森山良子、約1年振りのデジタルシングルをリリース! かまやつひろしの名曲『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』をカバー

森山良子
2023.7.19

歌手の森山良子が7月19日(水)、約1年振りとなるデジタルシングル『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』をリリースした。

今年、レコードデビューから56周年を迎えた森山良子。今作では、従兄であるかまやつひろしの名曲『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』をカバーした。『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』は、1975年に発売されたかまやつひろしのシングル『我が良き友よ』のカップリング曲。今作のプロデュースとアレンジは、前作『人生はカクテルレシピ』に引き続き、永積崇ハナレグミ)が手がけた。

現在、森山はコンサートツアーを開催中。森山が歌う『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』を生で聴ける日も近い。

森山良子 コメント

形にとらわれず音楽で遊び、自由に模索しながら探究し追及していたムッシュ。
たくさんの曲を残した中でも他の曲とは違う、ムッシュらしさが一番残るこの曲をいつかカバーしたいと狙っていたんです。
昨年リリースした『人生はカクテルレシピ』同様、今回も永積崇さんにプロデュース・アレンジをお願いしました。
レコーディングでは、ミュージシャンの皆さんと「一度チョットやってみようか?とりあえず」といった音合わせ段階のテイクがグルーヴ感も最高に良く採用となりました。

音楽評論家 田家秀樹による『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』ライナーノーツ

『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』が1975年に発売された彼のシングル『我が良き友よ』のカップリングだったことを知っている人はもう少なくなっているのかもしれない。
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった吉田拓郎が書き下ろした彼の最大のヒット。週間チャート1位、年間チャートでは7位にランクされている。
かまやつひしの父親は日本ジャズ界の草分けとなったジャズボーカル専門学校の「日本ジャズ学院」を設立した日系二世のジャズ・シンガー、ティーブ・釜萢である。
10代の時からジャズやカントリーを歌っていたかまやつひろしがビートルズ上陸以前に結成したバンド、ザ・スパイダースの名付け親もティーブ釜萢だ。
日本の音楽史上初のバンド革命、GSの音楽的支柱となっていたのがかまやつひろしだった。
70年代、音楽の世界にはいくつもの壁、対立や反目があった。
たとえば演歌や歌謡曲とフォークやロック。同時にフォークとロックの間にもあった。
綺麗な言い方をすればそれぞれがお互いを仮想敵としながら切磋琢磨していた。
そうしたジャンルから最も解放された自由人がかまやつひろしだった。
1971年の伝説の野外イベント、中津川フォークジャンボリーにギター一本で乗り込んでいったのが彼だ。
メディアや業界から逆風を受けていた吉田拓郎の才能をいち早く認め接近していくことで生まれたのが「我が良き友よ」である。
ただ『我が良き友よ』は、腰に手ぬぐいをぶら下げて下駄をはいているバンカラ学生の青春を歌っている。
大ヒットしたとはいえ六本木の「キャンティ」をホームグランドにして
最新のヨーロッパの香りやアメリカ西海岸のサブカルチャーを体現していた彼にとって不本意だったことは容易に想像できるだろう。
「俺はこれじゃない」というメッセージが『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』だった。
西海岸最強のホーンセクションを擁したファンクバンド、タワーオブパワー。
彼らが来日していた合間にコード進行だけ渡して録ったという演奏にメロディーと詞を付けたという曲だ。
「歌」とも「語り」ともつかぬ“トーキング・ファンク”のような歌は当時も今も他を寄せ付けない孤高の輝きを放っている。
ゴロワーズというのは歌詞にあるようにジャン・ギャバンが映画の中で吸っているフランスの煙草。
シャネルやヴィトンなどのブランド品というより労働者や大衆向けというのが彼のセンスだ。
人生に必要なものは何か。人の幸せとは何か。そして大人になるというのはどういうことなのか。
かまやつひろしは史上最も尊敬されるべき自由人だと思う。
音楽にも人間にも分け隔てがない。キャリアや年齢で人を判断しない。権威にも大御所にもならない。
私事で恐縮なのだが、「30以上は信じるな」などと口にしていた生意気盛りの僕が
「ああいう大人になりたい」と思っていたのは彼だけだった。
『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』は発売時の反響は芳しくなかった。
しかし、90年代以降、アシッドジャズの名曲として再評価されていることは説明の必要がなさそうだ。
「売れる曲」と「残る曲」。シングルのAB面でここまで評価が分かれる例も珍しい。
今さらになるかもしれないが、森山良子はかまやつひろしの従妹である。
ティーブの妻の妹のジャズ・シンガーが彼女の母だ。父親のトランぺッター、森山久はテイーブ釜萢の盟友だった。
彼女の代表曲『涙そうそう』は早く失くした兄を思って書いた曲だった。
デビュー56年、誰よりもあらゆるジャンルの曲を歌ってきた彼女が念願だったという『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』のカバーは今年7回忌を迎える従兄への今だからの想いのこもった私信のように思えた。 田家秀樹

