【独占インタビュー】フォレスタを構成する3つの要素 コンサート、メンバー、そして歌について

2019.10.21

BS日テレ『BS日本・こころの歌』(毎週月曜日夜7時から放送中)でおなじみの、全員が音大卒という経歴を持つコーラスグループ『フォレスタ』。コンサート開始直前の楽屋にて、フォレスタを支える3つの要素について、男声メンバー6人に聞いた。

フォレスタを構成する3つの要素

1.コンサート

――今日もこれから公演ですが、いつもコンサートで気をつけているのはどんなことですか?

〈大野隆さん:以下大野〉フォレスタはリハーサルをしっかりしますが、同時に本番に声のピークを持っていけるように気をつけています。だから開演直前の楽屋では黙っていることも多いので、機嫌が悪いのかと思われることもあるかもしれないけれど、そんなことはないです(笑)。

〈横山慎吾さん:以下横山〉僕は、お客様の顔が見える会場では、なるべくお客様の顔を見て歌いたいと思っています。お客様に楽しんでいただけているか、皆様の反応を感じながら歌っています。

〈竹内直紀さん:以下竹内〉コンサートの初めから終わりまで、イメージトレーニングをします。喉がベストな状態になるように心がけて、時間を逆算して現場に入って発声練習をします。

〈塩入功司さん:以下塩入〉特別なことをしようとせずに、普段通りでいるようにします。本番前にルーティーンをすると、それができなかった時にメンタル面で影響があると思うので、特別なことはしません。いつも平常心でいるように心がけています。

〈榛葉樹人さん:以下榛葉〉常に余裕を持って、お客様の表情など全体を見られるようにしています。それと、我々は広い会場で公演させてもらうことが多いので、できるだけ自分の中にこもらずに、皆様に気持ちを解放した「オープンな状態」で臨むようにしています。

〈澤田薫さん:以下澤田〉いつも舞台では全体のハーモニーを聞きながら、周りのメンバーの歌声とのバランスに気をつけて歌っています。

2.メンバー

――フォレスタの男声メンバーは現在6名、他のメンバーに刺激を受けることもあると思いますが、いかがですか?

〈大野〉フォレスタのいい部分の一つはキャラクターが重なっていない点です。もちろんそれぞれのメンバーに刺激を受けますが、他の人を真似して自分を作る必要はありません。自分にないところは他の人が補ってくれるので、じゃあ僕は他のメンバーに負けない何かを頑張ろうと。メンバーの関係としては、とてもいい状態だと思います。

〈横山〉同じテノールの澤田さんや榛葉さん、もちろん竹内さんにも、歌い方について質問をすることがあります。とても多くの刺激をもらっています。それからリーダーの大野さんは、リーダーとしての凛とした姿勢やおしゃべりの上手さなど、勉強になるところがとても多いです。塩入さんは男気があるというか、一本気なところがあって、そういう点は僕も見習ってまっすぐ生きたいと思います。そんな風に、メンバーに刺激を受ける点はいっぱいありますね。

〈塩入〉音楽的なことや舞台上のことなど、自分には思いつかないようなひらめきをもらうこともありますし、他のメンバーのMCを聞いて、自分のMCの発想のヒントになるなど、日々勉強になります。MCでいうとやっぱりリーダーは上手で、横山くんや竹内さんも独特な雰囲気があっていいですよね。メンバーには見習うことがたくさんあります。

〈澤田〉「その声はどこの筋肉を使って出しているの?」とか、歌を聞いて気になった人には直接聞いたりします。歌を歌う上で、メンバーがいい研究材料になりますね。

〈榛葉〉僕はフォレスタで最年少ですが、先輩たちはさまざまなキャリアを積んで、「声楽を勉強した人たちがマイクを使っていろいろな曲を歌う、今までになかったグループ」を作りました。研究熱心で、そこは僕も学ばなければいけないなと思います。大野さんはすごく大らか。「こうしろ!」と押さえつけるタイプのリーダーではないので、だからこそみんなの意見を吸い上げることができると思います。メンバーが意見を言いやすい空気なのは、大野さんの人間性からくるものだと思います。

