鳥羽一郎の新曲は、古都を舞台に愛に葛藤する男を描いた『長谷寺の雨 ~晩秋の大和路~』 「男らしさは優しさからにじみ出てくるものなんじゃないかな」

2026.5.13

海の男”をテーマにした名曲を数多く世に送り出してきた鳥羽一郎が、そのイメージとは一転、 奈良の長谷寺を舞台に愛に葛藤する男を描いた『長谷寺の雨~晩秋の大和路~』(作詩:髙畠じゅん子/作曲:斉藤功/編曲:蔦将包)をリリース。「優しい歌声が心に響く」「渋い」と早くもファンからも評判の本曲にかける思いから、チャンネル銀河で放送中の家族水入らずの旅番組『木村ファミリーみだれ旅~予定調和はキライです~』の撮影裏話、さらに新世代演歌の旗手として躍進を続ける2人の息子たち、木村竜蔵木村徹二へ対する思いまで、現在の心境をたっぷりと聞いた。


自分で吹いた法螺(ほら)貝の音色が収録された

――『長谷寺の雨』は、もともと昨年リリースしたシングル『朋輩よ』のカップリング曲ですね。

歌の舞台となっている奈良県で熱烈な支持をいただき、改めて表題作として発売しようということになりました。今回は、前奏や間奏に法螺貝の音色を入れるなどアレンジを加えて、昨年リリースしたバージョンよりパワーアップしているんです。タイトルが『長谷寺の雨』のままだと、検索したときに前の音源が出てきてしまうので、『~晩秋の大和路~』という副題を新たに付けました。

――ミュージックビデオでは、ご自身も法螺貝を吹かれていますね。

長谷寺で修行をなさっている僧侶の方たちが、毎日正午になると一斉に法螺貝を吹くんですが、その音が山にこだまして、何とも言えない雰囲気があります。ぜひ曲にもとり入れようということになったのですが、その音に魅せられて自分も法螺貝の練習するようになりました。実はレコーディングでもプロのミュージシャンたちと一緒に吹いているんですよ。ちょっと自信がなかったけれど、法螺貝は音階があまりないから多少違っても分からないと言われて(笑)。でも、完成した音源には俺の法螺貝の音が使われているそうです。

――デビューから44年、“海の男”のイメージが強い鳥羽さんが、今回は海のない奈良県を舞台にした作品。しかも愛に葛藤する男性を描いたラブソングを歌われています。ちょっと意外でした。

ラブソングはこれまでも歌ったことがあるにはあるんですよ。でも、やっぱり俺には海のイメージがあって皆さんピンとこないのか……鳥羽一郎が歌うと売れないのよ(苦笑)。でも、この曲で結果を出せば、俺の中にラブソングという引き出しが増えるし、次にもつながると思うので、ちょっと頑張りたいなと思っているところです。

――歌詞では、“好きでいるからこそ 終わらせる”という男心が長谷寺の情景とともに描かれていますが、初めて聴かれたときはどのような印象をもたれましたか?

一番の最後に“法螺貝が 胸をえぐるよ”っていう歌詞があるのですが、そのフレーズを聴いたときにこの歌が好きになりました。いろいろな事情があって、好きな女性と一緒になれない。そんな辛い思いを抱えてフラッと長谷寺に行ったら、法螺貝の音が流れてきて、その響きに胸をえぐられるような気持ちになった……。すごいカッコイイ男だよね。

――以前、二男の木村徹二さんが『うたびと』のインタビューで、「カッコイイ男らしい演歌を歌おうと思っても、鳥羽さんのような男らしさが出ない」と語られていましたが、鳥羽さんの考えるカッコイイ男らしさとはどのようなものですか?

