デビュー30年目を迎えた水森かおりが『大阪恋しずく』をリリース 「皆さんと手拍子で繋がることができる“幸せ演歌”です」

“ご当地ソングの女王”水森かおりがデビュー30周年記念シングル『大阪恋しずく』(作詞:かず翼、作曲:弦哲也、編曲:伊戸のりお)を3月18日にリリース。水森にとっては初の“幸せ演歌”で新境地を開いている。ジャケット写真が異なる同時発売のA・B2タイプのシングルには、NHK「みんなのうた」で好評の『ようかんマーチ』(作詞・作曲・編曲:望月崇太郎・鹿島崇)のほか、タイプAには『大阪凍て月』(作詞:たきのえいじ、作曲:弦哲也、編曲:矢野立美)、タイプBには『我が輩は猫である』(作詞:鮫島琉星、作曲:大谷明裕、編曲:竹内弘一)の新曲を収録。それぞれの曲への思いや、本人役で出演する話題の映画『パリピ孔明 THE MOVIE』の撮影秘話、開催中の30周年記念コンサートへの意気込みなどを聞いた。
原点回帰の意味も込めた大阪が舞台の曲
──新曲『大阪恋しずく』を聴かせていただいて、いい意味で驚きました。幸せいっぱいで明るい世界観が、デビュー30周年を祝福しているようです。
シングル表題曲としては初めて“幸せ演歌”をいただきました。アルバムには川越を舞台にした『幸せになってもいいですか?』というハッピーな曲もあるんですが、シングルではずっと恋に破れた女ひとり旅をしてきましたので、30周年にしてついに幸せになれました(笑)。
──カップリング曲の『大阪凍て月』も含めて、30周年記念曲の舞台を大阪としたのは、なぜだったのですか?
1995年9月25日が私のデビュー日なのですが、その日を大阪で迎えているんです。出身は東京ですが、「水森かおりは大阪で誕生した」と思っていて、お邪魔するたびに初心に帰る気持ちになるんですね。そういう話をスタッフの方々としたところ、原点回帰の意味も込めて大阪を舞台にしようということになりました。
──壮大に悲恋を歌い上げる『大阪凍て月』のほうが、むしろザ・水森かおりの世界という感じもしましたが、どちらを表題曲にするか悩まれたのではないですか?
いつも以上に悩みましたね。ただ『大阪恋しずく』のほうは、愛する人との幸せを掴んだ女性の歌で、作詞のかず翼先生の意図とは少し違うかもしれませんが、私としては「愛してくださってありがとうございます」というファンの皆さんへの感謝の気持ちも伝えられるのではないかと思ったんです。明るいメロディの曲で、歌っていて自然と笑顔になりますし、「これからもずっとそばにいてくださいね」という気持ちを込めて歌っています。
──ファンの皆さんにもきっと伝わっていると思いますよ。
先日、初めてコンサートで披露したところ、お客さまから自然発生的に手拍子が起きたのがとてもうれしかったんです。手拍子で皆さんと繋がれる歌が欲しいなとずっと思っていましたから。でも、水森かおりの世界観ではちょっと難しいかなとも思っていて。そういう意味でも『大阪恋しずく』は、間違いなくターニングポイントの曲になると思っています。ずっと大切に歌っていきたいですね。
──ミュージックビデオ(MV)も大阪で撮影されたそうですが、どのような作品になりましたか?
見てくださる方と一緒に大阪観光しているようなMVになればいいなと思って、道頓堀や通天閣、大阪城といった大阪の名所を歩くシーンをたっぷり盛り込みました。私もお仕事で大阪に伺うことは多いのですが、いつも新幹線のとんぼ帰りで、のんびり観光したことってなかったんです。道頓堀は何度も車で通っているのに、こんなに楽しい場所だったんだなと、とても新鮮な気持ちになりましたし、MVでも終始笑顔でした。
──ドレスをお召しになった歌唱シーンも楽しみです。
今回も桂由美先生の新作ドレスです。桂先生とは2003年に『鳥取砂丘』で紅白歌合戦に初出場させていただいて以来のご縁で、お会いするたびに「早く水森さんのウエディングドレスをプロデュースしたい」とおっしゃってくださいました。(2024年の逝去で)それを叶えられなかったのは本当に申し訳なかったのですが……。桂先生のご遺志を受け継いだスタッフの皆さんから「桂の分まで水森さんを支えます」というお言葉をいただいて、これからも桂由美ブランドの素晴らしさを伝える一助になれるように頑張っていきたいと身を引き締めています。
猫の目線で綴られた異色の演歌
──もう1曲のカップングは、ヨーロッパ民謡を思わせる切ないメロディの『我が輩は猫である』。ご当地ソングではない上に<Nya Nya Nya>という歌い出しで、水森さんにとっては異色の曲となったのではないでしょうか。
そうですね。作詞の鮫島琉星先生とは初めましてだったのですが、この曲のほかにもいくつか「こういう世界観を歌ってもらいたい」という歌詞をスタッフの方経由でいただいていました。鮫島先生が私にこの歌を託した意図は、はっきりとはわからないのですが、現代的なペットと飼い主の関係というんでしょうか。今の時代はひとり暮らしで、ペットが唯一の家族という方も多いですよね。またペットにとっても飼い主は唯一の家族。いつかお別れの時は来るわけですが、どちらが先になるかは誰にもわからない──。
──この歌では猫が残されるものの、やがてひとりと1匹が“虹の橋”で再会するストーリーです。ペットを飼っている人にとっては涙なくしては聴けません。
猫目線で綴られている歌詞という演歌の世界にはなかなかない表現だったので、最初はどんなふうに歌おうか悩みました。ただいろいろ考えた結果、やはり自分が猫になって歌うよりも、どこか俯瞰の目線でストーリーを語るように歌ったほうが水森かおりらしいと考えたんです。私はご当地ソングを歌う時もいつも<自分が主人公にならない>。むしろ聴いてくださる方に主人公になっていただきたいので、歌詞の世界を俯瞰の目線で見つめて歌うように心がけているんです。それと同じことを試してみたら、意外とすんなりとこの歌詞の世界観に入っていくことができたんですね。
うたのおねえさんになりたかった
──異色作と思いきや、ご当地ソングで培ったものが反映されていたんですね。シングル収録曲では、NHK「みんなのうた」で放送中の『ようかんマーチ』も、従来の水森ファン以外からの反響がたくさん届いているのではないですか?
