小松みどり 芸能界の荒波を乗り越えて約半世紀――“お手拍子”からの脱皮で「やっと好きなことが出来るようになって幸せです」

2021.5.14

1967年に『ポチャポチャ小唄』で歌手デビュー。以来50年以上、浮き沈みの激しい芸能界で根強いファンから支持を集め続けている小松みどり。若い頃から小松の歌は“小唄”や“お手拍子”といったキーワードで語られることが多いが、一時はそれが嫌だったと語る。少しづつ芸の幅を広げ、今は自分のやりたいことが出来るようになって幸せという小松に、歌手生活50周年を過ぎた現在の心境を聞いた。

 

――今日は『新・歌謡曲の匠』(BS12ほか)へのゲスト出演でしたが、収録は楽しめましたか。

「前の『歌謡曲の匠』とはまた違った演出で、面白かったですね。今日は仲良しの扇(ひろ子)さんとご一緒でしたので、リラックスしてできたと思います。扇さんとは親しくさせていただくようになってから、3年くらいかしら。もちろんそれまでも仕事で顔を合わせることはありましたけれど、ご挨拶するくらいだったんです。それが二人でラジオ番組をやるようになって、飲みに行ったり、お互いの家を行き来したりするようになりました。今日もそうでしたけれど、扇さんってトークも楽しいし、知的だし、人前で話すのが苦手な私は、すごいなあと思ってみてました」

 

――前回インタビューさせていただいたとき、小松さんは内弁慶で、あまり人前に出るのが好きじゃなかったとおっしゃっていましたね。

「(昔から)シャイな性格で、人前に出るのも恥ずかしいほう、社交的じゃなかったんです。だから、こんなこと言ってはいけないんでしょうけれど、この世界へも本当に入りたくて入ったわけではなかったんですよ。でも、芸能界に入っていろいろ活動するうちに、ここまでやったんだからもう少しって思いながら、いつの間にか50年経ってしまいました。本当に嫌で辞めたいと思ったら、いつでも辞められたのですから、なんだかんだ言っても歌が好きだったんでしょうね」

 

――50年間歌ってこられて、歌手という仕事の魅力はどんなところにあると思っていらっしゃいますか。

「やっぱりステージでしょうね。お客様がいて、『みどりちゃん、良かったよ!』って声をかけていただくと嬉しいものです。芸能界はデビューできても長く続けるのは難しい世界。1年に何百人とデビューするのに、生き残れるのは?――えっ数人なんですか。その中で50年も続けられたのは幸せですね」

――失礼ながら、小松さんは癒し系なイメージがあります。そこがファンの皆さんから愛されているところではないしょうか。

「自分ではよく分かりませんけれど、かしこまったことは苦手、バカなこと言ってるのが好きなのでそう思われているのかもしれないですね(笑)。私自身がこんななので、逆にデビュー50周年のときに記念曲としてリリースした『弓』で歌われているような世界に憧れます。私の中にないものなので」

 

――“愛した男性と一緒なら地獄だって極楽になる”という情念を感じさせる曲です。

「本当の私とはぜんぜん違う感じの曲でしょ(笑)。デビュー50周年の大切な年に私が出したCDが『弓』で、皆さんも“えーっ”って驚いたんじゃないかしら。私は昔から“お手拍子”のイメージが強くて、明るい曲が合っているっていわれることが多いんです。そう思っている方々からすれば『弓』は異質だったと思います。ただ、私個人は『弓』もそうですけれど、悲恋を歌うような悲しい曲調の歌も好きなんですよ。ですから、“お手拍子”とか“小唄”とか、そういうイメージで見られるのことがとっても嫌だった時期がありました。姉(五月みどり)と比べられてしまうところもありますしね。だから“お手拍子もの”は長いこと封印してきたんです。今ですか?今は、そういった時代を経て、“お手拍子もの”の良さが分かるようになり、楽しく歌わせて頂いていますね」

――確かに小松さんと言えば“お手拍子”や“小唄”などのキーワードで語られることが多い気がしますが、ディスコグラフィーを見ると、他にもいろいろな曲にチャレンジされていますよね。

「お手拍子から始まって、オーソドックスな演歌やミニスカートで歌う演歌なんて、いろいろやってきました。そんな中で『弓』を作ってくださった美樹(克彦)さんを始め、応援してくださる方が、“みどりちゃん、こんなのどう?”なんて曲を提案してくれたりして、今ではある程度、自分のやりたいことができるようになって幸せです。悲しい歌も好きですが、『弓』のカップリングで入れた『華であれ』みたいな、ああいう華やかな曲も歌ってみたいですね」

 

――来年はデビュー55年目を迎える年ですが、何か計画はしていますか。

「特に周年は意識していません。55年とか60年とかくぎりの年に何かやるというより、今すぐでも何かいいアイデアや企画があれば積極的に挑戦したいと思います。それが新曲でも小さなホールでのコンサートでも何でもいいんです。自分に合うもの、自分が好きなことをやれれば、今はそれでいいと思っています」

出演情報

『新・歌謡曲の匠』

放送チャンネル:BS12(トゥエルビ)、KBS京都、J:COM関西、チバテレビ

小松みどり出演回

BS12(トゥエルビ)

5月18日、25日(火)朝4:30-5:00
※再放送:6月15日、22日 (火)朝4:30-5:00

KBS京都

5月18日、25日(火)朝9:00-9:30
※再放送:6月15日、22日 (火)朝9:00-9:30

J:COM関西

5月20日、27日(木)朝10:00-10:30
※再放送:6月17日、24日(木)朝10:00-10:30

チバテレビ

5月21日、28日(金)朝4:30-5:00

番組ホームページ:https://www.twellv.co.jp/program/music/kayou-takumi/

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