思いやりのある優しさなんじゃないかな。そこから男らしさみたいなものがにじみ出てくるのだと。例えば俳優さんでいえば、俺は渡哲也さんが一番男らしいと思うんだよね。あれほどの大スターになっても決して威張らないし、礼儀正しくて義理堅くて、誰に対しても優しい気遣いで接されていた。「ああいう人が本当の男だよな」って俺は思いますね。

旅番組もコンサートも台本がないのがいい

――本作を歌う鳥羽さんにもSNSで「カッコイイ」という声が多数上がっています。歌唱ではどのようなことを意識されていますか?

自分は昔からすごく照れ屋なんですが、こういう歌は照れたらダメだと思うので、「絶対照れずに歌うぞ」と思っていますね。

――その一方で、「(ミュージックビデオで)おまんじゅうを食べている姿がカワイイ」といったコメントもありました。

糖尿病を防ぐために甘いものを控えるように言われているんですが、酒をやめたら口寂しいからか、ついつい内緒で食べちゃうのよ。昔はソフトクリームなんてほとんど食べなかったのに、サービスエリアとかで売っているでしょ。車で移動中に見つけると、つい食べてしまいます(笑)。

――チャンネル銀河で放送中のリアリティーショー『木村ファミリーみだれ旅~予定調和はキライです』でも、ソフトクリームを召し上がっていましたね。弟の山川豊さんと息子の竜蔵さん徹二さん、家族4人それぞれの自然体すぎる姿が表れていると、放送後大きな反響を呼んでいます。

いやー、楽しかったね~。台本がないのがよかったのかもしれないな。台本があったほうがいいという人も多いけど、俺は作家の先生がいいコメント書いてくれてもその通りに言わないし、台本がないほうが合っているから。とにかくあいつら(竜蔵・徹二)がうまく展開してくれるから、ただただ楽しかったね。「また機会があったらやらせて!」と楽しみに待っています。今度は泊まりがいいと言ったら、制作費がそんなにないからダメって言われたんだけど(笑)。だとしたら、個人的には栃木県に行きたいんですよね。船村徹先生の故郷だし、思い出がいっぱいあるから。

――ご家族4人での活動は「ファミリーコンサート」も好評ですね。近いところでは6月7日に枚方、7月11日に川越での開催が予定されています。

コンサートも台本があってないようなものだから、どこに話が飛んでいくかわからない(笑)。それはあいつらもよく分かっていて、うまく運んでくれるんで、楽しんでやらせてもらっています。最初の頃は息子2人に対して、「大丈夫か?」とちょっと不安にも思ったけど、今は横で「面白いこと言っているな~」と安心して見ていられる。あいつら、お客さんがほとんどいないライブハウスで何年も音楽をやってきて。ホント、最初はお客さんなんて1人か2人しかいなくてスタッフのほうが多いくらいだったんだから。でも、修業じゃないけれど、その経験が活きているんでしょうね。俺らより喋りはうまいし、今やあいつらのコンサートは満席で毎回チケットが取れないっていうんだから。

――徹二さんの新曲『風神雷神』はオリコンウィークリー演歌・歌謡チャート初登場1位、週間USEN HIT演歌/歌謡曲ランキングも初登場1位を獲得と好調です。

あいつは子どもの頃から演歌を歌わせると、こぶしを回さなくてもいいところでもコロコロコロコロ回って、この子は面白いなって思っていたけれど、まさか演歌を歌うとは思わなかった。これは竜蔵の戦略だと思う。まぁ、あと、新浜レオンくんたち演歌第七世代が注目を集めていたときでしたから、タイミングもよかったのかもしれないね。

――竜蔵さんは作詞家・作曲家として多数の楽曲を生み出されていて、今回のカップリングの『諸行無常』の作曲も担当されています(作詩:髙畠じゅん子 編曲:蔦将包)。

『諸行無常』は詞を先にいただいていて、すごくいいから竜蔵に「曲を書いてみないか」と頼んだんです。作家も歌い手も若い人が出てきて伸びていくのは、本当に楽しみなこと。演歌の世界では、歌い手では若い人がたくさん出てきて頑張っているけれど、作り手が育っていないんです。コンサートの司会者も同じ。だから俺はいろんな人に「若い人を育てた方がいい」って言っているんです。ライバル視するのではなく、育てていかないと。

