今年もやってくる日本レコード大賞!歴代受賞者を紹介

2022.11.29

日本の音楽界において、音楽家やアーティストにとってかけがえのない名誉であり、歴史に名を刻むことができる賞の代表格「日本レコード大賞」
毎年数多くの名曲が誕生し、それらの楽曲には日本レコード大賞をはじめとするさまざまな賞が贈られます。先日今年の各賞の受賞者が発表され、当日の放送を心待ちにしている方も多いことでしょう。

そこで今回は日本レコード大賞についてご紹介します。最後にはうたびとと関連性の高い、受賞歴がある4組をピックアップしていますので、是非最後まで読んでみてくださいね。

日本レコード大賞とは


日本レコード大賞は、スポーツ紙を含む各新聞社の記者が中心となって決定する、各年の優れた歌手やクリエイターを称える賞のことを指します。

日本作曲家協会などが主催しており、後援はTBS。年末の一大イベントである番組「輝く!日本レコード大賞」で発表されます。

審査対象年度が「前年11月~当年10月」と特殊な対象期間であり、この間に顕著な活動や大衆に支持された者が受賞する仕組みです。
各賞には最高賞にあたる日本レコード大賞をはじめ、最優秀歌唱賞、優秀作品賞、新人賞、特別国際音楽賞、特別賞、作曲賞、作詩賞などさまざまな部門があります。

日本レコード大賞は、1958年に設けられた米国のグラミー賞を受け、その翌年に作曲家の古賀政男と服部良一、音楽評論家の平井賢によって創設されました。

日本レコード大賞の選定基準

各賞の選定基準は以下になります。

日本レコード大賞

対象年度に発売されたすべての邦楽シングルの中で

  1. ①作詩、作曲、編曲を通じて芸術性、独創性、企画性が顕著な作品
  2. ②優れた歌唱によって活かされた作品
  3. ③大衆の強い支持を得た上、その年度を強く反映、代表した作品

