期待の歌い手・朝花美穂の新曲は大衆演劇一座の姉弟が主人公の“お芝居演歌” 「大衆演劇のお芝居が私の教科書です」

2021.3.30

新世代の台頭が著しい演歌界。イケメン揃い、ビジュアル系もいて、多士済々だ。朝花美穂もまた、そんな新世代の期待の歌い手の一人。第4弾シングルは、自身が大好きだという大衆演劇の世界を歌った『姉弟役者(きょうだいやくしゃ)c/w女夜ねずみ小僧』(徳間ジャパンコミュニケーションズ)。これまでも、お芝居演歌を標ぼうして、セリフにもこだわってきた彼女の真骨頂ともいえる作品だ。

 

――4月14日に発売になるシングル4作目は、セリフ入りにこだわって“お芝居演歌”を歌ってきた朝花さんには、まさにピッタリの曲ですね。

「初めて曲のタイトルを聞いた時、“えっ”ってなって、本当にうれしかったです。大衆演劇を見るのが大好きな私としては、役者さんの世界をテーマにした曲をいただけたことに感動しています」

 

――曲を聴いた第一印象はどんなものでしたか。

「師匠の宮下(健治)先生がピアノで弾き語りをしてくださって初めて聴いたんですが、第一印象は、難しそうな歌だなと思いました。というのも、私はこれまで、こぶしを回して歌うような、元気な曲が多かったのですが、この曲は元気というよりも切なさ、哀愁を感じさせる楽曲です。これまで自分では表現したことのない歌い方を身につけなければならないんじゃないかと思いました」

――レコーディングでは師匠からどんなアドバイスがありましたか。

「先生からは細かいところまで、いろいろ指導していただいたんですが、印象的だったのは、切なさを語尾で表現するようにと言われたことです。例えば最後の声を伸ばす部分でも、いっぱいに伸ばすのではなくて、ビブラートを使ったり、あえて息をまぜるような声の出し方をするなど、いろいろな歌い方がある。それを先生が何度もご自身で歌って教えてくださいました。初めはどう歌っていいのか難しかったのですが、『この曲は優しさ、暖かさ、思いやりの気持ちを持って、語るように歌いなさい』という言葉をいただいて、これまでの朝花美穂にはない表現に挑戦できました」

 

――小さい頃から大衆演劇を見るのがお好きだったと聞きましたが、『姉弟役者』を歌う上でイメージをつかむのに役だったことはありましたか。

「そうですね、私は小中学校の頃から大衆演劇が好きでしたし、役者の方々の日々の生活が収録されているDVDなどを見たり、お話をうかがったりしたこともありますので、ある程度は(大衆演劇のことを)理解しているつもりですが、本当に大変な世界だと思っています。家族でも、敬語で話したり、正座して挨拶しなくてはならなかったり。ですから、今回の曲の中の姉弟も、もちろんお姉ちゃんとしては弟を支えていかなくてはいけないんですが、座長として時には厳しく接することもあるんじゃないかというようなイメージを持ちながら歌っています。私は一人っ子なので、弟はいないんですが、歌う時は実際にこの手の先に年の離れた弟がいることを頭に思い描いています」

――今回もセリフ入りバージョンをCDに収めています。やっぱりセリフは入れたかったですか。

「セリフは大好きです。何でしょう、セリフになると歌とはまた違った気合が入るんです(笑)。今回も両親が亡くなって、二人だけの姉弟ということを想像しながら、まだ幼い弟に姉として優しく語りかけるようなイメージで語りました」

 

――セリフに感情を込める意味でも、歌だけじゃなく、お芝居の勉強も必要ですよね。

「演技の特別なレッスンを受けているわけではなくて、私の場合、やっぱりお芝居を観ることが一番の勉強になっています。泣きのお芝居、笑いのお芝居など、いろいろなお芝居があるし、役柄によってもセリフの話し方一つひとつが全然違います。観劇の後、家に帰ってからも今観てきたお芝居のセリフが頭にこびりついていて離れなくて、一人でセリフ回しをまねてみたりしています。大衆演劇のお芝居が私の教科書です」

――大衆演劇フリークの朝花さんお勧めの一座があれば教えてください。

「たくさんあって困るんですが……。ひとつ挙げれば、岡山に劇場を持っていて、関西を中心に全国で公演をされている、里見劇団進明座という一座があって、そこで総座長を務めていらっしゃる里見要次郎さんが大好きなんです。里見さんはとにかく身体全体を使って演じる役者さんで、例えば目の動きひとつでも眉毛をバッと上げたり、瞼を微妙に震わせたり。『座頭市』とか、私の大好きな『瞼の母』とか、いろいろな作品を観させていただきましたが、どの舞台も、演じているというより劇中の登場人物が本当にそこにいるようで、思わずお話の中に引き込まれて見入ってしまう。そういう舞台を観ると、自分も早くこういうお芝居が出来るようになりたいと強く思います」

 

――まだまだコロナ禍の出口は見えてきませんが、今後はどんな活動をしていく予定ですか。

「この一年は、主にブログで情報を発信することに力を入れていました。散歩の途中で可愛い花を見つけると写真に撮って、なんていう花かアプリで調べて『今日、こんなお花に出会えましたよ』ってアップしたり。ブログにはファンの皆さんからも『大変な時だけど、美穂ちゃんの歌に元気をもらっているよ』とか『毎朝、美穂ちゃんの歌を聴いているからね』とかコメントをいただいて、本当にうれしく思っています。これからは例えばユーチューブなどを使ってのライブの配信などもやっていきたいです。

早くコロナが収束して、お客様と直接お会いして、握手して、お話がしたいというのが今の私の一番の願いです。これまで当たり前のように客席に降りてお客様と握手したりしていましたが、それがどんなに大切なことか、実感しています」

――ご出身の米子の親善大使もなかなか活動ができないんじゃないですか。

「そうなんです。なかなか米子にも行けないので、親せきから米子の写真を送ってもらって、ブログで米子ってこんないいところですよってPRしたりしてます。米子には富士山に似ているところから伯耆富士と呼ばれている名山の大山もありますし、美味しい海の幸もあります。温泉もたくさんありますので、コロナが収束したら、ぜひ遊びに来てくださいね!」

 

――最後になかなか会えないファンの皆さんにメッセージをいただけますか。

「いつも応援してくだっている皆さまと早くお会いできる日がくることを祈っていますが、今はまだその願いもかないません。今後はSNSやネットを通じてライブなどの配信をしていこうと計画しておりますので、どうぞこれからも応援よろしくお願いいたします。また5月5日には、島根県の安来市で歌謡コンサートを開催します。選曲などはまだこれからですが、皆様のリクエストなども入れて、お客様から手拍子がいただけるような曲をたくさん歌いたいと思っています。ぜひいらしてください」

朝花美穂『姉弟役者』

2021年4月14日発売
12CDS / TKCA-91345
¥1,227+税

【収録曲】

1.『姉弟役者』( 作詩:原文彦 作曲:宮下健治 編曲:伊戸のりお)

2.『姉弟役者』(台詞入り)

3.『女夜ねずみ小僧』( 作詩:結木瞳 作曲:宮下健治 編曲:伊戸のりお)

4.『姉弟役者』( オリジナル・カラオケ)

5.『女夜ねずみ小僧』( オリジナル・カラオケ)

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