セカンドシングル『面影・未練橋』で紅白を目指す望月琉叶 「コロナが終わったら、世界中の人に歌を届けたい!」

2021.5.18

昨年7月、『失恋慕情』でソロデビュー、オリコン週間シングル演歌・歌謡曲ランキングで、いきなり1位を記録した望月琉叶が、待望のセカンドシングル『面影・未練橋』をリリース。本作でもオリコン週間シングル演歌・歌謡曲ランキングで1位を獲得した。民族ハッピー組のメンバーの一員としてアイドル活動を続けながら、演歌歌手としても着実に力をつけている望月。“歌謡界の二刀流選手”は、コロナ禍でも元気いっぱいに、未来に向かって大きな目標を語ってくれた。

 

この4月にリリースしたばかりの新曲『面影・未練橋』は、前作同様、きれいなメロディーラインが印象的な歌謡曲テイストの強い作品になった。前回のインタビュー時に、演歌色の強い曲も歌ってみたいと話していた望月。この曲を初めて聴いたときの印象から聞いた。

確かに今回も演歌、演歌した曲ではないなと思いました。こぶしを回すような、ストレートな演歌も歌ってみたいという気持ちもなくはないんですが、『面影・未練橋』は(作曲の)樋口義高先生が私の声質とか歌い方の特徴を全部、知ってくださっていて、その上で私のために作ってくださった曲です。本当に歌いやすいですし、大切に歌っていこうと思いました

望月はこの曲が描く世界が、太田裕美の『木綿のハンカチーフ』と似ているいう。はっぴいえんどから作詞家に転身した松本隆の出世作ともいわれる昭和の名曲との共通点はどこにあるのだろう。

歌詞を読むと、『面影・未練橋』は十人十色、それぞれの思いを重ねることができる曲だと分かります。私の場合は、学校を卒業してそれぞれの道に分かれて旅立つ友人との関係を歌っているように解釈できました。もちろん状況を恋愛に置き換えて、恋人同士の別れをイメージする方もいらっしゃると思います。いずれにしても切ないけれど、これからお互いに前を向いて歩いていくために別れなくてはならなかった2人を歌っていて、タイトルの『面影・未練橋』の“橋”は、どうしようもない理由で離ればれになってしまった2人をつなぐ、見えない架け橋。『木綿のハンカチーフ』では最後に別れていく恋人に涙をふくハンカチーフをくださいって女性がねだりますが、私の中では“橋”と”ハンカチーフ”がだぶって見えるんです

 

ほろ苦い別れの情景を歌った甘美な曲の世界とは裏腹に、歌手としてこの曲に向き合うと、歌いこなすには、テクニックが必要と話す。

樋口先生からは、感情を込めて歌うことはもちろん、歌唱法としてブレス(息継ぎ)について指導していただきました。というのもこの曲は、意外に肺活量がいるんです。クライマックスに向かって声量が急に大きくなって、そのまま最後まで上っていかなくてはならない。そこが聴かせどころです。ここで肺の中の空気がゼロになってしまったら終わり、苦しくなって喉を閉めて歌ってしまうと、聴いてくださる方も気持ち悪いだろうし、歌の世界に入っていけないと思うんです。私は隠れブレスって呼んでいるんですが、例えば“あーーっ”と声を伸ばす途中、エコーがかかるところで、ほとんど分からないくらい小さく息を吸って次の音を出す、それを数回繰り返して最後まで息をもたせるようにしています。そういう意味ではかなりテクニカルな曲で難しい。でも、樋口先生は私の特徴でもあるロングトーンを活かせるように、曲の最後の部分をああいう形に作ってくださったんだと思いますし、この曲を歌う上での課題を与えてくださったんだとも思っています

自らが所属する、民族ハッピー組をフィーチャーしたカップリングには、ユニークな曲を持ってきた。

(カップリングの)『あなたの歩幅で』は、うちの事務所の社長とマネージャーと民族ハッピー組の馬渕恭子ちゃんの3人による”大正タダ乗りWAVE”というユニットがあって、もともとそのユニットで歌っていた曲なんです。いい曲なので私も歌わせてもらっていて、今回はそこに民族ハッピー組にも参加してもらいました。ですから、何というか事務所の歌って感じで(笑)、みんなで歌っています。ただ、私はグループの中ではまだ経歴が浅いほうで、先輩方やスタッフ、ファンの皆さんがいて今の私があると思っていますので、グループのみんなに参加してもらうのは恐れ多いことだと思っています

 

デビューからもうすぐ1年。コロナで明け暮れた(ソロ)デビュー年になってしまったが、この1年をどんな風に過ごしてきたのだろう。

ソロとしても民族ハッピー組としても、配信活動が多かったですね。ツイキャスというアプリを通して、全国の皆さんに無料でパフォーマンスを観てもらいました。ファンの皆さんからもいろいろなコメントをいただいています。『面影・未練橋』を聴いて、涙が出たとか、自分も音楽活動をしているけれど、琉叶ちゃんが頑張っているので自分も頑張れているという声もありました。私も何もないところからスタートして、何とかこうしてセカンドシングルを出せるようになったので、同じように(音楽活動を)頑張っている方が元気をもらえたと言ってくださったのはうれしかったです。デビュー曲がオリコンの週間シングル演歌・歌謡曲ランキングで1位をとらせていただいたときも、こんな時代ですけれど、皆さんの耳に届いているんだと思ってうれしかったんですが、今回も聴いてくださる方々に少しでも響けばいいと思っています

