『遅咲きでも、きっと花は咲く』――亡き夫の言葉を胸に、松前ひろ子が50周年記念曲『夫婦鶴』を熱唱
演歌歌手・松前ひろ子が、自らが経営する東京・南青山の「Liveレストラン青山」で、歌手生活50周年を記念した新曲『夫婦鶴』の発表会を行った(9月25日発売)。『夫婦鶴』は、松前にとってはいとこであり、師匠でもある北島三郎がプロデュースし、原譲二名義で作詞作曲も手掛けた。
「’18年の10月ごろでしたか、あるTV番組で北島さんと共演したときに、デビュー50周年の記念に曲を書いてほしい。夫婦の歌がいい、とお願いしたんです。一度は『お前にはオヤジ(夫で作曲家の中村典正氏)がいるから』と断わられたんですが、12月に入ってから、(書いてくれますよねと)念押しすると(笑)、今年に入ってから完成させてくれました。テレビ番組の中で話しちゃってるから、断りきれなかったのかもしれませんね(笑)。でも『お前たち夫婦を思って書いた曲だ』と言われていただいたときは、本当にうれしかったです」
これまで夫の書いた曲しか歌ってこなかった松前が、北島に記念曲をねだったのは、
「50年以上前の話ですが、実は私、歌手になる前に北島さんに歌を聴いてもらったことがあって、そのときの『いけるな』の一言で、歌手を夢見て家出同然で上京したんです。その後、北島さんの内弟子として修行を積んでデビューしました。ですから、北島さんは私が歌手になるきっかけを作ってくれた恩人でもあり、歌手として必要なすべてのことを教えてくださった師匠でもある。でもデビュー以来、北島さんに曲を作っていただいたことはなかったものですから、50年の節目の曲は、ぜひお願いしたかったんです」
‘19年8月、松前は、「お前はこいつと一緒になったら幸せになるって、北島さんから紹介されて」以来、47年間連れ添った最愛の夫・中村典正氏(享年83)を肺炎で亡くした。「亡くなる直前まで、私と三山(ひろし)の曲はずっと聴いていましたが、この曲(『夫婦鶴』)に関しては、『素晴らしい曲だ』と誰よりも喜んでくれました。主人は仕事には厳しい人でしたから、私が仕事で家を空けることも理解してくれましたが、反面、『でも寂しいから早く帰ってこい』という人でもありました。だから、この曲を歌うと、つい、いろいろ思い出して涙が流れそうになります。でも最期に『遅咲きでも、きっと花は咲く。この曲で花が咲くよ、よかったなぁ』と何度も言ってくれたんです。だからその言葉を信じて、一生懸命、歌っていこうと思います」
この日、北島からは、「松前くんのダンナは旅立ってしまって残念だった。夫婦鶴の片方がいなくなって寂しいだろうけど、世の中にはこういうご夫婦もたくさんいらっしゃるだろうという意味も込めて『夫婦鶴』を作りました。ひろ子ちゃんも、頑張って!」と激励のビデオメッセージが寄せられた。
作品情報
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松前ひろ子「夫婦鶴」
恩師北島三郎プロデュース、作詞・作曲原譲二による、歌手人生50周年記念曲第2弾!永年連れ添った夫婦の愛を描いた夫婦慧可の決定盤!カップリング曲「おめでとさん」(作詞:千葉幸雄/作曲:中村典正)¥1,204円(税別)/㈱徳間ジャパンコミュニケーションズ