演歌にはなぜ日本海を歌った曲が多いのか?理由と名曲10選をお届け

日本海
2023.1.10

演歌でたびたび登場する「日本海」。さまざまな名曲で歌われており、耳にしたことがあると思います。

演歌と切っても切れない日本海は多くの楽曲で登場しますが、どういった意図があるのか、太平洋ではダメなのか?とふと疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、「日本海」に焦点を当てて解説するとともに、日本海を歌った名曲をご紹介します。

演歌にはなぜ「日本海」が多く登場するのか

日本海
演歌のタイトルや歌詞にはなぜ日本海が多いのでしょうか。

そこに明確な理由は存在しませんが、「日本海」というキーワードから感じられる印象として、「寒い」「険しい」「荒い」などといったイメージが挙げられるでしょう。
身を切るような寒さや辛さを感じさせるイメージは演歌との相性が良く、世界観を作るのに最適だからと考えられます。

また、文字数にも秘密があります。
「にほんかい」という5文字は、演歌のメロディーと相性が良く、歌詞に合わせやすいのです。

「日本海」にちなんだ名曲10選

日本海が多く使われる理由が分かったところで、ここでは日本海を歌った名曲をご紹介します。

日本海:八代亜紀


『日本海』は、圧倒的な声量と歌唱力で演歌界をけん引する八代亜紀が1983年にリリースした45枚目のシングル。
作曲は大野克夫、作詞は阿久悠、編曲は三木たかしという昭和を代表する大御所が手がけました。

本楽曲は、「窓の右手に日本海」というワードが度々使われており、八代の故郷である九州に向かう列車に乗っているような情景が浮かびます。

こちらは第25回日本レコード大賞・特別金賞を受賞。また、1983年第34回NHK紅白歌合戦で歌唱されています。

日本海:北島三郎


力強いコブシと骨太な歌声を持つ北島三郎が1982年にリリースした『日本海』。作詞・作曲は原譲二。なお、原譲二は、北島が作詞・作曲活動を行う際のペンネームです。

本楽曲は、夢・恋に破れたことで傷心し、独り汽車に乗り日本海を訪れるという内容になっています。
北島の力強い歌声と高らかに歌い上げる姿が楽曲との相性抜群。まさに正統派演歌と言えるでしょう。

哀しみ本線日本海:森昌子


『哀しみ本線日本海』は、透き通るような歌声を持つ森昌子が1981年にリリースした37枚目のシングル。作詞を荒木とよひさ、作曲を浜圭介が担当しました。

本楽曲は「もしも死んだら あなた」「あなた泣いてくれますか」といった哀しみを感じるワードが多く使われており、険しさや寂しさを表現する日本海の世界観を感じられます。

森ならではの表現力が活かされた楽曲となっており、1981年、初めてトリを務めた第32回紅白歌合戦で歌唱。さらに、2001年第52回紅白歌合戦で自身のヒットソングメドレーとして披露しています。

氷川きよし、加納ひろしといった名だたる歌手にカバーされているため、老若男女問わず人気の楽曲と言えるでしょう。

津軽海峡・冬景色:石川さゆり


『津軽海峡・冬景色』は、圧倒的な歌謡力で高い人気を誇る石川さゆりが1977年にリリースした15枚目のシングルで、自身の代表曲。

作詞を阿久悠、作曲を三木たかしが担当。当時はアイドル歌手の印象もあった石川ですが、当楽曲がミリオンセラーの大ヒットを記録したことで、本格派演歌歌手の仲間入りを果たしました。

この曲は、東京上野発の夜行列車で本州最北端の青森県にたどり着き、連絡船で津軽海峡を越えて北海道へ渡る様子を、女性の心情を交えて歌った一曲となっています。

紅白歌合戦では2022年までに計12回歌唱。さらに2007年(第58回)以降の紅白歌合戦において『天城越え』と交互に隔年で歌われていることから、世代を超えて知名度の高い楽曲となっています。

これまでに小林幸子、山﨑まさよし、阿部真央らジャンルや世代を問わず多くの歌手にカバーされています。

女 泣き砂 日本海:川中美幸


『女 泣き砂 日本海』は、心地よいコブシと安定性抜群の歌声を持つ川中美幸が1988年にリリースした楽曲。作詞は阿久悠、作曲は三木ひろしです。

本楽曲は、愛しい人を思い恋焦がれ、朝の日本海を訪れる内容になっています。
川中が歌い上げる時の表現力と相性抜群でとても哀愁があり、世界観に引き込まれますね。

海雪:ジェロ


『海雪』は、力強い声質を持つアメリカ出身の演歌歌手であるジェロの2008年デビューシングル。初の黒人演歌歌手として大きな話題になりました。

本楽曲は新潟県出雲崎町が舞台で、作詞を秋元康、作曲を宇崎竜童が担当しています。

第41回日本作詩大賞の大賞を受賞し、デビュー曲が大賞を受賞したのは、2000年の第33回・氷川きよしの『箱根八里の半次郎』以来。8年ぶり2曲目の偉業となっています。
他にも、第50回日本レコード大賞・最優秀新人賞も受賞し、この曲で第59回NHK紅白歌合戦にも出場。平成の演歌シーンに大きなインパクトを与えました。

日本海ブルース:坂本冬美

『日本海ブルース』は坂本冬美が1992年にリリースしたアルバム「男惚れ」に収録されています。
作詞は池田充男、作曲は猪俣公章。

本楽曲は、荒れる日本海を表現するワードが詰め込まれているため、世界観が感じ取りやすくなっています。坂本の知る人ぞ知る名曲の一つです。

ふりむけば日本海:五木ひろし


『ふりむけば日本海』は、圧倒的な歌唱力で人気を博す五木ひろしが2005年にリリースした103枚目のシングル。
作詞を五木寛之、作曲を五木ひろし本人が担当しました。

正統派演歌曲で歌声と曲が心地よく響いており、より一層切なさを醸し出しています。
五木の表現力があるからこそ輝く楽曲でしょう。

おんなの日本海:島津悦子


『おんなの日本海』は、美しい歌声を持つ島津悦子が2007年にリリースしたシングル。作詞を仁井谷俊也、作曲を四方章人が担当しました。

本楽曲は島津のデビュー20周年記念第二弾。
愛しながらも別れた男性を思いつつ、ひとり前向きに生きようとする、健気な女心を歌った楽曲となっています。力強くもさわやかな歌声がとても心地いい歌です。

ひとり日本海:石原詢子


『ひとり日本海』は、石原詢子が2010年にリリースした27枚目シングルとなっており、力強くも透きとおる歌声で情景を思い出させる曲となっています。作詞を仁井谷俊也、作曲を弦哲也、編曲を前田俊明が担当しました。

本楽曲は、愛する人との別れを「ひとり日本海」という言葉で表しています。
海を眺めながら、若狭~能登、越後へと旅をし、愛する人を忘れようと奮闘している姿をイメージさせる楽曲となっています。

まとめ

演歌には「日本海」を歌った曲が多い理由はおわかりいただけましたでしょうか。
寒さや険しさなどを表現するものが多く、また「日本海」の音のテンポが良いので、使われるケースが多いのでしょう。

日本海を舞台にした楽曲の歌詞の意味を読み解いてみると、新しい発見があるかもしれませんね。
日本海を歌った名曲は多数あるので、これを機に色んな曲を聞いてみましょう。

関連キーワード