SNSでも「『ようかんマーチ』が耳から離れない」「ここ最近の『みんなのうた』で一番好き」といったつぶやきをしてくださっている方もいて、本当にうれしいですね。私は子どもが大好き、歌も大好きだったので、「うたのおねえさんになりたいな」と思っていた頃もあったんです。歌手としてデビューしてからは、いつか「みんなのうた」を歌いたいという目標があったので、お声がけいただいて本当に光栄でした。
──子どもの頃に親しんだ歌は、一生忘れないですよね。
私も小さい頃、『北風小僧の寒太郎』をよく歌っていました。「みんなのうた」スタッフの皆さんによると、昭和は『およげ!たいやきくん』、平成は『だんご3兄弟』、そして令和は『ようかんマーチ』と、3世代の和菓子ソングにしたいとのことで、そんな大きな役割を私に?と驚いたのですが、令和代表を精一杯務めさせていただきました。
生歌に驚かれた映画の撮影
──話題の映画『パリピ孔明 THE MOVIE』(4月25日公開)には本人役で出演されています。さまざまなジャンルのアーティストが出演するなか、演歌代表という立ち位置ですね。
演歌の象徴にふさわしい先輩方もたくさんいるなかで、私でいいんだろうか?という気持ちもありましたが、お声がけいただいたことに感謝でいっぱいです。私は劇中のミュージックフェスの出演者のひとりという立ち位置で、自分の持ち歌を歌っています。撮影の時にびっくりしたのですが、若いスタッフさんたちに「生歌で歌われるんですか?」と驚かれたんです。
──つまり、リップシンク(口パク)ではないことに?
そういうことですよね。演歌はどんな状況でも生で歌うのが基本ですから、この撮影でも当たり前に生で歌わせていただいたのですが、若いスタッフさんたちにはそれが衝撃的だったようで、「目の前で生歌を聴けて感動しました」「すごい迫力でした」とおっしゃっていましたね。
──音楽ジャンルによってもさまざまな表現スタイルがありますが、まさに演歌の凄みを証明されたわけですね。
映画館は音響もいいですし、また違った形で生歌を表現していますので、ぜひ劇場で観ていただけたらうれしいです。
支えてくださる皆さんを思って歌う
──最近はデビュー曲『おしろい花』から最新曲まで全31曲が配信スタートしたばかりです。デジタルで音楽を届けるということには、どんな思いがありますか?
最近ファンになった方が「昔の歌も聴きたいんだけど、なかなか見つからなくて」とおっしゃることも増えていますし、こういう形で水森かおりの歴史を遡っていただけるのはとてもいいことだと思います。もちろんパッケージもジャケットを含めてこだわって作っていますので、しっかり届けていくことが大切ですし、デジタルという形で演歌への入り口が広がることも大切。やはり歌手としては、多くの方に歌を聴いていただけることが純粋にうれしいものです。
──1月から始まった30周年記念コンサートも満員御礼が続いているとのことです。今年はいつも以上に多くの全国の方に歌を届けられそうですね。
そのことが何よりうれしいですね。25周年の2020年はコロナでコンサートもすべて中止になってしまっただけに、その頃から30周年に向けて準備をしてきました。コンサートはもちろん、キャンペーンもたくさん控えていますし、バラエティ番組に呼んでいただけることも刺激的です。この30周年はいろんな形で水森かおりを楽しんでいただける1年にしたいですね。
──最後にファンの皆さんにメッセージをいただけますか。
いつも支えてくださる皆さんのことを思って『大阪恋しずく』を歌っています。演歌にも大阪を舞台にした名曲は多いですが、この歌はあえて歌詞に関西弁を使っていないのも特徴だと思っていまして、そういう意味でも全国のみなさんに親しんでいただける“幸せ演歌”になるのではないかと思います。コンサートやキャンペーンにいらしていただく機会があれば、ぜひ手拍子をいただけたらうれしいです。皆さんと一緒に幸せオーラに包まれて歌えることを楽しみにしています。
水森かおり『大阪恋しずく』
2025年3月8日発売
価格 :¥1,500(税込)
タイプA
品番:TKCA-91621
【収録曲】
1.大阪恋しずく(作詩:かず翼/作曲:弦 哲也/編曲:伊戸のりお)
2.大阪凍いて月づき(作詩:たきのえいじ/作曲:弦 哲也/編曲:矢野立美)
3~8.オリジナルカラオケ、半音下げカラオケ、半音下げカラオケ・ガイドメロ入り)
9.ようかんマーチ(作詩・作曲・編曲:望月崇太郎・鹿島崇)
タイプB
品番:TTKCA-91622
【収録曲】
1.大阪恋しずく(作詩:かず翼/作曲:弦 哲也/編曲:伊戸のりお)
2.我が輩は猫である(作詩:鮫島琉星/作曲:大谷明裕/編曲:竹内弘一)
3~8.オリジナルカラオケ、半音下げカラオケ、半音下げカラオケ・ガイドメロ入り)
9.ようかんマーチ(作詩・作曲・編曲:望月崇太郎・鹿島崇)
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