地元・金沢への愛を胸に歌い続ける朝比奈あきこ 新曲『別れの宴』で表現するのは大人な別れ

2021.2.26

2007年から金沢を中心に歌手活動を開始し、2018年には日本コロムビアに移籍して第一弾シングル『ときどき悪女』をリリースした朝比奈あきこ。その表現力豊かな歌声で「日本作曲家協会音楽祭2019」では奨励賞を受賞し、2020年10月にリリースした最新曲『別れの宴』は11/1付オリコン デイリー演歌・歌謡ランキング1位、総合ランキング16位を記録して注目を集めている。そんな彼女に、コロナ禍での活動や新曲への思いを聞いた。

 

――昨年10月28日に新曲『別れの宴』がリリースされて3カ月ですが、手応えはいかがでしょうか?

今は新型コロナウイルスの影響で、なかなかカラオケなどで歌っていただけない状況ですが、曲を聴いた皆さんからは「良い曲なので家で繰り返し聞いている」「家でよく歌っている」といった声が届いていてうれしく思っています。私自身も『別れの宴』を作曲家の幸耕平先生からいただいて初めて聴いた時は、ムードがあってリズミカルで、流れるようなメロディの中にちょっとスイングのある部分があったりして、私の好きなタイプの楽曲でうれしく思ったのを覚えています。

――前作『ときどき悪女』に続いて「別れ」がテーマの楽曲ですが、歌う際に心がけている点はありますか?

今回の曲は別れといっても“宴”ですから、笑って別れましょうという大人の別れ方だと思うんです。幸先生からも「笑って歌いなさい」とご指導いただいて、ひと口に“別れ”といっても、いろいろな歌い方があって勉強になりました。別れはどんなものであっても寂しいですが、『またね』という気持ちがあると、少しは明るく歌えるような気がします。「しんみりじゃなく、笑って別れましょうよというのは、何かいいですよね」とコンサートで話したら、多くのお客さんが頷いてくれたのが印象的でした。

――11月には新曲発表コンサートを開催されましたが、コンサートの反響はいかがでしたか?

昨年の11月1日に、金沢市文化ホールで開催しました。その頃は二度目の緊急事態宣言が政府から出る前でしたが、完全防止対策を十分に行った中でのコンサートには、とても多くのお客様に集まっていただき大盛況でした。お客様は全員マスク着用で声を出さないようにお願いしておりましたので、声援の代わりに拍手をいただく形になりました。お客様の声が聞こえないコンサートは少し寂しくもありましたが、以前に行った無観客配信ライブに比べるとマスクの上からお客様の熱い視線が届きますので、私はうれしかったですね。

 

また、今年の1月31日に金沢21世紀美術館シアター21で行ったコンサートでは会場の真ん中にステージを作って、360度ぐるっと囲む形でお客様に入っていただきました。私自身は丸いステージの上を回りながら歌ったのですが、お客様それぞれのお顔を見ながらのコンサートはやりやすかったです。マスクで口元はわかりませんが、目は喜んで笑ってくれているのがわかりますし、しっかり見てくれているのが伝わってきました。

――金沢を中心に活動をされてきた朝比奈さんですが、そもそも歌手を目指したきっかけは?

昔から歌は好きだったのですが、当初は歌手になろうとまでは思っていませんでした。それがある時、偶然耳にした曲の作曲家の方にお目にかかったのがきっかけで、歌手として活動することになりました。
歌手活動を始めたばかりの頃は金沢市内のカラオケスナックなどで歌わせていただいたのですが、当時の私はカラオケのリモコンの使い方すらよくわかっていませんでした。カラオケの機械を操作できずにまごまごする私を見かねて、お店のお客さんが助けてくれたのですが、そこから私の歌を聴いて興味を持ち、歌ってくれるようになりました。中には違うカラオケスナックを紹介してくれるお客さんもいて、そこから活動の場が広がっていったんです。
歌手としての最初の一歩から地元の皆さんに支えていただいたおかげで、今の私がある。そうした感謝も込めて、今でも年に1回は金沢でディナーショーを必ず開催するようにしています。

 

――現在東京と金沢を中心に活動されていますが、東京での暮らしはいかがですか?

それまでも何回かは東京に来たことがあるのですが、私の中では「東京は遊びに行くところ」という感覚でした。ですから若干の不安はありましたが、いざ住んでみると想像以上に住みやすいですね。幸先生やスタッフの方々をはじめとした“人”に恵まれているのも大きいと思います。
ただ東京に住んでみて驚いたのは、金沢に比べて”お魚が売っていないこと”ですね。お刺身はたくさん売っているのですが、魚の姿のままで売られていることがとても少ないように思いました。あと、“うどん”が違うんです。東京はちょっと濃い味なのですが、金沢のうどんは京都に近い味付けなんですよ。そのせいか、金沢に帰るとまず新鮮なお刺身とうどんはよく食べているような気がします(笑)。

――今後、新曲のプロモーションでやってみたいことはありますか?

先ほどお話した円形ステージのコンサートを、もう一度やりたいと思っています。新型コロナウイルスの影響でどうなるかわかりませんが、何とか今年中にやりたいですね。コンサート後に「コロナでうんざりしていたけど、歌を聴いて元気になった」「朝比奈さんががんばっているから、私もがんばらなくちゃ!」といった声をかけていただいて、私もうれしくなりました。皆さんからの温かい言葉、熱い視線が私の原動力だと実感しましたね。
それに、幸先生からいただいた新曲『別れの宴』をもっと皆さんに届けたい。カラオケは密になりやすいし飛沫も飛ぶので、復活するまでにもう少しかかると思うのですが、「このステイ・ホーム中に『別れの宴』を覚えていただいて、行けるようになったらカラオケで歌ってくださいね」と、コンサートではお願いしました。そんな日がすぐに来ることを信じて、今後も常にポジティブな気持ちで活動したいと思っています。スタッフやファンの皆さんが支えてくれますから、私は安心して前を向いて歌うのみです。

 

――歌手としての今後の目標を教えてください。

いろんなジャンルの曲を歌える歌手になりたいというのが私の目標です。以前小唄をやっていたので小唄調の歌もやりたいし、好きなジャズ風の歌も歌いたい。とはいっても、まずは幸先生からいただいた『別れの宴』をしっかり歌っていくことが第一だと思っています。その上で、また次の曲を書いていただける機会があれば、そういった曲にも挑戦してみたいですね。
実は新曲披露コンサートの時にピアノ奏者をお願いして、ジャズも少し歌ったんです(笑)。歌手としてはもっと幅を広げるのが目標ですが、まずは確実に一歩ずつ進んでいきたいと思っています。

朝比奈あきこ『別れの宴』

2020年10月28日発売
COCA-17786 \1,227+税
<収録曲>
『別れの宴』(作詩/さいとう大三 作曲/幸 耕平 編曲/伊戸のりお)
『犀川の女』(作詩/さいとう大三 作曲/幸 耕平 編曲/伊戸のりお)
他カラオケ

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