神野美伽が、日本作詞家協会主催の ソングコンテスト・グランプリ曲をリリース。 「カラオケ好きな方にはピンポイントの一曲です」

2021.9.22

演歌を主軸にオンリーワンの世界観で音楽ファンを魅了し続けてきた神野美伽が、9月22日、ニューシングル『浪花恋おんな c/w無常の満月(つき)』をリリース。
本作は、日本作曲家協会と日本作詞家協会が新たな才能を発掘するべくタッグを組んで開催した「ソングコンテストグランプリ2021」において、応募総数約2100作品の頂点に輝いた珠玉のグランプリ作。
神野にそれぞれの楽曲の魅力と歌い方へのアドバイス、さらにコロナ禍を経験し、今“うたびと”として思うことを聞いた。

 

――新しい才能とのコラボによる新曲が誕生しましたが、まず『浪花恋おんな』について、レコーディングを終えての感想はいかがですか?

ズバリ、カラオケで演歌を歌われることがお好きな方に向けてのピンポイントの作品で、私にとってはこれまで歌ってきたことのないメロディーであり、詞の世界観だったので、とても新鮮に歌わせていただきました。私の歌は音域も含めて振り幅が大きい作品ばかりで、カラオケ好きな方からは『難しい』と言われる作品が多かったですからね。

 

――長い演歌歌手人生の中でも、これまで神野さんが歌ったことのないタイプの演歌だったのですね。

カラオケ好きな方たちはスラーをかけて歌われる特徴があるのですが、デモテープの段階でそのようになっていたんです。私の感覚にはない歌い方でしたから、めちゃくちゃ新鮮で。レコーディングでは逆にそこをクローズアップして面白がって歌わせていただきました。

 

――ほかに歌ううえで気をつけられたことはありますか?

歌い過ぎないことが大事な作品だなと思いましたので、私が余計なことをしてこの歌がつまらなくならないよう、表現しすぎないよう、できるだけナチュラルに歌いました。歌うにつれ、普通に歌うことがすごく心地いいということに改めて気づきましたね。

 

――カップリングの『無常の月』についてはいかがですか?

こちらは『浪花恋おんな』とはまったく違って、自分が歌いたいように、自分の感覚のまま表現しました。そのほうがこの歌が生きてくるかなと思いましたので。季節とか、気温とか、歌からそういうものがフワッと湧き上がってくる歌詞でしたので、私は絵を浮かべながら、感覚だけで歌いました。カラオケがお好きな方の中には、『浪花恋おんな』よりこちらのほうを歌いたいという方も、きっといらっしゃるんじゃないでしょうか。

ソングコンテストグランプリ受賞者(山田恵範さん・まんだあつこさん・山本茉莉さん・國枝星志さん)、編曲の伊戸のりおとの1枚

――神野さんは新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた昨年3月、頸椎化膿性脊椎炎のために入院、首の手術を受けられました。昨年は、コロナ禍と闘病というダブルパンチの辛い時間を過ごされたのではないでしょうか。

けっこう大きい手術を受けて、やっと退院できたのはいいけれど、戻ってきたら仕事は全部なくなっているし、昨年は今まで経験したことのないくらいの最悪な気分で、へこみましたね。ただ、仕事がどんどん目の前から消えていく中、私から歌がなくなったら何が残るんだろうって、恐怖や不安に苛まれる一方で、今まで38年間、歌う場所がないという経験を一度もすることなくきたことが、奇跡に近いくらい、なんて幸せなことだったんだろうって痛感しました。やっぱり歌いたいと強く思ったので、この時間を無駄にしないよう、いつでも歌える準備をしておかなくちゃって、夏以降は、自分なりの努力を重ねるようになりました。落ちていくのは簡単で、今まで積み上げてきた経験とか感覚をなくすのは本当に早いですからね。

 

――その成果でしょうか、今年8月30日に3年連続で開催された東京・丸の内のコットンクラブのライブでは、ジャズやオールディーズのスタンダードナンバーに加え、演歌をオリジナルアレンジで歌うなど、音楽ジャンルの垣根を越えて活躍する神野さんの魅力がたっぷり詰まったプログラムを披露され、好評を博しました。

演歌のコンサートは、コロナ禍で軒並み中止や延期になって、長いことお客様の前で演歌を歌えていませんでした。今年のコットンクラブでは、とくに演歌が歌いたくて、『与作』や『天城越え』をピアノやギターだけで歌ってみたり、普段、演歌のコンサートではしないアレンジの曲にもあえて挑戦させていただきました。コロナ禍、おうち時間がいっぱいあって、いろいろなことを考えられたので、実現できたライブでした。

