【「うたびと」オープン記念】辰巳ゆうと独占インタビュー

2019.3.25

聴いてくださる方が笑顔になるような歌を歌っていきたい

 

――2018年1月に「下町純情」でデビューし、第60回日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。まだ大学生という若さとその端正な顔立ちで、若い女性からも注目されている辰巳ゆうとさん。今回「辰巳ゆうとのぶらり下町人情」で初の単独ロケに挑戦、彼にとってゆかりの地である赤羽や十条を訪れた。

「初めて一人でロケをさせていただいてドキドキでした。赤羽では自分が気になったお店に入ってお話を伺いましたが、金物屋さんやお団子屋さん、駄菓子屋さんなど、いろいろなお店に行くことができて楽しかったです。商店街の皆さんの人情に触れ、美味しいものも食べて、心が温かくなりました。僕は昔ながらのお店が好きで…たとえばパン屋さんなら、イマドキのおしゃれなパン屋さんより、昔からあるような素朴なパン屋さんの方が好きなんです」

辰巳ゆうとは赤羽の方々に育ててもらった

 

――幼い頃は“おじいちゃん子”で、祖父が歌うのを真似して演歌が好きになったという辰巳さん。デビューのきっかけは、中学1年生のときに「長良グループ ティーンズカラオケ大会」に出場したこと。大学入学を機に地元・大阪から上京し、デビューが決まるまでの1年間、東京・下町を中心にストリートライブを行っていた。ロケで訪れた赤羽は、最初にストリートライブを行った思い出の場所だ。

「事務所の方とも相談して、舞台度胸をつけるための修行のつもりでストリートライブを始めました。ラジカセにマイクをつないで歌っていましたが、最初は怖かったです。東京という土地をまだよく知らなくて、誰かに怒られるんじゃないか? どこかに連れていかれたらどうしよう? なんて思いました(笑)。でも『若いのに演歌を歌っていてすごいね』とご年配の方が喜んでくださってうれしかったです」

 

――当時のレパートリーは、祖父の影響で親しんでいたという三橋美智也、春日八郎らの往年の名曲。ストリートライブでは、演歌というジャンルももちろん、そんな古い曲を知っていることにも驚かれたそう。最初は誰もいなかったストリートライブは、回を重ねるごとに彼を囲む人が徐々に増えていった。中には、差し入れをしてくれる人もいたそうで…。

「寒い日に『これで身体を温めてね』と温かいお茶をくださった方や『いっぱい食べて頑張ってね』とおにぎりをくださった方もいました。そのときにかけてくださった言葉やいただいた物から伝わってくる優しさが、今も心に残っています。赤羽には、商店街連合会親善大使にも任命していただき、月に一度は訪れていますが、ストリートライブでも一番多く訪れた場所です。なので、赤羽の方々に育てていただいたという思いがあります。ストリートライブをしていた駅前の広場を見る度に当時のことを思い出して、デビューを支えていただいたことへのありがたみを実感しています」

一人でも多くの方に歌を届けたい

 

――幼い頃から、祖父母に連れられて歌声喫茶に通っていたという辰巳さん。そこに集まる祖父母と同年代の人たちと触れ合っていた経験から、下町など古くからの文化が根づいている町は落ち着くのだそう。そんな下町を舞台にしたデビュー曲『下町純情』は、明るいメロディーの“人生賛歌”だ。

「主人公は心がきれいでピュアな人。僕が21歳なので、等身大の若さを歌でも感じていただけたらと思います。割と声が低い方なので、低音の部分が魅力になるように気をつけています。そういうところも聴いていただけるとうれしいです。僕も(作曲家の)徳久広司先生から『楽しく歌えばいい』と言われましたが、楽しく元気に歌うことを大事にしています。皆さんにも楽しく歌っていただけたらと思います」

 

――3月27日発売のセカンドシングル『おとこの純情』は、『下町純情』に続いて“純情”がテーマ。デビュー2年目、さらに大きな飛躍が期待される彼のフレッシュな魅力が最大限に凝縮された曲になっている。

「デビュー曲とは雰囲気もガラッと変わって、とても男らしい曲です。どこかで聞いたことがあるような懐かしさもありつつ、でも新しい、新鮮なメロディーでカッコいい曲です。たまたまですが、今回も“純情”なので、ピュアな気持ちを忘れずに、今年も一年頑張りたいと思います」

 

――歌うことの一番の喜びを「ファンの方々の笑顔を見られたとき」と語る辰巳さん。デビューしてからまだ訪れていない土地があるので、「今年はたくさんの場所を訪れ、一人でも多くの方々に歌を届けたい」と願っているそう。

「歌の力は無限大だと思うんです。自分でも歌詞に共感したり、辛かったときに歌に励まされたりしたこともありました。僕はまだ東北へは行ったことがないのですが、今後はその東北をはじめ、全国へ伺って、色々な方々に少しでも“歌の力”を届けられたらと思います。ですから先輩方のように、人の心を動かす、人を幸せにする力を持った歌を歌えるように、もっともっと歌唱力を磨いていきたいです。また自分と同年代で演歌を聴く人たちがまだまだ少ないので、あこがれの氷川きよし先輩のように、若い人たちにも演歌の魅力を伝えられる存在になりたいと思っています」

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