走裕介独占インタビュー 「好きなことをやってファンの皆さんが喜んでくれる――最高に幸せです」

2020.3.18

昨年のデビュー10周年を経て、2月に自身、15枚目となるシングル『流氷列車』をリリースした走裕介。新たな10年に向けてのスタート曲となった『流氷列車』について、そしてこれからの目標についてお話を聞いた。


「10年前のデビュー曲が『流氷の駅』、そして今回、偶然にもまた〝流氷″で新しい10年をスタートできるのはうれしいですね。それにデビュー曲と今回の曲の共通点は、流氷だけではないんです。ほら、どちらの曲も鉄道に関係していますよね。曲調も似ているところがあって、どちらも列車が走っていくリズムなんです。このリズムを大切に歌っていこうと思いっています」

――ご出身は〝流氷の里″北海道の網走ですね。
「『内弟子時代に師匠の船村(徹)先生が、そろそろ走くんのデビュー曲を考えなくてはいけないな、(出身地の)網走に取材に行こう』と言ってくださって。その取材の帰りに網走の駅にあったスタンプに『流氷の駅・網走』という文字が書いてあったんです。それを先生が見て、使えるかもしれないっておっしゃったことを覚えています。たぶん、作詞家の池田充男先生に取材旅行のことを話してくださって出来た歌だったんだろうと思います」

――「走」という珍しい名前も網走からとったとお聞きしました。
「そうなんです。先生は芸名を考えるときに、出身の地名をそのまま付けることがあるんです。ほら、兄弟子の鳥羽一郎がそうですよね。だからおれも網走かなって覚悟したんですが、〝番外地″のイメージもあるし(笑)、考えてくださって〝走″になったみたいです」

――そもそも船村先生のお弟子さんになった経緯は?
「北見市に「オホーツク歌連会連合会」というカラオケ同好会の大きい組織があって、そこのカラオケ大会に出たのがきっかけで、船村先生にデモテープを送ることができたんです。テープには細川たかしさんの『望郷じょんから』と高山厳さんの『心凍らせて』を録音して。どちらも先生の曲じゃないのに(笑)、弟子にしていただけて幸せでした」

――先生からはどんなことを学んだと思いますか。
「先生は歌のレッスンは一切しないんです。『僕は歌の技術は教えない。それより精神を鍛えること、どこに出しても恥ずかしくない礼儀作法を身につけさせる。歌は先輩を見て自分で勉強しろ』って。今思えば、プロの歌手になってから皆さんに可愛がられるように人との接し方や人間性を磨くようにってことだったんでしょう。ただ、歌については、言葉を大事にするようにということは言われました。『短い歌詞の裏側に言外の意味が潜んでいる、それをキチンと理解して歌わなくちゃいけない。歌は心で歌うものだよ』という教えは今も大切にしています。でも、先生は細かいことはあんまりおっしゃらないんです。全体を通していい感じなら、細部はいいっていう大らかな考え。レコーディングでも、ガラスの向こうで、『走くん、もう少し上手に歌ってくれ』って(笑)。こっちはそこをどうすれば上手く歌えるか教えてほしいんですけどね(笑)」

――新曲『流氷列車』はどこを大切に歌おうと思っていますか。
「この曲は、〝幸せ演歌″なんです。演歌って、別れの歌が多いですけど、これは昔の恋人の元に帰る、これからまたよりを戻そうという幸せな歌。ですから、そんなに歌に入り込まないように気を付けています。特段メッセージを届けるという曲でもなくて、聴いたくれた方が、なんだかこの曲を聴いて心がホッコリした、和んだ気持ちになってくれたらそれでいいと思っています。レコーディングもあえて練習しないで臨んで、1時間くらいで撮り終えました。それくらい肩の力を抜いて歌っています」

――2020年が始まって2か月が過ぎましたが、今年はどんな目標を立てていますか。
「『流氷列車』を作ってくださった作詞の高田ひろお先生、作曲の佐瀬寿一先生は、あの『およげ!たいやきくん』を世に送り出したお二人なんです。457万枚売れた曲です。僕もたいやきくんにあやかって、10分の1でいいから売りたいですね。それが達成できれば紅白もレコード大賞もいろんなものが、みんなついてくると思いますから(笑)」

――今、コロナが流行っていて残念ながら中止される場合が多いですが、コンサートの計画はありますか。
「コンサート、好きなんですよ。実は僕、自分のライブは構成、曲目選びから、司会、果ては会場で流す動画作りまで全部、自分で考えて作るんですよ。コンサートの構成を考えているときがほんとうに楽しくて。この間なんか、自分が着替えで舞台から引っ込んでいる間、お客さんに楽しんでもらおうと動画まで作りました。内容は料理。ビシソワーズを作る動画を制作して流したんです。『あいつ(走本人)、今着替えてるから、その間ちょっと料理してみますね』『あ、そろそろ着替え終わったようですね。ではどうぞ!』なんて一人芝居の動画を作って舞台で流してるんです(笑)。楽しいですよ。だから、今はコロナが早く収束して、またコンサートでいろんなところを回りたいというのが切実な思いです」

――お聞きしているとほんとうに音楽がお好きなのがわかります。
「世の中で、自分の好きなことを仕事にできている人って、たぶん1割くらいだと思うんです。自分は幸運なことにその1割の中にいるのだから、1年のうち、360日くらいは音楽のことを考えていたいです。好きなことをやってファンの皆さんが喜んでくれる――最高に幸せです。だから今は『このコロナめ!』って怒ってる(笑)。仕方ないので動画を作ってブログなどに流しています。ファンの皆さんに『会いにいけなくてごめんね、その間、これ見て我慢してね』って。また再開できたら力いっぱい頑張りますので、僕のコンサート、楽しみに待っていてください!」

走裕介『流氷列車』

配信リンク:https://nippon-columbia.lnk.to/Uljlu

作品情報

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走裕介『流氷列車』

2020年2月12日発売/CDCOCA-17737 /¥1,227+税/【収録曲】1.流氷列車 (作詩/高田ひろお 作曲/佐瀬寿一 編曲/蔦将包) 2.唇は赤き砂漠(作詩/高田ひろお 作曲/佐瀬寿一 編曲/蔦将包) 3.流氷列車 (オリジナル・カラオケ) 4.唇は赤き砂漠 (オリジナル・カラオケ) 5.流氷列車 (半音下げオリジナル・カラオケ) 6.唇は赤き砂漠 (半音下げオリジナル・カラオケ) 7.流氷列車 (1.5コーラスオリジナル・カラオケ) 8.唇は赤き砂漠 (2コーラスオリジナル・カラオケ)

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