“令和の歌謡歌姫”・藤井香愛のデビュー3年目の心境 レッスンを重ねた中音域が活きた新曲で開く新境地

2021.3.10

2月25日、東京・豊島区の池袋西口公園野外劇場・グローバルリングシアターで開催された月刊フリーペーパー「みんなの歌謡曲」主催の「みんかよ音楽祭 東日本大震災追悼スペシャル」に出演した藤井香愛。東日本大震災が発生した10年前、歌手を目指してライブ活動を行いつつ、アルバイトをしていたという藤井は、「3月11日は新しいアルバイトの初日で、バイト先の麻布十番から地元の中野まで3時間かけて歩いて帰ったことを覚えています」と振り返った。

 

この日、披露したのは、3月10日、両A面シングルとしてリリースされる『その気もないくせに(新装盤)/鳴かない鳥』収録の2曲。
『鳴かない鳥』は、愛していながらも、お互いのためを思って、何も言わずに離れていく、切なくも強い女ごころを歌った新曲。屋外のステージで、澄み切った青空に向かい、〈♪私はひとりでも 飛んでいく青い空〉と伸びやかに歌い上げ、観客を魅了した。

切ないし、苦しい世界観ではあるんですけど、女性の強さや相手を思う優しい気持ちもすごく出ている、希望も感じられる歌です。ただ、最初、歌詞を読んだときは、私だったら自分から何も言わずに離れるなんて絶対無理!嫌だ!ってなっちゃうって思いましたけど(笑)

その世界観を理解するうえでとくに難しかったのは〈♪私は鳥になる あなたはねこでいい〉というフレーズだったそう。

鳥はわかるんですけど、なんで猫?って。読んでも読んでも最初はわからなくて。でも歌いこんでいくうちに、うん、犬でもないし、うさぎでもないし、やっぱり猫だなって。猫って自分のテリトリーを作って、その中で自由に生きているイメージがありますよね。そういう生き物と大きな世界に羽ばたいていける鳥はまったく正反対。この曲の2人はもともと住む世界が違ったのかなっていろいろ想像が膨らんで。作詞をしてくださったさいとう大三先生にも、なんで猫なのか聞いたら、『うーん、猫なんだよね』って言われました(笑)

 

1年ぶりの新曲となるこの曲は、デビュー3年目の藤井にとって新境地を切り開くきっかけにもなった。

デビュー曲(『東京ルージュ』)が低音でドスがきいた声なので、聴き比べていただくとまったく違う人なんじゃないかというくらい声が違います。レッスンをしてくださっている幸耕平先生に、以前から『低音もいいけれど、中音域の響きがいいからそこを伸ばしていこう』と言われてきたんですが、この曲ではその中音域も出ていますし、サビも私にとってはキーが高かったけれど、レッスンをしていくうちにどんどん歌えるようになって、この曲でまた自分が広がったなって思います

歌うとき心がけているのは、「とにかく優しく歌うこと」。

歌いだしは相手に語りかけるように、後半は鳴かない鳥が見ている景色を伝えられるように壮大に、というふうにメリハリをつけて歌うようにしています

 

もう1曲、「みんかよ音楽祭」で披露した『その気もないくせに』は、イントロから切なさがすごくにじみ出ている陰な印象の『鳴かない鳥』から一転、リズミカルな陽の世界観の楽曲。昨年の4月22日、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言発令中にリリースされたため、初めて観客を前にキャンペーンで歌えたのは半年後の10月。「そこからなかなかお客さんの前で歌う機会がもてなかったので、今回、新装盤でリリースできることは非常にうれしい」と微笑む。

自分で言うのもなんですが、コロナ禍でなければ絶対もっと売れているのに!って、ずっともどかしくてたまらなかったんです。曲をいただいてすぐに、友達の前で口ずさんだら、サビの〈♪見つめてどうするつもり〉のところで、何も言ってないのに『フッフー』って合いの手を入れてくれて、『早くカラオケで歌いたい』とも言ってくれて、絶対カラオケ好きの人だったら盛り上がってくれるし、自分と同世代の人でも受け入れてくれる楽曲だって確信していたので。一度聴いたら絶対耳から離れなくなると思うので、一人でも多くのみなさまに聴いていただきたいですね

