昭和100年の今年、三山ひろしが大衆的な酒もの演歌『酒灯り』をリリース 「哀愁を感じながらも軽快な、昭和の“粋“が詰まった大人の曲です」

2025.3.10

昨年のNHK紅白歌合戦で、けん玉ギネス新記録を達成したことでも話題の三山ひろし。そんな三山が、「待ってました!」とばかりに大衆的な酒もの演歌の新曲『酒灯り』をリリースした。カップリング曲『昭和の恋歌』と共に、古き良き時代を感じる粋な楽曲は、親しみやすいメロディが大ヒットを予感させる。日本の三大話芸(落語・講談・浪曲)を後世に残すための取り組みから、最近ハマっているドローンや3Dプリンターまで、たっぷりと話を聞いた。


——新曲『酒灯り』は酒もの演歌の王道といいますか、思わず歌いたくなる親しみやすい曲ですね。

発売してまだ間がないのですが、歌ってくださる方がとても多いみたいで、カラオケランキングでも上位だと聞きました。キーが中くらいでテンポが早すぎないので、どなたでも歌いやすい曲だと思います。古き良き昭和の“粋“にあふれた大人の曲です。

——三山さんにとって大人の男とは、どんな人ですか?

普段はもの静かで、小さなことに一喜一憂せず、心の中にしっかりした芯がある、そんなイメージです。僕も大人の男を目指していますが、なかなか難しいですね(笑)。

——最初にこの曲を聞いた時はどんな印象を持ちましたか?

作曲の弦哲也先生からデモテープをいただいて、僕の好きなド直球の演歌でうれしくなりました。言葉がしっかり伝わるメロディと歌詞の世界観が魅力的で、作詞のさいとう大三先生がお書きになる、女性のたおやかな美しさと優しさがいいなと思いました。

——久しぶりの女歌で、カップリングの『昭和の恋歌』は男歌。この2曲は対になっているようですね。

どちらも昔別れた恋人を思う歌です。『酒灯り』は女性が男性を、『昭和の恋歌』は男性が女性を。作詞の先生はそれぞれ違う方ですが、この2曲はつながっているような気がします。

——『昭和の恋歌』はとてもゆっくりしたテンポで、その点でも昭和を感じます。あの時代は今よりゆっくりしたテンポの曲が多かったような気がします。

そうですね。それに歌い回しがカッコ良くて、男性が粋に歌えるメロディーだと思います。聞いている女性がキュンとする曲ですよね。

——昔の恋人に未練があったら、今ならSNSで相手の名前を検索したり、連絡を取ったりしそうです。

今は便利な時代ですから、恋しい相手に深く想いを寄せる前に行動しちゃいそうですよね。公演などでお芝居をするとつくづく感じるのですが、人の気持ちってパソコンみたいにパッと動かないですよね。それに白か黒かじゃなくて、いろいろな色がある。『酒灯り』も2人が別れた理由はわからないけど、お互いに今も思い合っている。会いたいけど自分からは探さないなんて、粋な世界だと思います。

——昭和55年生まれの三山さんですが、「昭和」はどんな時代だったと思いますか?

今よりも寛容な時代だったと思います。昭和 40年代に鶴田浩二さんが、すでに「生きにくい世の中だ」と歌っていらっしゃいますが、今よりもみんな、人のことを深く思っていたのではないでしょうか。今はきっと、機械の進歩に人間の心が追いついていないのでしょうね。

——昭和の時代に戻りたい人もたくさんいるかもしれません。話は変わりますが、昨年の紅白のけん玉ギネス記録達成、おめでとうございます。直後に行われた参加者とのハイタッチ会の様子をYouTubeで拝見しましたが、目を潤ませていらっしゃいました。

泣きました。 けん玉をして涙するなんて……(笑)。日常生活であんな感情におそわれる機会はそうないですね。記録のために集まった僕を含む128人が、一つの目標に向かって力を合わせ、それが達成された喜びに感動しました。一昨年に失敗してしまった方がリベンジされたことも大きかったですね。

——今年の紅白から、参加人数がまた一人増えていくのでしょうか?

仮に例年通りあるとすれば参加者が一人ずつ増えていくと思いますが、紅白のけん玉はもはや単なるイベントではなく、人と人とのつながりが生まれ、視聴者の皆さんにその感動が伝わって応援していただけるのではと思います。でも、まず僕が紅白に出場できるかどうかがすべてのスタートなので、今年も紅白目指して頑張りたいと思います!

