〝民謡界のリトルダイナマイト〟谷島明世が、本格演歌『ひとり久慈川』をリリース 「これからも演歌と民謡の二刀流を貫いていきます」

第36回磯節全国大会を歴代最年少で制し、149センチの小柄な体からは想像もつかないパワフルな声量で〝民謡界のリトルダイナマイト〟の異名を持つ谷島明世が、2年10カ月ぶりの本格演歌第3弾『ひとり久慈川』(C/W『惚れちゃったから』)をリリースした。民謡で鍛えた豊かな歌声と確かな歌唱力は、同作を作曲した水森英夫も太鼓判を押す。「民謡と演歌の二刀流で皆さんに幸せと元気を届けたい」と気合の入る谷島に、新曲にかける意気込みとこれからの目標を聞いた。
――民謡の世界では数々の賞を獲得してこられた谷島さんですが、そもそも民謡を歌い始めたきっかけは何ですか。
私がまだ6歳の頃、もともと祖母が通っていた民謡教室に連れられていって、そこで祖母が歌っているのを見て、感動してしまったというのがスタートです。
――小学校に入るか入らないかの頃に民謡を聴いて感動したんですね。
私、けっこう感情過多な方で(笑)、例えば離れ離れになった人との再会の話などの動画を見ると、もう一瞬で号泣してしまうんです。そんな感じなので、発表会で歌う祖母の姿を見て感動しちゃったんだと思います。その光景は今でもよく覚えています。
――その後のプロフィールを見る限り民謡一筋だったように思えるのですが、途中で他の音楽に心変わりしたことはなかったですか。
民謡を習っていましたし、いろんな大会で賞もいただいていましたので、民謡か演歌の歌手になりたいという夢はずっと持っていました。でもポップスとかアニソンも気になっていて、いつ頃か忘れましたけど、AKB48が大人気だった時にAKBのオーディションを受けたような気もします。やっぱり興味はあったんですね(笑)。
――その後、2015年には、「磯節全国大会」で歴代最年少優勝、同じ年にやはり磯節を歌って「郷土民謡民舞全国大会」で内閣総理大臣賞(優勝)受賞など、輝かしい成績をおさめています。その頃には民謡歌手としてやっていこうと思っていたのでしょうか。
磯節の全国大会で優勝したのをきっかけに、キングレコードの民謡班のディレクターさんから声をかけていただいて、『いいあんばい~明世の唄つむぎ~』(2017年)というアルバムでデビューさせていただきました。ただ、最初に覚えた歌が松村和子さんの『帰ってこいよ』だったくらい演歌も大好きでしたので、できたら演歌と民謡の二刀流でいきたいと思っていました。
――ところでお得意の磯節ですが、どんな民謡なのか紹介していただけますか。
日本三大民謡の一つと言われていて、茨城の大洗や那珂湊のあたりで歌われていた曲ですが、超難しい曲で、磯節が歌えたら他の民謡を50曲でも100曲でも歌えると言われるほどです。昔は漁師さんが歌っていたようですが、今はお座敷唄として芸者さんなどが歌っています。地元ではお祝いの席などでよく歌われています。
――先ほど、二刀流でやっていきたいと思っていたと言っていましたが、2019年にいよいよ本格演歌『出世男道』でシングルデビューを果たしました。どんな思いでしたか。
『いいあんばい』を出して2年後に演歌を出してみないかと声をかけていただきました。やっぱり演歌も民謡もどちらも歌いたいという気持ちが強かったので、嬉しかったですね。ただ、プロの歌手として歌で食べていくことになるわけですから、もう本当に腹をくくるという感じでした。
――演歌と民謡は、近い存在にも思えますが、歌ってみると違いは感じましたか。
やっぱり違いますね。民謡は地声で歌いますが、演歌は情が入りますし、語るようなイメージで歌っています。民謡は、昔の仕事歌が多いので、その雰囲気を素朴に表現しますし、演歌は物語を演じながら歌うという違いだと思います。
――さて、今回の『ひとり久慈川』は3枚目のシングルになりますが、初めて聴いた時の第一印象はいかがでしたか。
自分で仮歌を入れたテープを聴いた時、すごくいい歌だなと思いました。帰りの車の中でその音源を聴きながら感動して泣いてしまったほどで、自分の歌に自分で拍手していました(笑)。
――デビューシングルの『出世男道』は、民謡で鍛えた谷島さんの迫力ある歌声が印象的でしたが、今回は切ない女心を歌っている女歌です。歌ってみてどう思いましたか。