――その意味では竜蔵さん徹二さんとも頼もしい存在になっていますね。

でも、あいつら言っていることがイマドキなんですよね。謙遜しないんだもん。俺がちょっと「この歌いいな」みたいなこと言うと、「そうでしょ、いいでしょ」って平気で言うから、ちょっと待ってくれよって思うときがある(笑)。あいつらのことクソ生意気だって思う人もいるんじゃないかな。

――その対応は家族だからだと思います。お2人とも大変礼儀正しくて、常に周りに感謝の気持ちを持たれて活動されていますよ。

そうか。母親に感謝しないとダメかな。俺は仕事で家にいないことが多かったから、俺が育てたわけじゃないからね。女房のおかげだと思います。

――竜蔵さん徹二さんを見ていて、ご自身と弟の山川豊さんとの関係と似ているなと思うところはありますか?

俺は弟と一緒にいるときはツッコミで、弟がボケるみたいな感じ。でも、俺があんまり喋らないでいると、弟が突っ込んできてっていうふうにうまくできているんですよ。その絶妙なバランスは息子たちも似ているかもしれないですね。あと、弟が兄を絶対けなさず、常に立てているところはそっくり。兄貴は弟がとにかく可愛いというところも同じ。それが仲良くいられる秘訣なのかなと思います。

歌に励まされ、歌に助けられた

――来年デビュー45周年を迎えられますが、これまでの歌手人生を振り返ると、どのようなことを感じられますか?

人との出会いに感謝ですね。だって、マグロ船の漁師がアポイントメントも取らずに船村徹先生のところに押しかけて、「弟子にしてください」とお願いして、弟子にしてもらえたって神がかりとしか思えない。弟子になってもデビューしても辞めちゃう人はいっぱいいるのに、俺はいろいろな先生方に恵まれて、いい詞と曲を作っていただいて、皆さんのおかげでここまで来られた。本当に幸せ者ですよ。だから45周年とかはあまり気にしない。昔からそうなんですが、周年関係なく、いつも同じように、ただただ歌が好きでがむしゃらに歩んでいる状態です。

――そんな鳥羽さんが考える歌の力とは?

2年間マグロ船に乗っていて、正直、キツかったんですよ。でも、歌を歌っていると、辛いことは忘れて「また明日も頑張るぞ」っていう気持ちになれたんです。船村先生の『別れの一本杉』や青木光一さんが歌った『柿の木坂の家』――大好きな歌を歌えば、フッと何もかも忘れられる。そんなふうにいろいろな人の歌に励まされて、歌に助けられてきた。だから歌は人生の応援歌だと思います。

――今後についてはどのような夢を抱いていますか?

とにかく1日でも長く歌っていきたいということに尽きます。俺は演歌を歌うしか能がない男ですので、これからも演歌をファンの皆さんにお届けできればと思っています。歌は人生の応援歌。頑張りますので、皆さんどうぞよろしくお願いします。

鳥羽一郎『長谷寺の雨 ~晩秋の大和路~』ミュージックビデオ

鳥羽一郎『長谷寺の雨 ~晩秋の大和路~』

鳥羽一郎「長谷寺の雨 ~晩秋の大和路~」

発売中

品番:CRCN-8831
価格:¥1,550(税込)

【収録曲】

1.長谷寺の雨 ~晩秋の大和路~(作詞:髙畠じゅん子/作曲:斉藤功/編曲:蔦将包)
2.諸行無常(作詞:髙畠じゅん子/作曲:木村竜蔵/編曲:蔦将包)
3.長谷寺の雨 ~晩秋の大和路~ (オリジナル・カラオケ)
4.諸行無常 (オリジナル・カラオケ)

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