大石まどか独占インタビュー ”未練”テーマの新曲『京都みれん」/『曼珠沙華が咲いた』、そして語る自身の”未練”

2020.4.21

デビュー30周年イヤーへ向けて、さらなる飛躍を目指す一歩として、両A面シングルの『京都みれん』/『曼珠沙華が咲いた』をリリースした大石まどか。タイプの違う新曲のそれぞれの聴きどころや、30周年を迎えるにあたっての心境などを伺った。

 

――大石さんの代名詞である“艶歌演歌”の『京都みれん』と歌謡曲テイストの『曼珠沙華が咲いた』。どちらも“未練”がテーマとなっている楽曲だが、それぞれの印象やレコーディング時のエピソードを語ってくれた。

演歌と歌謡曲だと、やっぱり歌っているときの気持ちも違います。ただ、両方“未練”がテーマの歌なので、暗くならないようにと意識してレコーディングしました。レコーディング前に作曲家の幸耕平先生に歌の指導をしていただきましたが、『曼珠沙華~』には細かいアドバイスはなく、自分が思った通りでいいと言われたので、等身大で感じたままに歌っています。『京都みれん』はレコーディング時の幸先生からのアドバイスを意識しながら歌いました。
どちらも歌の主人公は、ダメな男性を好きになって、自分が相手の唯一の女性になれると信じていたのに捨てられてしまう女性です。ストーリーは似ていますが、作詩してくださったのが『京都みれん』は男性の喜多條忠先生、『曼珠沙華~』は女性の岡田冨美子先生なので、歌詞の雰囲気は随分違いますよね。『京都みれん』は、男性がこうであってほしいという女性像のように感じます。それと歌詞に京都の四季が出てくるので、京都の情緒あるしっとりした雰囲気を感じていただけると思います。『曼珠沙華~』は歌詞を最初に見たときに、その赤裸々な内容にドキッとしました。でもメロディーがつくとそれが緩和されて、切なさを感じさせる曲になっていると思います

――それぞれ歌うときのワンポイントアドバイスもいただいた。

『京都みれん』はサビ前の『せめて せめて せめて』のように言葉を3回くり返すところが聴きどころでもあり、歌いどころでもあります。歌いだしは淡々と歌って『せめて~』のところでスピード感と強弱をつけて歌うと、サビがぐっと盛り上がりますよ。
『曼珠沙華~』は、切なさが伝わるよう“語る”ように抑えて歌っています。“語る”ようにというのは難しいと思うので、“歌う”のではなく極力抑え気味に“話す”ように歌ってみてください。きっと上手く歌えると思います。ぜひ楽しんでいただけたらうれしいです

 

――両曲のテーマである“未練”にちなみ、ご自身が未練を感じたことについて聞くと「細かいことはたくさんあります」と笑顔を見せた彼女。ステージなどの本番前には「もっと練習したかった」と思うこともあるとか。そして少し考えた後、思いを馳せて「民謡」と答えた。

亡くなった父が民謡の師範だったので、私も3~4歳から歌っていました。でも、父の教室で他のお弟子さんと一緒に勉強したのは、小学3~4年生から中学1年生くらいまで。8トラックが流行り出して、だんだん歌謡曲や演歌が主流になり、私も演歌を歌ってみたらそっちの方が楽しくなってしまいました。民謡を歌うこと自体は好きでしたが、当時は民謡そのものにあまり興味を持てなくて。だからもっと民謡を真剣にやっておけば、ステージでもサマになったのにと思います。それが未練かな
民謡って、一曲を歌い込んでどれだけ長く歌っていくかがステータスなんです。たとえば『“道南口説”だったらこの人には敵わない』とか。その曲だけの大会もありますし。そうやって一曲一曲勉強して、長く歌いながらレパートリーを増やしていくのが民謡の世界なんです。私の場合、ちゃんと歌える曲は数曲しかなくて……。何十年と歌い込んでいた父に言わせたらまだまだだと思います。これからまた、コツコツとやっていけたらと考えています

――最近は習い事にも興味が高まっているという。昨年からのピアノの弾き語りに続き、英会話の勉強を始めようとしていたが、コロナ騒動で一時休止に。しかし、めげることなく自宅での学習を計画しているそうだ。

スタッフに英語がペラペラの人がいるので、みんなで彼女から英語を習うことになっていました。今回の騒動で集まるのは無理なので、自宅で一人でできる勉強法を教えてもらおうと思っています。私はジャズが好きでライブでも歌うので、その意味でも英語の発音を覚えたり、練習したりするのは有意義だと思っています。
ピアノも舞台のために始めたのではないんです。幼少時に少し習っていて、たまたま石原絢子さんの家で何となく弾いてみたら、あらためて面白いなと感じて始めました。そしたら、歌うときも以前より音符を意識するようになって。カバー曲を歌う機会も多いのですが、耳で覚えていたものを音符で確認したら、覚え違いをしていたのに気づいたこともありました。そう考えると、自然に仕事にもプラスになっていますね。ライブでも弾き語りを披露できるようになりましたし

――30周年を迎えるにあたってやってみたいことを尋ねると、彼女のライフワークである生演奏ライブ「生ラ!」(彼女の出身地・北海道の方言で“すごい”の意味の“なまら”にかけている)を各地でやることだった。

ねずみ年で年女でもあるので、いろいろやりたいなと思っていて。『生ラ!』も昨年は銀座で2回、函館で1回できたので、今年はたくさんやりたいと思います。『生ラ!』では曲目も自分で考えて、カバー曲もたくさん歌います。ジャズを歌ったり、ピアノで弾き語りをしたり、いろいろな挑戦をさせてもらっています。生演奏なので、歌謡曲や演歌をボサノヴァ風やロック調にアレンジするなど、本当に楽しいライブです。25周年は大きなホールで行いましたが、30周年はライブハウスなど小さい会場にして、全国各地でできたらなあと。コロナの影響で時期がはずれるかもしれませんが、実現できたらうれしいですね。
こういう状況なので、まだまだ歌を聴きたい心境になれない方も、反対に“コロナ疲れ”で歌を歌ったり聴きたくなっている方もいらっしゃると思います。今はキャンペーンで直接歌をお届けできないのですが、その分、テレビ番組やインターネットなどで聴いて、歌って、楽しんでいただけるといいなと思います

作品情報

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大石まどか『京都みれん」/『曼珠沙華が咲いた』

歌手活動29年を迎える大石まどかが、“未練”をテーマに魅せる両A面シングル。初の幸耕平作品、そして喜多條忠の筆による、京都を舞台に色鮮やかな四季の情景と共に、女性の未練ごころを綴る快作『京都みれん』。一方『曼珠沙華が咲いた』は、岡田冨美子の赤裸々な歌詞がここ数年で築き上げてきた大石まどかの「歌謡」を新しいステージへと昇華させた秀作。 2020年3月25日発売/¥1,350(税込)/COCA-17754

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