【NHK紅白歌合戦の歴史を知ろう】はじまりや転機、歴代の見どころも紹介

2022.12.16

年末の風物詩である一大イベント、紅白歌合戦。一年の締めくくりとして家族や友人と楽しく視聴する方が多いと思います。

そんな紅白歌合戦ですが、いつから始まったのかはご存じですか?
今回は、半世紀以上も前から親しまれ続けている紅白の歴史について深掘りします。

紅白歌合戦とは

NHK紅白歌合戦は、1951年から毎年放送している、男女対抗で競う大型の音楽特別番組です。
NHKで放送されている長寿番組で、日本を代表する人気歌手が出演します。

さらには、その年に人気を博した歌手以外のゲストらも出演するため、放送開始当初から人気に火がつき、高視聴率を記録。
年末といえば紅白歌合戦、と誰もが認知するほどの番組となっています。

出場者の選考基準

出場者の選考基準は、「今年の活躍」「世論の支持」「番組企画にふさわしいか」の3点となっています。

今年の活躍

(1)CD・DVD・Blu-rayの売り上げ
(2)インターネットでのダウンロード・ストリーミング・ミュージックビデオ再生回数・SNS等についての調査
(3)有線・カラオケのリクエスト等についての調査
(4)ライブやコンサートの実績
これらに基づいて審査されます。

世論の支持

(1)7歳以上の全国3553人を対象にNHKが行った「ランダムデジットダイヤリング」方式(※電話調査のための無作為標本抽出法)による世論調査「紅白に出場してほしい歌手男女各3組」
(2)7歳以上の全国8000人を対象にNHKが行ったウェブアンケート調査「紅白に出場してほしい歌手男女各3組以上10組まで」
これらの結果で選考されます。

番組企画にふさわしいか

こちらに関しては明確な基準がないようです。
近年の出場者から推測すると、K-POPアーティストの出場が増えてきたこともあり、国境を超えたグローバルな視点も加味されているのではないでしょうか。
また、アニメ映画とのコラボなど、これまでにない新しい演出が期待された結果などが予想されます。

紅白歌合戦の歴史

ここでは、紅白の歴史について見ていきましょう。

紅白歌合戦の原点

紅白歌合戦の始まりは、1945年の終戦直後の大晦日に放送されたラジオ番組「紅白音楽試合」が原点となっています。

当時は音楽番組に対抗戦の要素を持ち込み、勝敗を競うという競技性を交えたアイデアが大好評でした。
視聴者の絶大な支持を得たことが紅白歌合戦の誕生につながったようです。

第1回紅白歌合戦

第1回の紅白歌合戦は、1951年1月3日にラジオ番組にて放送されました。

紅組の司会に女優の加藤道子、白組の司会にアナウンサーの藤倉修一、総合司会にアナウンサーの田辺正晴と、今の形態と大きな違いはなかったようです。

紅組出場歌手は、<菅原都々子・暁テル子・菊池章子・赤坂小梅・松島詩子・二葉あき子・渡辺はま子>の7名
白組出場歌手は、<鶴田六郎・林伊佐緒・近江俊郎・鈴木正夫・楠木繁夫・東海林太郎・藤山一郎>の7名
計14名でのスタートとなりました。

いつから大みそかになったのか?

1953年の第4回の開催で、ラジオに加えてテレビでも放送が開始。そのタイミングで放送時間も大晦日に移動されました。
それ以降、現在に至るまで大晦日に放送されています。

紅白歌合戦の転機となったその他イベント

ここでは、紅白歌合戦の転機となったイベントについて見ていきます。

第13回(1962年/昭和37年):視聴率調査スタート

1962年、ビデオリサーチ社による紅白初のテレビ視聴率調査がスタート。いきなり80.4%を記録しました。

ラジオ中継の録音は現存していますが、テレビ映像は当時のニュースでごく一部が紹介されたモノクロ映像しか残っていないようで、とても貴重なものとなっています。

第24回(1973年/昭和48年):会場がNHKホールへ

第24回が行われた1973年、NHKはNHK放送センターへの局舎移転を終え、同時に関連施設である現NHKホールが完成しました。

これに伴い、紅白歌合戦はこれまでNHK東京放送協会第一スタジオや日本劇場、東京宝塚劇場で放送していましたが、同年からは毎年NHKホールで開催されるようになりました。

2021年のみNHKホールが耐震化工事を施工中という理由から、東京国際フォーラム・ホールAをメイン会場にしています。

第40回(1989年/平成元年):節目の年、初の二部構成

平成最初の年である1989年は、昭和から平成に元号が変わった節目の年ということもあり、紅白史上初の二部構成に変更。

4時間20分という、当時は過去最長の放送時間となり、出場歌手も大幅に拡大されました。

それ以降、二部構成や前後半のような構成に分けて放送されており、一部と二部の間には、その年の最後の「NHKニュース」が放送されています。

第71回(2020年/令和2年):初の無観客紅白

記憶に新しい2020年の紅白歌合戦は、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、ホール形式での公開生番組となって以後初めての無観客で開催されました。