〈竹内〉僕は今年2月の札幌公演からメンバーに参加しました。まだフォレスタ歴半年です。15年の歴史のあるグループに入ったので、フォレスタのサウンドを壊さずにどうやって自分の色を出していくかを研究しましたね。毎日カラオケボックスに閉じこもって自主練しました。ずっとオペラ中心でやってきたので、マイクで歌うという歌唱法で、最初の壁にぶつかって。メンバーにアドバイスをもらったりしながら、自分の場所を見つけていく努力を今もしています。

3.やっぱり、歌!

――さまざまなジャンルを歌いこなすフォレスタですが、『うたびと』では好きな演歌・歌謡曲の歌手を一人だけお聞きしました。

〈大野〉これはもう、ぶっちぎりで島津亜矢さん。あの方は演歌にとどまらず、ニューミュージックから歌謡曲、なんでも歌いこなします。多分オペラを歌っても絶対に上手いですよ。クラシックの歌い方は同じ発声で歌われることが多いですが、僕らはさまざまな曲を歌うので、いろいろな発声をします。島津さんは、アイドルの曲を歌う時はアイドルの声、ロックを歌う時はロック歌手のように歌われる。ものすごくスキルの高い方だなと思いますね。

〈横山〉美空ひばりさんですね。自己紹介の時に少しだけ「女歌」を歌わせてもらっています。その時に、美空ひばりさんやテレサテンさんを歌うことが多いですね。

〈竹内〉サブちゃん! 僕は北島三郎さんのバックコーラスをやっていたことがあります。北島さんはものすごいオーラで、登場と同時にお客さんを惹きつけて。その頃、僕は専門がクラシックでしたが、すごく勉強になりましたね。今もよくCDを聴いています。

〈塩入〉尾崎紀世彦さんと布施明さん。どちらも素晴らしい声の持ち主で、尾崎さんは晩年まであの声のままでしたし、布施さんは今も声が衰えません。歌い方や声の出し方が参考になるので、積極的にお二人の曲を歌うようにしています。

〈澤田〉三橋美智也さん! ハリがあってすごくいい声ですよね。

〈榛葉〉尊敬するのは布施明さん。昔から好きだったけれど、ノーブルというか、端正に歌われているにも関わらず、ご自分の色もあって、観客に言葉が伝わってくる。我々は声楽をやっているので、よりしっかりした歌い方に惹かれる部分があるのかもしれませんが、言葉をきちんと伝えられる歌手だと思います。

 

――最後に、コンサートのお客様へのメッセージをお聞きしました。

〈大野〉私たちは名曲はジャンルを問わず歌い継ぎたいと考えています。大学でオペラを習得してきた私たちは、マイクなしでどれだけ声が届くかという勉強をしてきました。そんな僕らが歌謡曲を歌うのは難しいことでしたが、十何年間かけてマイクを通して歌うことを勉強してきたつもりです。お客様にはジャンルの垣根を超えていろいろな曲を楽しんでほしいと思います。様々な時代の曲を歌っていますので、あらゆる皆様のこころの歌を見つけていただければこれ以上嬉しいことはありません。

 

〈塩入〉フォレスタは古い時代の曲をよく歌うのですが、肩肘張らずに楽しんでいただければ嬉しいです。

〈澤田〉エンターテイナーを目指して、歌だけではなく、表情や立ち居振る舞いにも気をつけているので、そこも楽しんでいただければと思います。観客の皆さんと共に歌う曲もありますので、一緒に歌いましょう。皆さんとコンサートを作り上げていきたいと思います。

 

〈榛葉〉『BS日本・こころの歌』を観て、コンサートに来ていただいた方も多いかと思います。テレビだと少し堅い雰囲気で、それぞれの人間性も伝わりにくいです。コンサートは、生でしか味わえない空気感があります。「音楽は瞬間芸術」という言葉がありますが、その場にいる人だけが楽しめる、今この時にしかない喜びを皆様と共有できたらと思います。

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