【神野美伽コットンクラブコンサートレポートはこちら】

 

――神野さんは、国内外の音楽イベントへ多数出演されています。ロックやジャズ、シャンソンなど様々なジャンルとコラされ、幅広いアーティストから一目おかれています。神野さんが演歌をベースに、様々な活動をされることで演歌の可能性が広がっている気がします。

演歌歌手である自分というのは、日本のロックフェスで歌っても、アメリカに行っても、私にしかないベースであり、個性なので、興味を持ってくれる人がたくさんいるのだと思います。海外ではそのままの演歌は難しいと思いますが、ジャズと融合したり、ロックと融合したりすることで、可能性は広がると思うんです。それを新しい音楽として受け入れる人が日本はもちろん海外にも必ずいると思いますので、これからもいろいろなアーティストとコラボレーションしていくべきだと思っています。

――昨年9月23日にリリースした『泣き上手』では中国語バージョンを、今年3月24日にリリースした『満開』では韓国語バージョンもカップリングに収録されました。

これもコロナ禍で時間があったからできたことでした。語学の勉強をしたり、練習をしたり、いろいろなことができましたからね。『泣き上手』は香港のラジオ局で特集して流してくれたり、リモートで撮ったインタビューを流していただけたりしたんですよ。私は日本にいたままで、海外とつながれる。すごい時代になりましたよね(笑)。

 

――コロナ禍、辛いことも多いけれど、得られるものもたくさんあったのですね。

1日の過ごし方で1カ月先が変わり、1年先が変わることを私たちの年代は経験でもう知ってしまったでしょ。20代の頃は5年先にどうなっていたいか、そのために何をすべきかを毎日考えて過ごせと言われて、5年スパンでいろいろなことを考えましたが、50代の今は、1日1日の生き方が、次の年齢の自分を決めると思っています。だから、朝は、今日もいい1日にしようと思って起き上がるし、夜は今日もいい1日だったって思って眠りにつくようにしています。健康であることの幸せ、歌えることの幸せ、家族がいることの幸せ……コロナ禍によって、そういうことをかみしめながら、1日をより大切に生きるようになりましたね。

 

――最後に“うたびと”として、今、思うことをお聞かせください。

昨年、コロナ禍や闘病という辛かった時間を過ごして、歌は生きていくうえで私にはなくてはならないものだと痛感しました。とともに、自分の気持ちを解き放ってくれたり、慰めてくれたり、立ち上がるときの力になってくれる歌は、人間にとっても必要なものだと強く感じました。今、人と人との距離がとても遠いけれど、歌は共有や共感を生んで皆をつないでくれる存在でもあります。今、皆さん、そんな時間に飢えていると思いますので、世の中が落ち着いたとき、自分がどこまでその飢えに良い歌で応えられるか、そのために日々、努力を続けたいと思います。

神野美伽『浪花恋おんな c/w無常の満月(つき)』

9月22日発売
1.浪花恋おんな 作詞:まんだあつこ 作曲:山田恵範 編曲:伊戸のりお
2.無常の満月  作詞:國枝星志 作曲:山本茉莉 編曲:伊戸のりお
3.浪花恋おんな (オリジナルカラオケ)
4.浪花恋おんな  (一般用カラオケ半音下げ)
5.無常の満月   (オリジナルカラオケ)
6.無常の満月   (一般用カラオケ 半音下げ)

神野美伽コンサート情報

クリヤ・マコトTRIO JAZZ CONCERT with 神野美伽・森口博子

日時:2021年11月24日(水) 18:30開演(17:45開場)
会場:さんわ総合センターやまなみ文化ホール

 

クリヤ・マコトTRIO JAZZ CONCERT with 神野美伽・森口博子

日時:2021年11月25日(木) 18:30開演(17:45開場)
会場:せらにしタウンセンターつばきホール

 

ジャズ&ラテン フェスティバル ~West vs East~ アロージャズオーケストラ&見砂和照と東京キューバンボーイズ

日時:2021年12月2日(木) 17:30 開演 (16:45 開場)
会場:文化パルク城陽 プラムホール (京都府)
全席指定 5,800円
公演などに関するお問い合わせ先: グリークス:06-6966-6555

 

ジャズ&ラテン フェスティバル ~West vs East~ アロージャズオーケストラ&見砂和照と東京キューバンボーイズ

日時:2021年12月3日(金) 17:30 開演 (16:45 開場)
会場:南海浪切ホール 大ホール (大阪府)
全席指定 5,800円
公演などに関するお問い合わせ先: グリークス:06-6966-6555

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