私自身は男歌の方が歌いやすい感じはあるのですが、ただ『ひとり久慈川』は、恋愛もので女歌とはいえ、けっこう声を張って歌っています。恋の歌というと皆さん、艶っぽく優しくというイメージを持つかもしれませんが、水森先生も私の特徴を生かすうえでも声を前に出して歌った方がいいとアドバイスしてくださいましたので、歌いやすかったです。
――哀しい恋の歌ですが、歌っている時はどんなイメージを思い浮かべていますか。
主人公の女性になったつもりで、どんな恋愛だったのか想像を巡らせながら歌っています。歌詞を読むと川の前でひとり佇んでいるイメージですけれど、私は(そこにはいない)相手の男性に向かって訴えかけるようなつもりで歌っています。
――水森先生からは歌うにあたってどんなアドバイスがありましたか。
一番のポイントは、聴く人に伝わるようにということでした。言葉によって歌い方を変えて、例えばですけど、1番の2行目の「♪女心は~」のところはベタっと歌わないで、ちょっと滑稽に都々逸風で、「♪情けない」のところも情けないんだけれど、小さくならないように声を前に出しながら感情を入れる、最後盛り上げるところでちょっと民謡の節回しを入れるなどなど、気持ちの入れ方からテクニックまで、いろんなアドバイスをいただきました。
――ではレコーディングは時間がかかったのではないですか。
2時間くらい、2~3テイクで終わりました。皆さんから水森先生は厳しい方だと伺っていたのですが、なんと先生から「君、才能あるね」ってほめていただきました。詞を書いてくださった麻(こよみ)先生からも、「なかなか言ってもらえないよ」って言っていただいて、とっても嬉しかったです。
――ミュージックビデオは爽やかな明るい色の着物で、とてもきれいに仕上がっていますね。
着物は7着くらい持ってきて、他に紺色や水色などの候補もあったのですが、最終的にピンク系が顔色とも合うんじゃないかということで決めました。曲に合わせて、実際の私より大人っぽく仕上げていただきましたので、ぜひ映像も楽しみにご覧ください。
――カップリングの『惚れちゃったから』は、メジャー調の明るい曲です。主人公の女性も無邪気で可愛らしいなと思いました。
この曲は明るく弾んだ感じで、ファンの皆さんの手拍子も乗りやすい曲だと思います。「♪だって だって だって惚れちゃったから」の「だって」の間に、「だって」「あきよ!」みたいにお客さんにコールを入れていただいて盛り上がれればと思っています。最後の「♪惚れちゃったから」の部分には、日舞の先生と相談して振りも入れることにしましたので、楽しみにしていてください。
――これからキャンペーンやコンサートへのゲスト出演など、お客さんの前で歌う機会がより増えると思いますが、ライブは楽しいですか。
やっぱりお客さんから反応がありますから、歌っていて楽しいですね。ただ、小さい頃から舞台で民謡を歌ってきましたから歌うことに関しては緊張しないのですが、トークは未だに緊張してしまいます。今年はメジャーデビュー8周年のイベントができたらいいなと思っています。
――これからライブやコンサートで挑戦してみたいことはありますか。
バックダンサーの前で歌いたいというのが夢のひとつです。私は踊るのはダメですが、後ろにダンサーがいるって、なんかかっこいいじゃないですか(笑)。あとは、以前に習っていた津軽三味線と、今、練習している細竿の弾き語りもやってみたいです。
――プライベートなことも少しお聞きします。プロフィールの趣味欄には、スノボと筋トレ、特技欄には剣道と鉄棒が書いてありますが、昔からスポーツがお得意だったのですか。
けっこう運動神経には自信があって、50メートル走は7秒台で走れますし、マラソンも学校でトップを争っていました。鉄棒も連続で逆上がりとかできちゃうタイプです。健康にも自信はありますよ、片頭痛もありませんし(笑)。
――お休みの日は、何をして過ごすことが多いですか。
一日休みですって言われたら、部屋の掃除をしています。私、きれい好きでホコリが落ちていたらすぐ掃除機をかけないと気がすまないタイプなんです。なのに今、部屋が衣裳で埋まっていまして、それをどうにかしないとって、ずっと悩んでいるんです。
――憧れの人、尊敬する人といったら誰ですか。
憧れというと、先ほどもお話しましたが、初めて覚えた歌が『帰ってこいよ』でしたので、松村和子さんです。高校生の頃、『NHKのど自慢』に出た時も、津軽三味線を弾きながら『帰ってこいよ』を歌ったんですよ。ヒット曲もあるし、日本中の方が知っている歌手ですので、そういう意味でも憧れるし、尊敬する方です。高音の歌声がきれいで本当に素敵です!
