門倉有希 独占インタビュー 「自分の中から自然に湧き出てくる思いを歌うように」

2019.10.24

1994年に『鴎・・・カモメ』でデビュー。ハスキーなボーカルで、演歌から歌謡ポップスまで幅広く歌いこなすシンガーとして活躍中の門倉有希。98年にリリースした『ノラ』は、いまだにカラオケランキングの上位をキープし、累計80万枚のロングヒットとなっている。そんな彼女に、5月にリリースされた最新曲『あなたがすべて~Only Love~』をはじめ、歌への思いを語っていただいた。

矢沢永吉さんのようなパワフルなステージを目指します

――『あなたがすべて~Only Love~』は、しっとりとした平歌とスケール感あるサビとのメリハリが印象的な楽曲。カラオケで歌うときのポイントも含めて、この曲の魅力を聞いた。

この作品は、語りの部分と盛り上がる部分がきっちりと分かれていて、すごくメリハリのある曲です。私自身もディレクターに言われたのですが、語りの部分はあまり力まないで、肩の力を抜いてさらっと歌うこと。そしてサビからは自由に、スケール感を大きく歌っていただければいいかなと。カラオケで歌うと絶対に目立つ作品なので、ぜひ皆さんに覚えていただいて、カラオケで盛り上っていただきたいです。歌詞の内容も分かりやすいので、すんなりとその世界に入っていけると思います。

私自身も『淡々と歌え』と言われて、なるべく力まないように歌おうとしたんですけど、今までにない歌唱法だったので、なかなか難しくて。何度も何度も歌詞を読んで、自分の身体に入れて歌いました。やっぱり気持ちが大事。歌詞の世界を考えて、気持ちで歌わなきゃいけないなと思います

――この曲に限らず、いつも歌詞の世界を大事にしているという門倉さん。しかしデビュー間もない頃は、自分の楽曲に戸惑ったこともあったという。

私はデビュー時から大人っぽい歌を歌わされてきました(笑)。デビュー曲の『鴎・・・カモメ』もそうですし、『ノラ』もそうです。以前は背伸びして(歌詞の世界を)想像しながら歌っていましたが、難しかったですね。『鴎・・・カモメ』は20歳くらいだったので、歌詞の意味の本当のところは理解できなくて、歌うのが嫌になった時期もありました。でも今はすごく好きです。今の年齢になってようやくこの曲の世界を理解できるようになり、等身大で歌えるようになってきました

――歌手を続ける上で大切にしているのは「いつも新鮮な気持ちで歌うこと」。またコンディションを維持するために、ボイストレーニングに通ってケアをすることにも余念がない。

年齢とともに声帯も衰えてきますので、常に身体を鍛えてないとダメなんです。特に全国ツアーが続くと、疲れからか、どうしても下半身に力が入らなくて、上半身だけで歌ってしまったりします。そうすると薄っぺらな声になってしまって音程も悪くなってきます。それを治してもらうために、週1回はなるべくボイトレに行っているんです。コンディションをケアしてくれる先生がいらして、私に少しでも異変があると、気づいて修正してくれるので助かっています。コンディションが良ければ、毎回新たな気持ちで歌えますからね

――門倉さんは、新人時代に先輩の都はるみさんからかけられた言葉を今でも大切にしているという。

デビューが決まったとき、都はるみさんが『おめでとう』とお祝いをしてくださいました。そのとき『いつも新鮮な気持ちで歌うことが大事だよ』『いっぱい遊んで、いっぱい歌ってね。遊ぶことも大事だからね』とアドバイスをいただきました。その後も、仕事の現場でお会いするたびに『頑張ってる?』『ちゃんと遊びなさいね』と声をかけていただいて。私、真面目そうに見えるのでしょうか? いつも『遊びなさい』って言われるんですね。その言葉を真に受けて、遊んでばかりいた時期もありましたけど(笑)。

都はるみさんの言葉の意味は『仕事も遊びも一生懸命やりなさい。いろんな経験が歌に生きるから』という意味なんだと思います。実際、これまで歌手を続けてきた経験の一つひとつが今、歌に生きているなと思います。

私は不器用で、作ろうと思うとぎこちなくなってしまうので、自分の中から自然に湧き出てくる思いを歌うようにしています。ステージでも、いつも自然なままの姿を見ていただこうと。切ない歌を切なく歌おうとしないで、その歌の世界から感じ取った感情をそのまま表現してるんです。するとお客さんから『有希が歌うと本当に切なくて、心に染みる』という言葉をいただけるんです

――今も精力的にライブを行っている門倉さん。今後もライブに力を入れ、またさまざまな歌のジャンルにも挑戦したいと意欲を見せる。

ライブが大好きなので、これからも全国を回って多くの皆さんに歌を届けていきたいです。遠いところでは、北はサハリンまで、南は奄美大島まで行きましたが、沖縄だけまだ行ったことがないので、ぜひ一度行ってみたいですね。

歌のジャンルでは、よく『ジャズが似合うんじゃないか』と言われるので、挑戦してみたい気持ちがあります。好奇心旺盛なので。普段からいろんな歌手の曲を聴きますが、一番尊敬しているのは矢沢永吉さん。私にとっては神様的存在で、ヘコんだときは矢沢さんのインタビュー動画を観て元気をもらっています。矢沢さんのようなパワフルなステージができたらカッコいいと思いますし、矢沢さんを目標に、これからも情熱的に歌っていきたいです

出演情報

『歌謡曲の匠』

放送チャンネル:BS12(トゥエルビ)

放送日時:2019年11月12日(火)4:30~5:00

番組ホームページ:https://www.twellv.co.jp/program/music/kayou-takumi/

関連キーワード