND MEN)

10月30日(水)
「東京演歌ライブ かつしか Vol.234~テイチクアワー~メンズ歌謡決戦!イケオジvsイケメン~」
出演:半田浩二/浜 博也/松原健之/東京力車/新☆ハッピー&ブルー

※イベントの詳細はHPにてご確認ください。
http://www.teichiku.co.jp/artist/tokyo-rickshaw/

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