小松みどり 独占インタビュー 「もともと人前に出るのが恥ずかしくて、内弁慶で、社交的じゃなかったんです」

2019.10.17

幼少の頃より歌が好きで、1967年に『ポチャポチャ小唄』で”着物の似合う歌手”としてデビューした小松みどり。以来、50年以上の長きにわたって歌手活躍を続けてきた。そんな彼女に、芸能生活50周年記念作品の第2弾シングル『弓』や歌にかける思いについて語っていただいた。

50周年の区切りの時期に、この曲にチャレンジできて良かった

――現在歌っているシングル『弓』には、特別な思い入れがあったという小松さん。

もともとは『全日本こころの歌謡選手権大会』の課題曲として美樹克彦さんが作られた曲でした。私の50周年の時期に、美樹先生に何曲か聴かせていただいた中にこの曲があったんです。それまでに私が歌ったことのない曲調で『いいなぁ』と。まだ誰が歌うか決まっていないと聞いて、自分が絶対に歌いたいと思って。『この曲はダメなんですか?』と聞いたら、『みどりちゃん、歌う?』と言われて『いいの?』って。そんな感じで歌うことになりました。私の熱意でいただいた曲です

――最初に『弓』を聴いたとき、この曲の持つ独特の世界観が気に入ったという。

それまでに私が歌ってこなかった曲調でしたから、気になりました。まるでメロドラマに出てくるような素敵なアレンジで、きれいで優雅で意味深な雰囲気を気に入りました。難しい曲だとも思ったのですが、美樹先生から『みどりちゃんなりの歌い方でいい。声を張り上げなくても、自分の気持ちを張り上げればいいよ』と言われて、『そうですか』と気を良くしました(笑)。女の情念を描いた歌詞の世界も素晴らしいです。最初の方はそんなに激しくないけど、だんだんとメラメラ、ドロドロしていって、最後の『果ててゆくのが地獄でも あなたとなら楽園に』という言葉が刺さるんですね。50周年という区切りの時期に、この曲をいただけて、チャレンジできて良かったです。自己満足かもしれませんが、自分なりにしっかりと歌えたと思っています

――この『弓』をカラオケで歌いたい人のために、ワンポイントアドバイスを聞いてみると……。

みんな、この曲を難しい難しいと言うんですけど、それは上手く歌おうとするから難しく感じるんです。メロディで歌おうとするのではなく、歌詞を、言葉を歌えばいいんだと思います。私もそうしています。もちろんメロディを壊しちゃいけないけど、歌詞を大事に噛みしめて歌うことが大切。歌詞に重みがありますからね。

たとえば『こころの弓を……』の箇所も、あまり力を入れるのでなく、語るように歌う。そして、声を張るところはそれなりに張る。あくまで自分のやり方でね。その人によっていろいろな歌い方ができる曲じゃないかなと思います。そもそも、歌ってそういうものですよね。歌う人によって全然違う歌になりますから。たくさんの方に聴いて、歌っていただけるとうれしいですね

――50年を超える歌手活動の中で、一番大事にしてきたのは”楽しく歌うこと”だという。

私はもともと人前に出るのが恥ずかしくて、こういう風にお話をするのも苦手でした。内弁慶で、社交的じゃなかったんです。(芸能界も)本当に好きで入った世界じゃなかった。歌は好きだったけど、人前に出るのが嫌いでしたから。でもお仕事を始めてから『もっと楽しくやらなきゃ』と思って。今までいろいろなショーをやらせてもらって、難しいこともたくさんありましたけど、どうしたら自分もお客さんもお互い楽しくやれるのかを常に考えてやってきました。やっぱり気持ちがギスギスしていたら、いい歌はうたえませんから

――この先、55周年、60周年に向けて、さらなる活躍が期待されている。

これからも続けられる限り歌っていこうと思っています。今はショーを中心にやっていますが、どんなショーにしたら、お客さまに楽しんでいただけるかを常に考えています。今年9月に古希になっちゃいまして、歌手活動は53年になりますが、健康で長く歌っていけたら、それ以上の喜びはありません

出演情報

『歌謡曲の匠』

放送チャンネル:BS12(トゥエルビ)

放送日時:2019年11月26日(火)4:30~5:00

番組ホームページ:https://www.twellv.co.jp/program/music/kayou-takumi/

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