氷川きよし独占インタビュー「他人と比べたりせず、ありのままで生きていく勇気を持ってほしい」
テレビやYouTubeなどで、美しく華麗なパフォーマンスを披露する氷川きよし。新たな引力を身につけた彼に、今まで以上に魅了された人も多いのではないだろうか。そんな氷川の初ポップスアルバム『Papillon(パピヨン)―ボヘミアン・ラプソディー』が、去る6月9日(ロックの日)にリリースされた。編集部はチャンネル銀河で7月〜9月に行う『3カ月連続氷川きよし特集』にて放送されるインタビュー番組(「氷川きよしスペシャルインタビュー~21年目の扉~」8月15日放送)の収録現場(最少人数で実施、全員マスク着用)にお邪魔し、新アルバムに込めたメッセージやデビュー21年目に込める思いを聞いた。
子どもの頃から念願だったポップスを歌う
――新しいアルバムはとても聴き応えがありますね。
「ポップスだけのアルバムは初めてのことで、本当にドキドキしています。このアルバムをきっかけに、氷川きよしの歌を聴いてくれる人が増えたら嬉しいですね。子どもの頃、ポップスを聴いて歌が好きになって、悲しいことがあった時や苦しい時に、いろいろな曲が自分の心を癒してくれました。その思いを大切にしたくて、いつかポップスを歌いたいとずっと思ってきました。今回の書き下ろし10作品については、こういう作品でこんな言葉を歌いたいと、全部、作詞家・作曲家の方に伝えて書いていただきました。こんなことを言うとおこがましいですが、演歌歌手として20年間やってきた自分がポップスアルバムを出すことによって、演歌とポップスの垣根をなくすことは、使命かもしれないとも思いました」
――各先生に特にオーダーしたポイントはありますか?
「やっぱり〈ありのまま〉というメッセージですね。誰もが他人と比べたりしないで、ありのままに生きていく勇気を持ってほしい。全員が自分にしかできないことがあるはずだし、一人ひとりが尊い。みんながそのままで輝ける2020年にならなければ、時代は変わらないという思いがありました」
各曲に込めた熱いメッセージをみなさまに届けたくて
――アルバムタイトルでもある『Papillon(パピヨン)』には、特に思いを込めていらっしゃるとお聞きしました。
「『Papillon(パピヨン)』は、〈さなぎから蝶に変化していくように人間として輝き、ありのままに生きる〉という、自分自身の思いを歌っています。この曲は、カバーさせていただいたクイーンの名曲『ボヘミアン・ラプソディ』と対になっています。フレディ・マーキュリーは華やかなスターで、歌も上手でヒット曲にも恵まれているけど、家に帰ったらポツンとひとり。家庭という温かい場所がなくて孤独だという彼の寂しさが、同名の映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観た時、すごくわかったんです。もう、本当に涙が出てくるほど。しかも45年しか生きられなかったなんて! あと3年で自分も45歳じゃないですか。フレディの人間としての思いを、ちゃんと伝えなければいけないと、切実に感じました。それでアルバムの構成を、最初に『Papillon(パピヨン)』、ラストを『ボヘミアン・ラプソディ』にしました」
――ご自身がディレクションされたポップなMVが話題の『キニシナイ』では、SNS時代をサヴァイヴするためのメッセージを発信していますね。
「SNSもそうですけど、今の世の中、メディアに出るといろいろなことを言われますよね。でもそういうことを気にしていたら、自分がいなくなってしまうのではないかと思います。『気にしないで生きていこうよ、自分は自分。誰にどう思われているかより、自分がどう生きるかが重要だから』というメッセージを込めました。サウンドはEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)。18歳で上京した時からEDMが好きで、機会があったら歌いたいなと思っていました。やるなら、中途半端にやるより、思いっきりやった方がいい。とびきりポップなEDMに、自分の言葉をのせてメッセージを伝えられたらいいなと思って、そんな思いを全部、作詞家の先生にお伝えして、歌詞を書いていただきました」
――『おもひぞら』もご自身のディレクションによるMV。この曲では上京された頃の心情が歌われています。
「これは、〈いきものがかり〉の水野良樹さんに作詞作曲していただきました。この曲は水野さんが自分を客観的に見て書いてくださったんですが、ワンコーラス目が自分の思い、ツーコーラス目が親の思いなんです。18歳の頃の自分の葛藤がストレートに書かれていて、改めてすごい作家さんだなと思いました。言葉遊びも面白くて、最初に詞をもらった時は、『どういう意味だろう』と思いながらデモテープを聴きましたが、歌えば歌うほど歌詞の説得力が増してきました」
――『never give up』では、初めての作詞にもチャレンジされました。
「以前から自分の思いを歌詞にしたいと思っていたので、R&Bの帝王と尊敬している上田正樹さんに相談したら『氷川くんの思ったことをストレートに書けばいいんだよ』と言っていただきました。自分が42年間生きてきて、何を考えているかと言ったら、やっぱり〈never give up〉だと思い当たりました。いくら壁にぶち当たっても絶対諦めないで、自分の夢を掴むために立ち上がってきましたから。『never give up』は、〈諦めないで〉というメッセージを世界に発信したいという、正樹さんとの思いが形になった曲です。自分は幼少の頃、コンプレックスの塊だったけど、歌があったので光をつかむことができました。誰に何と言われても諦めないという気持ちが、ストレートに表現されている1曲です」
ありのままの氷川きよしで、演歌はもちろんいろいろなジャンルの曲を歌いたい
――昨年の11月18日からインスタグラムを始めました。ファンにとっては「繋がっている」感じがして嬉しいですね。ご自宅で飾られているお花も綺麗で、お料理の写真がとっても美味しそう!