 

逆に、コロナ禍でできた時間をどう過ごしているのかを聞くと、ストイックな一面を披露してくれた。

時間があるときは、歌のレッスンをしています。私の今の課題は安定感のなさだと思っていて、その日の体調で声が変わってしまうんです。それが嫌で、いつも安定してベストな状態で歌えるように体力もつけなくてはならないし、ノドも鍛えることも必要、調整することも必要なので、常に身体やノドの状態に気を配りながら生活しています。健康面でも今は、グルテンフリーの食生活を心掛けています。人にもよりますが、一般的に日本人にはパンなどの原料の小麦よりお米のほうが合っていると聞いて、なるべくグルテンが含まれない食生活にして、体調を整えるようにしています。食品を買うとき表示を確認したりしていますが、ほとんどの商品に入っていて大変!こういうことをお話しすると、何だかとってもまじめな人みたいですね(笑)。でも歌手という仕事をしている以上、必要なことだと思っています。とはいえ、今日は『面影・未練橋』の発売日ということで、お祝いにケーキをいただいたので、目をつぶってしまおうかと思っていますが(笑)

配信活動と並行して、この2月にはソロデビュー後、観客をいれて初の生ライブも敢行した。

死んでしまうんじゃないかと思うほど緊張しました(笑)。感染予防のために通常の半分のお客様で開催したんですが、ステージに立って、パッとファンの皆さんの顔が見えたときに“よし、頑張ろう!”って気合が入りました。歌を聴かせなきゃっていうより、お客様と目と目で交わすコミュニケーションができたことがうれしかったです。ステージの上からお客様一人ひとりの目を見ると、あの人は、あんなことを考えているな、この人はこうだなって分かるんです。それが何より楽しかったですね。やっぱり目の前に自分を応援してくださる方がいるというのは、“大丈夫だよ”って言っていただいているようで勇気づけられます

 

小学生の頃から、美川憲一の『柳ケ瀬ブルース』を聴き、カラオケで歌ってきたという望月に、今、若い世代の間で起きている「昭和歌謡ブーム」について、何が彼らの心を捉えていると思うか聞いてみた。

昭和歌謡の”分かる”歌詞に魅力があるのではないでしょうか。曲の構成もAメロがあってBメロがあって、サビがきてって、分かりやすい。昭和歌謡は聴きやすいし、歌いやすいから好きな子が増えているんだと思います。もちろん、最近でも米津(玄師)さんとか、Official髭男dismさんとかあいみょんさんとか歌詞がちゃんと分かって、落ち着いて聴ける歌はあって、それは流行っていますよね。それと、これは私が思っているだけかもしれないけれど、コロナ禍でみんな心が疲れてると思うんです。心の安定や癒しが求められていて、それも昭和歌謡ブームの要因のひとつかもしれません。クラシックを聴く若い子も増えていると聞きます。クラシック音楽は治療にも活用されるくらい精神が安定する効果があるといいますが、歌謡曲にも同じような効果があるのかもしれません。カッコいいけれど複雑な今の曲より、分かりやすい歌が求められているのではないかと思います

昭和歌謡ブームを見事に分析してみせた望月に、これからの短期目標と長期目標を聞くと、“リケジョ”だという望月らしく、理路整然と話してくれた。

『面影・未練橋』のヒット祈願で愛宕神社にうかがったときも話したのですが、今年の目標としては、このセカンドシングルを10万枚のヒット曲にすること、そしてその結果として『NHK紅白歌合戦』に出場することです。紅白は子どものころから家族で観ていた番組で、日本中の多くの皆さんのお茶の間に私の歌を届けられたらとてもうれしいと思います。
もう少し長期の目標は、いずれは世界中を回って歌える歌手になることです。民族ハッピー組の前身のグループ時代には8カ国を回って歌ったことがあったのですが、ソロでも世界中の人に歌を届けたい。実際、今年も海外から歌ってほしいというオファーが来ていたのですが、コロナの影響ですべてなくなってしまい、本当に残念。今から語学をもっと勉強して、コロナ後は、バンバン海外に出ていきたいと思っています。もちろん、ファンの皆さんが喜んでくださるのなら、グラビアの仕事も続けていきます。デビューしたころ、水着もできる演歌歌手なんて言われましたが、他にいないユニークさを売りにしたいというより、ファンの期待に応えたいという思いが強いです

 

最後にファンに向かってメッセージをお願いすると、

私がまだぺーぺーの頃から応援してくださっている皆さま、最近私のことを知ってくださった皆さま、そういう皆さまのおかげで2枚目のシングルを出すことができました。目標に紅白出場を掲げたからには、今年こそ絶対に実現させたいと思っています。それにはまず、この新曲の10万枚売上達成が必要。皆さま、『面影・未練橋』を、よろしくお願いいたします

望月琉叶『面影・未練橋』

2021年4月28日発売
COCA-17867 ¥1,350 (税抜価格 ¥1,227)

【収録曲】

1.面影・未練橋(作詩:幸田りえ/作曲・編曲:樋口義高)

2.あなたの歩幅で feat.民族ハッピー組(作詩:小林元/作曲:オーイシカズヒーロー/編曲:大野ヒロ)

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