以上3点に認められた1作品に贈られ、審査は「優秀作品賞」に選ばれた作品が対象となります。

最優秀アルバム賞

「優秀アルバム賞」の中で、最も芸術性、独創性に優れ、その年度を代表したと認められたアルバムに贈る。

最優秀歌唱賞

優れた歌唱によって、その楽曲を最も的確に表現し、さらに高めた歌手に贈る。

最優秀新人賞

「新人賞」の中で、最も優秀と認められた歌手に贈る。

日本作曲家協会奨励賞

対象年度を含めて活躍し、魅力的な歌唱で大衆の支持を集め、存在感を高めている歌手、及び次世代を担うと期待される歌手に贈る。

作曲賞・作詩賞・編曲賞

それぞれの分野で特に独創的、かつ優れていると認められた作品、作者に贈る。

優秀作品賞

大衆の強い支持を得て、芸術性、独創性、企画性に優れ、その年度を反映したと認められた作品に贈る。

優秀アルバム賞

対象年度に発売されたすべての邦楽アルバムCDの中で、芸術性、創造性に優れ、その年度を代表したと認められたアルバムに贈る。

新人賞

対象年度内においてデビューし(初めて芸能活動として歌う)、大衆に支持され、将来性を認められた歌手に贈る。

企画賞

独創的な企画意図をもって制作され、それによって顕著な成果を上げ、音楽文化の発展に大きな貢献をした作品に贈る。

功労賞

長年にわたり音楽活動を続け、音楽界に多大な貢献をした人に贈る。

特別賞

対象年度において、社会的に世の中を賑わせ、注目された人、作品などに贈る。

以上のように基準が設けられています。
つまり、CDの売り上げが全てではないということです。

日本レコード大賞の大賞・新人賞一覧

ここでは、第一回からの、大賞・新人賞の受賞者を一覧で見てみましょう。

レコード大賞/新人賞受賞者一覧

No 開催年 大賞受賞者/受賞曲 新人賞受賞者/受賞曲
1回 1959年
(昭和34年)
水原弘/黒い花びら
2回 1960年
(昭和35年)
松尾和子・和田弘とマヒナスターズ/誰よりも君を愛す
3回 1961年
(昭和36年)
フランク永井/君恋し
4回 1962年
(昭和37年)
橋幸夫・吉永小百合/いつでも夢を 北島三郎/なみだ船
倍賞千恵子/下町の太陽
5回 1963年
(昭和38年)
梓みちよ/こんにちは赤ちゃん 舟木一夫/「学園広場」「高校三年生」
三沢あけみ/「島のブルース」「私も流れの渡り鳥」
6回 1964年
(昭和39年)
青山和子/愛と死をみつめて 西郷輝彦/「君だけを」「17才のこの胸に」
都はるみ/アンコ椿は恋の花
7回 1965年
(昭和40年)
美空ひばり/柔 バーブ佐竹/女心の唄
田代美代子/愛して愛して愛しちゃったのよ
8回 1966年
(昭和41年)
橋幸夫/霧氷 荒木一郎/空に星があるように
加藤登紀子/赤い風船
9回 1967年
(昭和42年)
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ/ブルー・シャトウ 永井秀和/恋人と呼んでみたい
佐良直美/世界は二人のために
10回 1968年
(昭和43年)
黛ジュン/天使の誘惑 矢吹健/あなたのブルース
久美かおり/くちづけが怖い
ピンキーとキラーズ/恋の季節
11回 1969年
(昭和44年)
佐良直美/いいじゃないの幸せならば ピーター/夜と朝のあいだに
12回 1970年
(昭和45年)
菅原洋一/今日でお別れ にしきのあきら/もう恋なのか
13回 1971年
(昭和46年)
尾崎紀世彦/また逢う日まで 小柳ルミ子/私の城下町
14回 1972年
(昭和47年)
ちあきなおみ/喝采 麻丘めぐみ/芽ばえ
15回 1973年
(昭和48年)
五木ひろし/夜空 桜田淳子/わたしの青い鳥
16回 1974年
(昭和49年)
森進一/襟裳岬 麻生よう子/逃避行
17回 1975年
(昭和50年)
布施明/シクラメンのかほり 細川たかし/心のこり
18回 1976年
(昭和51年)
都はるみ/北の宿から 内藤やす子/思い出ぼろぼろ
19回 1977年
(昭和52年)
沢田研二/勝手にしやがれ 清水健太郎/帰らない
20回 1978年
(昭和53年)
ピンク・レディー/UFO 渡辺真知子/かもめが飛んだ日
21回 1979年
(昭和54年)
ジュディ・オング/魅せられて 桑江知子/私のハートはストップモーション
22回 1980年
(昭和55年)
八代亜紀/雨の慕情 田原俊彦/ハッとして!Good
23回 1981年
(昭和56年)
寺尾聰/ルビーの指環 近藤真彦/ギンギラギンにさりげなく
24回 1982年
(昭和57年)
細川たかし/北酒場 シブがき隊/100%…SOかもね!
25回 1983年
(昭和58年)
細川たかし/矢切の渡し THE GOOD-BYE/気まぐれONE WAY BOY
26回 1984年
(昭和59年)
五木ひろし/長良川艶歌 岡田有希子/恋はじめまして
27回 1985年
(昭和60年)
中森明菜/ミ・アモーレ(Meu amor é…) 中山美穂/C
28回 1986年
(昭和61年)
中森明菜/DESIRE 少年隊/仮面舞踏会
29回 1987年
(昭和62年)
近藤真彦/愚か者 立花理佐/キミはどんとくらい
30回 1988年
(昭和63年)
光GENJI/パラダイス銀河 男闘呼組/DAYBREAK
31回 1989年
(昭和64年/平成元年)
Wink/淋しい熱帯魚 マルシア/ふりむけばヨコハマ
32回 1990年
(平成2年)
堀内孝雄/恋唄綴り
B.B.クィーンズ/おどるポンポコリン
ヤン・スギョン/愛されてセレナーデ
晴山さおり/一円玉の旅がらす
たま/さよなら人類
忍者/お祭り忍者
33回 1991年
(平成3年)
北島三郎/北の大地
KAN/愛は勝つ
唐木淳/やせがまん
Mi‐Ke/想い出の九十九里浜
34回 1992年
(平成4年)
大月みやこ/白い海峡
米米CLUB/君がいるだけで
永井みゆき/大阪すずめ
小野正利/You’re the Only…
35回 1993年
(平成5年)
香西かおり/無言坂 山根康広/Get Along Together
36回 1994年
(平成6年)
Mr.Children/innocent world 西尾夕紀/海峡恋歌
37回 1995年
(平成7年)
trf/Overnight Sensation〜時代はあなたに委ねてる〜 美山純子/桃と林檎の物語
38回 1996年
(平成8年)
安室奈美恵/Don’t wanna cry Puffy/アジアの純真
39回 1997年
(平成9年)
安室奈美恵/CAN YOU CELEBRATE? 知念里奈/precious delicious
40回 1998年
(平成10年)
globe/wanna Be A Dreammaker モーニング娘。/抱いてHOLD ON ME!
41回 1999年
(平成11年)
GLAY/Winter, again 八反安未果/SHOOTIG STAR
42回 2000年
(平成12年)
サザンオールスターズ/TSUNAMI 氷川きよし/箱根八里の半次郎
43回 2001年
(平成13年)
浜崎あゆみ/Dearest w-inds./Paradox
44回 2002年
(平成14年)
浜崎あゆみ/Voyage 中島美嘉/WILL
45回 2003年
(平成15年)
浜崎あゆみ/No way to say 一青窈/もらい泣き
46回 2004年
(平成16年)
Mr.Children/Sign 大塚愛/さくらんぼ
47回 2005年
(平成17年)
倖田來未/Butterfly AAA/BLOOD on FIRE
48回 2006年
(平成18年)
氷川きよし/一剣 絢香/三日月
49回 2007年
(平成19年)
コブクロ/蕾(つぼみ) ℃-ute/都会っ子純情
50回 2008年
(平成20年)
EXILE/Ti Amo ジェロ/海雪
51回 2009年
(平成21年)
EXILE/Someday BIGBANG/ガラガラGO
52回 2010年
(平成22年)
EXILE/I Wish For You スマイレージ/夢見る 15歳
53回 2011年
(平成23年)
AKB48/フライングゲット Fairies
54回 2012年
(平成24年)
AKB48/真夏のSounds good ! 家入レオ
55回 2013年
(平成25年)
EXILE/EXILEPRIDE〜こんな世界を愛するため〜 新里宏太
56回 2014年
(平成26年)
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE/R.Y.U.S.E.I. 西内まりや
57回 2015年
(平成27年)
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE/Unfair World こぶしファクトリー
58回 2016年
(平成28年)
西野カナ/あなたの好きなところ iKON
59回 2017年
(平成29年)
乃木坂46/インフルエンサー つばきファクトリー
60回 2018年
(平成30年)
乃木坂46/シンクロニシティ 辰巳ゆうと
61回 2019年
(令和1年)
Foorin/パプリカ BEYOOOOONDS
62回 2020年
(令和2年)
LiSA/炎 真田ナオキ
63回 2021年
(令和3年)
CITRUS/Da-iCE マカロニえんぴつ