「『自分はこういう人だよ』ということを、ファンのみなさまにちゃんと伝えたいと思って始めました。デビュー前に飲食店で働いていたので、料理は全く苦になりません。でも、この春は新型コロナウィルスの影響でコンサートが中止になったこともあって家にこもっていたので、さすがに1カ月間、朝・昼・晩とご飯を作っていたら、『ギャーッ』と叫びそうになりました(笑)。一日中ご飯を作るって、本当に大変。主婦の方は偉い! 氷川きよしから表彰状をあげたいくらいです」
――今年は「氷川きよし第2章」のスタート。ファンのみなさまへ最後にひと言お願いします。
「いつも応援をありがとうございます。今年は氷川きよし21年目の歌手人生ということで、さまざまなことに挑戦して新しい自分を発見し、輝いていきたいなと思っています。新アルバムはオリジナル曲が13曲と、フレディ・マーキュリーの魂を感じながら歌わせていただいたクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』の計14曲。自分の人生と魂を込めた、かなりパンチを効かせたアルバムになりました。それぞれの人が自分の人生の主役として、輝いていけるような時代にしたいという思いを込めて、楽しく歌っていきたいと思っています。これからも氷川きよしを愛してくれるみなさんに応えるために、演歌はもちろんですが、いろいろなジャンルの曲を歌っていきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いします」
『Papillon(パピヨン) – ボヘミアン・ラプソディ-』
2020年6月9日(火)発売。
Aタイプ
初回完全限定 スペシャル盤17cm紙ジャケット仕様
CD+DVD:COZP 1669-1670/¥3,545+税
※豪華歌詩ブックレットステッカー封入(Aタイプ絵柄)
Bタイプ 通常盤
CD:COCP 41181/¥2,909+税
※豪華歌詩 ブックレット ステッカー封入( B タイプ絵柄)
【収録曲】
1. Papillon (新曲)
作詩:塩野 雅/作曲:塩野 雅/編曲:NaO
2. 不思議の国(新曲)
作詩:塩野 雅/作曲:塩野 雅/編曲:NaO
3. キニシナイ(新曲)
作詩:柳田しゆ/作曲:梅堀 淳/編曲:梅堀 淳
4. 確信(既発曲)
作詩:塩野 雅/作曲:塩野 雅/編曲:NaO
5. 限界突破×サバイバー(既発曲)
作詩:森 雪之丞/作曲:岩崎貴文/編曲:籠島裕昌
6. 青い鳥(新曲)
作詩:朝倉 翔/作曲:永井龍雲/編曲:野中”まさ”雄一
7. Love Song(新曲)
作詩:JUTA/作曲:JUTA/編曲:山口俊樹
8. This is love(新曲)
作詩:chalaza/作曲:chalaza/編曲:野中”まさ”雄一
9. 碧し(既発曲)
作詩:GReeeeN/作曲:GReeeeN/編曲:GReeeeN、高田 翼【Diosta inc.】
10. おもひぞら(新曲)
作詩:水野良樹/作曲:水野良樹/編曲:鈴木 豪
11. Never give up(新曲)
作詩:kii/作曲:上田正樹/編曲:上田正樹
12. Going my way(新曲)
作詩:笹本安詞/作曲:笹本安詞/編曲:笹本安詞
13. 笑っていこうぜ!(新曲)
作詩:岩崎貴文/作曲:岩崎貴文/編曲:岩崎貴文
14. ボヘミアン・ラプソディ(新曲:カバー曲)
作詩:フレディ・マーキュリー/作曲:フレディ・マーキュリー/訳詩:湯川れい子/編曲:佐藤 準
【特典MV】
1. Papillon
2. 不思議の国
3. キニシナイ directed by HK
4. おもひぞら directed by HK
5. 確信 directed by HK
作品情報
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氷川きよし『母』(D・E・Fタイプ)
2020年7月14日発売/¥1,227+税/Dタイプ(CD:COCA-17806 MT:COSA-2435)カップリング:『黄金岬(おうごんみさき)』(作詩:かず翼 作曲:弦 哲也 編曲:石倉重信)/Eタイプ(CD:COCA-17807 MT:COSA-2436)カップリング:『笑おうじゃないか』(作詩:原 文彦 作曲:岡 千秋 編曲:丸山雅仁)/Fタイプ(CD:COCA-17808 MT:COSA-2437)カップリング:『見送り駅』(作詩・作曲:永井龍雲 編曲:ツルノリヒロ)