田川寿美 独占インタビュー 「後にスタンダードになれるような歌を歌っていきたい」

2019.9.11

演歌好きの父親と、元大阪松竹歌劇団の団員で芸事が好きな母親のもとに生まれ、14歳で『スターは君だ、ヤング歌謡大賞チャンピオン大会』に出場、6代目グランドチャンピオンに輝いた田川寿美。その後、92年に『女…ひとり旅』でデビューするや、発売6か月にして10万枚を突破。様々な賞を獲得した。そんな彼女に2019年1月に発売した34枚目のシングル『恋はひといろ』についてから歌にかける思いまで、たっぷり話していただいた。

自分の個性って何かは、一生をかけて探し求めるもの

――もともと田川さんはファルセットに個性があり、その声を活かしやすいのが演歌だったという。

『スターは君だ〜』でスカウトされた後、デビューするなら未練があるような哀しい演歌がいいのではないかということになりました。私も自分に合ってるかなと思ったんです。もともとはどちらかといえば物怖じするタイプでしたが、演歌を歌うと感情移入ができるというか、自分を表現ができると感じていたんです

――2002年の『女人高野』ではエレキギターを弾いて歌う独特の表現をしたこともあった。

いわゆる“お嬢ちゃん演歌歌手”のイメージを取り払いたくなって、あのスタイルに挑戦しました。いきなりエレキはハードルが高かったので、1年前からアコースティック・ギターを練習しましたね。あの当時は賛否両論でしたけど、今はやって良かったと思っています

――そんな田川さんの歌はカラオケ愛好家たちから絶大な人気を誇っているという。

演歌を聞いていただける環境が、私の子供の頃と比べると少し寂しい状況にあるのは否めない事実ですよね。覚えやすいとか、歌うと前向きになれるとか、今はそういう歌が主流。2019年1月に発売した34枚目のシングル『恋はひといろ』もその流れの中で作られていて、都はるみさんの『好きになった人』の軽快なリズムにも似ているし、自分からすれば懐かしい感じだけれど、初めて聴く世代の方には新鮮に感じるのではないかと思います

 

――ちなみに、『恋はひといろ』をカラオケで上手に歌いこなすにはどうすればいいのだろう。

全体的には歌い込む系の楽曲ではないので、リズムをしっかり合わせて歌うことが大事です。ただ♪ぽろりぽろり 涙がでちゃう♪のところは大きくズレこむくらいたっぷりこぶしを回して歌っていただいたらいいと思います。とにかく失恋してもまた次はあるさという強い女性像を投影した、前向きになれる歌なので、ぜひそういう気持ちを大切にカラオケでも歌ってほしいですね

――さて、田川さんはこれからどんな風に歌っていきたいと考えているのだろうか。

例えば石川さゆりさんなら、女性の喜怒哀楽をすべて歌で表現なさる役者さんのような演じる魅力がある。大月みやこさんは圧倒的に声の音色の良さと声量と音域の広さが素晴らしい声の魔術師。五木ひろしさんは努力の方でどんな歌でも五木節に染められる…と、それぞれの先輩方の個性を拝見していて、では自分は何だろうと思うんです。まだ私はそこが模索中なんですよね。でもそうやって一生をかけて課題をもてる音楽のジャンルが演歌。だから面白いんだと思うんです

――忘れたくないのは子供の頃の純粋に音楽が好きだった頃の気持ち。その思いをこれからも素直にぶつけて歌いたいという。

あとはビートルズではありませんが、後にスタンダードになれるような曲を歌っていきたいですよね。それには例えば坂本九さんの『上を向いて歩こう』のように、子供から大人まで歌えるような歌謡曲も歌ってみたいと思うんです。また島倉千代子さんの『人生いろいろ』など、年齢を重ねたからこそ歌える曲や世界観に出会えたらいいなとも思うし。とにかくいろいろなことに挑戦したいですね

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