季節を感じる春を題材にした演歌・歌謡曲10選

2022.3.17

入学式や卒業式、お花見など、寒い冬が終わると春ならではの出来事が待っています。演歌・歌謡曲の中でも、そんな春を題材にした楽曲が多く発表されており、華やかな季節を彩ってくれています。
そこで今回は、春を題材にした演歌・歌謡曲をご紹介します。春の訪れを、名曲たちと一緒に迎えてみてはいかがでしょうか。

春を題材にした演歌・歌謡曲の特徴

暖かい陽気を感じる春は、出会いや別れといった大きな変化を迎える季節でもあります。そのため、春の演歌・歌謡曲には、心弾む楽曲から切なさを感じる楽曲など、さまざまな表情を見せてくれます。

春の演歌・歌謡曲を10曲紹介

それでは、数ある春の演歌・歌謡曲の中から、うたびとがピックアップした名曲を10曲ご紹介します。

夜桜お七(坂本冬美)

1994年に発売された坂本冬美のシングル。数多くの名曲を手掛けた作曲家・三木たかしが制作した楽曲で、16ビート・アップテンポな曲調という演歌としては異色の作品になっていることから「プログレッシヴ演歌」とも言われています。本楽曲は発売から1ヶ月あまりで15万枚を売り上げ、日本レコード大賞にノミネートされた坂本の代表曲のひとつともいえる楽曲です。

ちなみに、曲中に登場する「お七」は恋人に会いたい一心で放火事件を起こしてしまった江戸時代の人物「八百屋お七」のことを指しており、八百屋お七の感情を現代の女性像に反映させています。また、NHK紅白歌合戦では通算8回歌唱されており、2021年の紅白歌合戦では「バーチャルプロダクション」の最新技術を用いた演出でも話題になりました。

北国の春(千昌夫)

1977年に発売された千昌夫のシングル。都会で暮らす主人公のもとに実家に住む母から荷物が届き、故郷での出来事に思いをはせる切なさと温かさを表現した楽曲です。オリコンチャートでは、初登場から通算92週でミリオンセラーを達成し、累計売上は300万枚という驚異的な記録を残しています。超ロングセラーを記録したことから、NHK紅白歌合戦では3年連続で同曲を歌唱しました。

本楽曲は美空ひばり、八代亜紀、氷川きよし、桑田佳祐ら国内のアーティストだけでなく、中国語、タイ語などさまざまな言語でのカバーバージョンも存在しています。特に、中国を含めたアジア圏で大きな人気を博しており、本楽曲が国境を超えて愛されていることがうかがえます。

桜前線(小柳ルミ子)

1976年に発売された小柳ルミ子17枚目のシングル。思い通りにいかない日々を過ごしながら、故郷での思い出や嬉しく感じた小さな出来事を励みに頑張る様子を表現しています。季節の移り変わりや、甘酸っぱい恋心を感じる楽曲になっています。

二輪草(川中美幸)

1998年に発売された川中美幸の42枚目のシングル。数多くの名曲を手掛けた作曲家・弦哲也とのデュエット版やカップリング版なども存在しており、人生におけるさまざまな出来事を乗り越えて絆を強めていく2人の様子を表現しています。

本楽曲は発売当初から人気を呼んだ楽曲で、NHK紅白歌合戦での歌唱の影響もあり、出荷枚数100万枚を突破するほどのヒットを記録しました。

ちなみに、二輪草が東京都板橋区の区花であることから、同区にある「にりんそう公園」に楽曲の歌碑が建てられています。

春が来た(天童よしみ)

2001年に発売された天童よしみの37枚目のシングル。心に傷を負った主人公が信じ抜ける男性と出会ったことで愛を感じ、その情景を「春が来た」と表現しています。天童の優しさと力強さが溢れる歌い方と、歌詞のイメージがマッチした楽曲です。

赤いスイートピー(松田聖子)

1982年に発売された松田聖子の8枚目のシングル。「松田聖子といえばこの曲」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