これだけ見ても、ものすごい歴史ですね。
次章からは、うたびとと関連性の高い4組をピックアップして見ていきましょう。

レコード大賞の大本命・氷川きよし

年内で音楽活動休止を発表した氷川きよしは、2000年のデビューシングル「箱根八里の半次郎」で第42回日本レコード大賞の最優秀新人賞を獲得して以降、20年連続でいずれかの賞を受賞しています。

また、過去に大賞・新人賞・歌唱賞の3冠を獲得しており、これは歴代4人目の快挙となっています。

このように毎年ヒット曲を生み出すことができるのは氷川の圧倒的な歌唱力があるからこそ。まさに常連となった氷川は、2022年7月にリリースしたシングル『甲州路』が優秀作品賞の受賞を決定し、音楽活動休止前に2度目の大賞受賞となるか期待が集まっています。

ここでは、過去3冠を受賞している曲に絞って見ていきます。

箱根八里の半次郎(はこねはちりのはんじろう)

2000年2月にリリースした氷川のデビューシングル。第42回日本レコード大賞では最優秀新人賞を受賞した作品です。
同年にはその他にも、第33回日本作詩大賞で史上初のデビュー曲による大賞を受賞、第33回日本有線大賞、最優秀新人賞を受賞しました。

デビュー曲でありながらも氷川にとって多くのセールスを記録したシングル。累計出荷枚数は100万枚を突破し、オリコンでの推定累積売上数は67.3万枚を記録しています。
この記録は平成に発売された演歌シングルの中で6番目の売り上げ記録となっています。