会場は、密集を防ぐためにNHKホールに加えてNHK放送センター内のCT-101スタジオとCR-509スタジオの計3か所で放送。

無観客開催のため、ゲスト審査員・視聴者審査員の得票数で勝敗が決まり、4年ぶりに紅組が優勝しました。

歴代紅白の見どころ

紅白には世代を超えて語り継がれる歴史的な瞬間が記録されています。
ここでは見どころをまとめてご紹介します。

過去の勝敗

紅白歌合戦の勝敗の判定方法は、年によって細かい変更があるものの「基準」となる部分は変わらないようです。下記のような基準で勝敗が決まっています。

  1. 1.視聴者審査員で投票数が多いチームに1ポイント
  2. 2.会場審査員で投票数が多いチームに1ポイント
  3. 3.ゲスト審査員で投票数が多いチームに1ポイント

2021年の紅白終了時の地点で、勝敗は通算「白組39勝・紅組33勝」となっています。

歴代最高視聴率

72回もの開催で最も高い視聴率を記録したのは、1963年に放送された第14回紅白歌合戦でした。

世帯視聴率は81.4%という数字を記録したことで、「国民的行事」の一つであることを証明しています。

同年の五月みどりが披露した「一週間に十日来い」で、瞬間最高視聴率85.3%を獲得したようです。

近年の視聴率は40%前後ではありますが、さまざまな媒体が参入し、多様化している現代でも高視聴率をキープできるのは、「国民的行事」の証と言えるでしょう。

最多出場者

最多出場者は男性歌手が北島三郎、女性歌手が石川さゆりとなっています。

北島三郎は第14回(1963年)に初出場し、最終出場が第69回(2018年)で計51回
石川さゆりは第28回(1977年)に初出場し、最終出場予定が今年の第73回(2022年)で計45回

となっています。

連続出場者

連続出場回数記録は、

1位:五木ひろし/50回(第22回-第71回)
2位:森進一/48回(第19回-第66回)
3位:石川さゆり/39回(第35回-第73回)

となっています。名だたるアーティストが名を連ねていますね。

衣装の演出

紅白といえば派手な衣装やパフォーマンスも楽しめます。近年で最も話題になったのは小林幸子の衣装・演出ではないでしょうか。

「メガ幸子」と呼ばれる小林の見た目をした巨大なオブジェに色鮮やかな衣装を身にまとった姿で登場。
自身そっくりのメガ幸子の手のひらで歌う姿は、とても圧倒的でした。
また、第61回では翼幅13メートルもの巨大な鶴の上でパフォーマンスを披露しています。

そしてもう一人、派手な衣装で印象的な代表格は美川憲一でしょう。
ゴールドできらびやかな衣装や、レディー・ガガを意識したグリーンの衣装など、さまざまなテーマに沿った衣装が印象的です。

司会

紅白を盛り上げるのに欠かせない存在である司会者。朝ドラや大河ドラマなど、その年に活躍した方々の中から抜擢されています。

今までは司会の呼び方が「紅組司会・白組司会・総合司会」でしたが、2021年からは「司会」とまとめての呼称となりました。

「司会は、番組の進行とともに、紅組白組はじめご出演いただくすべての歌手・アーティストを応援する存在になります」と発表されており、時代とともに変わってきているようです。

毎年出演アーティストより前に発表されるため、司会が誰になるかも例年の楽しみの一つとなっています。

2021年紅白歌合戦まとめ

2021年の紅白は、世の中を少しでも「カラフル」に彩りたいといった思いを込めたテーマをもとに、多様な価値観を認め合う姿勢を意識したようです。

その価値観を象徴するものとして、司会者を紅白で分けずに「司会」という呼び名に統一され、ロゴの赤と白の境目があいまいなグラデーションになっています。

また、NHKホールが耐震化工事を施工中という事情から、東京国際フォーラム・ホールAをメイン会場とし、NHK放送センターも併用して開催されました。

総合結果は紅組が優勝。前回に続き2連勝となりました。

今年の紅白歌合戦

今年の紅白は、 2年ぶりのNHKホールで有観客開催となりました。
司会は、大泉洋・橋本環奈・櫻井翔・桑子真帆と発表されています。

テーマは『LOVE&PEACE~みんなでシェア!~』

パンデミック・軍事侵攻・自然災害など暗いニュースが続く昨今。
2022年を締めくくる時間に歌で平和の尊さや希望にあふれた愛を感じてもらいたい。
大晦日を年に一度の「ハレの日」にしたい。といった気持ちが込められています。

ロゴには、ハートとピースサインが印象的でどこか心温まるデザインになっています。

また、今年の大ヒットアニメ映画「ONE PIECE FILM RED」とのコラボが決定。
劇中に登場する「ウタ」が紅組歌手として出場することが発表されました。

アニメキャラクターが紅白に出場するのは、番組史上初の試み。どのようなパフォーマンスが見られるのでしょうか。期待して続報を待ちましょう。

年末最後の一大イベント

一年を締めくくる紅白歌合戦は、年末に欠かすことのできないイベントといっても過言ではありません。

半世紀以上にわたって開催される紅白の歴史を知ることで、これまでと違った目線で楽しむことができるのではないでしょうか。

今年も楽しみですね!

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