森山良子『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』

森山良子「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」

2023年7月19日(水)配信スタート

【収録曲】

1.ゴロワーズを吸ったことがあるかい

森山良子 コンサート情報

8月12日(土)
森山良子アコースティック・コンサート in 名護 名護市民会館大ホール[沖縄]

【森山良子コンサートツアー~My Story〜】

8月6日(日)
吹田市文化会館メイシアター 大ホール[大阪府]

8月19日(土)
白河文化交流館コミネス[福島県]

8月24日(木)
八戸市公会堂 大ホール[青森県]

8月26日(土)
リンクステーションホール青森[青森県]

9月14日(木)
三木町文化交流プラザメタホール[香川県]

9月15日(金)
ユープラザうたづ ハーモニーホール[香川県]

9月20日(水)
いわき芸術文化交流館 アリオス[福島県]

10月29日(日)
フェスティバルホール[大阪府]

11月15日(水)
大宮ソニックシティホール[埼玉県]

11月22日(水)
相模女子大グリーンホール[神奈川県]

11月26日(日)
秋田芸術劇場ミルハス[秋田県]

12月7日(木)
大崎芸術劇場[群馬県]

12月13日(水)
市川市文化会館[千葉県]

12月15日(金)
石橋文化ホール[福岡県]

他、全国各所にて

【シンフォニックコンサート】

10月8日(日)
森山良子with 東京フィルハーモニー交響楽団~Ryoko classicsコンサートリーホール

森山良子 プロフィール

森山良子 もりやま・りょうこ(歌手)

1967年『この広い野原いっぱい』でデビュー。その後、ミリオンセラー『禁じられた恋』をはじめ『涙そうそう』、『さとうきび畑』、『あなたが好きで』など、数々のヒット曲を生み出す。透明感のある歌声と歌唱力で、名実ともに日本のトップシンガーに。
1998年、長野冬季オリンピック開会式式典にて、テーマソング『明日こそ、子供たちが…』を歌い、その模様が世界中に放映される。
2002年、第44回日本レコード大賞において最優秀歌唱賞、金賞(『さとうきび畑』)、作詩賞(『涙そうそう』)を受賞し3冠を達成。
2006年第48回日本レコード大賞で『涙そうそう』が特別賞を受賞。
2007年「2006年度 芸術選奨文部科学大臣賞」「第49回毎日芸術賞」受賞。2008年「紫綬褒章」受章。
2021年、55周年を迎え「森山良子コンサートツアー〜MyStory〜」では、切り絵作家 柴田あゆみさんの作品を飾った舞台美術で切り絵の世界と歌の融合を表現。同年10月、第11回岩谷時子賞受賞。
2022年4月NHK連続ドラマ小説「カムカムエブリバディ」にアニーヒラカワ安子として晩年の安子役を演じ、たいへん大きな話題となる。
歌手活動以外でも、ニッポン放送(全国ネット)「オールナイトニッポン MUSIC10」にて月曜日のレギュラーパーソナリティーを務め8年目を迎えるなど多岐に渡り精力的に活躍中。

森山良子 レギュラーラジオ

ニッポン放送「オールナイトニッポン MUSIC10」

毎週月曜日22:00〜24:00
番組公式サイト:
https://www.allnightnippon.com/m10/

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