本楽曲は呉田軽穂(松任谷由実)が松田に初めて提供した楽曲で、作詞は数多くのヒットソングを手掛けた松本隆が手掛けています。奥手な男性に思いを寄せる女性の心情を、さわやかな曲調で表現している本楽曲は昭和の名曲特集などで取り上げられることが多く、世代を超えて知られています。また、2020年にリリースした53枚目のアルバム『SEIKO MATSUDA 2020』では、本楽曲の歌詞を英語に置き換えたEnglish Versionが収録されており、原曲とはまた違った雰囲気を感じることができます。

ちなみに、松田の代表曲ともいえる本楽曲ですが、意外にもNHK紅白歌合戦で披露されたのは1回だけ。2015年に大トリとして出演した際に披露しています。

春一番(キャンディーズ)

1976年に発売されたキャンディーズの9枚目のシングル。
「雪が溶けて川になって流れて行きます」「もうすぐ春ですね ちょっと気取ってみませんか」といった印象的な歌詞が並び、春が来るワクワク感を表現しています。

もともとは1975年に発売されたアルバム『年下の男の子』に収録されていた楽曲をシングルカットしてリリースしたものです。当時、アルバム曲のシングルカットは所属事務所で初めてのことで、プロデューサーを含めたスタッフの働きかけによって、シングル化が実現した楽曲です。

1976年に開催された第27回NHK紅白歌合戦に出場した際に本楽曲を披露し、キャンディーズが解散した1978年時点でシングル売上累計49万枚を記録しました。

春なのに(柏原芳恵)

1983年に発売された柏原芳恵の12枚目のシングル。作詞・作曲ともに中島みゆきが手掛けた楽曲で、本楽曲以降も柏原にいくつもの楽曲に提供しています。

卒業と同時に別れを迎えた主人公が、自身の感情を整理する様子を表現しており、リリースから約40年経った今でも卒業ソングの定番として知られています。

本楽曲はオリコンチャートでは最高6位を記録した柏原の代表曲となっており、徳永英明や宮本浩次といった多くの歌手にカバーされ歌い継がれています。

襟裳岬(森進一)

1974年に発売された森進一の29枚目のシングル。作詞は岡本おさみ、作曲は吉田拓郎というフォーク全盛期を支えた2人が楽曲制作を担当しています。

互いに助け合って長い冬を越え、春を迎える襟裳の人々を表現した本楽曲は、日本歌謡大賞と日本レコード大賞をダブル受賞。フォーク界を支えた岡本、吉田の2人が制作した楽曲が大ヒットしたことで、歌謡界に大きな影響を与えました。

春よ、来い(松任谷由実)

1994年に発売された松任谷由実26枚目のシングル。同名のNHK連続テレビ小説の主題歌に起用されました。

まぶたを閉じて、やがて訪れる春を待つ様子を表現しており、松任谷由実にとっては『真夏の夜の夢』『Hello, my friend』などと並ぶ代表曲とされています。

本楽曲はのちに音楽の文部科学省検定済教科書のほか、光村図書出版刊の中学2年生国語教科書にも歌詞が掲載され、小学校や中学校の卒業ソングとしても広く知られるようになりました。

また、2011年に発生した東日本大震災の被災地を支援するため、松任谷とNHKが共同で「(みんなの)春よ、来い」プロジェクトを行いました。このプロジェクトはコーラスを歌った動画を一般募集し、これらの動画を重ね合わせた形でインターネットで配信、その収益を被災地支援のために全額寄付するというもので、同年に開催されたNHK紅白歌合戦では「(みんなの)春よ、来い」をもって出場し、歌唱しました。

出会いや別れを表現する春の演歌・歌謡曲

最愛の人と出会った幸せを表現する楽曲、割り切れない別れの感情を表現する楽曲など、春をテーマにした楽曲はそれぞれ個性的な表情を見せてくれます。春の訪れのお供に、これらの楽曲を聴いてみてはいかがでしょうか。

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