原田悠里 独占インタビュー 「先生から『演歌を歌える人間だね』と言葉をいただいたんです」

2019.8.26

1982年に『俺に咲いた花』でデビューし、『木曽路の女』に代表される旅情演歌シリーズで100万枚のセールス記録を達成した原田悠里。99年から2001年にかけて3年連続で紅白に出場も果たした。今年4月には34枚目となるシングル『萩しぐれ』をリリース。そんな彼女にこれまでの歌手人生のこと、新曲のことなどをうかがった。

いつも新しいことに挑戦して自分を成長させていきたい

――九州の天草で生まれ育った原田さんは、小さい頃は音楽とは縁遠い暮らしをしていた。

父親は畑仕事が好きな人で、特に音楽の環境があるような家ではありませんでした。でも私はラジオでいっぱい歌謡曲を聴いて、意味もわからないのにどんどん好きになってしまって。とにかく音楽が流れれば歌うような子で、ついごはん時も音楽があると歌うから『静かにしなさい!』と怒られたりしてましたね(笑)

――その後、鹿児島大学教育学部音楽科へ。

父親に歌手は大反対され、学校の先生になれと言われたんです。学校ではクラシック音楽の勉強のほか、オペラも勉強しました。けっこう学生時代はオペラで良い役をいただいたりしましたが、かと言ってオペラ歌手になろうとは思いませんでした。歌謡曲を歌いたい気持ちがいっぱいだったんです。その後、2年間音楽教師をしながら、夜はアルバイトでピアノの弾き語りをする生活を始めました

――しかし、なかなか歌手になれるチャンスは巡ってこない。正直、歌手の道は諦めかけたという。そんなある日、観たのが、北島三郎さんの舞台。

それで是非とも先生に歌を聴いていただきたいと思うようになったんです。で、自分の歌声を送ったら事務所の専務さんからクラシックの勉強をしていて演歌をやりたいなんて面白いと言われて、事務所に出入りするようになりました

 

――デビュー後も、なかなかヒットに恵まれない日々。そんな原田さんを支えてくれたのが北島先生のある言葉だった。

すごく気持ちが落ち込んでいた時に、先生から『君は演歌を歌える人間だね』と言葉をいただいたんです。『辛い時ほど頑張っていれば必ず花が咲くんだから』と。その言葉には支えられましたね

――新曲『萩しぐれ』を聴けば分かるが、とにかく原田さんの声は多彩。さまざまな声で歌を表現する。その音色の豊かさは彼女の武器だ。

そう言っていただけるととても嬉しいですね。以前はクラシックで身につけた発声の仕方をコンプレックスに感じていて、どうすれば演歌っぽく歌えるのかということばかり考えていた時期もありました。でも年数を重ねて自分なりの歌を作っていけばいいと思えるようになったんです。自分しかできないクラシックで培った声とか、二葉百合子先生に教わった浪曲の発声法など、いろんな技術を自分の中でブレンドさせれば、私でなければできない歌になるのではないかと。歌のために、メロディのために、言葉のためにどんな声がふさわしいのか、発明したいとさえ思えるようになりました

――その思いの真価が発揮されそうなのが、10月1日と11日に開催される『原田悠里コンサート2019 歌語(うたかた)の浪朗唱(ろうろうしょう)』となりそう。

今年は歌謡曲あり、演歌あり、浪曲あり、語りありの上、私が学生時代、卒論にもしていた蝶々夫人をテーマに舞台を作ろうと思っています。文化庁の芸術祭賞に参加することも決まったので、精一杯、頑張ろうと思っています。

37年間歌わせていただいて、今思っているのは、いつも新しいことに挑戦して、自分を成長させることができるかが大切だということ。ただ漠然と歌っていれば取り残され忘れられてしまいます。いつも何かを新しく身につけていく……それを心がけて、これからも良い歌をお届けしたいと思います

公演情報

『原田悠里コンサート2019 歌語(うたかた)の浪朗唱(ろうろうしょう)』

太田区民ホール・アプリコ 大ホール

日にち:2019年10月1日(火)

開場:17時00分/開演:17時30分

チケット:S席 6,000円/A席 5,000円

 

NHK大阪ホール

日にち:2019年10月11日(金)

開場:16時30分/開演:17時00分

チケット:S席 6,000円

 

お問合せ:北島ファミリークラブ TEL:03-5343-3836(14時~16時)

主催:北島音楽事務所 後援:キングレコード

出演情報

『歌謡曲の匠』

放送チャンネル:BS12(トゥエルビ)

放送日時:2019年9月10日(火)5:00~5:29

番組ホームページ:https://www.twellv.co.jp/program/music/kayou-takumi/

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