【デビュー55年記念特別作品『ピンキーとキラーズ大全』】 今陽子・芸能活動56年の歴史を振り返る
1967年にソロ歌手としてデビュー、翌年にピンキーとキラーズのボーカルとして『恋の季節』で大ヒットを飛ばした今陽子。
71歳の現在もアーティストとして活躍する今ですが、16歳にして頂点に上り詰めた後の道のりは決して楽なものではありませんでした。
今回は今陽子の経歴やその魅力についてご紹介いたします。
幼少期〜中学時代:スカウトされ上京
今はどのような環境で育ち、どんな道のりを歩んだのでしょうか。
両親の才能を受け継ぐ
1951年11月1日、愛知県東海市に誕生。父は商業デザイナーの今津次朗、母は幼なじみの父が結成したバンドの専属歌手。独身時代は「コロムビア全国のど自慢コンクール」で優勝したほどの歌唱力の持ち主でした。父は喋りが達者で、愛知県で歌謡ショーがあると司会を頼まれるほどでした。今は父に楽屋に連れて行ってもらい、島倉千代子や石原裕次郎に可愛がってもらったといいます。父の影響で洋楽が好きになり、エルビス・プレスリーやビートルズ、ジャズなどを好んで聞いていました。
15歳でソロデビュー
金城学院中学校1年生の時、仕事で名古屋を訪れたいしだあゆみの楽屋に入れてもらいました。年齢の近いいしだとおしゃべりしていた今は、いしだのマネージャーにスカウトされます。歌謡ショーの司会をしていた父は、芸能界が厳しい世界だと知っていたので、今の芸能界入りに猛反対。しかし母は、自分ができなかったことを娘にやらせたいと父を説得。今は中2の2学期に単身上京し、いしだあゆみが所属していた「オールスタッフプロダクション(現:オールスタッフ)」に所属、作曲家・いずみたくの元で修業生活に入ります。レッスンの合間にCMソングを歌うなど約1年の修業期間を経て、15歳の時に『甘ったれたいの』でソロデビュー。しかし売り上げは芳しくありませんでした。同じ頃、「オールスタッフプロダクション」に所属していた佐良直美や由紀さおりが次々に大ヒットを飛ばしたことで、今は焦り、落ち込みます。
ピンキーとキラーズ『恋の季節』がダブルミリオン!
いずみたく先生の計画では、今をソロデビューさせたことは、彼女のアーティスト人生のステップに過ぎませんでした。翌1968年に、今は男性4人を従え「ピンキーとキラーズ」を結成。同年7月に『恋の季節』を発売するやいなや17週連続でオリコン1位! 約270万枚というダブルミリオンヒットを記録します。想像を絶する忙しさが今を襲い、移動の車で点滴を打つ生活を送っていました。
その後も『涙の季節』『七色のしあわせ』『星空のロマンス』と大ヒットを飛ばしますが、1972年に約4年間続いたピンキーとキラーズに終止符が打たれ、今はソロ歌手に戻ります。
いずみたく先生の教え
ソロに戻った今には、たくさんの歌の仕事が舞い込みました。しかし、どこに行っても『恋の季節』を要求され、中には「ピンキーとキラーズは4年しか保たなかった」などと書く週刊誌も。「1回頂点を極めたら落ちるしかない。人気というのはそういうものだ。でも、歌手・今陽子が真の実力を身につけていれば、一生モノだし、芸能界で生きていけるはずだ」といういずみたく先生の教えを噛み締め、今はある決断をします。
『恋の季節』を払拭するためアメリカへ
1979年、今は28歳でアメリカ・ニューヨークへ留学します。NY留学は、「ピンキーとキラーズを一度忘れないと、アーティスト・今陽子としてやっていけない」という強い思いからくるものでした。留学費用は全て自腹。プロダクションもレコード会社も契約を解除して、背水の陣をしいて臨みました。「ミュージカルの本場・NYで挫折はしませんでしたか?」という問いに、「私は挫折したからアメリカに行ったんです。だからこれ以上、下はない。ここから本物のアーティストになるために這い上がりたいと思ったし、今までの経験と努力を活かしたいと思いました」と今は答えます。
強い意志で努力を重ね、2年後にはNYの3大エージェントやレコード会社からスカウトが来るまでになり、ミュージカルのオーディションにも合格、本物の実力を手に入れました。
帰国後、ミュージカルで実力を発揮
今は「このままNYにいたら、いつか日本に帰った時に浦島太郎になってしまう」と、日本に帰る決心をします。2年間の武者修業を経て帰国した後は、『ボーイ・フロム・オズ』『ディートリッヒ』『スクルージ』など数々のミュージカルで大活躍。本場仕込みの英語の発音、レッスンで磨きをかけた強い声、ダンスの実力を存分に発揮します。
芸能生活40周年記念で「ピンキーとキラーズ」を再結成
ミュージカルやライブで活躍する今でしたが、2008年に開催された芸能生活40周年記念のディナーショーで、「ピンキーとキラーズ」を再結成しました。ピンキラ再結成のニュースにマスコミの記者が大勢集まり、今更ながらピンキーとキラーズ、そして『恋の季節』の人気を再認識した今でした。その年の大晦日、毎年恒例の歌謡特番『年忘れにっぽんの歌』(テレビ東京・BSテレ東)に出演、翌2009年元旦に最愛の父が他界しました。
人生を後押ししてくれた母が認知症に
芸能界入り、留学といった今の人生のターニングポイントには、反対する父を制していつも母が背中を押してくれました。忙しく仕事をする今を支えてくれていたしっかり者の母が、90歳になったある日、認知症に。今は悩みつつも周囲のサポートを受けながら自宅で介護生活を始めます。今は介護の日々を綴った『認知症の母が劇的回復を遂げるまで』を出版、ライブやミュージカル出演と並行して講演活動も行います。ファンもまた親の介護に直面する年代であり、母の介護を通しても、今はファンを元気づけたのでした。
狭心症を発症するもステージに
仕事の忙しさと母の介護が重なり、体力には自信のあった今が狭心症に倒れます。2019年、今は救急車で病院に運ばれ緊急手術。しかし2日後には豪華客船「飛鳥」に乗り込み船上コンサートの舞台に上がります。
「私はやっぱり自分のことをプロのアーティストだと思っています。本当にドクターストップで、歌うと死んじゃうと言われたらしょうがないけど、お医者様に相談して、「薬を飲んで、歌い終わってすぐ休むのならいい」と許可をもらったら、いただいた仕事は絶対に休まない。そう思って56年間続けてきました」(今)。
プロ根性はいずみたく先生に鍛えられたと言う今。さぞかし厳しかったのでしょうと聞くと、「歌の基礎は厳しく仕込まれましたが、他のことはああしろ、こうしろとは言わず、あくまで私に委ねられました。だからこそ自分で考えて、プロ根性というものを学んでいったのかもしれません」と話します。
アーティスト・今陽子。これからも若く、カッコ良く!