――生きていくうえで大事にしている言葉はありますか。
私個人というより歌手としてですが、民謡の先生に言われた「声が高いだけがいいわけじゃない、どれだけ高い声が出ても伝わらなくては意味がない」という言葉です。いつも情景を思い浮かべて、その情景が歌を通して聴いてくださる方に届くようにということは大事に思っています。
――どちらもお好きな演歌と民謡、今後はどんなバランスで歌っていこうと考えていますか。
今年は『ひとり久慈川』がリリースされますので、この歌に力を入れていきたいと思っています。ただ、民謡も3月に「民謡定席」というコンサートが東京・豊島区の南大塚ホールでありますので、機会があればぜひ民謡も聞きに来ていただければ嬉しいです。これからも演歌と民謡の二刀流でいきたい気持ちは変わりません。
――SNSはYouTube、X、Instagramをやられていますが、その中で新たにやってみたいことなどありますか。
昨年YouTubeチャンネル(「あきよちゃんネル」)を開設しました。今年は歌動画とかも積極的にアップしていきたいです。民謡をポップス風にアレンジしたり、誰かとコラボして民謡を歌ったりするのもいいかなと思っています。
――最近のマイブームがあれば教えて下さい。
ブームというわけではありませんが、スイーツを作るのが好きでたまに作っています。少し前にコンビニで売っていた牛乳みかん寒天みたいなスイーツが自分の中でブームだった時に、家で作ってSNSにアップしたことがあるのですが、ディレクターさんから美味しそうに見えないってダメ出しされましたけれど(笑)。
――最後に、谷島さんのこれからの目標をお聞きします。まずは民謡歌手としての目標は。
伝統は守りながら、若い世代にも民謡の魅力を伝えていければと思っています。民謡というと地味なイメージがあると思いますがそんなことありませんし、日本の文化ですから若い人にももっともっと知ってほしいです。音楽の授業で教えることも大事だと思いますし、先ほども言いましたがポップス民謡のように民謡を今風にアレンジしたものをお届けできれば親しみやすくなるんじゃないかなんて思っています。
――先ほど「民謡定席」のご案内がありましたが、他に近々、谷島さんの民謡を聴ける機会はありますか。
3月7日に東京・渋谷で、姉(白雪未弥)と一緒に「姉妹コラボライブ」をやります。姉も私も演歌と民謡の二刀流で頑張っていますので、何か一緒にやりたいねという話はしていて、今回、渋谷円山町の料亭三長というところでライブをやることになりました。いつかふたりのCDも出したいと思っています。
――では演歌歌手としては、どんな目標を持っていますか。
今年は『ひとり久慈川』のリリースもありますし、もっともっと皆さんに顔を知っていただいて、愛される歌手になることに尽きます。自分で「あきよ節」って呼んでいるのですが、全国を回って、私の〝節〟を多くの皆さんにお届けできればなと思います。
――2023年にリリースされた『明世のゴールデンヒット・パレード』というアルバムでは、オリジナルのポップス曲から『テネシーワルツ』や『ケ・セラ・セラ』などの洋楽までカバーしていますが、演歌、民謡以外も歌っていきたいと思っていますか。
『テネシーワルツ』のような英語の歌詞が入る歌って、いいなと思います。ジャズもいいですし、『監獄ロック』のようなオールディーズもかっこいい。あっ、それからアニソンも挑戦したいです。私、昔あるレコード会社のアニソンのオーディションを受けたこともあるんですよ。その時はこぶしが回っていたからか、演歌でどうですかっていわれましたけれど(笑)。
――では新曲を待っているファンの皆さんに改めて『ひとり久慈川』をアピールしてください。
この曲は、メロディーも覚えやすくて歌いやすいと思いますので、ぜひ、皆さん一人ひとりのイメージで自由に歌って楽しんでいただければと思います。頑張りますので、よろしくお願いいたします。
谷島明世 『ひとり久慈川』ミュージックビデオ
谷島明世 『ひとり久慈川』
2025年1月22日(水)発売
夢盤
品番:KICM-31158
価格:¥1,500(税込)
【収録曲】
1.ひとり久慈川(作詩:麻こよみ 作曲:水森英夫 編曲:伊戸のりお)
2.惚れちゃったから(作詩:麻こよみ 作曲:水森英夫 編曲:伊戸のりお)
3.ひとり久慈川(オリジナル・カラオケ)
4.ひとり久慈川(一般用カラオケ半音下げ)
5.惚れちゃったから(オリジナル・カラオケ)
6.惚れちゃったから(一般用カラオケ半音下げ)
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