カラオケで盛り上がるためには、「サビのリズム感を大切に歌うこと」とアドバイス。

親戚のおじさんが歌ってくれたりするんですけど、ぜんぜんリズムに乗れていなくて(笑)。せっかくノリノリの曲なので、それではもったいないですから、リズム感を大切に盛り上がってください。あと振付や合いの手も一緒にやってもらえたらうれしいですね

 

ところで、コロナ禍でキャンペーンやライブがなかなかできない中、積極的にインスタライブやネットサイン会などを行ってきたが、その時間は貴重な宝物になったという。

インスタライブをやったことで、まだ1回も直接会ったことがないというファンの方も増えました。チャットやコメントで参加してくださる方も多く、直接会えない分、ネットでつながれている気がしています。今は、そういうファンの方と早く会えたらいいなって、その日をとにかく楽しみにしています

インスタライブでは、披露した味のあるイラストも話題となった。

下手なほうの画伯って言われて、母にもやめたほうがいいんじゃないって言われるんですけど、予想外に需要があって(笑)。でも、最近は、描きすぎてどんどんうまくなっている気がするんです。とくにお正月に干支の牛の絵を50枚くらい書いたときは、どんどんうまくなりました(笑)

 

歌手になって3年。「もっと勉強しなきゃ、頑張りたいって気持ちが強くなった」と目を輝かす。

デビュー前やデビューしたての頃は、ただ楽しくて歌っていたけれど、ファンの方が増え、昨年7月にはファンクラブもできて、より明確にみなさんからの応援を感じられるようになって、そういうふうに私を支えてくれている人たちのためにも、もっと頑張らなきゃって思うようになりました

“令和の歌謡歌姫”が目指すのは、「歌謡曲の歌手といったら藤井香愛と名前が挙がる存在になること」。そのための身近な目標は、2024年、解体工事が始まる前までに中野サンプラザでコンサートを行うこと。

見た目が好きでファンになる歌手と、歌声が好きでファンになる歌手がいると思うんですけど、私は後者の歌手になりたいんです。歌謡曲は小説を読み進めていくようなストーリー性が歌の中にあるのが楽しくて好きなのですが、それを歌でしっかり伝えられるように、まだまだ勉強中です

 

さらにその先、50~60歳になったときは……。

紅白常連になっていたいですね。紅白歌合戦は、日本の中で限られた歌手しか出ることのないステージですから。あと、賞をもらえるのはうれしいので、レコード大賞もとれたらいいですね

“令和の歌謡歌姫”でい続けるために、「寝る、食べる、笑うと、健康でいることにも気をつけている」という藤井。さらに……。

『その気もないくせに』の音楽に合わせて、ドラムのスティックで一定のリズムを刻んだり、音の長さや強弱を変えたり、グルーヴを感じたり、体にリズム感をつけるトレーニングもしています。音程も大事だけどリズム感もすごく大事ですからね。勉強することっていくらでもあるなって感じています

 

3月からは佳山明生氏とギタリスト・斎藤功氏とともに、YouTube番組「佳山明生のなんてったって歌でしょう!」もスタート。活躍の場を広げながら歌に真摯に向き合う”令和の歌謡歌姫(ディーヴァ)”藤井香愛。今後ますますの成長と飛躍に期待したい。

藤井香愛『その気もないくせに(新装盤)/鳴かない鳥』

2021年3月10日(水)発売
TKCA-91341/¥1,204+税

【収録曲】

『その気もないくせに』(作詩:千家和也 作曲:幸耕平 編曲:萩田光雄)

『鳴かない鳥』(作詩:さいとう大三 作曲:幸耕平 編曲:坂本昌之)

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