【「うたびと」オープン記念】松原健之独占インタビュー
――2005年に『金沢望郷歌』でデビューし、当時から“奇跡のクリスタルボイス”と称され注目を集めてきた松原健之さん。2017年にリリースした15枚目のシングル『花咲線~いま君に会いたい~』が、第1回日本演歌歌謡大賞(旧・日本有線大賞)の優秀賞を受賞し、ロングヒットを記録している。
「応援してくださる皆さん、スタッフの皆さんといっしょに少しずつまいてきた種が、花を咲かせてくれたのかなという思いがして、本当にありがたいです。“花咲線”は、北海道の根室から釧路間を走るわずか1両ほどの列車で、廃線にならないように継続して走ってほしいという思いを込めて歌わせて頂いたんです。そうしたら、観光路線として継続して走るという発表もあり、微力ながらお役に立てたのなら、歌ってよかったなと思いました」
――『花咲線』以外にも、松原さんの歌には日本各地への思いを歌った曲が多くあり、全国を回って精力的に歌を届けている。
「私にとって恩師でもある作家の五木寛之先生が、地方が大事ということをよくおっしゃっているんです。もちろん中央も大事ですが、地方が活性化しないと日本全体が盛り上がっていかないんじゃないかと。ですから、僕自身も地方に住んでいる皆さんの生活に根付く歌を色々な場所に行って歌うことで、地元の方ともっと触れ合っていけたらと思っています。実は昨日も、日帰りで秋田に行ってきたんです。お年寄りの方や地元の方々に、“よく歌いに来てくれたね”だったり、”今日のショーおもしろかったよ“と言って頂けたりすると歌手冥利に尽きますし、まだまだ色々な場所に行って歌を届けたいという気持ちになりますね」
――各地を回り歌を届けることを「歌の出前のような感じ」と話し、穏やかながら茶目っ気たっぷりに語る松原さん。ショーでは、一番後ろの席まで回るように心掛けているという。
「会場の一番後ろまで行って、握手して歩きたいんですよね。実は昨日は後ろまで行ったらワイヤレスのマイクの電波が届かなくなってしまうハプニングも(笑)。でも、それでも後方のお客さんの所まで行って、おひとりおひとりに歌をお届けしたいという思いがあります。その方の思い出に、心にずっと残る歌手であれたらと思っています」
――そんな松原さんの原点とも言える曲が、13歳のときに初めてコンテストで歌った千昌夫さんの『夕焼け雲』。
「小学校3年生ぐらいから演歌・歌謡曲が好きで、13歳の頃に初めてコンテストで『夕焼け雲』を歌ったんです。そこで賞を頂けたことがきっかけで、歌手になりたいという思いが芽生えた大切な1曲ですね。のちに千さんにお会いしたときにそのことをお伝えしたら、「そうかねー! 良い声だね」と言って励まして頂けて、とても嬉しかったですね」
――今後の夢についてたずねると、こんな答えが返ってきた。
「14年間やってきたことを、15年目も引き継ぎながら歌い続けていきたいです。皆さんに口ずさんで頂ける愛唱歌になるような、それと同時に、両親や家族のことを思う、郷愁を誘うような歌をいつかリリースしたいと思っています」