現在71歳の今は、母の介護をしながら、ライブ活動や講演など相変わらず忙しく全国を飛び回っています。大御所と呼ばれる立場に関わらず、偉ぶらない今を慕う若いミュージシャンもたくさんいます。ピンキーとキラーズで頂点を極め、ダブルミリオンを記録した『恋の季節』に苦しめられ、真のアーティストになることでその呪縛を解き放った今。現在の今は本物の実力を持つアーティストなのはもちろん、誰よりも若く、カッコいい70代だといえるでしょう。
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ピンキーとキラーズ『ピンキーとキラーズ大全』
発売中
【完全生産限定盤】
CD4枚組+DVD
品番:KIZC-90706~10
価格:¥1,5000(税込)
DISC1 オリジナル・ソングス(1)
1.恋の季節
2.つめたい雨
3.ファンキー・エンジェル
4.恋のお話
5.涙の季節
6.涙のバラード
7.七色のしあわせ
8.愛の湖
9.星空のロマンス
10.あのとき あなたは
11.いつのまにか
12.星をたずねて
13.恋人の讃歌
14.陽のあたる街
15.土曜日はいちばん
16.小さな大切な恋
17.愛の丘の上
18.青春のブルースカイ・ロード
19.青い森の二人
20.恋のサンポラレ島
DISC2 オリジナル・ソングス(2)
1.恋の鳥よ逃げないで
2.若いときこそ
3.恋人よバラのように
4.愛に生き平和に生きる
5.明日へ行く汽車
6.何かいいことありそうな
7.愛の花をふたたび
8.幸福ちゃん
9.許されぬ恋(裏窓の部屋)
10.虹と雪のバラード(NHK・札幌オリンピックの歌)
11.みんなでつくろう
12.ロマンス
13.こんなの恋じゃない
14.かぜの季節
15.ウナコーワ
16.カネボウ ポリエステル
17.農中金 あなたの道
18.野村證券
19.ナショナル パナソニックテレビ パナパナ
20.恋がしたくて コークを飲もうよ
21.東海音頭
22.君の明日を
23.霧島おじゃれ
24.ニャーオン(ABCホーム・ソング)
25.あそぼうよ
26.誕生日はいいもんだ
27.十二の誕生日
DISC3 テーマ・ソングス
1.オレと彼女
2.ゆびきりげんまん
3.青空にとび出せ
4.愛のチューチュー列車
5.恋はそよ風
6.花も嵐も
7.恋の大冒険 テーマ・ミュージック
8.主題歌 素敵な恋(バラード)
9.集団就職
10.ラーメン工場のうた~俺は大悪人
11.主題歌 素敵な恋
12.迷竹ラーメンの唄
13.迷竹ラーメンの唄(催眠術をかける迷竹)
14.動物を守る唄
15.私はカバ・ガール
16.アテレコの唄
17.カバと陽子のデュエット
18.野生の恋(素敵な恋)
19.大都会のブルース
20.公聴会の歌
21.動物を守る唄
22.素敵な恋~かおりの歌
23.追いかけっこの歌
24.ピンキーどこへ行く
25.素敵な恋(フィナーレ)
26.空が青いから(松竹映画「愛の旅路」主題歌)
27.愛の旅路
28.ピンキーとキラーズ テーマ トゥ・ヤング
29.マイ・ダービー・ハット
30.カバー・ガール
31.踊る、踊る、踊る
DISC4 カヴァー・ソングス
1.おてもやん(熊本県民謡)
2.安来節(島根県民謡)
3.佐渡おけさ(新潟県民謡)
4.ソーラン節(北海道民謡)
5.江戸子守唄(東京都民謡)
6.真室川音頭(山形県民謡)
7.デカンショ節(兵庫県民謡)
8.八木節(群馬県民謡)
9.五木の子守唄 (熊本県民謡)
10.黒田節(福岡県民謡)
11.会津磐梯山(福島県民謡)
12.炭坑節(福岡県民謡)
13.木曽節(長野県民謡)
14.安里屋ユンタ(沖縄県民謡)
15.オー・マイ・パパ
16.ヴァイア・コン・ディオス
17.グッド・ナイト・スイート・ハート
18.私の青空
19.セントルイス・ブルース
20.ナイト・アンド・ディ
21.虹のかなたに
22.ラスト・ワルツ
23.ラヴ・ミー・トゥナイト
24.雨に濡れても
25.男と女
DISC5 DVD
1.恋の季節
2.涙の季節
3.恋の季節(コンサート映像)
キングレコード商品ページ:https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKIZC-90706/