——今年も楽しみにしています。ところで、日本の三大話芸(落語・講談・浪曲)を後世に残すという夢をお持ちの三山さんですが、3月9日(日)に行われる浪曲師の玉川奈々福さんの公演で、浪曲を披露されると聞きました。

テレビの企画でサワリだけうなったことはあるのですが、まるまる1曲を皆さんの前で披露するのは初めてなので、今から緊張しています。奈々福さんという大きな懐でやらせていただけるわけですから、「当たって砕けろ」の心持ちでぶつかるしかないと思っています。浪曲が大好きな皆さんに、「いいね!」と言っていただけるものをお聞かせするつもりです。

——ますます芸の幅が広がってファンは楽しみです。ファンが注目するという意味では三山さんの多趣味ぶりも有名ですが、何でもドローンのコミュニティを立ち上げられたとか。

もともとWTWという全国的なドローンのコミュニティがあるのですが、高知県になかったので立ち上げました。僕を入れて会員はまだ3名ですが(笑)。ドローンって、ドローンサッカーとか、ドローンレースといった、小さいお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで、安全に楽しめる遊び方がたくさんあります。例えば、体の不自由な方でもゴーグルをつけてドローンを飛ばすと、自分がすごい速さで走ったり飛んだりする気分が味わえます。これをきっかけに地域活性化につなげることもできる。それにはまず自分が楽しまなくてはと、5月に高知でレースイベントも予定しています。

——いろいろなことに興味を持たれる三山さんの、モチベーションは何でしょうか。

常にワクワクしたいという、小学生男子みたいなところがあります。僕の家は母子家庭で余裕がなかったので、子どもの頃にやりたくてもできなかったことを今やっているのかもしれません。3Dプリンターにも凝っていて、自分でデータを打ち込んで、暇さえあればファンの方へプレゼントするキーホルダーを作っています。コーヒーも好きで、ブラジル公演の際に地元の農園を見学させてもらって、実際にコーヒーの実を食べさせてもらったりして。知ってますか? コーヒーの実って甘いんですよ! 種がコーヒーになるんですが、乾燥して焙煎して炒って……多くの人の手がかかっています。興味を持つと何でもとことん調べて、極めてみたくなるんです。

——その探究心が本業の歌にも生きてくるのでしょうか。

そうですね。「何屋さんですか?」と言われることもありますが、いろいろなことをやるからこそ、また違う角度で本業にアプローチすることもできると思っています。

——そんな三山さんのこれからの目標は?

やはり「歌の道」を極めることですね。今の時代って、音楽が無限に自由に聞ける。でもその1曲ができるまでの作業は、昔から変わっていません。作詞家の先生が心を砕いて歌詞を書き、作曲家の先生が五線譜に音符を刻み、編曲家の先生が歌の風景を思い浮かべて世界観を膨らませる。それを演奏家の方々が演奏して、歌うのは私です。ただ歌うだけではなく、いろいろなことを考えて、感情を乗せて歌って皆さんの元へ届けます。だからファンの皆さんにも曲をじっくり聞いてほしいです。最初から最後までじっくり聞くと、自然とカラオケがうまく歌えるようになるんです。CDで歌を抜いたカラオケバージョンをしっかり聞くことで、ここに効果的な打楽器が入っているのはなぜか、ここで伴奏が盛り上がるのはなぜかなど、考えながら聞くと感情を乗せるところがわかってきます。そう考えると僕の目標は、じっくり聞いていただける歌を皆さんに届けることでしょうか。

——最後にファンへメッセージをお願いします。

今回『酒灯り』という曲をいただいて、久しぶりに直球の演歌を歌っています。昭和の時代の温もりを感じる作品なので、マッチの灯りのような歌の世界観を一緒に楽しんでいただけたらと思います。

三山ひろし『酒灯り』ミュージックビデオ

三山ひろし『酒灯り』

三山ひろし「酒灯り」

発売中

品番:CRCN-8722
価格:¥1,500(税込)

【収録曲】

1.酒灯り(作詞:さいとう大三/作曲:弦哲也/編曲:南郷達也)
2.昭和の恋歌(作詞:結木瞳/作曲:弦哲也/編曲:南郷達也)
3.酒灯り(オリジナル・カラオケ)
4.昭和の恋歌(オリジナル・カラオケ)
5.酒灯り(一般用カラオケ)
6.昭和の恋歌(一般用カラオケ)

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