氷川きよし デビュー20周年を東京国際フォーラムで締めくくる 「今までで1番いい年になった」

2019.12.12

今年デビュー20周年の氷川きよしが11日、12日の2日間にわたって東京国際フォーラムにて「氷川きよしスペシャルコンサート2019~きよしこの夜Vol.19~」昼夜全4公演を行い、合計20,000人を動員、観客たちを熱狂させた。

今年は、コンサートツアー「2019〜20周年大感謝祭!!〜」に始まり、5月には大阪・新歌舞伎座での座長公演、7月には日本武道館での20周年記念公演、9月の誕生日には自身初の大阪城ホールでのコンサートを行うなど例年にも増して精力的に活動してきており本公演はデビュー20周年としての活動の締めくくりとなる。

「きよしー!」「きーくん!」という掛け声が鳴り響くホールは駆け付けたファン5,000人の熱気で溢れていた。そんな中、全面にバラがあしらわれた薄い膜の奥から蝶を模した衣装で氷川きよしが登場し、コンサートは始まった。

マイクにも蝶があしらわれ、爪も紫にしているところにもこだわりが表れる。そして、まるで蝶になりきったかのごとく『それぞれの花のように』『天地人』を舞うように歌い上げた。

バンド演奏の間に早速、新たな衣装に着替えると、今年の「第52回日本作詩大賞」にノミネートされた今年の新曲『最上の船頭』を熱唱。ここでようやくMCが入り、「寒い中、お越し頂きましてありがとうございます」と観客に御礼を述べると、20年の活動を振り返る。

2000年2月2日の22歳の時に氷川きよしは誕生し、以降、歌の主人公として大切に育てて頂きました。歌も料理もファッションも大好きで、特に歌を剣、ファッションを盾として戦ってきて、これからもこの剣と盾で1人1人に想いを届けられるよう頑張ってまいります

そして、”平成の股旅野郎”というデビュー当時のキャッチフレーズを思い起こし、「義理と人情による勧善懲悪の世界感が大好き」と語る、自身の原点・股旅演歌『ちょいときまぐれ渡り鳥』『花の渡り鳥』『越後の雪次郎』『大井追っかけ音次郎』『箱根八里の半次郎』を立て続けに披露した。

ここで皆さんお待ちかね(?)の西寄ひがしがMCで氷川の衣装チェンジの間をつなぐ。前段のキャッチフレーズにかけて「どうも司会者界の”マタズレ”野郎です」という渾身のボケで会場を見事に笑いで包む西寄だが、この毎年恒例のコンサートの司会を第2回から担当し続けている欠かせない存在だ。

和やかな時間を過ごしていると全身国旗のスーツに身を包んで再登場した氷川は『きよしの令和音頭』を歌唱。

氷川きよしと西寄ひがしの軽快な掛け合いもファンにとって堪らない一幕だ。19年前、中野サンプラザのコンサートで初めて会った時の印象を話したりと会場はさらに和やかな雰囲気に。

衣装については「世界平和を願って国旗が着たい」とスタイリストにお願いして作られたものだそう。そんな衣装でタイトルに「きよしの~」とつく楽曲18曲のうち『きよしの数え唄』『きよしのソーラン節』『きよしのズンドコ節』の3曲を披露。特に『きよしの数え唄』の歌詞「♬人はいろいろ言うけれど 決めた自分の道を行く」が大好きで、いま、改めて心に響くと語る。

衣装は既に4着目。白と緑の紋付袴に着替え、髪を後ろに束ねて『一剣』『浪曲一代』『玄海竜虎伝』『男の絶唱』『白雲の城』を歌詞の主人公になりきって披露。

迫真のセリフと男らしいまさに”絶唱”の迫力に思わず瞬きするのを忘れてしまう。

あまりにも素晴らしいステージの余韻に浸っているところ、ギターの轟音が目を覚まさせる。

真っ赤なエナメルのジャケットとホットパンツ、顔にはメイクも施して登場すると、先日発売された『大丈夫/最上の船頭』のIタイプに収録され、自分自身で制作したロックなMVも話題になった『確信』を披露。