白雲の城(はくうんのしろ)

2003年にリリースした6枚目のシングル。第45回日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞し、第36回日本有線大賞では初めて大賞を受賞した作品です。
また、第54回、第67回NHK紅白歌合戦にて歌唱しました。
人の世の「はかなさ」「むなしさ」を歌った一曲となっており、どこか哀愁漂う印象となっている一曲です。

一剣(いっけん)

2006年3月にリリースしたシングル。同年に第48回日本レコード大賞において大賞を受賞しました。
演歌曲がレコード大賞を受賞したのは、1993年の香西かおりの『無言坂』以来。また、このレコード大賞を獲得したことにより、歴代4人目の快挙となる「大賞・新人賞・歌唱賞」の3冠を達成しました。
また、第39回日本有線大賞でも最多リクエスト曲賞を受賞した名誉ある一曲です。

演歌第7世代・辰巳ゆうと

演歌第7世代の一人として注目を集める辰巳ゆうとは、2018年にデビューシングル『下町純情』にて、第60回日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞しています。

今年デビュー5周年を迎え、2022年1月にリリースした『雪月花』でもこれぞ本格演歌!という歌唱を披露しています。
ここではそのデビュー曲を掘り下げて見ていきましょう。

下町純情

2018年1月にリリースしたデビューシングルで、同年第60回日本レコード大賞では最優秀新人賞に選出されました。受賞当時は現役大学生だったこともあり、一躍話題に。

この曲は下町を舞台にした人生賛歌となっています。辰巳がストリートライブを行なっていたのも東京の下町だとか。下町を歌ったデビュー曲で受賞という、思い入れの深い曲となったことでしょう。

吉幾三の秘蔵っ子・真田ナオキ

真田は、異例のロングヒットを記録した『恵比寿』で第62回日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得しました。
“ノックアウトボイス”と称さるほどの一度聴いたら忘れられないインパクトのある歌声で、大御所演歌歌手・吉幾三を魅了し、弟子入りした真田。

その後もハスキーボイスと爽やかなルックスで多くのファンを虜にしている真田は、2022年3月にリリースした『渋谷で・・・どう?』がロングヒットを続けています。

ここでは最優秀新人賞を獲得した『恵比寿』を深掘りして見ていきましょう。

恵比寿

2020年1月にリリースされた『恵比寿』は、テイチクエンタテインメントに移籍して初のシングルとなっており、オリコン演歌歌謡曲ウィークリーランキング初登場1位を記録しました。

こちらの楽曲で、第62回日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得。真田の持ち味であるノックアウトボイスが光る楽曲となっており、注目を集めるきっかけとなった代表作です。

スーパー銭湯アイドル・純烈

純烈は、小田井涼平が年内で脱退することを発表し、現体制でレコード大賞に挑むのは最後となります。演歌・歌謡界にとどまらず、さまざまなメディアに衝撃を与えた純烈。
今年2月にリリースした『君を奪い去りたい』が優秀作品賞の受賞を決定し小田井を含む現体制での最後の大賞受賞に期待が高まります。

ここでは、過去レコード大賞優秀作品賞を受賞した2曲を見てみましょう。

純烈のハッピーバースデー

2019年5月にリリースされた10枚目のシングル『純烈のハッピーバースデー』。

本格ラテンのリズムに乗せたお祝いソングとなっており、オリコン演歌・歌謡曲ウィークリーチャート1位、オリコンウィークリー総合チャート3位を獲得した曲です。
同年に開催された、第61回日本レコード大賞優秀作品賞を受賞しました。

4人体制になって初めての勝負曲で、第70回NHK紅白歌合戦に出場するきっかけとなった楽曲です。

君がそばにいるから

2021年には『君がそばにいるから』をリリース。明るい曲調で第63回日本レコード大賞優秀作品賞を受賞した曲となっています。

この曲で2度目のレコード大賞優秀作品賞の受賞となり、世間に名を広めた歌謡コーラスグループになりました。

音楽家の名誉ある賞:今年も注目しよう

アーティストやクリエイターだけでなく、音楽に携わる人々にとってもっとも名誉ある賞といっても過言ではない日本レコード大賞。

数多くの名曲の中で、今年はいったいどんな楽曲が対象に選ばれるのでしょうか。年末の発表が楽しみですね。

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