そして、おそらく会場のほとんどの人が次に歌うであろうと予想した『限界突破×サバイバー』をクレーンに乗って披露。ここからは氷川きよしオリジナルのポップスステージだ。

水をイメージしたステージにスパンコールが全身に散りばめられたガウンを羽織って登場すると、『かなしみのマーメイド』と『恋初めし』をしっとりと歌い上げる。

ここで再び、西寄ひがしが登場すると、突然、昭和の音楽史を振り返り始める。美空ひばりから古賀政男、服部良一で歌謡界を振り返りながら、ビートルズのことまで触れる。不思議な空気が会場を漂う中、答えとなるワードが聞こえてきた。

QUEEN『ボヘミアン・ラプソディ』

そう、11日の公演を終えた後に自身のインスタグラムでカバーを初披露したことを報告していたのだ。

イギリス本国にいるQUEENの了解も得た和訳詞を手掛けた、湯川れい子氏からの手紙を読み上げると星が散りばめられたスーツで登場し、『ボヘミアン・ラプソディ』を歌い始める。

通常のカバーではカットされがちのオペラ部分も見事に熱唱し、表現者としての新たな一面を見せつけた。

今年日本で公開された「ボヘミアン・ラプソディ」を観て深く感動し、デビュー当時から親交のある湯川れい子氏に依頼して今回の歌唱に至ったそう。映画の主人公として描かれたフレディ・マーキュリーの姿に深く感銘を受けたと話し、

華やかなように見えても孤独を抱えて、人間として見られない寂しさを抱えていた。そんなフレディの思いを感じながら日本語で伝えたかった」と語る。

そして、「心は物質じゃ満たされない。愛されることで幸せを感じる」と話し、『8番目の虹の色』『hug』『碧し』『あなたがいるから』と、愛にまつわる楽曲を続けて披露。

アンコールでは、全身ゴールドの衣装に着替え、美空ひばりが20周年の時にリリースした楽曲『歌は我が命』をカバー、続けて『COME ON』『大丈夫』を披露しコンサートは幕を閉じた。

 

終演後の囲み取材にて今年1年を振り返ると?と聞かれた氷川は「今までで1番いい年だった。皆さんが盛り上げてくれたおかげで心も充実することができた」と語った。

19年前の最初の公演を思い返すと「自分がこの国際フォーラムを観客で埋められるか、プレッシャーで熱を出した」と語るが、今やそんな弱気な姿は一切みせない。

インスタグラムを始めたことで、様々なコメントを目にすることが多くなりネガティブな意見も目にするというが「批判する時間があるなら仕事しろ」と批判もどこ吹く風だ。そんな堂々たる姿でデビュー20周年の年、素晴らしいステージの数々を魅せてくれた氷川きよしだが、自身にとっても大きな1年であったことに違いない。

 

既に来年も様々な”楽しいこと”を企画しているという。

21年目からの氷川きよしも、やはり、目が離せない。

「氷川きよしスペシャルコンサート2019~きよしこの夜Vol.19~」セットリスト

1.『それぞれの花のように』

2.『天地人』

3.『最上の船頭』

4.『ちょいときまぐれ渡り鳥』

5.『花の渡り鳥』

6.『越後の雪次郎』

7.『大井追っかけ音次郎』

8.『箱根八里の半次郎』

9.『きよしの令和音頭』

10.『きよしの数え唄』

11.『きよしのソーラン節』

12.『きよしのズンドコ節』

13.『一剣』

14.『浪曲一代』

15.『玄海竜虎伝』

16.『男の絶唱』

17.『白雲の城』

18.『確信』

19.『限界突破 × サバイバー』

20.『かなしみのマーメイド』

21.『恋初めし』

22.『ボヘミアン・ラプソディ』

23.『8番目の虹の色』

24.『hug』

25.『碧し』

26.『あなたがいるから』

27.『歌は我が命』

28.『COME ON』

29.『大丈夫』

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